【マルクスとアインシュタイン】 vol.4


◎マルクス主義の実態(その2)

 (注)初読の方は、まず、vol.1〜3を必ず熟読して下さい。

●統一と平等

 マルキストたちの平等論は、とってもすごいです。
 真面目な者にも、不真面目な者にも、同じ額の給料を払え!、と
 いいます。
 また、清く正しい者も、極悪非道な者も、同じ処遇にしろ!、と
 いいます。
 こんなやり方で、どうやって労働意欲や社会秩序を維持できるの
 か、不思議です。
 それはともかく、彼らの言う「平等」は、まことに皮相的で形式
 的です。
 中身(実質)が全然考慮されていない。
 これは「平等」というよりは「統一」と言うべきです。
 そう、彼らの言う「平等」とは、実は「統一」のことだったので
 す。

 「統一」は、マルキストたちが大変好む概念です。
 「統一(武装)戦線」なんて言葉、聞いたことありませんか?
 とにかく、三度の飯よりも「統一」が好きなのです。

 「統一」とは、要するに「画一化」のことです。
 こちらは、日教組の先生たちの十八番でしょう。
 メディアも画一化がお好きです。
 だから、彼らは惹かれあう…。

 もう一つ、「統一」とかかわりの深い概念が、「体系(化)」で
 す。
 これまた、マルキストたちが大変お好きな概念です。
 彼らは、「統一」によって生まれる「体系」に、言いようのない
 美を感じるのだそうです。(ただのオタクじゃねーか。)

 このように、マルキストたちは「統一」が大好きなのです。
 そして、実は、この「統一」こそ、相対論や量子論に始まる近現
 代物理学のメインテーマなのです。
 近現代物理学は、物理学がマルクス主義に汚染された結果生まれ
 た理論体系なのです。


●統一と科学

 マルキストたちも、近現代物理学を盲信する人たちも、「統一」
 が大好きです。
 ならば、なぜ、彼らはそんなに「統一」に魅せられるのでしょう
 か?
 それは、彼らが、なんでもかんでも「統一」することが科学であ
 ると信じているからです。

 これは笑うべき信仰です。
 「統一的に説明できる」ということと、「統一する」ということ
 とは、意味が違います。
 ですから、当然、「統一的に説明できる理論(を作ること)」と、
 「統一する理論(を作ること)」とは、全然、別です。
 ところが、彼らは両者の見境がつかないのです。
 このため、「統一する理論(を作ること)」を科学だと信じてい
 るのです。

 「統一的に説明できる」というのは、それ自体が持ち合わせてい
 る特徴です。
 これに対し、「統一する」というのは、人間が人為的にそうする
 ということです。
 両者を混同するとは、まったく呆れた話です。

 とにかく、彼らは「統一すること」に命を燃やします。
 「統一」に病的なまでにこだわります。
 力尽くにでも「統一」しようとします。

 でも、「統一」ばかりにこだわっていると、たとえば「相違」の
 ような「事実」を無視しなくてはならなくなったりします。
 その結果、理論が現実(の世界)からどんどん乖離していくこと
 になってしまうのです。

 また、無理やり、ある部分の「統一」を図ろうとすると、別の部
 分で統一性が失われてしまい、その結果、一貫性がまるでなくな
 ってしまうという、傍目から見ればまこと滑稽な混乱に陥ること
 もあります。

 事実、マルクス主義も、近現代物理学も、そうした混乱や現実逃
 避に陥っているのです。

 こうした実態がほとんど知られていないのは、教育者たちがそれ
 を教えようとせず、また、メディアがそれを報じないからです。
 これは見過ごせぬ欺瞞・怠慢です。
 もっとも、ひょっとしたら、ただ知らないからしないだけなのか
 も知れませんが…。


●ドイツという国

 マルクスも、アインシュタインも、ともに「統一」にとりつかれ
 た人たちです。
 この両者には、ある共通するものがあります。
 それは、二人ともドイツの出身であることです。

 実は、ドイツの近代志向の人たちには、「統一」オタクが多いの
 です。
 神聖ローマ帝国という国を御存知でしょう。
 現在のドイツの前身ともいえるこの国は、表向きは一つの国でし
 たが、実際には小さな国々の集まりに過ぎず、統一性はありませ
 んでした。
 このため、「統一」は、ドイツの政治的野心家たちの共通の夢だ
 ったのです。
 そんなわけで、ドイツの近代志向の人たちには、「統一」オタク
 が多いのです。

 ヒトラーが唱えるナチズムを受け入れたのも、それが彼らの好み
 であった「統一」思想であったからです。

 EUにも、その傾向が見られます。
 EUは、まさにヨーロッパを「統一」しようとする試みです。
 現に、先日の「日高義樹のワシントンリポート」では、シュミッ
 ト・元・西ドイツ首相が、
 「ローマやパリ、ベルリン、ハーグの政府の考え方が、以前の
  様に重要な役割を果たすことはなくなる」
 と自慢しげに語っていました。
 これは裏を返せば、より中央集権化が進むということでしょう。
 それは、すなわち、「統一」に他なりません。

 いずれにせよ、「統一」は、ドイツの近代志向の人たちの趣味に
 過ぎないのです。
 そんなものにつきあわなければならない義務など、どこにもあり
 ません。
 そんなものを、いつまでも「科学的」と信じ続ける今時のオジサ
 ン・オバサンたちの頑な態度には、ほんと参っちゃいます。


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発行者:media
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