【マルクスとアインシュタイン】 vol.5


◎マルクス主義の実態(その3)

 (注)初読の方は、まず、vol.1〜4を必ず熟読して下さい。
     → http://mediax.hp.infoseek.co.jp/mm5/bn.htm

●平等と均一化

 平等主義というものは、「言うが易く行うが難し」の典型のよう
 なものです。

 たとえば、農民に農地を与えることを考えてみましょう。
 単純に数字的なことだけを考えれば、同じ広さの農地を与えれば
 平等ということになるのかもしれません。
 しかし、実際には、土壌や日当たり等の関係で、作物の実りの良
 いところもあれば悪いところもあって、平等にはならないです。
 ならば、実りの悪いところに広い農地を与えれば良いかというと、
 そうでもありません。
 その人は、より多くの農地を耕さなければならないのですから。
 このように、平等を実現することは、条件的なことを考えると、
 決して単純にはいかないのです。

 ところが、マルキストたちは、そうした条件の違いを無視するの
 で、軽々しく平等が実現できるとほざくことができるわけです。
 まさに軽薄な態度ですが、ここで気付いてほしいのは、彼らが条
 件を勝手に「均一化」してしまっていることです。
 上の例で言えば、農地の土壌や日当たり等といった条件を、どこ
 もみな同じとみなすわけです。
 これは、別の言葉で言えば、「平均化」、「平滑化」と言っても
 良いでしょう。


●均一化と物理学

 実は、「平均化」とか「平滑化」という行為は、物理学の世界で
 は頻繁に行われることなのです。
 つまり、本当は「ムラのある状態」や「まだらな状態」や「とび
 とびにしか存在しない状態」を、「均一で一様なもの」と理想化
 してしまうのです。
 なぜ、そんなことをするのかというと、そうした方が問題が「単
 純化」できて解きやすくなるからです。
 ですから、「平均化」とか「平滑化」という技法は、物理学の分
 野ではごく当たり前のように用いられるものなのです。

 たとえば、物質は原子からなっており、原子は原子核とその周り
 を回る電子とからなっていますね。
 ですから、物質は、その実体がある部分と、それ以外の隙間の部
 分とがあることになります。
 それ故、物質は不連続なものと言えますね。
 ムラだらけです。
 ですが、巨視的なスケールの物理学では、物質を連続なものとみ
 なして扱うのです。

 このように、「平均化」や「平滑化」は、物理学、さらには、多
 くの科学の分野でよく使われるものなのです。


●空想的平等主義の暴走

 そのせいか、「平均化」とか「平滑化」を行うと、それだけで見
 境なく「科学的だ!」と勘違いする人たちが結構多いのです。
 マルキストたちは、まさにそういう人たちの代表格です。

 いくら問題が単純化できて良いといっても、実際とは異なる状態
 にして問題を扱うのですから、当然、一つ間違えると全く誤った
 結論を得てしまうことにもなるのです。
 現に、微視的なスケールの物理学では、物質を連続とみなすこと
 はできません。
 ですから、物理学に限らず、どんな分野でも、「平均化」や「平
 滑化」を行う場合は慎重にやらねばならず、乱用してはいけない
 のです。

 ところが、すでに述べたように、マルキストたちは、「均一化」
 という技法を乱用するのです。
 自分たちの空想的平等主義を正当化するために。
 そして、それが「科学(的)だ」と信じているのです。

 そう言われると、かの独裁国家のことを、「平等の国」とほざい
 てこれたのも、理解できるでしょう。
 「平等」のための「均一化」は、マルキストたちの性癖なのです。

 実は、こうした「均一化」の乱用は、相対論や量子論に始まる近
 現代物理学にも見られる一大特徴の一つなのです。
 本当は不均一なものを、均一とみなして、事実とは異なる結論に
 達してしまう。
 それを解決するために、奇妙な仮説をでっちあげる。
 こうして生まれたのが、相対論や量子論に始まる近現代物理学な
 のです。
 詳しいことは、物理学の話の中でお話しします。
 いずれにせよ、こんなところからも、近現代物理学が、物理学に
 おけるマルクス主義的平等論の暴走の産物にすぎないことが、あ
 る程度想像できるのではないかと思います。


──────────────────────────────
発行者:media
──────────────────────────────

バックナンバーへ