【くたばれ!友情論】 vol.5


●友達だけで生きていけるの?

 友情論者のオトナたちが説教でよく使う殺し文句の一つに、こん
 なのがあります。

 「人は、一人では生きてはいけない!」

 う〜ん、これは効くでしょうね。
 ものっすごく脅迫的というか…。
 「生きてはいけない」なんて言われちゃあ、嫌でも友達を作らず
 にはいられない心境に追い込まれちゃいますよね。
 まさにアオリの天才です。

 ならば、そんなオトナたちにお尋ねしましょう。

 はたして、人は、友達だけで生きていけるのでしょうか?

 まあ、アニメのキャラクターたちは、友達だけでも生きていける
 ようですがね。
 現実の世界と作り物の世界とを混同されては困りますよ。
 いい歳して…。

 ジャングルとかでターザンのような自給自足の生活をしていける
 人たちを別にすれば、人はみな社会に頼らないと生きてはいけま
 せん。
 贅沢品はおろか、生活必需品だって手に入らない。
 インフラは完全喪失。
 福祉も、医療も、防災も、治安も…。
 そう、人は皆、社会に依存して生きているのです。
 ただ、普段はそのことを意識していないだけなのです。

 その社会とは、まさに他人の集まり。
 友達だけではないのですよ。
 というか、友達でない人たちの方が圧倒的に多いのです。
 桁違いに!
 それも何桁も!
 つまり、友達でない人たちだって、生きていく上で必要なのです。

 友情論者の人たちって、本当は、社会性を著しく欠いている人た
 ちなんじゃないでしょうか?
 自分たちがどれだけ社会に依存して生きているか、全然自覚でき
 てないガキなんじゃないでしょうか?

 逆に、こんな連中がのさばっているから、「自分は世間から無視
 されている」とか「透明な存在とみなされている」といった変な
 思い込みをして、果てはとんでもない犯罪に走る若者たちが増え
 ているのではないでしょうか?

 あかの他人だって重要なんだよ!


●社会性の欠如

 もっとも、こんなことを言うと、友情論者たちは、きっと、こう
 反論することでしょう。
 「別に、そんなつもりで言ったわけじゃない。友達を作ろうとし
  ない人の協調性のなさを諭したかっただけだ」と。

 それじゃあ、あんたら友情論者たちは、友達でない人々と協調し
 て生きているのかね?

 電車やバスの車内で友達を相手にデッカイ声でケータイしている
 者。
 狭い歩道を、友達と一緒に横一列になって歩く者。
 出入り口付近で、友達とタムロしている者。(通行の邪魔!)
 こんなのが他人と協調している者の姿と言えるのかね?
 おめーらの方がよっぽど他人との協調性を欠いてるじゃねーかよ、
 おいっ!

 「一人では生きていけない」
 と言われて、
 「じゃあ、友達と一緒ならいいんだ。一人じゃないんだから。」
 と思う人たちがいたとしても、その人たちのことを責めることは
 できないと思いますよ。
 少なくとも、この説教は、友情に関して用いるべきものではあり
 ません。
 社会性というものの重要性を説く時に使うべきものです。

 要するに、今時のオトナたちが、このような表現を友情論の説教
 に用いたりすること自体、彼らが如何に社会性というものの重要
 性を子供たちに教えていないかということを示す何よりの証拠と
 言えましょう。
 まあ、彼ら自身、社会性がないのですから、教えようがないので
 すけれどね。


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発行者:media
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