【くたばれ!友情論】 vol.10


●「相手の立場で考えろ」だって?

 前回も述べましたが、人間というものは、友だちを優遇したがる
 生き物です。
 というか、そうしないと「友だち」とはいわれないかもしれませ
 んね。
 相手を優遇するのが友情だと…。

 でも、友だちでない人間からすれば、それは決して優遇なんかで
 はありません。
 彼らの立場で考えるならば、人(彼ら)を冷遇していることにな
 ります。
 悪く言えば、贔屓です。

 誰かを優遇するということは、他の人を冷遇することになるので
 す。
 でも、友情に浸る人たちは、そうは思わない。
 相手(他の人)の立場を考えていませんね。

 それとも、友だちでない人間は相手にしなくていい、というので
 しょうか?
 だとすれば、友情なんて、特定の人間関係の殻にこもる、ただの
 「ひきこもり」にすぎませんよね。

 それとも、友だちでない者は「人間」と呼ぶに値しないものだ、
 とでもいうのでしょうか?
 もしそうなら…
 おー、こわ〜っ。

 今時の大人たちは、青少年たちに対し、盛んに「相手の立場で考
 えろ」と説教しています。
 でも、友情なんかに浸っていたら、友だち以外の相手のことなん
 か考えていられなくなるのではないでしょうか?
 全ての人のことを考えるなど、現実には不可能です。

 友情論と、「相手の立場で考えろ」という教義は、全く相容れな
 いものです。
 こんな矛盾した教義を吹き込んでいては、結局、弱い者や、自分
 の気に入らない者を無視するようになるのではないでしょうか?
 そうでなければ、自虐的になるか、頭が混乱して気が狂うか…。

 ちなみに、こんな逆の例もあります。
 ある人(他人)の前でいいカッコしたいがために、友だちを冷遇
 し、その人(他人)を優遇する、というパターンです。
 でも、これだと今度は友だちがかわいそう。
 相手(友だち)の立場になって考えろ!・・・・・な〜んてね。


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発行者:media
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