!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

           『科学』という思想信条 vol.46

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 当メルマガを購読していただき、ありがとうございます。
 引き続き、『ダーウィン進化論』について取り上げようと思います。
 なお、今回から購読される方は、このメルマガのvol.14〜44、及び、旧メル
 マガ『隠れオカルティズム』のvol.3〜14を、まず御覧になることをおすす
 めします。

  当メルマガのバックナンバー
   → http://mediax.hp.infoseek.co.jp/mm3/bn.htm

  旧メルマガのバックナンバー
   → http://mediax.hp.infoseek.co.jp/mm2/bn.htm

----------------------------------------------------------------------

<誤爆…ピンポイント攻撃は難しい>

 今年あったイラク戦争では、民間人に被害がでないようにピンポイント攻撃
 が行われたそうですが、実際には誤爆のせいで民間人に被害がでてしまった
 ことは、みなさんも御存知かと思います。
 それぐらい、特定のものだけを攻撃するのは難しい、ということですよね。

 医学(医療)の分野でも、同じことが言えます。
 体に害を及ぼす細菌やウィルスだけをやっつける薬があるといいのですが、
 残念ながら実際にはそんなものはまだ存在しません。
 効き目の強い薬ほど、副作用が強いものです。
 つまり、余計なところにまで作用を及ぼしてしまうのですね。
 それぐらい、特定のものだけに作用を及ぼすのは難しいということです。

----------------------------------------------------------------------

<遺伝子も同じ>

 さて、「特定のものだけに作用を及ぼすのは難しい」ということは、また、
 「特定の部分だけに作用を及ぼすのは難しい」ということにもなりますね。
 たとえば、腫瘍の部分だけに効く薬というものがあればよいのですが、残念
 ながらそういう薬は、まだ存在しません。
 必ずといっていいほど副作用があるものです。
 それぐらい、特定の部分だけに作用を及ぼすのは難しいということです。

 さて、同じことは、遺伝子に対する作用(操作)にも言えます。
 配列のある部分だけを(自分が望むように)変えたい…と思っても、なかな
 か上手くいかないものです。
 変わってほしくないところまで変わってしまう…。
 人為的な場合でさえそうなのですから、まして生理現象・自然現象となれば
 なおさらでしょう。

 となると、遺伝子が変異する時も、ある特定の部分だけが変わるということ
 は起こりにくいことになってきますね。
 つまり、遺伝子を変異させるような何らかの作用が及ぶと、ある特定の部分
 だけではなく、別の部分も変わってしまう可能性があるのです。

----------------------------------------------------------------------

<またまた類似性の危機>

 さて、より多くの部分が変わってしまうと、それだけ似てこなくなります。
 つまり、進化によって枝分かれした生物の遺伝子と、もとの生物の遺伝子と
 の間で、類似性が失われることになってしまうのです。
 ならば、遺伝子の類似性は、もはや系統樹上の繋がりを確証するものとは言
 えなくなってくるでしょう。

 以上のことから、遺伝子から進化の過程がわかるという主張は、それほど確
 かな根拠のあることではないことに気付かれると思います。
 米軍の誤爆をしつこく責め立てるような思想オタクたちに限って、自分たち
 が盲信している科学が抱える問題点には全く気付かないのですから、何とも
 おめでたい人たちです。

 それはともかく、こうしてみると、今回の話が、前回の話と関係があること
 がわかるでしょう。
 前回述べた類似性にかかわる問題を、遺伝子のレベルで、改めて提起したと
 言えます。

----------------------------------------------------------------------

<どうせ遺伝子を持ち出すのなら…>

 ここで、上で述べたことに関連する問題を、今度は漫画(?)を用いて説明
 してみることにいたしましょう。
 まず、下図のような配列を考えます。

  ■■▲●■■■●●■

 これを配列Aとします。
 さらに、次のような二種類の配列を考えます。

  ■■▲○■■■●●■

  ■■▲○■■■○○■

 上を配列B、下を配列Cとします。

 さて、ここで問題です。
 配列Bと配列Cとでは、どちらが配列Aに似ているでしょうか?

 単純に比較するのなら、配列Bですよね。
 ですから、系統樹上では、配列Bが、配列Aから(最も直接的に)変異して
 生じたもの…ということになりそうですね。

 でも、ちょっと待ってください。
 そもそも、配列Aには、どのような作用が及んだのでしょうか?

 もし、●を○に変えてしまうような作用が及んだのだとしたら、右側の二つ
 の●も○に変わるはずではないでしょうか?
 だとすれば、配列Cこそが、配列Aから(最も直接的に)変異して生じたも
 の…ということになるはずです。
 これでは、配列の類似性から導かれた先の答えと違ってしまいますね。

 もちろん、▲の隣にある●しか○に変えないような作用が及んだ…というの
 なら、最初の答え(配列B)が正しいことになります。
 つまり、「どのような作用が及んだのか?」ということによって、話が違っ
 てきてしまうのです。

 こうしてみると、配列の構造だけからは、過去の出来事を判断することはで
 きないことがわかるでしょう。
 したがって、進化の決定的な証拠にはならないのです。

 もっとも、だからといって、配列に関する研究が全く役に立たないというこ
 とでは決してありません。
 上の漫画の例でもわかるように、変異により生じた配列を仮定することによ
 り、及んだ作用がどのようなものだったのかということが予言できることに
 なります。(たとえば、上の漫画の例で言いますと、配列Bが生じたと仮定
 すれば、▲の隣の●だけを○に変える作用が及んだことが予言でき、また、
 配列Cが生じたと仮定すれば、全ての●を○に変える作用が及んだことが予
 言できることになります。)
 すると、生体内で起こったことが具体的に予言できることになります。

 ところが、こういう方向には話は滅多に進みません。
 つまり、こうしたまともな研究はほとんど行われていない、あるいは、進ん
 でいないということなのです。
 なぜでしょうか?

 一つには、こうした予言が結構難しいということがあります。
 しかし、それならば、最初に仮定した変異が本当に起こり得ることなのかど
 うかもわからないことになるはずですよね。
 したがって、そのような原因もわからないような変異は、所詮、仮説にすぎ
 ないことになるはずでしょう。

 もう一つの理由は、もっと深刻です。
 それは、具体的な予言ができてしまうと、それが本当に起こり得ることなの
 かどうか、検証可能になってしまうことです。
 検証可能になるということは、反証可能にもなるということです。
 もし、その予言が検証に耐えられないようなものだったとしたら…
 後は説明不要でしょう。

 遺伝子が進化論の正しさを証明しているなどというのは、現段階では言い過
 ぎだと言わざるを得ません。

----------------------------------------------------------------------
発行者:media
----------------------------------------------------------------------

『科学』という思想信条(バックナンバー)へ