【マルクスとアインシュタイン】 vol.26


◎マルクス主義の実態(その24)

 (注)初読の方は、まず、vol.1〜25をお読み下さい。
     → http://mediax.hp.infoseek.co.jp/mm5/bn.htm


●視野と思考の限界について

 前回、「●視覚の限界は思考の限界」という話をしました。
 これを、図によって説明したいと思います。
 まずは、下図(図1)を見て下さい。(等幅フォントで御覧下さ
 い。)

 (図1)

   ┌───┐
   │   │
   │ ● │■
   │   │
   └───┘

 線で描かれた枠が、人間の視野の限界だと思って下さい。

 さて、今、●には、■からの作用が及んでいるとします。
 でも、■は、視野の外にあるので、この問題を考察している人に
 は、そのことがわかりません。

 そこで、スケールを変えて見てみましょう。
 より大きなスケールで見てみるわけです。
 すると、下図(図2)のように、視野が広がりますでしょう。

 (図2)

 ┌───────┐
 │       │
 │       │
 │       │
 │   ●  ■│
 │       │
 │       │
 │       │
 └───────┘

 これなら、■が視野の中に収まります。
 ■(の存在)が見えるようになる。
 このため、■の●への作用が理解できるようになるわけです。

 このように、異なるスケールで見るという、「多様スケール視」
 を実践すると、真実(実態)が見えるようになるわけです。

 では、そうではない「単一スケール視」のままなら、どうでしょ
 うか?
 ■の作用は、絶対に理解できませんね。
 では、■による作用を、どう説明すればよいのか?
 たとえば、視野の外にある■と同じ働きをするもの(◆とします)
 を視野の中に存在することにしてしまうのです。
 こんなふうに。(↓)

 (図3)

   ┌───┐
   │   │
   │ ●◆│□
   │   │
   └───┘

 ■を□に書き換えたのは、■が●に作用を及ぼしていないと考え
 る…ということを表しています。
 何しろ、見えないわけですから、存在しないのと同じなわけで、
 それで、■ではなく□と表したわけです。

 このように、「単一スケール視」では、このような、ありもしな
 いもの(◆のこと)の存在をでっち上げるようなことをするしか、
 説明の方法がないわけです。

 これ(◆)は、傍目の者から見れば、滑稽な妄想・空想の産物に
 すぎません。
 ですが、「単一スケール視」しかしない人たちは、大真面目に信
 じるものなのです。
 なぜなら、それによってしか説明のしようが無いのですから。

 そして、実は、この愚行こそ、相対論や量子論に始まる近現代物
 理学に見られるものなのです。


●視野をシフトすると…

 さて次に、こんな問題を考えてみましょう。

 (図4)

    ┌───┐
    │   │
   ▲│● ■│
    │   │
    └───┘

 今、●は、■からは作用を受けているが、▲からは作用を受けて
 いないとします。
 幸いなことに、図4の見方では、●と■が視野の中に収まってい
 ます。
 ▲は視野の外ゆえ見えないことになりますが、▲は●に作用を及
 ぼしてはいないので、見えなくてもいいわけです。

 では、視野の限界を示す枠を、下図のように(左に)シフトする
 と、どうなるでしょうか?

 (図5)

  ┌───┐
  │   │
  │▲ ●│■
  │   │
  └───┘

 これは、非常にまずいですよね。
 ■が見えないのは、まずいです。

 で、「多様スケール視」の精神で、先ほどのように、より大きな
 スケールで見れば、■が見えてきて良いのですが、そうしないと
 したら、どうなるでしょうか?

 見えるのは、●と▲だけですよね。
 すると、こんな誤解をするようになるでしょう。
 つまり、本当は■から及んでいる作用を、▲からの作用だと思い
 込んでしまう…という誤解です。
 そういう誤解に陥ってしまう怖れがあるわけです。


●視野シフトによる騙し

 実は、マルキストたちは、こうした方法を積極的に、逆手に利用
 用して、人々を騙すようなことをするのです。
 図4→5に見られるような視野のシフトは、本当の原因を隠し、
 デタラメな原因を信じ込ませるのに役立ちます。
 つまり、本当の加害者は■なのに、▲のせいにする…ということ
 が可能になるわけです。

 たとえば、●がポーランド軍の将校、▲がナチス・ドイツ、■が
 ソ連というふうに置き換えると、「カチンの森」事件になります
 でしょう。
 長い間、この事件は、ドイツのせいにされてきました。
 そして、世界にそう信じ込ませたのは、ソ連だったのです。


●現実空間と思考空間との違い

 さて、図4→5のような視野シフトによる騙しのテクニックは、
 現実空間においてよりも、思考空間においての方が、より効果的
 です。
 というのは、思考空間では、現実空間のように「距離」の概念が
 重要視されないからです。

 下図を見て下さい。

 (図6)

                     ┌───┐
                     │   │
   ▲                 │● ■│
                     │   │
                     └───┘

 この図では、▲が、■よりも、ず〜と遠くにありますよね。
 で、「視野」においては、「距離」の概念が重要になってくるは
 ずですよね。
 図6の場合、視野の大きさが図5(や4)のサイズのままなら、
 視野を左にシフトしても、●と▲両方を含むようには出来ないで
 しょう。
 なぜなら、視野の幅よりも、●と▲の間の距離の方が、大きいか
 らです。
 したがって、現実空間を相手にする限り、▲のせいにする屁理屈
 はでっち上げられないことになるわけです。

 そこへいくと、思考空間では、それが可能になるのです。
 なぜなら、「距離」という概念は重要ではないからです。
 たとえ、▲と●とが、どんなに離れていようとも、両者を思考の
 対象にすることが可能なのです。
 このため、▲を加害者にでっち上げることが可能になってくるわ
 けです。
 あえて図で示すならば、こんな感じでしょうか。

 (図7)

  ┌────────────────────┐
  │                    │
  │▲                  ●│■
  │                    │
  └────────────────────┘

 現実空間では、こんな視野は考えられないですよね。
 でも、距離が重視されない思考空間では、考えることが可能にな
 るのです。

 これは、結局、▲(と●)のことしか考えない、■のことは考え
 ない…ということですよね。
 思考空間では、こういうことが可能になってしまうのです。

 ソ連よりも狡賢い中共は、この手を使ってますね。
 ●が中国人民、▲が日本、■が中共です。
 たとえば、「中国人民が豊かになれないのは日本のせいだ」論が
 これです。

 ついでに言うと、中共は、図1→3のトリックも使っています。
 つまり、ありもしない◆の存在をでっち上げる…というものです。
 ●は中国人民、◆は日本軍、■または□が中共。
 中共の失政や粛清による犠牲(者数)まで、日本軍のせいにして
 ますでしょう。

 このように、マルキストたちは、人間の視野や思考の限界を存分
 に利用して、人々を騙していくものなのです。
 真の因果関係を隠蔽し、ウソの因果関係を信じ込ませるテクニッ
 クです。


●視野、内部、弁証法

 視野の外のものは、見えません。
 それ故、視野の限界を悟らず、なおかつ、「単一スケール視」に
 甘んじる者は、視野の中の世界しか考えません。
 それは、別の言い方をするんならば、視野という領域の「内部」
 のことしか考えない…ということです。
 ですから、あらゆる現象の原因は、その「内部」にあることにな
 るわけです。

 こうした「内部原因説」な考え方をするのが、実は、弁証法的唯
 物論なのです。
 「物質は、その内部矛盾を原動力にして、発展(運動)する」と
 いう考え方です。
 発展の原因が内部にある矛盾だ!と言っているわけです。
 まさに「内部原因説」でしょう。

 そもそも、弁証法とは、内部志向の世界なのです。
 ヘーゲルの弁証法を思い出してください。
 矛盾を自覚するのも、人間の内部での出来事でしょう。
 だからこそ、彼は、精神を根源的なものとしたのです。

 また、人間の内部で自覚されることだからこそ、矛盾するものど
 うしが同時に存在し得るのです。
 このあたりが、物質における矛盾と大きく異なるところです。
 物質における矛盾するものどうしは、同時には存在し得ません。
 同時に存在し得るのでは、矛盾にはなりません。
 このことからして、弁証法的唯物論が擬似科学思想であることが
 わかるでしょう。

 このように、全てが「内部」によって論じられるのが、弁証法の
 世界なのです。
 つまりは、閉じた世界なのです。

 ついでに言うと、マルキストたちは、「FAQ」とか「Q&A」
 が大好きです。
 これは、自分に都合のいい質問だけを用意し、それに答えること
 で、あらゆる疑問を解決した気になる、もしくは、ふりをする…
 というものです。
 そう、自分の内なる世界における「問答法」なわけです。
 相対論や量子論や進化論を盲信・狂信する人たちも、こういうの
 が大好きです。
 つまりは、マルキストということです。


●見えないから矛盾でごまかす

 一方、人間の目には、小さい方にも限界があるのでしたね。
 小さいメカニズムは、見えない。
 だから、わからない。
 そこで、「発展や運動の原動力」となるという「矛盾」という概
 念でごまかす。
 見えないほど小さい世界の内部のことは。
 そう、「内部矛盾」です。

 内部志向でありながら、内部の仕組みのことすら、ろくに説明し
 ようとしない。
 「多様スケール視」の精神で、もっと小さなスケールで見れば見
 える(→わかる)ことさえも…。

 そう、やはり、「単一スケール視」の世界なのです。
 アートの世界と同じ流儀。
 アート系人間のアインシュタインが、弁証法的唯物論に魅せられ
 ることがあったとしても、別に不思議ではないでしょう。

                     (次回に続く)

◎余談…やっぱり、蛙の子は蛙

 さて、ここからは全くの余談です。
 いつもの年なら大晦日に放送されていた、テレ朝の超常現象バト
 ルとかいう番組について…。
 ビートたけしが出てるやつです。
 去年は、なぜか、30日に放送されてましたね。

 で、不思議だったのは、多くの超常現象が懐疑的に扱われていた
 のに対し、「気功」だけはヨイショ扱いされていたことです。
 ほわ〜い?

 やっぱ、宗主国の文化だからでしょうかね?(笑)
 ま、「テレビ」とはいえ、「朝日」ですからねー。
 「新聞」と、そっくり。
 どうやっても、蛙の子は蛙のようです。

 早大の大槻名誉教授(でなかったでしたっけ?)も情けないです
 ね。
 どうして気功についてはバトルしないのでしょうね?
 ま、早大も文マルの牙城みたいな大学ですから、無理ないか。

 気功については、私も、容共派の中国ファンだった頃(そういう
 時期があったんすよ〜ん!)は、信じていましたけどね。
 でも、今は、かなり疑問視しています。

 何より疑わしいのが、気を受ける側の人間が、目をつぶっている
 (つぶらさせられている?)ことです。
 目をつぶれば、バランス感覚が弱まって、倒れやすくなるでしょ
 う。

 また、目をつぶっていると、眠くなってくる。
 意識も、もうろうとしてくる。
 すると、ますます倒れやすくなってくる。
 幻覚も見やすくなる。

 さらに、眠くなると、体が熱くなってくる。
 これは御存知ない方が結構多いかもしれませんね。
 人間、眠りに入ろうとする際、一時的に体(特に末端部分)の血
 流量が増し、体温が上がるのです。
 これは、気とは関係無く起こる現象で、珍しくも何ともない、ご
 く当たり前の現象なのです。

 というわけで、わたしゃ〜、今じゃ〜、あんまり信じてないわけ
 です。


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発行者:media
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