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           『科学』という思想信条 vol.5

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 今回は『火星の人面岩論争』(3回シリーズの予定)の第2回です。

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<インパクト?>

 マーズ・グローバル・サーベイヤーの性能の高さを宣伝すれば、人面岩人気
 を没落させることができます。
 しかし、一方では、人面岩以外の構造物の人気を高める結果となります。

 マニア以外の方にはあまり知られていませんが、人工の構造物と考えられて
 いるのは、何も『人面岩』だけではないのです。
 他にも、ピラミッドやら要塞やらが存在するのです。
 しかも、マーズ・グローバル・サーベイヤーの写真は、これらの姿をより鮮
 明に映し出してくれたのだそうです。
 したがって、この写真が人面岩を反証するほど鮮明なものだというのなら、
 この写真は同時に、人面岩以外の構造物の存在をより確かなものにすること
 になるわけです。

 人面岩を否定したがっている人たちは、そもそも、人工の構造物の存在を否
 定したかったのではないでしょうか?
 せこい宣伝も、あまり効果がないと言えます。

 幸い、多くの人たちにとっては、人面岩以外の構造物はインパクトが弱いた
 め、ほとんど話題になることはありません。
 もし彼らがそこまで計算済みでやっているのだとしたら、かなりのやり手で
 あると言えましょう。

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<心理の問題?>

 人面岩を否定するために、人間の心理の問題を持ち出す人もいます。
 つまり、『人は顔を見出しやすい』というものです。
 それによれば、『人面岩の存在を期待する人ほど、顔を見出しやすい』のだ
 そうです。

 こうした主張はある程度、納得できます。
 心霊写真のマニアたちは、一見、何でもない写真の中に『顔』を見出すのが
 得意ですね。
 上の否定論は、こういう類のものを、一気に駆逐することができます。

 しかしながら、こうした宣伝はまた、諸刃の剣になることにお気づきでしょ
 うか?
 つまり、人面岩信者たちが『顔』を見出しやすいように、火星に(大量の)
 水が存在する(あるいは存在した)ことを信じたがっている人たちは『水の
 跡』を見出しやすい、という主張もまた成り立つということです。

 思い出して欲しいのですが、マーズ・グローバル・サーベイヤー(やマーズ
 ・パスファインダー)による探査が行われる前は、火星に(大量の)水があ
 る(あった)という説は異端視されていました。
 それ以前の映像は、全て、『砂嵐説』や『溶岩流説』を裏付けるものと解釈
 されていたのです。
 それが、ここに来て覆されてしまったのですが、本当にそれはそれほど確か
 なものなのでしょうか?

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<水はどこ?>

 『火星に(大量の)水がある(あった)』という説が有力になったのは、水
 の作用と思われる地形等の映像やデータが得られたからでしょう。
 しかしながら、それらが本当に水の作用によるものだというのなら、それだ
 けの水は一体どこにあるのでしょうか?

 極地のドライアイスの下に氷があるようだといわれていますが、本当にあれ
 だけの地形を作り出せるに十分な量なのでしょうか?
 そもそも、今は氷である水が、どうやって、あのような地形を作り出せるの
 でしょうか?

 『かつてはもっと大量の水があったが、今はない』という主張もあるようで
 すが、では、それだけの水はどこへ消えてしまったのでしょうか?
 また、水が消えてしまうほどの条件の下で、一体どうやって、それだけの水
 が火星上に存在し得たのでしょうか?

 『水は彗星が衝突することによってもたらされた』という意見もあります。
 ならば、衝突跡があるはずです。
 また、そこから周囲へ水が流れ出た跡も残っているはずでしょう。
 火星の地形は、それらを合理的に説明しているのでしょうか?

 地形といえば、上流では浸食の跡が、下流では堆積の跡が、それぞれ見つか
 るはずです。
 また、一般に、水は高いところから低いところへ流れるはずです。
 地形は、こうした水の流れの方向を合理的に説明しているのでしょうか?

 一部の地域の写真(や岩石に関するデータ)だけを見て判断するのは、軽率
 なことと言わざるを得ません。

 こうした問題を考えると、いわゆる『洪水説』は、まだ十分な検証がなされ
 ていない説だと言わざるを得ないのです。

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<…のように見える?>

 上記の映像から『これは水の作用によるものだ』と判断できる人は、そう多
 くはないでしょう。
 もっとも、『その方面の専門家なら、確かな目をもっているはずだ!』とい
 う意見もあると思います。
 しかし、だとすれば、『砂嵐説』や『溶岩流説』は一体何だったのか?、と
 いう疑問が生じてくるはずです。
 ちなみに、これらの旧説を唱えていたのは、俗に言う素人科学者たちではあ
 りません。
 れっきとしたプロの科学者たちです。
 こうなってくると、専門家の目も、それほど確かなものとは言えないことが
 わかるでしょう。
 もちろん、これは彼らに対する侮辱ではなく、いかに彼らでも、こんな不十
 分なデータからは、確かな判断はできない、ということです。

 十分なデータが得られない状況では、やはり、その人たちの思想信条という
 ものが影響してくることになるのです。
 十分なデータが得られない場合、科学者たちは、不十分なデータを、自分た
 ちに有利なように解釈するわけです。
 つまり、他の可能性というものを考えないのです。
 洪水説信者たちの言う洪水跡は、ひょっとしたら、ヴェリコフスキーが想像
 したような天体のニアミスによる大災変の傷跡かもしれません。
 しかし、洪水説信者たちは、こうした他の可能性を無視するのです。
 これは必ずしも悪意があるからとは言えません。
 洪水説を信じたがっている人には、それらが『水の跡』に見えるからです。

 それはそうと、問題はそれだけではありません。
 彼らは、あることを契機に、自分たちの学説を巧みに宣伝します。

 『マーズ・グローバル・サーベイヤーは、話題の人面岩の写真を送ってき
  た。それは実に鮮明な写真で、人面岩をハッキリと否定するものであっ
  た。さて、こうした高性能の探査機のおかげで、火星の表面にはかつて
  洪水があったことを示す証拠が見つかったのである!』

 今や、何事も宣伝の時代!
 利用できるものは、何でも利用する!
 これが、現実の世界!
 そして、また、科学も決して例外ではないのです。
 こうした現実からも、科学が思想信条の世界と化していることが、多少なり
 とも実感していただけるのではないかと思います。

                           (次回に続く)

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