【くたばれ!友情論】 vol.13


●金融業に転勤が多い理由は?

 銀行などの金融業では、転勤が多いですね。
 でも、転勤って、せっかく築いた人間関係、特に友情とかを引き
 裂くことになってしまうのではないでしょうか?
 友情が絶対的に清いものなら、なぜ、それを破壊するようなこと
 をするのでしょうか?
 金融業って、人サマのお金を扱うのが仕事なのですから、清いも
 の、正義の証しとも言えるもの、すなわち「友情」を破壊しない
 よう、転勤なんかやめさせるべきではありませんか?

 な〜んて考える人は、金融業者にはまずいないんですよねー。
 むしろ、人サマのお金を扱う仕事だからこそ、業務に清さが必要
 だからこそ、転勤させるべきだ、と考えるのです。

 なぜって?
 そりゃあ、友情のような人間関係が深まりすぎると、横領などの
 不正や犯罪が多発するようになるからですよ〜ん。

 悪事というものは、一人よりも、仲間の協力があった方が、断然
 やりやすい。
 で、人間関係が深まりすぎると、そういう協力関係が出来上がっ
 てしまう。
 その結果、不正・犯罪が多発する…というわけです。

 それに…ですね、仲間の悪事というものは、隠したり、かばった
 りするものです。
 つまり、甘くなる。
 慣れ合い体質が出来上がってしまう。
 そうなると、もう、職場は腐敗・堕落する一方です。

 これでは、信用丸潰れで、商売になりません。

 たとえ単独犯でも、職場に慣れてくると、職場のことや同僚のこ
 とがよくわかるようになり、これまた悪事がやりやすくなります。
 そういう意味でも、必要以上に親しくならない方がいいというわ
 けです。

 というわけで、友情のような人間関係を制限するようなこと、す
 なわち転勤があるわけです。
 気の毒と言えば気の毒なのですが、不正を防ぐためには、仕方あ
 りません。
 逆に、こんなところからも、友情が絶対的に清いものではないこ
 とがわかると思います。

 もっとも、金融業者は、このあたりの事情について、表だって口
 にすることはまず無いと思います。
 友情のことを悪く言ったら、自分たちの業界のイメージが悪くな
 って、客に嫌われてしまいますからね。
 特に狂信的な友情論者の多い現代日本では。
 でも、そのために、友情の悪い部分が見えてない人たちが、いい
 歳したオトナにまでいるのは、何とも情けない限りです。

 欧米では、友情のような仲間意識が不正や怠慢などの原因になり
 うる、という調査(研究)報告がされています。
 でも、「友情真理教」を「国教」とする我が日本国においては、
 そんな報告は絶対にされない(できない)ことでしょうね。
 そのために真実を知ることができないのなら、お気の毒としか言
 いようがありません。


●悪友って言うじゃありませんか

 どんなものにも、良い面があれば、必ず悪い面もあります。
 友情とか仲間意識なども、そうです。
 人間がかかわることで、絶対的に完全に清いものなんて、ありは
 しません。
 そんなもんは、作り物=理想の世界にしか存在し得ないのです。

 昔から「悪友」っていう言葉があるじゃないですか。
 悪友こそ、実は最も頼りにできる真の友だったりする場合が多い
 ものです。
 そう、友情は悪の要素が無ければ成り立たないんですよ。
 だって、人間は悪の部分をも持ち合わせている生き物でしょう。
 神様じゃないんだから。
 ですから、それから目をそらすことは、つまり清い部分しか見な
 いのは、自他の人間性を否定することです。
 それでは相手を知ることにすらならない。
 悪の部分にも目を向けねば。
 というわけで、清いことだけじゃ、友情は成り立たないことにな
 るわけです。

 これは良く言えば、お互いの醜さを隠さず、さらけ出し合い、そ
 して互いに受け入れる…ってことでもある。
 そうして初めて相手を完全に理解できるってことになるわけです。
 良く言えば…ね。

 逆に悪く言うと、友情には悪の要素が必ず付き物だ、ということ
 でもあります。
 ですから、アニメとかのように、友情を絶対的に清いものとする
 のは、全く愚かなことなのです。


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発行者:media
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