【マルクスとアインシュタイン】 vol.3


◎マルクス主義の実態(その1)

 前回も申し上げたように、今回から、まず、マルクス主義の実態
 について述べてみたいと思います。(未読の方は、vol.1〜2を必
 ず参照して下さい。)
 といっても、その全てについて述べることは到底不可能ですし、
 このメルマガの趣旨にもそぐわないので、相対論や量子論に始ま
 る近現代物理学とかかわりのあることに限ってお話したいと思い
 ます。


●平等にならない思想

 純真(?)なマルキストたちが、マルクス主義に魅せられる最大
 の理由は、マルクス主義のことを「平等の思想」と信じているか
 らでしょう。
 しかし、現実の歴史が物語っているように、マルクス主義で平等
 な社会が築かれたためしはありません。
 これは、単に、そうした社会がマルクス主義に従っていないから
 ではありません。
 マルクス主義が、実は「平等の思想」ではないのです。
 そして、その最大の原因となるのが、皮肉にも、マルクス主義の
 柱である「計画経済」なのです。

 「計画」という以上、計画を立てる者と、それに従わなければな
 らない者とが存在することになります。
 つまり、ここに主従関係が生じてしまうのです。

 また、計画を立てる者と、労働者との間には、命令を伝える階級
 (の者)が必要です。
 そして、人口が多く、また、国土が広くなればなるほど、命令を
 伝える階級の層がどんどん多層化して厚くなっていきます。
 ちょうど「ねずみ講」のように。
 このため、結果的には完全なピラミッド社会になってしまうので
 す。
 こんなことで平等な社会になるわけがありません。

 計画というものを、全会一致で決めるなどということは、現実的
 には不可能です。
 また、あらゆる人にとって満足のいく計画など、まずありえませ
 ん。
 条件だって、実際には、みな違う。
 でも、上の決めたことには、嫌でも絶対服従しなければならない。
 これが計画経済というものなのです。

 計画経済は、計画が決まらないと、動き出せません。
 つまり、何もできないのです。
 しかし、経済活動を止めてしまうわけにはいかないので、一刻も
 早く計画を立て、なおかつ、実行に移さなければなりません。
 そういうことが一番効率よく行えるのは、独裁・専制政治でしょ
 う。
 東側の国々が、ことごとく、そういう国になってしまったのは、
 当然のことなのです。

 それに、マルクス主義には、三権分立のような、権力の集中を防
 ぐ仕組みがありません。
 となれば、独裁・専制政治になってしまって当たり前なのです。


●建前ばかりの平等論

 平等にはならないのに、平等になると売り込むのは、明らかに詐
 欺でしょう。
 同様に、平等でもないのに、平等と宣伝するのも、やはり詐欺で
 しょう。
 呆れたことに、西側のマルキスト(特に文化人)たちは、東側の
 国々のことを、平等な社会と宣伝してきたのです。
 以上のことから、マルクス主義は、「建前ばかりの平等論」と言
 えるのです。

 実は、この「建前ばかりの平等論」こそ、相対論や量子論に始ま
 る近現代物理学の一大要素なのです。
 そして、これが、近現代物理学がマルクス主義に汚染されている
 ことを示す根拠の一つと言えるものなのです。
 これについては、物理学の話の中で詳しくお話しします。
 お楽しみにしていて下さい。

 もっとも、マルクス主義と近現代物理学とに共通して見られる平
 等論的要素は、これだけではありません。
 次回も、この点について、さらなる追求をしていこうと思います。


◆ちょっと余談

 平等というものが、大変ウケのいいものであることは確かです。
 ですから、マルクス主義に見られる「建前ばかりの平等論」は、
 物理学以外の分野でも、大いにもてはやされています。
 そのよい例が「進化論」です。
 進化論は、人間を特別扱いしないという点で、生物を平等に扱っ
 ているように見えます。
 ところが、その一方で、高等・下等、弱肉強食(適者生存、自然
 淘汰)というふうに、生物に上下関係をつけようとする不平等思
 想でもあるのです。
 メディアがまき散らすイメージに騙されてはいけません。

 赤く染まった今時のオジサン・オバサンたちが、なぜ、「進化、
 進化」とはしゃぐのか?、その一因がおわかりになったのではな
 いかと思います。

 また、マルキスト(特に文化マルキスト)たちは、伝統文化をと
 ことん卑しめ、引きずりおろそうとする人たちです。
 ですから、人間を特別な地位から引きずりおろそうとする進化論
 に共鳴するのは、極めて自然なことと言えるのです。


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発行者:media
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