【くたばれ!友情論】 vol.70


●友が感染してもいいのか?

 今回も「新型かんむり」(?笑。新型肺炎のこと。前回参照。)
 と関係のある話をしたいと思います。
 といっても、「人と会ってはならない」的な説教話ではありませ
 ん。
 そもそも、感染してない者どうしが会っても、(第三者からのを
 除けば)感染することはまず無いわけですからね。
 もっと抜本的な解決に迫る話です。
 どうか最後までお付き合い下さいませ。

 さて、それでは、まず、質問です。
 みなさんは、友だちが新型肺炎に感染しても平気ですか?

 普通の人は、平気ではないですよね。
 でも、人のことを「8割おじさん」などと侮辱する楽観主義者た
 ちは、「8割は重症化しない」ことを理由に、「平気だ」と答え
 てよこすことがあります。(それ、目糞鼻糞っぽくない?)
 「重症化するのが、どういう人か、わかっている。我が友は、そ
 れに該当しない。だから、平気なのだ」と。

 なるほど、科学的に聞こえますね。
 でも、本当に科学的なのでしょうか?


●非重症化の保証はできない

 本当にわかっているのは、『こういう人は重症化する危険性が高
 い』ということだけです。
 つまり、それ以外の人については『絶対に重症化しない』と保証
 してもらえる情況ではないそうです。
 ならば、楽観論は全く軽薄な無責任論でしかないでしょう。
 友のことを思うのなら、そんな思想に賛同することはできないは
 ずです。


●友が加害者になってもいいのか?

 それに、友だちが重症化しなくても、他の人に感染させてしまっ
 て、その人が重症化してしまったとしたら、どう思います?
 普通の人なら平気ではいられないでしょう。
 友だちは感染の加害者になってしまったことになるわけですから。

 もっとも、こんなことを言うと、「加害者とは何だ!」と怒る人
 が必ず現れます。
 なるほど、確かに、感染させてしまっても、それが意図的であっ
 たり、行政の指示に従わなかった場合などを除けば、法的には罪
 にはなりません。(∴加害者ということにはならない。)
 ですが、だからといって、「感染させてしまっても、責任は無い
 のだ」というのは、あまりに法学グルイな言い分です。

 感染させられた側の立場になって考えて下さい。
 害を受けるのですよ。
 特に重症化した場合には。
 ならば、被害者ではありませんか。
 従って、法的には加害者にならなくても、人道的には加害者とい
 うことになるのです。

 実際、気まずくなるではありませんか。
 普通の人なら。
 それに重症化したのが、友だちにとって大切な人だったのなら、
 それは友だちにとっては大変な悲劇でしょう。
 それでも平気なのですか?

 もちろん、友だちも、誰かに感染させられたわけですから、被害
 者です。
 従って、友だちのことを責めるのは、賢明なことではありません。

 被害者が加害者になってしまう…
 これが、今度の疫病の非常に厄介なところなのです。

 ですから、やはり、友だちを感染から守らなければならないので
 す。
 友だちが感染しないようにしなければならない。

 そのためには、何をしなければならないか?
 あなたが会わないようにする?
 でも、あなたが感染者や保菌者(保ウィルス者)でないのなら、
 それは友だちを守ることにはならないのです。


●潜伏という厄介

 いや、たとえ、あなたが感染者や保菌者(保ウィルス者)であっ
 たとしても、あなただけが友だちに会わないようにしても、他の
 人から感染させられる恐れがあります。
 従って、あなたが友だちに会わないようにするだけでは全然不十
 分なのです。

 これに関連して是非とも知っておかなければならないのは、『今
 度の疫病は、感染者・保菌者(保ウィルス者)が潜伏(潜在化)
 しやすい』ということです。

 これは、重症化率が2割と低いことが関係しています。
 みんなが重症化してくれれば、誰が感染者や保菌者(保ウィルス
 者)であるかないかが把握しやすいのですが、重症化しない人が
 8割もいては、その把握は困難になってくるのです。

 となると、今のままでは、友だちが感染の危機にさらされ続ける
 ということでしょう。
 それで平気なのですか?


●重症化率の低さが招く油断

 重症化率が2割と低いことを理由に、今度の疫病のことを甘くみ
 るのは、賢明なことではありません。
 潜伏(潜在化)の問題があるわけですから。

 ついでに、ここで、一つ、重要な問題を指摘しておきましょう。

 まず、重症化しにくい人には、活発に活動する人が多いものです。
 若者なんか、そのいい例でしょう。
 そして、そういう人は、人との接触の機会が多くなりがちです。
 ですから、感染するリスクが高くなるわけです。
 そして、人に感染させてしまうリスクも…。

 一方、重症化しやすい人には、活発には活動しない人が多い。
 年寄りなんか、そのいい例ですよね。
 で、そういう人は、人との接触の機会が相対的に少ないはず。
 ならば、感染するリスクは低くなりそうな気がしませんか?

 ところが、実際には、かなりの人が感染し、命を落としています
 よね。
 どうして、こんなことになるのでしょう?

 その理由は、重症化しやすい人は、通院したり、入院していたり、
 介護サービス等を利用してたりするケースが多いからです。
 病院や介護施設の職員には、若くて健康な人が多い。
 だから、重症化しにくい人が多い。
 故に、感染している可能性が高い人が多いことになってしまうの
 です。
 だから、重症化しやすい人がバタバタと死んでいるのです。
 こうしたことを引き起こすことが、今回の疫病の極めてタチの悪
 いところなのです!

 「8割は重症化しない」ことを論拠とした楽観論が、如何に軽薄
 な論であるか、これでわかったでしょう。


●「感染経路は把握している」は誇大表現

 潜伏(潜在化)の問題を矮小化しているものの一つに、行政によ
 る「感染経路は把握している」発言があります。
 感染者が出ると、よく言うでしょう。

 でも、これ、どう見ても、誇大表現です。
 だって、そうでしょう。
 感染経路が把握されているのなら、なぜ新たな感染者が出現した
 りするのか?
 矛盾しているではありませんか。

 把握できているのは、「クラスター」すなわち感染者集団内での
 感染経路だけです。
 その集団にウィルスがもたらされた経路については、わかってい
 ない場合がほとんどなのです。

 こういう紛らわしい表現は、やめてもらいたいものです。
 潜伏(潜在化)という実態を見えなくしてしまうのですから。


●ワクチン依存の盲点

 「ワクチンさえ手に入れば、もう大丈夫だ」論も、軽薄な思想で
 す。
 「いつ投与してもらえるのか?」とか、「必要な人数分が確保で
 きるのか?」とか、「もし変異したら、どうなるのか?」とか、
 「副作用は無いのか?」といったことは、既に言われていること
 なので、ここでは採り上げません。
 ここで採り上げておきたいのは、『ワクチンは、人を必ずしも非
 保菌者(非保ウィルス者)にしてくれるわけではない』というこ
 とです。

 ワクチンは、感染を防ぐものではありません。
 感染しても重症化しないようにするものなのです。
 ですから、感染する(保菌者(保ウィルス者)になる)可能性が
 ゼロになるわけではないのです。
 従って、ワクチンを接種した者が、まだ接種していない者に接触
 すると、感染させてしまうおそれがあるのです。

 というわけで、ワクチンを投与するのなら、まず重症化しやすい
 人から投与しなければならないわけです。
 ところが、既に述べたように、誰が重症化しやすいのかを完全に
 把握することは極めて困難です。
 ですから、結局、全ての人に投与しなければならないということ
 になるわけです。
 でも、それは、いつになることやら。

 というわけで、ワクチンだけで満足するというのは、全く軽薄な
 者のすることなのです。


●友を守りたければ全人検査を国に要求せよ!

 では、どうすれば良いのか?
 結局、ウィルスを持っている人全員に治療を受けさせ、ウィルス
 を体内から完全に排除するしかないのです。
 それ以外に絶対確かな方法はありません。

 そして、そのためには、まず、ウィルスをもっている人を全て洗
 い出す必要があります。
 そして、そのためには、全ての人を検査する必要があるのです。

 ですから、本気で友だちを守りたいと思っているのなら、国に対
 し、全ての人の検査を要求すべきなのです。
 それをしない者は、友だちのことを思っている人とは言えません。

 え?、「そんなことをやっている国は無い」ですって?
 ならば、こう言い返しましょう。
 「外国の猿真似なんかしているから、酷い目に遭うんだよ」と。

 え?、「検査機関の能力が足りない」ですって?
 だったら、強化すればいいではありませんか。
 検査って、そんなに特殊な能力が要求されるものなのですか?
 違うでしょう。
 検体の採取なら、看護婦とかの経験者でもできそうなことですし、
 検体の検査作業なら、薬学系や化学系の人間でもできそうなこと
 です。
 どちらも、一週間ぐらい研修させれば、十分、使いものになるで
 しょう。

 ちなみに、戦時中は、女学生が(実際に飛行も可能な)木製戦闘
 機とかを作ったりしていたそうですよ。
 つまり、資格(や学歴)の無い人たちが国を支えていたのです。
 資格に拘(こだわ)る戦後ニッポン人は、やっぱりバカです。
 重要なのは実力でしょう。

 検査用の施設も、金(と指導者)さえあれば、なんとかなるもの
 です。
 ですから、今必要なのは、全ての人の検査を求める世論なのです。
 それを今回は言いたかったのです。

 ついでに言っておくと、検査渋りが感染拡大と自粛パニックを招
 いてしまっているのです。
 これは国の怠慢です!

 友だちが感染拡大や自粛パニックに巻き込まれても平気なのです
 か?


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発行者:media
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