【くたばれ!友情論】 vol.15


●変なのとつき合っていたばかりに…

 イラクでの邦人人質事件の被害者のうち、女性の被害者だけが謙
 虚に「おわび」の言葉を述べたのは、みなさんも御存知だと思い
 ます。
 他の男性の被害者たちが、ジャーナリズムという、ともすれば政
 治色や思想性の強い動機だったのに対し、彼女の場合は、あくま
 で困った人たちを助けることが動機だったと思うのですが、そん
 な彼女だけが「おわび」したというのは、何ともあべこべな話だ
 と私は思います。

 たしかに、彼女は自衛隊派遣に反対していたそうですが、それっ
 て、マルちゃんたちに利用されてただけではないでしょうか?
 そういう変なのと繋がりがあったばかりに、自作自演と疑われる
 羽目になったのではないでしょうか?

 彼女自身は、それほど思想性の強い人物ではないと私は見ていま
 す。
 ただ、何というか、純真さにつけ込まれて、いいように利用され
 ていた可能性が極めて高いと思います。

 やっぱり、変なのとかかわりをもつと、ろくなことにはなりませ
 んね。
 でも、そんなことは、昔から言われてきたことです。
 「友を選ぶのに慎重になりすぎるということはない」と。
 彼女も、この点に関しては猛反省すべきでしょう。

 もっとも、友情論者たちは、こういう昔からの教訓をえらく嫌う
 んですよね。
 「そんなのは差別だ!」と。
 でもさー、友情って、人をわけ隔てしてつきあうことじゃん。
 だから、そういうことで「差別だ」なんて言うこと自体、おかし
 いことっすよ。
 友情を無批判に賛美する今時のオトナたちって、ほんと、自己矛
 盾に気付かないんだよね。
 アタマ悪すぎる!


●独りぼっちが死ぬよりこわい

 それにしても、なぜ彼女は、マルちゃんのようなアブナイ人たち
 とかかわりをもつようになってしまったのでしょうか?
 それは、おそらく、彼女が孤独に非常に弱い人間だからだと思い
 ます。
 そのことは、彼女自身が自著で告白しているように、十代の頃、
 ドラッグの類をやっていたことからも明らかです。
 一般に、孤独(の不安)に耐えられない人ほど、ドラッグなどの
 依存症に陥る傾向が強いものです。

 では、なぜ彼女は孤独に弱い人間になってしまったのでしょうか?
 ま、理由は一つではないでしょうが、是非とも指摘したいのが、
 友情論の影響です。
 独りぼっちが死ぬよりこわい…。
 これは、彼女に限ったことではありません。
 友情論に毒された全ての人たちに共通する心理です。
 だから、孤独にめちゃ弱い!
 誰かと一緒でないと、何かに属していないと、恐ろしくて生きて
 いけない。
 そのために変なのとかかわってしまったり、変なのの言いなりに
 なってしまったりするわけです。

 こうしてみると、友情論の有害性は明らかでしょう。


●批判に弱くなる

 友情は、人間を確実に弱くします。
 それも、孤独に対してだけではありません。
 批判に対してもです。

 関係者の話では、彼女は批判のせいでPTSDになってしまった
 そうですね。
 たしかに、バッシングは凄まじかったようですが、それにしても
 彼女は弱すぎると思います。
 一歩、外の世界に出れば、批判や誹謗中傷なんて受けて当たり前
 だと思うのですがね。
 特にネットなんかやってたら、嫌でもそうした現実を思い知らさ
 れることになると思うのですが…。
 そうした世間の荒波を経験しなかったのは、常に自分のことを理
 解してくれる仲間だけに囲まれて生きてきたからではないかと思
 います。

 友情のぬるま湯につかっていると、人間、弱くなるものです。
 最近の若い人たちに多いと言われる「わかってほしい症候群」も、
 友情論がもたらす弊害だと私は見ています。
 他人なら、わからなくて当然ではありませんか。
 第一、「わかってほしい」と思っている当の本人自身、他人のこ
 とを正確に「わかってあげている」のでしょうか?

 とにかく、こんなところからも、友情論の有害性が見えてくるで
 しょう。


●本当は不幸なのかも…

 友情の輪の中にいると、たしかに安心感が得られます。
 仲間は自分のことを理解してくれる。
 でも、それって、本当はすごく不幸なことかもしれませんよ。
 だって、自分が間違っていても、諭してくれる人がいないわけで
 すからね。

 「否、よき仲間は諭してくれる」と友情論者たちは反論するでし
 ょうが、もし仲間たちが間違っていたら、そんなものは期待でき
 ないでしょう。
 むしろ逆効果ですよね。
 そもそも、意見の合わない人たちと仲間になる・仲間でいること
 自体、困難なのが現実ではないでしょうか?

 人間は弱い生き物ですから、仲間はいた方がいい。
 しかしながら、仲間だけの世界にひきこもっているのは、やはり
 ためにならないと思います。


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発行者:media
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