【くたばれ!友情論】 vol.8


●阪神大震災でメディアが伝えた二種類の人間たち

 阪神大震災の際、メディアは、全く対照的な二種類の人間たちの
 姿を伝えてくれました。

 一つは、バケツ・リレーによる消火のシーン。
 村山内閣の怠慢のせいで、なかなか助けが来ない中、およそ友だ
 ちどうしとは思えない人たちが、見事なチーム・ワークで、消火
 作業にあたっているではありませんか。
 誰に命じられたわけでもなく。
 報酬や手当てがもらえるわけでもないのに。
 私利私欲を捨て、プライドもこだわりもかなぐり捨てて、必死に
 なって消火にあたるすばらしい社会貢献的態度。
 これには、ほんと、心底から感動させられました。
 これこそ、性善説を確証する証拠だと。

 一方、メディアは、これとは別のもう一種類の人間たちの姿をも
 伝えてくれました。
 よその地から震災後にやってきて、まさに廃墟と化した被災地の
 瓦礫の前で「ピース」などと、友だちと記念撮影をしていたツア
 ー客たちです。
 こいつら、どういう神経してるんだ?
 自分が被災したら、そして、瓦礫と化したマイ・ホームの前でよ
 そもんにこんなことされたら、どう思うか、考えたことがないの
 か?
 これこそ、性悪説の決定的証拠だ、と思いましたね。


●それでも美しいですか?

 さて、最初の例は、友だちではない人たちが見せてくれた姿です。
 また、二番目の例は、友だちどうしの人たちが見せてくれた姿で
 す。
 そこで、みなさんに質問があります。
 はたして、どちらの姿が美しいと言えるでしょうか?

 私には、最初の方が美しく見えます。
 でも、友情論者たちには、二番目の方が美しく見えるのでしょう
 ね。
 何しろ「友情は美しい」というのが、彼らの教義なのですから。

 「友情の美」というものは、その輪の中にいる人にしか見えない
 超自然的なもののようです。
 まさに、信者である者にしか見えない「超常現象」の世界!
 そんな世界の人たちに、オカルトやカルトのことを笑って馬鹿に
 したり批判したりする資格があるのでしょうか?


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発行者:media
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