【ブライデン夫妻ブームを斬る】 vol.6


●誇大広告的

 「ブライデン夫妻ブーム」では、まるで、適切なケアが施されれ
 ば、痴呆が治るかのように宣伝されています。
 ここに、まず、誇大広告的なところがあるように思えてなりませ
 ん。

 確かに、適切なケアは必要です。
 ですが、それでも、痴呆の進行を食い止めることができるという
 レベルにすぎないのが実情です。
 治るのは、残念ながら、希です。
 しかも、ある程度以上進行してしまうと、痴呆の進行を食い止め
 ることはおろか、進行を遅らせるのがやっと…というのが実情な
 のです。

 こうした現実を考えると、やはり、誇大広告的と言わざるを得な
 いでしょう。


●早期発見は可能なのか?

 さて、そうなると、適切なケアのためには、早期発見が欠かせな
 いことになりますね。
 では、痴呆の早期発見は可能なのでしょうか?

 これも、かなり疑問です。
 早期発見できる確かな検査技術が存在するのなら、痴呆の検診を
 義務づければいいでしょう。
 でも、そういう声は聞こえてきません。
 そう、そんな検査技術は、実際にはまだ存在しないのです。

 痴呆の早期発見は、ガンの早期発見と同じくらい…否、もしかし
 たら、それ以上に難しいのではないかと思われます。
 CTスキャンやMRIなどで発見できることがあるそうですが、
 こういう技術で発見される人は、もうかなり進行してしまってい
 る場合が多いように思えます。

 ですから、痴呆を見抜くのは、非常に難しいことだと思います。

 単に物忘れが酷いから…というだけでは、痴呆とは診断できませ
 ん。
 忙しい時、(他の)病気などで体力が落ちている時、寝不足の時、
 悩み事がある時…など、物忘れが酷くなることはいくらでもあり
 得るからです。
 また、年をとれば、どうしても記憶力は落ちてきます。
 ですから、物忘れぐらいで痴呆と決めつけることはできません。

 性格が変わる…というのも、必ずしも痴呆が原因とは限りません。
 精神的なショックでなる場合もあるわけですし、また、誰かに吹
 き込まれた…なんてケースもあります。
 性格以外の変化についても同様で、単に何かが変わってしまった
 というだけでは断定はできないと思います。

 そういうわけですから、確実な早期発見など、現段階では無理が
 あると言わざるを得ないのです。
 となれば、適切なケアによる効果は、あまり期待できないでしょ
 う。


●人を傷つけかねないブーム

 夢で人を喜ばすのは、かえって人を傷つけることになると思いま
 す。
 特に、早期発見についての誇大広告は、そうです。
 「ああ、早期発見していれば…」と、まず、本人が悔やみますよ
 ね。
 そして、周囲の人、特に家族も、本人と同じか、それ以上に悔や
 むものです。

 それだけではありません。
 早期発見が可能であるかのように宣伝すると、「周囲の人間は何
 をやっていたのだ?」と世間から白い目で見られるようになるで
 しょう。
 「お前たちがついていながら…」と。
 そうなれば、周囲の人、特に家族は深く傷つくことになるでしょ
 う。

 そういうことに、何の配慮もしていない!
 こんなブームを、みなさんは許せますか?


●一部の学派を贔屓

 「ブライデン夫妻ブーム」で宣伝されている、いわゆる「適切な
 ケア」の効果には、明らかに誇張があります。
 いわゆる喜ばせ屋。
 こういうあたりが、「奇跡の詩人」にそっくりなわけです。

 と同時に、NHKや北海道新聞など、このブームをヨイショして
 いるメディアの偏向ぶりも見えてきます。
 それは、特定の学派の意見ばかりが尊重されていることです。
 おそらく、多くの専門家は、「ブライデン夫妻ブーム」には、完
 全に否定的ではないまでも、懐疑的もしくは慎重だと思います。
 つまり、全ての専門家の支持が必ずしも得られているものではな
 い…ということです。
 ということは、一部の学派の意見だけが大きく(肯定的に)取り
 上げられている…ということでしょう。
 これを「偏向報道」と呼ばずに何と呼びましょうや?

 メディアの、政治に関する偏向(報道)はよく話題になりますが、
 学問・学術・文化に関するそれは、ほとんど全くと言っていいほ
 ど話題になりません。
 これは本当に困ったことです。

 新聞やTVを無批判に見ていると、痴呆以上に頭がおかしくなる
 のは確実です。
 実を言うと、痴呆の原因となるストレスを最も与えているものの
 一つが、新聞やTVといったメディアなのです。
 脳の健康のためには、新聞やTVを見ないのが一番なのですよ、
 ホント!(笑)


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発行者:media
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