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           『科学』という思想信条 vol.34

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 当メルマガを購読していただき、ありがとうございます。
 前回に引き続き、『ダーウィン進化論』について取り上げようと思います。
 なお、今回から購読される方は、このメルマガのvol.14〜33、及び、旧メル
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 めします。

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≪前回の訂正とお詫び≫

 前回、『「進化」って、どういう意味の言葉?』という見出しがありました
 が、これは『語感が重要』の誤りです。
 遅ればせながら、訂正の上、お詫び申し上げます。

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<『進化』という言葉(その2)>

 前回は、語感という観点から『進化』という言葉の魅力を探ってみました。
 今回は、意味の面から『進化』という言葉の魅力を探っていくことにしまし
 ょう。

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<「進化」って、どういう意味の言葉?>

 進化は、変化の一種と言えます。
 では、どういう変化を指すのでしょう?
 『進』という漢字が使われているために、下等→高等、単純→複雑、といっ
 た変化をイメージされる方が少なくないのではないでしょうか?
 そこで、原語すなわち英語での意味を調べてみることにしましょう。

 進化は英語では evolution と言います。
 この言葉を辞書で調べてみますと、『進化』以外にも、いろんな意味がある
 ことがわかります。
 たとえば、『発展』、『進展』というのがあります。
 まあ、これらは、まだ、上記のイメージに近いですね。
 ところが、『展開』となると、少し意味がずれてきます。
 まして、『旋回』、『(ガスなどの)発生・放出』となれば、かなり離れて
 しまうでしょう。

 evolution という英単語は、進化論が登場する以前からあった言葉でしょう
 から、これらの意味の存在は見過ごせません。
 『進化』というのは、evolution という英単語がもつ意味の一つにすぎない
 のです。

 evolution という英単語は、本来、『下等・高等、単純・複雑』といったこ
 とよりも、動きや変化が起こるということに重点が置かれた言葉です。
 それも、流れや次元といったものが、それまでとは大きく異なる方へ変わっ
 ていく…、といった感じです。
 だとすれば、『旋回』とか『(ガスなどの)発生・放出』といった意味も理
 解できますよね。
 もちろん、『発展』、『進展』、『展開』なども理解できます。
 ダーウィン進化論における進化も、そういうものですよね。(分岐とか…)

 つまり、evolution という英単語は、緩やかな変化や、日常的な変化、あり
 きたりの変化などには使わない言葉なのです。
 ですから、当たり前の変化に用いる言葉ではありません。
 これは逆に言えば、変化して当たり前のことには使わない、ということでも
 あります。

 こうしてみると、上記のイメージとは、かなりズレてますよね。
 というか、『進化』が evolution の日本語訳ならば、上記のイメージの方
 がおかしい、ということになるのです。

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<進化とモデルチェンジ>

 『進化』という言葉の本来の意味を考えるならば、なんでもいたずらに「進
 化、進化」とほざくのは、『誇大広告』ということになります。
 変化しそうもないことや、あまり変化しないことが、予想もしない大きな変
 化をとげるから、進化という言い方をする意義があるのです。
 変化するのが当たり前のことに、『進化』なんて言葉を使うのは、大げさな
 はったり、法螺ふきにすぎません。

 そういえば、最近、メディアの世界、宣伝・広告の世界を見ると、『進化』
 という言葉が溢れていますね。
 メーカーなど、新製品を売り出す度に、「進化、進化」と宣伝しています。
 新製品が、それまでの製品と違っているのは当たり前なのですから、そんな
 ところに『進化』なんて言葉を用いるのは、ふざけた話だと思います。
 しかも、こういう言葉を用いるメーカーの商品に限って、そのモデルチェン
 ジの実態は、メーカーの自己満足的なマイナーチェンジにすぎなかったりし
 ます。
 中には、側や型番を変えただけの、実質、値上げ…なんてのもあります。
 まあ、これが実態といったところでしょう。

 それにしても、『進化』などという誇大広告用語を用いることによって、企
 業はどれだけ売り上げを伸ばすことができたのでしょうか?

 もし効果がないのなら、やめた方がいいと思いますよ。

  男A:「この程度のことが進化だって?」 φ(~o~)?

  男B:「そう。つまり、この程度の会社ってことさ。」 ┐(~_~)┌

 そう囁かれだしたら、どうします?

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<欧米人は?>

 ところで、欧米人たちも、現代日本人のように、evolution という言葉を多
 用するのでしょうか?
 たとえそうであったとしても、『進化』の意味で使っているとはかぎりませ
 んよ。
 上で述べたように、『進化』以外にも、いろんな意味があるのですから…。

 で、ここで一つ、疑惑が浮上してきます。
 それは、欧米人たちが『進化』以外の意味で用いたセリフを、日本の有識者
 たちが、馬鹿の一つ覚えで『進化』と訳してしまっていることがあるのでは
 ないのか?、という疑惑です。
 何しろ、最近、「進化」という言葉が溢れていますし…。

 もし、そうなら、これは迷訳ですよね。
 まして、上で述べたようなイメージのズレを考えると、完全な誤訳です。
 『諸世紀』(→ノストラダムス)という訳のことも、あまり笑えない…と思
 うのですが、どうでしょう?

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<何でも進化!?>

 言葉というものは、意味が変わっていくものです。
 ですから、あまりカタイことは言うべきではないのかもしれません。
 しかし、そうなってくると、どんなことでも「進化」と呼べるようになって
 くるでしょうね。

 モラルの喪失も「進化」。
 援交、飲酒、喫煙の低年齢化も「進化」。
 家庭崩壊、学級崩壊も「進化」。
 リストラも「進化」。(自然淘汰ってか?)
 国民の負担増も「進化」。
 某有料TV局の俗ウケ志向も「進化」。
 報道の偏向・アオリ・ヤラセも「進化」。
 科学の現実逃避・思想オタク化も「進化」。
 …
 いやあ、いいですなあ。
 はたして、この国はどうなっていくのでしょう?

 どうも「進化」という言葉の意味が、わけのわからないものになりつつある
 ように思えてなりません。
 そういえば、ある怪獣特撮もののソフトの宣伝文句に「思い出が進化する」
 なんてのがありました。
 これって、どういう意味?
 まあ、生物が異常な進化を遂げなければ、怪獣なんてものは誕生し得ないこ
 とは確かでしょうけど…。
 言語明瞭、意味不明?

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<おまけ ─ 似たような言葉>

 ところで、evolution と似たような言葉に revolution があります。
 こちらは、『循環』、『回転』…といった意味の他に、『革命』という意味
 があります。

 うわ〜あ、なんだか、若い頃、『デモ隊』とか『火炎瓶』とかやってたオジ
 サン・オバサンたちが、いかにも喜びそうな言葉ですね。
 ひょっとしたら、混同しているのかもしれませんよ。
 それに、evolution と revolution の区別なんて、実際にはかなり曖昧で、
 相対的なものにすぎないのですから…。

 やはり、科学がウケるためには、言葉が決め手になるのです。

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発行者   : media
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