【くたばれ!友情論】 vol.21


◎アニメと友情論<その2>

 今回から、再び、このテーマに戻りたいと思います。
 とはいえ、前々回(vol.19)が発行されたのが、遙か昔のことで
 すので、もう何の話だったか覚えていらっしゃらない方も多いで
 はないかと思います。
 要するに、アニメの世界は、主人公中心の世界だということです。
 それ故、主人公中心に、キャラクターが善悪に単純に分類されて
 しまう。
 その際、最も重要な基準となるのが、主人公との「友情」…とい
 うことでした。
 今回は、この問題を、さらに追求します。


●悪でなくても敵になる現実世界

 アニメの世界では、主人公の敵は、倒すべき「悪」ですよね。
 そう決めつけられてしまいます。
 でも、現実の世界はそうではないでしょう。

 たとえば、あなたの敵は「悪」でしょうか?
 必ずしもそういうわけではないでしょう。
 お受験の際は、他人は全て「敵」になります。
 でも、彼らは「悪」ではないですよね。
 そこに気付いて欲しいのです。

 ここで認識しなくてはならないのは、現実の世界に生きる者にと
 っては、悪でなくても敵になることがいくらでもある…というこ
 とです。
 これがアニメの世界との、大きな、大ーきな違いです。
 アニメは、こういう問題を完全に無視しています。
 だからこそ、あんな友情による単純な分類が可能になるのです。

 ですから、アニメと現実の区別がつかなくなると、非常にアブナ
 イのです。
 友情論者には、こうしたアブナイ人たちが多いのです。


●贔屓

 前回指摘したように、アニメの世界のキャラクター分類は、あま
 りにも天動説的です。
 主人公という特定の人物を中心に、この世の全ての人間を評価し
 ようとするからです。

 こういう感覚を現実世界に持ち込むと、どうなるでしょうか?

 まず、自分中心にしか、人を評価できなくなってしまうでしょう。
 自分に味方してくれる人は友人=正義、そうでない者は敵=悪!
 となるのは目に見えています。

 そして、もう一種類、恐い症例があります。
 それは、マスコミ(メディア)がヨイショする人間中心にしか、
 人を評価できなくなることです。
 マスコミ(メディア)がヨイショする人に味方する人は友人=正
 義、そうでない者は敵=悪!という評価です。
 こういう人、みなさんの周りにいませんか?


●人間の視界・視野は有限

 天動説的な見方は、さらに、もっと陰険な問題をもたらします。
 それは、視野・視界の限界からくる問題です。

 人間の視野・視界は有限です。
 つまり、見える範囲は限られている、ということです。
 ということは、視野・視界の外にあるものは見えなくなる、とい
 うことでしょう。

 そこで、もし特定の人物中心にしか見ないという天動説的な見方
 をしたら、どうなるでしょうか?
 そんなことをしたら、特定の人物と関係のある人物以外の人物の
 ことは、全然見えなくなるでしょう。
 つまりは、透明な存在とみなすこと、すなわち、存在そのものを
 無視することになるのです。
 これは陰険極まりないことではないでしょうか?

 全ての人のことを見るためには、アニメのような、天動説的な見
 方では駄目なのです。


●その他大勢はどうなっても良い…という論理

 アニメに見られる天動説的な人間評価は、結局のところ、主人公
 から遠い関係にある人たち、すなわち、「その他大勢」の人たち
 のことを軽視することになるのです。
 これはとんでもないことです。
 その他大勢の人たちだって、人間でしょう。
 その人たちのことは、どうなってもいい…というのが、アニメの
 世界なわけです。
 つまり、主人公たちさえ救われればそれでよい…というわけです。
 おっそろしい感覚ですね。
 まさに狂った選民思想の世界です。
 アニメに夢中になりすぎて現実との見境がつかなくなると、そう
 いう感覚の人間になってしまうのです。

 こうしてみると、なぜ、アニメの世界では友情論がうまくいくの
 かわかるでしょう。
 それは、「その他大勢」の人たちのことを考えていないからです。

 恐るべきことに、友情論者たちは、そんな作り物の世界でしかう
 まくいかない思想を、現実世界に持ち込もうとしているのです。
 こんなものを支持する気になれますか?

 作り物の世界と、現実の世界の違いがわからない重症患者たち。
 それが友情論者たちなのです。

              −・−

 さて、次回は、アニメ業界の現実を通して、友情論者たちの実態
 ・正体に迫ってみたいと思います。

                        (つづく)


◆ちょっと訂正

 ここで、前回の記事に関して、少しばかり訂正しておきます。
 エロSPAMの多いOCNについてなのですが、何と、OCNは
 他の事業者に回線を貸し出すサービスもやっているのだそうです。
 OCNって、一体、何者?
 とにかく、前回の記事には、この点に関して誤解を与えるところ
 があるようなので、一応、念のため訂正しておきます。

 それにしても、営業形態が複雑ですね。
 こうした複雑さが、責任の所在を不明確にし、その結果、スパマ
 ーたちが暗躍しやすい環境を作り出しているのではないでしょう
 か?

 呆れるのは、スパマーたちを放任している役人どもです。
 ネットユーザーを守ろうとしないばかりか、「自分たちこそ被害
 者」と言わんばかりの態度なのです。
 だったら、取り締まる法律を作れば良いのですよね。
 この国の役人どもは、どこまでも国民をナメきっているようです。
 こんな連中のために貴重な税金を使うなーっ!


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発行者:media
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