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           『科学』という思想信条 vol.35

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 当メルマガを購読していただき、ありがとうございます。
 前回に引き続き、『ダーウィン進化論』について取り上げようと思います。
 なお、今回から購読される方は、このメルマガのvol.14〜34、及び、旧メル
 マガ『隠れオカルティズム』のvol.3〜14を、まず御覧になることをおすす
 めします。

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<『進化』という言葉(その3)>

 「進化」という誇大広告用語を用いているのは、何も企業ばかりではありま
 せん。
 実は、『進化』という概念は『予言』という概念と深い関連があるのです。
 今回は、『経済』を題材に、そのあたりのことについて見ていくことにしま
 す。

 なお、このシリーズは3回の予定でしたが、都合により、次回もこのテーマ
 でお送りさせていただきます。
 どうか御了承願います。

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<予言に求められるものとは?>

 予言とは、未来について述べることですよね。
 では、なぜ、予言などするのでしょうか?
 なぜ、予言が求められるのでしょうか?
 それは、未来に起こる変化を知りたいと思う人たちがいるからでしょう。
 もし変化というものが起こらないのであれば、予言なんか必要ないものです
 よね。

 では、どのような予言が重要視されるのでしょうか?
 それは、やはり、みんなが「あっ!」と驚くような変化が起こることを予言
 するものでしょう。
 ありきたりの変化や、誰もが予測できるような変化を予言しても、世間から
 は相手にしてもらえません。
 やはり、インパクトの強いものでないと…。

 以上はどちらかというと予言を求める側にある理由ですが、実は予言する側
 にも理由があります。
 それは、大胆な予言の方が、他人に真似されないからです。
 つまり、「これは私だけが(私だから)予言できたことなのだ!」と訴える
 ことが出来るからなのです。
 予言者たちは、自らの理屈に基づいて、予言します。
 しかし、ありきたりの変化では、たとえ当たったとしても、別の原因による
 ものとされてしまう危険性があります。
 これでは、自分の宣伝にはなりません。
 そこで、他人(他の説)には真似できないような予言、すなわち、思いもよ
 らないような変化が起こるという予言をするわけです。

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<予言を信用させるには?>

 とはいえ、『思いもよらない変化』とは、『そうそう起こりそうもない大変
 化』ということですよね。
 そんなすごい変化が本当に起こるのでしょうか?
 このままでは、予言はすんなりとは信じてもらえません。
 やはり、それが「本当に起こる!」と信じ込ませる必要があります。

 そこで大いに役立つのが『進化』という概念というわけです。
 起こりそうもない、または、起こるかどうかわからないことを、「絶対に起
 こる・起こった!」と言い張るのが、進化論。
 ならば、予言についても『進化』と売り込めば、「絶対に起こる」と信じ込
 ませることが出来る、というわけです。
 つまり、生物に信じられないような変化(=進化)が起こったように、自分
 たちの説が予言する変化も起こるのだ、と説いて信用させようとするわけで
 す。
 実際、この種の予言者たちは、「進化」というセリフをよく口にするもので
 す。

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<進化と予言>

 こうしてみると、なぜ、『進化』という言葉がもてはやされるのかが、おわ
 かりいただけるでしょう。
 経済学者や経済評論家は、経済の未来について予言をするものです。
 もちろん、それは、超自然的なものによるのではなく、彼らの『学説』によ
 ってなされます。

 で、問題なのが、彼らが予言の根拠としている『学説』!
 現実世界では役に立たないものが少なくありません。
 このため、とかく実業の世界の人たちからは無視されがち。
 そこで、何とかして、自分たちの学説を売り込もうとするわけです。
 予言という具体的な形で…。
 でも、予言というものは、なかなか信じてもらえない。
 そこで、自分たちの学説が予言する変化を、生物の進化になぞらえることで
 それを信じ込ませようとするわけです。
 こうして、自分たちの学説の価値や有用性を世間に知らしめようとするわけ
 ですね。

 まあ、確かに、彼らの学説が正しければ、予言は当たるでしょう。
 では、実態はどうなのでしょうか?

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<当たらないということは…>

 残念ながら、これが面白いほどハズレちゃうのですよね。
 ためしに古本屋にでも行って、10年ぐらい前(数年前でもいいかも…)に
 書かれた経済予言(予測)の著書とかを御覧になって下さい。
 ノストラダムスの大予言なんか、かすんでしまうほど笑えますから…。

 経済に関する予言は、ハズレるのがちっとも珍しくありません。
 だから、ハズレても、今更、誰も文句は言いません。
 おかげで、予言者たちも批判されることはなく、失脚させられることもない
 のです。
 つまり、最初から信用されてないわけですね。

 それでも、この種の本は、次から次へと出版されています。
 やはり買う人がいるのでしょう。
 ハズレるとわかっていても、不安から、つい買ってしまう…。
 何度騙されても、「今度こそは…」と懲りずに買ってしまう…。
 このあたりは、占いオタクたちの心理と同じでしょう。

 それはともかく、なぜ、予言がハズレるのでしょうか?
 学説が正しければ、予言は当たるはずなのに…。
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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<進化と日本経済>

 「進化」という言葉を用いると、起こりそうもないことや、起こるかどうか
 わからないことを、「必ず起こる」と信じ込ませることが、おもしろいほど
 可能になります。
 まあ、悪用するのはまずいことですが、うまく用いれば、落ち込んだ人たち
 を元気づけたりすることが可能になってきます。(ウソも方便?)

 で、今、そういうものを最も求めているのは、「進化、進化」と熱狂・陶酔
 している当の日本人ではないでしょうか?
 何しろ、戦後唯一の誇りであった経済が、バブルとともに崩壊し、失われた
 10年が、20年にも、30年にもなりそうな雰囲気…。
 やはり、大きな流れの変化を期待してしまいますよね。

 ということは、近年の異常な『進化論ブーム』は、日本人が自らを元気づけ
 るためにやってることなのでしょうか?
 『豚に羽が生える』ように、どん底に落ちた日本経済もいつか必ず羽ばたく
 日がやってくると…。

 でも、残念ながら、豚はいつまでたっても羽ばたこうとしません。
 それどころか、滑空するために木にのぼろうとさえしません。

 まあ、進化論には『自然淘汰』という概念もあるのですけれどね。

 「進化、進化」という力説が、「神よ!、神よ!」という叫びに聞えてきて
 しまってならないのですが…。(→vol.33)
                          (次回に続く…)

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発行者   : media
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