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           『科学』という思想信条 vol.12

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 当メルマガを購読していただき、ありがとうございます。
 前回は、『理屈屋』についてふれました。
 理屈屋は、何でも自分たちの思想信条に都合のいいように解釈してしまいま
 す。
 と同時に、彼らは、宣伝の天才です。
 その優れた話術や文才によって、多くの人たちを丸め込んでしまうのです。
 そして、そんな彼らをのさばらせる新たな圧力団体が、近代以降、急成長を
 遂げました。
 それが、マスコミ=メディアなのです。
 今回は、メディアの科学に対する影響力について述べようと思います。

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<メディアという圧力団体>

 メディアの影響力の大きさについては、今さら説明するまでもないと思いま
 す。
 ですが、一体、どれだけの人が、それを意識しているでしょうか?
 ここが問題なのです。

 科学にとっても、メディアの影響力は無視できません。
 まず第一に、メディアは、口先や筆先の達者な理屈屋たちにとって、最高の
 活躍の場になるのです。
 口が重いとか、文章を書くのが苦手な人間など、メディアにとっては、お呼
 びではないのです。

 第二に、メディアは、自分や、自分の学説を、広く社会に宣伝する格好の場
 であることです。
 メディアで活躍の場を与えられた学者は、非常に優位な立場に立つことにな
 ります。

 もっとも、こういう話をすると、
 「一般の人相手に宣伝しても、学界では認められないのではないか?」
 と反論する方がいらっしゃるかもしれませが、現実は決してそうではないの
 です。

 前回もお話ししたように、学者は自活できる人たちではないのです。
 一般の世間から、税金や寄付金のような形で、お金(予算)を得て研究・生
 活しているのです。
 ですから、一般の人たちの支持率は社会的な圧力となり、ゆくゆくは、学界
 における自分の権威・権力につながってくるのです。

 そればかりではありません。
 学問に強い関心を抱く青少年たちへの影響力も無視できません。
 彼らは、たとえ学力優秀であっても、学問においては、まだ素人にすぎませ
 ん。
 ですから、そういう時期こそ、自分たちの学説を吹き込む絶好のチャンスな
 のです。
 彼らは、将来、自分たちにとって、強力なシンパになってくれることでしょ
 う。
 特に、彼らが学者になってくれた時は、先鋭の新戦力となってくれるはずで
 す。

 こうなると、やはり、学者にとって、メディアは決して無視できない存在で
 あることが、おわかりいただけると思います。
 学者にとって、メディアは、中世のカトリック教会並の圧力団体なのです。

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<公平、中立、…>

 学問に限ったことではないのかもしれませんが、メディアに関して一番問題
 になるのが、『公平』とか『中立』の精神です。
 メディアは、これらをウリにしていますが、現実はどうでしょうか?

 全く同じ問題が、実は学問、科学についての報道にも言えるのです。
 メディアは、科学の専門家ではありません。
 その情報は、科学についての情報を提供してくれる科学者を通じて行われる
 のです。
 したがって、たとえメディアに悪意や偏見がなくても、情報が偏ることはい
 くらでもあるのです。

 上で述べたように、全ての学者が、メディアに対して発言できるわけではな
 いのです。
 メディアに『選ばれし者』だけが、発言可能なのです。
 したがって、そういう学者たちの意見だけが、『科学的事実』として報道さ
 れてしまうことになるのです。
 ですから、決して「偏りがない」とは言い切れないのです。

 実際、ろくに検証されていない学説が、メディアで高く取り上げられ、定説
 となってしまうことが、しばしばあります。
 メディアにしてみれば、最新の学説を支援しているつもりでしょうが、彼ら
 が知ることのできる学説だけが学説なのではない、という事実をもっと悟る
 べきです。

 ある学説を高く取り上げるということは、他の学説を卑しめたり、反対意見
 を封じ込めるということです。
 彼らには、そうした加害者意識が無いのでしょうか?

 このように、メディアの干渉は、科学にとって極めて重大な問題なのです。

 そして、こうした事情を知れば、なぜ、このメルマガが、メディアに対して
 『天の邪鬼』的な態度をとるのかも、御理解いただけるのではないかと思い
 ます。

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発行者   : media
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