052-01
次に、『潜熱』の上昇気流へのかかわりについて。潜熱は、上昇気
流の『発生』の原因にはなり得ず、せいぜい、上昇気流の『強化』
の原因の『候補』ぐらいにしかなり得ない。

052-02
なぜなら、潜熱は、空気(大気)が冷やされることにより、それに含
まれていた水蒸気が水や氷になる際に放出される熱だからである。
空気が冷やされるためには、上昇か寒気等が必要だ。

052-03
というわけで、潜熱は上昇気流の『発生』の原因にはなり得ないの
である。一方、潜熱は、上昇している空気(大気)の温度を上げよう
とするので、空気を膨張させようとすることになる。

052-04
空気は膨張すると軽くなるので、さらなる上昇が期待できる…とい
うのが『潜熱=上昇気流強化』論の言い分である。だが、温度が上
がると、『水蒸気→水・氷』という変化は止まってしまうはずだ。

052-05
そうなれば、潜熱の放出→温度の上昇→空気の膨張→空気の軽量化
は止まってしまい、空気の上昇の加速も止まってしまう。一方、空
気の温度が上がれば、飽和水蒸気量が増加する。

052-06
そうなれば、『水・氷→水蒸気』という逆の変化が起き、空気の熱
喪失→温度低下→収縮→重量化→下降という、教科書の教義とは正
反対の現象が起きてしまうことになる。

052-07
こうしてみると、潜熱がどれだけ上昇気流を強化できるのか、怪し
くなってくるはずだ。それに、『潜熱=上昇気流強化』論には、前
述の『高海水温=上昇気流発生原因』論と同じ問題点がある。

052-08
それは「空気(大気)の温度が高くなれば、膨張して軽くなるのだか
ら、空気を上昇させようとする力が必ず働く」と決め付けているこ
とである。

052-09
もう何度も言っているように、軽い空気は、重い(軽くない)空気が
存在することで、上昇させられる力を受けるのである。しかも、重
い空気と入れ替われるようになっていなければならない。

052-10
軽い空気が下から次々と上昇してくるところに、重い空気は入り込
めない。ならば、空気を上昇させようとする力が働くことはなく、
故に、上昇気流が強化されることはないことになる。

052-11
さらに、潜熱が高空の温度を上げてしまうことも問題である。なぜ
なら、地表(海面)との温度差(→空気の重さの差)が小さくなってし
まうため、上昇気流が弱まってしまうからだ。

052-12
特に赤道無風帯の場合、上昇気流が恒常的に発生していることにな
っているのであるから、高空は相当高温化していることになるはず
である。

052-13
さらに、「専門家」たちがよくネタにする「海水温が高いと、(上
昇する)空気中に含まれる水蒸気量が多くなる」ということを考え
ると、高空の高温化の問題はさらに深刻化することになる。

052-14
なぜなら、赤道無風帯は海水温が高く、また、(上昇する)空気中に
含まれる水蒸気量が増えれば、水や氷になる分が増え、放出される
潜熱が多くなるからである。

052-15
こうしてみると、潜熱は、それ単独では、上昇気流(→熱帯低気圧)
強化に貢献しないことに気付くだろう。実は、潜熱が上昇気流強化
に貢献するのは、寒気と出合った場合なのである。

052-16
要するに、寒気無しでは強い上昇気流(→熱帯低気圧→台風)は絶対
に説明できないのである。なのに、「専門家」どもは寒気の関与を
無視する。それは、潜熱が高海水温と結び付けられるからだ。

052-17
つまり、地球温暖化進行→海水温上昇→空気中の水蒸気量増加→潜
熱放出量増大→上昇気流強化→台風強大化ということにしたいわけ
である。

052-18
だが、既に指摘したように、寒気無しでは、四つ目の矢印も、三つ
目の矢印も、成り立たないのである。このように潜熱を誤用・乱用
したガラクタ理論が、「水蒸気のエネルギー」論なのである。

052-19
日本の「専門家」どもの間で盲信されている『(前線や低気圧への)
湿った空気(の流れ込み)が(前線や低気圧を活発化させ)強風を吹か
せる原因である』論も、これと同種のガラクタ理論である。

052-20
こうした『潜熱』を誤用・乱用(あるいは悪用)したジャンク科学を
斬るには、フェーン現象の発生メカニズムの話をするのが一番であ
る。なぜなら、フェーン現象の高温は、潜熱によるものだからだ。

052-21
なぜ山を越えるだけで空気は高温化(高エネルギー化)するのか?
それは、山を越えようとする際に、空気中に含まれる水蒸気が雲な
どに変化して潜熱を放出するからだ。

052-22
さらに、ここで注目しなければならないのは、その『潜熱』のせい
で高温化した空気が『上昇』せず、逆に、山を下ってくる(吹き降
ろしてくる)ことである。

052-23
これは、「空気は高温化すれば(寒気無しでも)上昇する」という教
義が真っ赤な嘘であることを証明する決定的証拠である。さらに、
『潜熱=上昇気流強化』論を反証する証拠でもある。

052-24
従って、『水蒸気のエネルギー』論や『湿った空気が強風の原因で
ある』論や『地球温暖化のせいで台風が強大化する』論を反証する
証拠にもなるわけである。

052-25
そういえば、最近、「専門家」どもは、フェーン現象の説明をする
時に、潜熱が関与していることについて触れたがらない。確信犯な
のか? それとも単なる無知・無学なのか?

052-26
ところで、話は少々それるが、冬の季節風が山にぶつかった場合は
どうなるのか? 実はこの場合もフェーン現象が起きるのだが、そ
れよりも、風が洋上に抜けてからのことの方が興味深い。

052-27
冬の季節風は、もともと非常に冷たいため、フェーン現象が起きて
も日本列島にとっては寒さをもたらす風にしかならない。注目すべ
きは、この乾燥した寒風が太平洋上に抜けるとどうなるかだ。

052-28
実は、雲(主にすじ状)が発生することが多いのである。つまり、フ
ェーン現象が起きて、お肌を乾燥肌にしまうほど乾いてしまった冷
たい空気が、なんと、雲を発生・発達させてしまうのだ。

052-29
こうしてみると、上昇気流の発生・強化だけでなく、雲の発生・発
達についても、『高温』と『湿り』を原理とする「専門家」どもの
説明がニセ科学であることがわかるだろう。

052-30
日本海側に大雪を降らせる「すじ状の雲」は、大陸から日本海上に
流れ込む寒気により発生・発達するのだが、この寒気は大陸産なの
だから、これまた乾いた寒気なのである。

052-31
潜熱に話を戻そう。もし潜熱が空気の上昇を勢いづけるのなら、山
を越えた空気は、山を下るはずがなく、故に、糸魚川市の大規模延
焼火災を引き起こすこともなかったはずである。

052-32
潜熱は、寒気とのコンビネーションが無ければ、上昇気流への寄与
・貢献は無い。潜熱がもたらす影響で、むしろ重要なのは、「温暖
化」すなわち気温の上昇である。

052-33
南よりの風が山を越えることによって起こるフェーン現象による気
温の上昇は、その例として、よく知られている。だが、潜熱による
「温暖化」の例は、それだけではないのだ。

052-34
たとえば、南方(低緯度)からの気流の上部が、寒気により冷やされ
たら、どうなるか? すると、気流の上部で、水蒸気が飽和して雲
となり、潜熱が放出されるだろう。

052-35
そして、発生した雲には正真正銘の(しかも強力な)温室効果がある
ので、この南方(低緯度)からの気流(をなす空気)からの放射冷却が
妨げられることになる。

052-36
こうした気流に見舞われた地域では「温暖化」が起こる。しかも、
この気流は「湿った空気」の流れでもあるので、「専門家」どもは
ますます「高海水温が原因だ!」と思い込みを強めるわけである。

052-37
寒気の分布のしかたは、「専門家」どもが思っているよりも遥かに
複雑で、三次元的である。どうも彼らは、気圧配置図などのせいで
『二次元』志向に陥っているように思えてならない。

052-38
実際、彼らの話(説明)には、「寒気は、寒冷前線の西側の狭いエリ
アや、北極海を中心とするエリアにしか存在しない」とする教義を
絶対の前提とした話が非常に多い。

052-39
寒気の分布のしかたの複雑さについては、別の項で改めて詳説した
い。とにかく、ここで重要なのは、潜熱が上昇気流に貢献するため
には、高海水温の場合と同じく、寒気が必要であるということだ。

052-40
従って、潜熱が上昇気流に貢献することができるようになるために
は、寒気が流れ込んでくるか、もしくは、寒気が存在するところへ
(潜熱により高温となった大気が)移動する必要があるわけである。

052-41
そこで気付いてほしいことがある。それは、台風が北上する(高緯
度へ移動する)ことである。つまり、(台風にとっては)寒気(となる
大気)が存在するところへ移動するのである。 

052-42
この移動により、上昇気流の真の原因である(重さの差の原因とな
る)温度差が確保され、勢力が維持されたり、場合によっては強ま
ることさえあるのである。

052-43
この(高緯度への)移動がなければ、(潜熱のせいで)上も下も高温だ
らけとなり、温度差が小さくなって、上昇気流の勢いは(寒気の盛
んな流れ込みがない限り)むしろ弱まってしまうのだ。

052-44
高緯度へ移動して少々の寒気や低海水温に遭遇しても、『水蒸気→
水・氷』という変化による潜熱の放出があれば、高温→温度差→上
昇気流が維持される。これが、潜熱の貢献の真相である。

052-45
このように、北上(高緯度への移動)あっての「潜熱」効果なわけで
あるが、呆れたことに、教科書は、この極めて重要な点について触
れていないのである。

052-46
ならば、高緯度ほど温暖化が進んでしまうと潜熱が上昇気流(→台
風)の強化に貢献できなくなってしまうことが理解できない「専門
家」が増えてしまうのも無理も無いことであろう。

052-47
そもそも、高緯度や高高度が温暖化してしまっては、水蒸気(気体)
が雲になりにくくなり、故に、潜熱が放出されにくくなってしまう
のであるから、全くお話にならない。

052-48
潜熱が上昇気流(→熱帯低気圧→台風)の強化に貢献できるのは、そ
れが放出される場合であり、なおかつ、それが温度差を維持または
拡大することになる場合だけである。

052-49
高温(暖気や高海水温)は、そのような状況をもたらさない。そのよ
うな状況をもたらし得るのは、低温すなわち寒気だけである。つま
り、どうやっても寒気抜きでは潜熱論は成り立たないのだ。

052-50
「寒気が無くても潜熱論は成り立つ」と錯覚するのは、台風が北上
(高緯度へ移動)するからなのだが、ここで新たな不思議が生じてく
る。それは「なぜ台風は北上するのか?」という不思議だ。

052-51
もし高温が台風発生・発達の原因なら、台風は(低温である)高緯度
へわざわざ移動したりせずに、(高温である)低緯度エリアで停滞ま
たは迷走し続けていても良さそうなものである。

052-52
だが、実際には、そうはならない。高温の気団は、低緯度では、温
度差(→重さの差)に恵まれないので、運動が生じにくい。対して、
高緯度では、温度差に恵まれるので、運動が生じる。

052-53
そこでは、高温の気団は、高緯度に存在する低温の大気の上に上が
っていこうとする。それ故、高緯度へ移動していこうとすることに
なる。

052-54
一方、高緯度に存在する低温の大気は、高温の気団の下に潜り込も
うとする。こうして、大気の位置(緯度)の入れ替わりが起きる状況
になる。

052-55
さらに、高温の気団の下に潜り込んだ低温の大気が、そのすぐ下に
存在する高温の海水によりあたためられ上昇すれば、高温の気団は
さらに高緯度へ押し出されていくことになる。

052-56
このように、高温の気団の高緯度側では、温度差により大気の運動
が生じるので、台風は北上(高緯度へ移動)するのである。つまり、
温度差は、台風が北上する原因でもあるのだ。

052-57
そして、この温度差を生み出すのは、低緯度生まれの高温の気団か
ら見れば寒気となる高緯度(ゆえに低温)の大気である。困ったこと
に、教科書は、このことについても触れていない。

052-58
それどころか、「台風がなぜ北上するのか?」に触れることすらし
ていない。教科書の執筆者たちは、よほど『温度差』がお嫌いのよ
うだ。もしかしたら、悪平等主義者たちなのではないか?

052-59
『温度差』を原因と認めることを拒否するのは、彼らが熱帯低気圧
を温帯低気圧とは全くの別物とする教義の狂信者であることも、そ
の理由の一つである。

052-60
もし熱帯低気圧を発生・発達させる原因が(暖気と寒気の)温度差で
あるとなると、もはや温帯低気圧と区別する意義が(ほとんど)無く
なってしまう。

052-61
また、熱帯低気圧(台風)に前線を書き添えないのは、重大な手抜き
であることになる。実は、ここに、ある重大な欺瞞が隠されている
のである。それは『暖気・寒気の基準』という大問題である。

052-62
気象屋たちは「暖気や寒気の分類は、相対的なものだ」と説明して
いる。だが、実際には、温帯での(その時期の平均)気温を基準にし
た分類をしているのである。

052-63
それ故、熱帯などの低緯度にとっては寒気となる大気でも、温帯に
とっては寒気とは言えない程度の大気は、寒気とはみなされないこ
とになってしまうのである。

052-64
このため、本当は存在する寒気が存在しないことにされてしまい、
それによって生じる温度差も存在しないことにされてしまうのだ。
これでは、前線を描けるわけがない。

052-65
なぜなら、前線(面)は、暖気と寒気の両方が存在し、なおかつ、両
者が接するような形、すなわち、温度差が生じる形で存在しなけれ
ば生じないものだからだ。

052-66
このように、彼らは、言葉の定義がいい加減なために、寒気と温度
差の存在に気付かず、また、それ故に、寒気と温度差が熱帯低気圧
の発生・発達の原因であることが理解出来ないでいるのである。

052-67
ちなみに、寒気・暖気の分類の基準が温帯での温度なのは、気象学
を仕切っている国々が温帯の国々だからだ。自分たちのいる所を中
心にするのは、天動説や地球円盤説と根が同じ思想である。

052-68
ところで、熱帯低気圧の発生・発達の真の原因である温度差を生み
出す原因である寒気を見えなくするものが、もう一つある。実は、
それが、ここでのテーマにもなっている『潜熱』なのである。

052-69
既に前にも説明したように、潜熱の放出は、それが無い場合に比べ
て、大気の温度を高くする。それ故、暖気と寒気の両方を含むエリ
アの気温が温暖化したように観測されてしまうのだ。

052-70
加えて、潜熱が放出される時は、雲が発生・発達する。雲には温室
効果があるので、地表からは、寒気を観測することはもちろん、そ
の存在を想像することすら困難になる。

052-71
一方、潜熱による輻射の一部は(発生・発達した雲の上部から)宇宙
へと放出されることになる。だが、これは、宇宙からの寒気の観測
の障害となる。

052-72
宇宙からの温度の観測は、宇宙に放出される輻射のデータを利用し
て行われる。それ故、潜熱の輻射はノイズとなり、寒気の観測を阻
害してしまうのだ。

052-73
輻射のデータを利用した温度測定は、たとえば溶鉱炉内の鉄の温度
測定に用いられるが、その際、鉄と観測装置の間に存在する空気の
温度は鉄の温度よりもずっと低温であることに気付いてほしい。

052-74
つまり、この観測方法で観測されるのは、(最も)高温のもの(この
場合は溶鉱炉内の鉄)の温度であって、低温のもの(間に存在する空
気)の温度は観測できないのである。

052-75
以上のような理由で、宇宙からの観測で寒気を正確に観測・把握す
ることは無理なのである。寒気の正確な観測・把握には、やはり、
ラジオゾンデ等による直接観測が必要なのだ。

052-76
このように、潜熱の放出がある場合には、地上からも宇宙からも寒
気を観測することは困難になるのである。加えて、熱帯に流れ込む
寒気の場合は、既に説明したように、寒気の定義の問題がある。

052-77
つまり、たとえ観測が可能でも、温帯基準の寒気定義なので、寒気
が存在するとは認識しないのである。以上が『熱帯への寒気の流れ
込み』という事実が認められていない理由である。

052-78
熱帯(低緯度)への寒気の流れ込みは、実際には常時起きている出来
事である。だからこそ、極地(高緯度)との間に大気の大循環が生じ
ているのであり、貿易風や偏西風などが吹いているのである。

052-79
これらの出来事はあまりにも日常的ゆえに平凡な出来事であるため
に世間の関心をひかないが、本当は『熱帯への寒気の流れ込み方の
影響』という極めて重要な問題を含んでいるのである。

052-80
もし熱帯への寒気の流れ込みが、経度によらず一様・均一で、なお
かつ、変動しないのであれば、大気の大循環の各風帯は、教科書に
載っているような『緯線に平行なもの』になる。

052-81
だが、もし熱帯への寒気の流れ込みが経度により一様・均一でない
場合は、大気の大循環の各風帯は蛇行することになる。当然、偏西
風(ジェット気流)も蛇行することになる。

052-82
さらに、熱帯への寒気の流れ込みが経度により異なる変動をして、
流れ込みが他よりも突出して強くなったエリアが生じた場合は、そ
のエリアで熱帯低気圧が発生・発達することになる。

052-83
この場合、局所的に大きな温度差が生じるのだから、当然のことで
ある。このように、発生・発達の原理・メカニズムは、熱帯低気圧
も温帯低気圧も本当は全く同じなのである。

052-84
言うのが遅くなってしまったが、潜熱の放出は、温帯低気圧や前線
等でも起きる。従って、熱帯低気圧と温帯低気圧の明確な違いとい
えば、発生・発達する緯度(気候帯)や進路ぐらいなものなのだ。

052-85
そして、それらの違いを生み出す原因となるのが、寒気の違いであ
る。温帯低気圧は西の方からやってきて東へと抜けていくが、これ
は(その発生原因である)寒気が西から東へ移動するからである。

052-86
一方、熱帯低気圧に関与する寒気は、(熱帯よりも)高緯度に大量に
存在する。そして、あるエリアでそれが熱帯側に突出してくると、
(熱帯)低気圧が発生する。

052-87
この突出した部分の寒気は、貿易風に流されるような形で、西の方
へ移動する。これにより、熱帯低気圧は低緯度では西の方へ移動す
ることになる。

052-88
一方、熱帯の暖気は(熱帯にとっての)寒気が大量に存在する高緯度
へ移動しようとするわけだが、寒気が熱帯側に突出してきているエ
リアでは、寒気の流れ込みが強いので、それは起きない。

052-89
それが起きるのは、寒気の流れ込みが強くないエリア、すなわち、
寒気が突出していないエリアである。それも、寒気が突出している
エリアのすぐ西側のエリアだ。

052-90
つまり、このエリアの暖気が高緯度に突出してゆき、高緯度の(熱
帯にとっての)寒気との間に温度差を生み出すことになる。こうし
て、熱帯低気圧は北上(高緯度へ移動)することになる。

052-91
高緯度への移動は寒気による冷却を招くが、既に説明したように、
潜熱(の放出)が高温を維持する働きをしてくれるため、熱帯低気圧
の勢力や高緯度への推進力も維持されることになる。

052-92
そして、いわゆる偏西風帯まで移動すると、大気の大循環に乗るこ
とにより、北上(高緯度への移動)スピードが増す。と同時に、東方
への移動もするようになる。

052-93
話が少々脱線したが、重要なのは、潜熱が低気圧の強大化に貢献す
るためには寒気が必要であるということである。従って、地球温暖
化が進行した状況では、貢献度は低下してしまうのだ。

052-94
それ故、海水温が上昇して、蒸発量が増え、大気中に含まれる水蒸
気量が増えても、低気圧(⊃熱帯低気圧⊃台風)が強大化することは
物理的にあり得ないのである。

052-95
そもそも、「(地球温暖化の影響で)海水温が上昇している」という
話からして、全くのトリックなのである。寒気の流れ込みがあった
場合、海水は明らかに冷めやすくなっている。

052-96
エルニーニョが異常に長く続いたのも、そのせいである。海水が冷
めやすくなると、上昇気流がすぐに弱まってしまい、そのせいで貿
易風が弱まることが多くなるからだ。

052-97
また、同じ理由で、西高東低の冬型の気圧配置が続かなくなるよう
になる。東の洋上に停滞する形で発生しているはずの低気圧の上昇
気流が長続きしなくなるからだ。

052-98
もっとも、これは、従来、エルニーニョのシーズンに見られる現象
だったのだが、近年では太平洋東部の海水温が高くないシーズンに
も見られるようになった。

052-99
この場合、一見、暖冬のようなのだが、寒い時は異常に寒くなり、
大雪にたたられることもある。つまり、寒暖の変動の幅が異常に大
きくなるのである。

052-100
海水が冷めやすくなれば、寒気と海水との温度差はすぐに小さくな
るので、上昇気流は短期間で弱まりやすくなる。それ故、低気圧は
寿命が短くなり、消滅しやすくなる。

052-101
つまり、海水温が安定しない(変動する)ために、低気圧が安定しな
くなり、冬型の気圧配置が崩れやすくなって、冬の季節風が途切れ
やすくなり、気温が変動するようになるのである。

052-102
しかも、大陸の寒気の発生能力(放射冷却)が低下しているわけでは
ない(太陽活動低下の影響で、むしろ強まっている)ので、寒い時は
かなり寒くなる。

052-103
また、海水温が(冷めた状態から)上がってくると、大陸から寒気が
やってくるまでの間は、低緯度からその寒気に向かうような暖気の
流れが生じるので、気温が高くなる。

052-104
しかも、大陸の寒気の温度は高くはない(むしろ低くなっている)の
で、暖気の流れ込みは強まる。それ故、気温はかなり高くなる。こ
うして、極端な寒暖の変動が起きるようになるのである。

052-105
ここで重要なのは、気温の変動とその極端化の原因が『海水温の変
動・不安定』であるということである。ところが、「専門家」ども
は、どうしたことか、このことに触れないのだ。

052-106
日頃、なんでもかんでも「海水温」のせいにする彼らが、気温上下
変動極端化の原因を「海水温」のせいにしたがらないとは、何とも
奇妙な態度である。

052-107
事実、彼らは、東方の洋上の低気圧の消えやすさについては一切触
れず、代わりに「シベリア高気圧の勢力が弱いので…」などとほざ
くのである。

052-108
東方の洋上の低気圧の消えやすさについて触れたがらないのは、海
水が冷めやすくなっていることに気付かれたくないからである。な
ぜなら、それは地球温暖化(の進行)と矛盾することだからだ。

052-109
もし本当に地球温暖化が進行しているのなら、海水は深いところに
まで熱を溜め込んで冷めにくくなっているはずである。冷めやすさ
は、海水全体の熱の総量が失われている証拠なのだ。

052-110
あれだけ大陸の寒気により、強大な嵐が発生したり、高緯度へ(温
風や暖流の形で)熱が放出されたりすれば、海水全体の熱が失われ
ていくことになるのは当然のことである。

052-111
一方、「シベリア高気圧の勢力が弱いので…」とほざくのは、「大
気の温室効果の増大により、(大陸での)放射冷却が弱まっている」
と思わせるためである。

052-112
何しろ、「空気(大気)は、あたためられさえすれば(寒気無しでも)
上昇するものだ」とほざいているような連中である。だから、『大
気は、冷やされさえすれば下降する』ということになるわけだ。

052-113
それ故、「シベリア高気圧の勢力が弱いのは、下降気流が弱いから
で、それは温室効果の増大のせいで大気が冷やされなくなっている
からだ」という一見もっともらしい結論に到達できるのである。

052-114
実際には、下降気流の発生には暖気が必要であり、それを陸に供給
してくれるのが(陸よりも温度が高い)海なのである。従って、海水
が冷めやすくなれば、下降気流(→高気圧)は弱まりやすくなる。

052-115
よって、平均をとれば「高気圧の勢力が弱い」ということになるわ
けである。本当に温室効果が増大して大気が冷やされなくなってい
るのなら、気温が観測史上最低になることなど、あり得ない。

052-116
このように、平均をとってしまうと、乱高下や不安定という事実が
見えなくなってしまう。破廉恥な気象庁は、これを逆手に悪用し、
海水温の冷めやすさ(乱高下や不安定)を隠しているのだ。

052-117
海水温も、気温ほどではないものの、常時、変化・変動しているも
のである。この事実を隠すから、真相が見えなくなってしまってい
るのである。

052-118
そういえば、なんでもかんでも海水温の高さのせいにする連中は、
『(変動する)海水温』と『(それにつれて変動するはずの)空気の湿
りの度合い』の相関関係を表すデータを示したことがない。

052-119
つまり、『海水温が何度になると、大気中に含まれるH2O(気体の分
と、それ以外の分)の質量がどれだけになる』といった定量的な関
係をきちんと示したことがないのである。

052-120
そういえば、彼らは『大気中に含まれるH2O量が、昔と比べて、ど
れだけ増えた』という定量的な話をしたことがない。これが「湿っ
た空気」論の実態である。

052-121
加えて、彼らは『(全)海水が蓄えている熱量が、昔と比べて、どれ
だけ増えた』という(これまた定量的な)話もしたことがない。これ
が海洋原理主義の実態である。

052-122
彼らが『温度(海水温)』の定量的な話はしても、海水の『熱量』の
定量的な話をしたがらないのは、『熱量』の場合は、その対象とな
る『領域』のことが無視できなくなるからだ。

052-123
温度が同じでも、量が異なれば、熱量は違ってくる。それ故、位置
(深さを含む)のデータだけでは全くの不足で、領域の大きさのデー
タも必要になってくるわけである。

052-124
さらに、熱量の算出には、その領域内のあらゆる位置(深さを含む)
の温度データが必要になってくる。ここが、いわゆる「海水温」と
は全く異なるところである。

052-125
「海水温」の場合は、領域内のある位置(深さを含む)の温度データ
をもって、領域全体の温度を代表することができる(∴代用するこ
とができる)が、熱量の場合は、それができないわけである。

052-126
つまり、熱量の議論になってしまうと、あらゆる位置(深さを含む)
の温度データを示さなければならなくなり、そうなると非常に都合
が悪いので、(熱量の議論を)避けるのである。

052-127
なぜなら、あらゆる位置(深さを含む)の海水の温度データなど、実
際には存在しないからである。存在するのは、一部の位置の温度デ
ータだけだ。

052-128
つまり、他の位置の温度データ、すなわち、大部分の位置の温度デ
ータは、CG(コンピュータ・グラフィック)のイージングに相当す
る『補間』技術の産物にすぎないのである。

052-129
ちなみに、イージングは、見た目を良くするための補間技術であっ
て、物質の法則などとは全く関係の無いものである。そんなものに
よる産物を、「専門家」どもは「観測事実」としているのだ。

052-130
ちなみに、イージングのような補間技術を用いると、凸凹やムラは
無いことにされてしまうので、温度差(温度の不連続)も無いことに
されてしまうことになる。

052-131
また、補間による部分は、もともと観測データの無い部分なのであ
るから、『変動』は正しく再現されず、場合によっては無いことに
されてしまうことも珍しくない。

052-132
そして、もう一つ、気付かねばならないことがある。それは、補間
により生み出されたデータは、数値では表現されず、階調の荒いグ
ラフィック(等高線間塗り潰しの図)で表現されることだ。

052-133
ちなみに、数値(数字)で表現しないのは、それをやってしまうと、
観測施設がそこに存在しない(∴観測は行われていない∴観測によ
って得られたデータではない)ことに気付かれてしまうからだ。

052-134
一方、階調の荒いグラフィック表現は、素人ウケがよく、また、相
手が玄人の場合でも、表示内容の信頼性の問題を忘れさせてしまう
惑わし効果がある。

052-135
等高線間塗り潰しの図では、いわゆるデジタル的な表現になってし
まう。値は飛び飛びの階段状になる。それ故、実際には値が異なる
ところも、『値が同じところ』ということにされてしまう。

052-136
その結果、凸凹やムラは無いことにされてしまう。もうお気づきの
ように、これは前述のイージングのような補間技術を用いた場合と
同じ特徴である。

052-137
しかも、階調が荒くなればなるほど、この傾向は強まる。一方、色
分けによる表現は、どうしても階調が荒くなる。それ故、補間技術
の産物との見分けがつきにくくなるわけである。

052-138
これは、裏を返せば、『補間技術の産物にすぎない画像』を『観測
によって得たデータを表現した画像』と錯覚するようになるという
ことである。

052-139
一方、これとは別に、もう一つ、重大な問題がある。それは、色分
けによる表現は、変化や変動が頻繁に起きる状態の表現には適さな
いということである。

052-140
色分けによる表現は、短期間には(ほとんど)変化・変動しない場合
や、ある決められた期間の平均値を採っても全く問題が無い場合に
しか使えないのだ。

052-141
色分けによる表現は、(異なる)二つの時期や時点における状況の比
較には役立つが、動的なものの変化や変動を詳細まで正確に把握す
るのには全く適さない。

052-142
従って、海水や大気の状態(温度や運動など)を左右する物理的メカ
ニズムの解明には全く役に立たない表現なのである。それ故、真の
原因の解明には全く役に立たない表現なのだ。

052-143
ご存知のように、地球温暖化のせいにする説明では、海水温や気温
の表現に、この『色分け』によるグラフィック表現を必ずといって
もいいほどよく用いる。その理由は、もはや明白であろう。

052-144
もうお気づきのように、この『色分け』によるグラフィック表現で
は、寒気による海水温の変動(低下)は表現されない。故に、海水が
冷めやすくなっていることは見えてこない。

052-145
海水が冷めやすくなっていることを見えなくしているものが、もう
一つある。それは、宇宙からの海水温観測である。これは、浅い深
度の海水温しか観測できない方法だ。

052-146
以前、説明したように、宇宙からの温度観測では、輻射のデータか
ら温度を求める方法が用いられるため、(相対的に)高温のものの下
にある低温のものの温度は、観測できない。

052-147
一方、水温が5度以上である場合には、海水は高温であるほど軽く
なるため、水温は浅いところほど高温になる。そのために、最も浅
い海面(付近)の温度しか観測できないことになるのである。

052-148
それ故、浅い深度しか高温ではない場合でも、海水が全深度におい
て温暖化しているかのように人を勘違いさせてしまう観測結果が得
られてしまうのである。

052-149
だから、海水が冷めやすくなっていることが見えてこないわけであ
る。なぜなら、海水が冷めやすくなっている時には、海面のような
浅い深度だけが高温になっているからだ。

052-150
浅い深度だけが高温になっている場合は、深い深度まで高温になっ
ている場合に比べて、総熱量が少ないのであるから、冷めやすいの
は当然のことである。

052-151
海水の総熱量が少ないのは、地球温暖化が進行していない証拠であ
る。宇宙からの観測では、そのことが見えない。だから、もてはや
されるのである。

052-152
総熱量が多くないのに浅い深度だけは高温になる現象の最もわかり
やすい例は、エルニーニョの冬である。海での上昇気流が途切れや
すいために、大陸からの寒気の吹き出しも途切れがちになる。

052-153
すると、海水が寒気に冷やされる機会が減るので、温度が高くなる
のである。このため、海水温が低くなるはずの太平洋の西側でも、
浅い深度に関しては、海水温が高くなることが多々あるのだ。

052-154
それ故、宇宙からの観測では、「世界中の海の水温が高くなる」な
どと表現されるような観測結果が得られてしまうことになるわけで
ある。これが『海の温暖化』報告の正体だ。

052-155
冬に限らず、浅い深度だけ海水温が高くなるのが、エルニーニョの
特徴である。つまり、浅い深度と深い深度との温度差が大きくなる
現象なのだ。海が温暖化しているわけではないのである。

052-156
だからこそ、(総)熱量についての議論を避けるわけである。もっと
も、浅い深度に生息している海の生物にとっては、浅い深度だけの
高温化でも、十分な影響をもたらすことにはなる。

052-157
たとえば、先月、マスコミがバカ騒ぎしたオーストラリア北東部沖
のグレートバリアリーフの珊瑚の白化が、そのいい例である。だか
ら、空(航空機)からの調査が可能だったのだ。

052-158
海の生き物をネタにした海水温暖化の話には、決まって、浅い深度
に生息する生き物がネタに使われる。だが、その際に話題にされる
海域で台風等が発生していないのは、嗤うべき事実である。

052-159
それは『珊瑚が白化するほど海水温が高くなっても、上昇気流は強
まらず、空気の湿りの度合いも増してこない』ということを証明す
ることになってしまう話題である。

052-160
珊瑚などの生き物の話を熱心に語られると、人は、つい、熱帯低気
圧のことをすっかり忘れてしまう。ペテン師たちは、人のそういう
心理を利用するのである。

052-161
ついでに言っておくと、海底が浅く、流れや波の少ない海域では、
(特に太陽高度が高い時に)日が照ると、海水温はかなり上昇するも
のである。

052-162
また、そうではない海域でも、海面などの浅い深度に関しては、程
度の差こそあれ、日照等による海水温の上昇や変動はあるものであ
る。グラフィック画像では、そのことは表現されない。

052-163
そういえば、メディアが垂れ流す『宇宙からの観測による海水温等
のデータ』表現にも、グラフィック画像のものが多い。あれは、一
体、いつの時点における観測データを表すものなのか?

052-164
これに関連して、思い出さなければならないものがある。それは、
宇宙から世界中の夜の地表の姿を撮影したとする環境説教目的の写
真である。それには、同じ種類のペテンが用いられている。

052-165
よく考えて欲しい。世界中のあらゆる場所が、夜の同じ時間帯であ
るということが、あり得るだろうか? もちろん、答えは「ノー」
である。

052-166
それに、世界中のあらゆる場所が、地表からの光が雲に全く遮られ
ないほど天気が良いというのも、おかしい。つまり、それは、撮影
日時の異なる何枚もの写真を切り貼りして作った画像なのだ。

052-167
もっとも、これが世界の夜景観賞目的の画像とかいうのであれば、
別に問題は無い。だが、世界各地の照明の明るさを比較するための
科学的データとなる画像となると、これは大問題のはずである。

052-168
なぜなら、同じ場所でも日時が異なれば(たとえば、まだ賑やかな
夜の8時台と、皆が寝静まった真夜中とでは)、照明の明るさがか
なり異なることが少しも珍しくないからである。

052-169
実際、この画像は、環境狂いの小泉政権が「日本が一番明るい。電
気を無駄遣いしている!」と日本(国民)を犯罪者に仕立て上げるた
めに用いられたのである。これは実に卑劣な証拠の捏造である。

052-170
要するに、あの画像は、日本が最も明るいことになる写真の組み合
わせによって作られたわけである。なお、余談だが、国はライトア
ップに補助金を出しているそうだ。

052-171
ついでにもう一つ指摘しておくと、この切り貼りによる画像創作と
いうテクニックは、「偏西風(ジェット気流)」や『海水の熱対流』
という虚像の創作にも用いられている。いずれ詳説する。

052-172
とにかく、ここで重要なのは、『画像というものは、ある時点にお
ける状態や、人間が代表として選出もしくは算出した状態しか表現
できない』ということである。

052-173
ちなみに、先の小泉政権が用いた画像は、日本が一番明るくなって
いる時点での画像である。しかも、場所により異なる時点での画像
を選出して貼り合わせて作った『合成写真』なのだ。

052-174
ということは、この『合成写真』のテクニックを応用すれば、世界
中の海水温や気温が「温暖化」していることを示すグラフィック画
像を創作することも可能になるということであろう。

052-175
つまり、どのエリアも高温であることを示すグラフィック画像を合
成すればよいのである。もっとも、実際には、画像を合成するので
はなく、データの段階で合成を行うのであるが。

052-176
つまり、どのエリアも高温であることを示す温度データを用意して
画像全体を描くのである。その温度データの用意に、選出や算出と
いったトリックを用いるのだ。

052-177
ちなみに、選出とは、温度が高くなっている時の温度データを採用
するということことであり、算出とは、高い数値が得られるような
統計処理を温度データに対してするということである。

052-178
このようなふざけたトリックが通用してしまうのは、それが、時間
のデータ、すなわち、『いつの温度なのか?』ということをハッキ
リさせずにすむ、素人向けの表現の世界だからだ。

052-179
だから、場所により日時の異なるデータを用いたり、生のデータで
はなく(統計処理により)都合よく加工されたデータを用いたりして
いても、全く問題視されずにすむのである。

052-180
そういえば、日本の気象庁は、監視海域の海水温が変動する(低く
なることがある)ために、他の国はエルニーニョとはみなさない状
況でも、「エルニーニョが起きていた」としたことがある。

052-181
これは、日本の公の機関である気象庁が、高温の時のデータを選出
して採用している証拠である。これが、海水温や気温の『表現』と
いうものの実態なのだ。

052-182
つまり、マスメディアを通じて一般向けに公表されている海水温や
気温は、生の観測データではなく、『表現』なのである。表現を事
実や実態と取り違えるのは、とても恥ずかしいことだ。

052-183
とにかく、「海(水)」をネタにした話には、騙しが多い。「海水が
温暖化の進行を抑えてくれている」という話も、そうだ。もしその
話が事実なら、海で下降気流が生じやすくなっているはずである。

052-184
なぜなら、海(水)が温暖化を抑えているということは、陸(地)は温
暖化を抑えていないということであり、故に、陸は海よりも高温で
ある(海は陸よりも低温である)ということになるからだ。

052-185
ところが、海で下降気流が生じやすくなっている傾向は見られない
のである。むしろ、その逆の傾向が見られるのである。それが、台
風等の嵐の強大化なのである。

052-186
これは、海で(下降気流ではなく)上昇気流が生じやすくなっている
証拠である。したがって、あくまで「温暖化」解釈にこだわるとな
ると、海が温暖化を助長していることになってしまうのだ。

052-187
一方、「温暖化」解釈にこだわらなければ、「海が寒冷化を抑えて
くれている」という別の見方が可能になる。実は、こちらが正解な
のである。

052-188
海水には、確かに温暖化を抑える働きがあるが、寒冷化を抑える働
きもある。つまり、大気を温める(ことにより、陸をも間接的に温
める)働きもあるのである。

052-189
海水により大気が温められ、そこに『まだ温められていない大気』
がさらに流れ込めば、上昇気流が生じる。嵐の強大化が問題無く説
明できるのである。

052-190
それにしても、「専門家」どもは、なぜ、「海水が温暖化を抑えて
くれている」という、おかしな話を好むのか? それは「水蒸気の
エネルギー」論のためである。

052-191
海水が温暖化を抑えているのなら、海水は、その分、熱エネルギー
を得ているはずである。つまり、その際に発生する水蒸気が、その
エネルギーを蓄えている…と言いたいわけである。

052-192
そして、この『水蒸気という形で蓄えられたエネルギー』というの
が、この項におけるテーマである『潜熱』なのである。これが、台
風等の強い嵐(風)の原動力となる…と言いたいわけだ。

052-193
つまり、「水蒸気のエネルギー」とは、熱帯低気圧の発生・発達の
原因の一つとされている『潜熱』のことだったのだ。だが、それは
温室効果による温暖化とは相容れないものである。

052-194
なぜなら、『潜熱』が放出されるためには、水蒸気(気体)が水(液
体)や氷(固体)にならなければならず、そのためには冷やされなけ
ればならないからだ。

052-195
『潜熱』が放出されなければ、大気が温められることもなく、故に
軽くなることもなく、故に大気を上昇させようとする作用が生じる
こともない。

052-196
『潜熱』とは、冷たい大気が温かい大気を冷やして自分と同じくら
い重たく(∴上昇できなく)しようとするのを妨げるように放出され
るものなのだ。

052-197
確かに、温暖化が進むと、大気中に含まれる水蒸気量が増え、『潜
熱』は増える。だが、冷やされなくなるので、『潜熱の放出(量)』
は増えない。

052-198
つまり、『潜熱』は、大気が冷える(冷やされる)のを妨げるように
放出されるものなのである。従って、温暖化が進んで大気が冷やさ
れなくなると、放出されなくなってしまうのだ。

052-199
『潜熱』は、大気が『冷たい大気』により冷やされることを妨げる
ことで、『冷たい大気』よりも軽い状態を維持し、浮力を維持する
ことにより、上昇気流の強化に貢献するのである。

052-200
従って、『潜熱』が上昇気流の強化に貢献するためには、『大気を
冷やそうとする働きがあり、なおかつ、その働きを受けることにな
る大気よりも重い大気』が必要なのである。

052-201
それは、結局、『冷たい大気』のことであり、「寒気」と呼ばれる
ことが多い大気のことである。寒気(冷たい大気)抜きの『潜熱』論
は、半可通だけが理解できる全くの疑似科学である。

052-202
上昇気流への貢献に寒気を必要とするという点では、前項の『高海
水温』と事情が同じである。ただし、高海水温が(大きな)温度差を
生じさせるのに対し、潜熱は温度差を維持しようとする。

052-203
このように、『潜熱』にしろ、『高海水温』にしろ、上昇気流に貢
献できるのは、『温度差』の存在に貢献できる場合だけであり、そ
のためには寒気(冷たい大気)が絶対に必要なのである。

052-204
結局のところ、「大気が高温でありさえすれば、大気は上昇する」
としている教科書の説明が、諸悪の根源なのである。そのことは、
教科書の逆のケースを考えてみれば、すぐにわかる。

052-205
大気が低温であるだけでは、大気は下降しない。事実、高空の大気
は、低空(特に地表付近)の大気よりも低温であるにもかかわらず、
(普段は)下降しない。

052-206
同様に、低空(特に地表付近)の大気は、高空の大気よりも高温であ
るにもかかわらず、(普段は)上昇しない。温度(の高低)だけでは、
上昇や下降の『する』・『しない』は、決まらないのだ。

052-207
大気の上昇・下降は、大気の重さの違いによって生じる。つまり、
(ほぼ)同じ高度に、重さの異なる大気が存在することによって、生
じるのである。

052-208
一方、気圧が同じならば『温度の違い』が『重さの違い』を生む。
そのために、(ほぼ)同じ高度に、温度の異なる大気が存在すると、
大気の上昇・下降が生じることになる。

052-209
だから、「高温の大気は上昇し、低温の大気は下降する」という一
節が、結論の中に出てくることになるのである。破廉恥極まる「専
門家」どもは、この部分だけをつまみ食いしているのだ。

052-210
つまり、「(ほぼ)同じ高度に、温度(→重さ)の異なる大気が存在す
ると、」という決して欠くことのできない極めて重要な前提の部分
を、ものの見事にカットしているのである。

052-211
もしかしたら、教科書の執筆者たちは、この前提部分のことを『わ
ざわざ言うまでもない、当たり前のこと』と思っているために省略
しているのかもしれない。

052-212
だが、この前提部分のことを無視するバカが(それも「専門家」と
称する者たちの中に)こうも増えてきたとなると、省略し続けるこ
とは教育者として無責任なことと言わざるを得ないであろう。

052-213
繰り返すが、(ほぼ)同じ高度に、温度(→重さ)の異なる大気が存在
しなければ、大気の上昇・下降は起こらない。従って、大気は、温
められるだけでは、上昇はしないものなのだ。

052-214
温められた大気が上昇するためには、(ほぼ)同じ高度に、温められ
ていない大気が必要である。だが、そんな大気の温められ方が、は
たして、あり得るだろうか?

052-215
あり得るとすれば、それは、『大気が温められるエリア』が全く小
さいか、そうでなければ、『大気が温められるエリア』に『まだ温
められていない大気』が流れ込んでくる場合だけである。

052-216
ちなみに、高空の大気が低空(特に地表付近)の大気よりも低温であ
るにもかかわらず(普段は)下降しない理由は二つある。一つは、高
空に高温の大気が存在しないことである。

052-217
そして、もう一つは、高空は気圧が低いため、低温でも大気はそれ
ほど重くならないことだ。気圧が低ければ、単位体積あたりの気体
分子の数は少なくなり、密度が小さくなるので、軽くなる。

052-218
大気にも重さがあるので、低い高度ほど気圧が高くなり、密度が高
くなって、高温でも重さが増す。そのため、(低温だが気圧が低い)
高空の大気との重さの差が(ほとんど)なくなってしまうのだ。

052-219
このため、低温である高空の大気が下降せず、高温である低空(特
に地表付近)の大気が上昇しないということが、日常的にあるわけ
である。

052-220
また、さらに、地表付近の気温はかなり高いのに、その上にのって
いる高空の大気の気温は逆にかなり低いということも、十分にあり
得るのである。

052-221
特に、上にのっている大気が低温であるほど重いので、下になって
いる大気は、上から受ける力が強まり、かなりの高温でも、膨張で
きず、軽くなれず、上昇できないことになる。

052-222
下になっている大気が上昇しないから、上にのっている大気は下降
しない。かくして、大気の上昇も下降も無い高気圧が存在し得るこ
とになる。

052-223
このタイプの高気圧の正体は『底部が高温になった(隠れ)寒気団』
なのであるが、実は、このタイプの高気圧は、まともな教科書には
載っているものなのである。

052-224
もっとも、教科書では、主に秋に現れる移動性の高気圧が、その実
例として挙げられているために、このタイプの高気圧のことを『季
節限定の高気圧』と勘違いしている者が多いのかもしれない。

052-225
だが、条件さえそろえば、このタイプの高気圧は、どの季節でも出
現し得る。そして、もし梅雨期に出現すれば、太平洋高気圧に行く
手を阻まれ、梅雨前線の北側で足止めを食らう形になるだろう。

052-226
既に述べたように、このタイプの高気圧は、底部こそ高温だが、そ
れ以外は寒気団なのであるから、太平洋高気圧による暖気がやって
くれば、それを上昇させ、雨雲を発生・発達させることになる。

052-227
つまり、この高気圧は、梅雨前線を活発化させ、豪雨をもたらすの
である。しかも、梅雨前線の北上を阻害し、停滞させるので、特定
のエリアに甚大な被害をもたらすことになる。

052-228
一方、この高気圧に覆われたエリアでは、好天となるので、温度上
昇や水不足に見舞われることになる。もうお気づきのように、これ
らは、今年の梅雨期に起きている現象である。

052-229
底部が高温となった隠れ寒気団は、観測が困難である。しかし、そ
れ以前に問題なのは、教科書の前線についての説明が、これについ
ての理解や認識を妨げてしまっていることだ。

052-230
なぜなら、教科書では、前線の定義を説明するために、寒気と暖気
の境界である前線面が地表(海面)と交わっている図が載せられてい
るからである。

052-231
こんな図を示されては、(前線面→)寒気が(上空だけではなく)地表
の高さにまで存在していなければならない(∴地表付近の気温は低
くなければならない)ということになってしまうだろう。

052-232
理論的には、寒気(の分布)が地表の高さにまで達している必要は全
く無い。実際の前線でも、寒気が地表の高さにまで達していないこ
とがあるのだ。

052-233
また、寒気が地表の高さにまで達している場合でも、寒気が存在す
る全エリアのうちのある部分しか(地表の高さにまで)達していない
場合がほとんどである。

052-234
寒気といえども、地表(海面)から温められれば、高温になる。従っ
て、その上に存在している大気とは温度が大きく違ってくることに
なったとしても、それは少しも不思議なことではない。

052-235
つまり、人が生息している地表付近の気温は高くても、上空には寒
気が存在するという意外な事態が、十分にあり得るのである。従っ
て、前線面が地表と交わっているとは限らないのだ。

052-236
このように、前線面が地表と交わった図を用いる教科書の前線の定
義に関する説明は、現実世界から乖離したものであり、寒気に対す
る正しい理解を妨害するものになっているのである。

052-237
ところで、高温の底部と、その上の(隠れ)寒気との間に、雲が生じ
ないのは、高度(の違い)による気温の変化のしかたに不連続が無い
温度分布になっているからである。

052-238
また、高温の底部は、もともと寒気であった大気が陸地に温められ
て高温になったものなのであるから、水蒸気を多く含んでいること
はなく、故に、たとえ冷やされたとしても、雲は生じにくい。

052-239
一方、高度(の違い)による気温の変化のしかたに不連続がある場合
は、雲が生じる。もっとも、寒気が地表(海面)から温められた場合
は、この不連続は生じにくい。

052-240
この不連続が生じるのは、寒気が(優勢で)暖気の上にせり出してく
る場合か、または、大気循環のせいで寒気が暖気の上を(暖気とは
ほぼ逆方向に)流れる場合である。

052-241
前者は、寒冷前線や南下する梅雨前線などで見られる。一方、後者
の例としては、気象庁の十八番、「南から、あたたかく湿った空気
が流れ込む」現象が、まさしくそうなのである。

052-242
南から流れ込む空気が「湿った空気」になるのは、上から冷やされ
て、水蒸気が雲になるからだ。また、その際、潜熱が放出されるの
で、冷たい空気にはならず、「あたたか」い空気になるのである。

052-243
ちなみに、暖気が優勢の場合は、温暖前線の場合がそうであるよう
に、暖気が寒気の上に拡がっていくように上っていくため、雲は広
い範囲に拡散し、集中豪雨にはならない。

052-244
暖気は寒気よりも軽いのであるから、これは当然のことである。従
って、前線に向かって「あたたか」い空気が流れ込んでしまうと、
集中豪雨にはならなくなってしまうのだ。

052-245
また、暖気が優勢の場合は、これまた温暖前線の場合がそうである
ように、寒気が暖気に追いやられてしまう。従って、南から「あた
たか」い空気が流れ込むと、前線は北上するはずなのだ。

052-246
こうしてみると、気象庁の十八番である「前線に向かって、南から
あたたかく湿った空気が流れ込むため」という原因説明が、如何に
物理を無視したデタラメな説明であるかがわかるだろう。

052-247
事実、気象庁がこの説明をする時は、北上せずに停滞する前線であ
り、なおかつ、寒冷前線のように局所的に豪雨を降らせる前線であ
る場合がほとんどである。

052-248
要するに、気象庁は、恐怖の原因を全て高温(温暖化)のせいにした
いわけである。だから、気象庁の九官鳥である気象予報士どもは、
大気の状態が不安定になる原因を、気温の上昇のせいにする。

052-249
『気温の上昇』は、大気の状態が不安定になる『原因』ではなく、
その前兆にすぎない。しかも、原因は、ともに同じ、寒気である。
この事実を無視し続けている気象予報士どもは、科学の敵である!

052-250
大気の状態の不安定化の少し前から『気温の上昇』が起きる場合に
は、少し離れた所で『気温の低下』が起きるものだ。事実、先日の
北海道での例では、北海道の気温が西高東低になっていた。

052-251
つまり、オホーツク海側からの寒気のせいで、大気の状態が不安定
になるとともに、暖気が引き寄せられて(西部では)気温が異常に上
昇したわけである。

052-252
笑うべきことに、ある気象予報士は、ある番組で、最初に登場した
時は『気温の上昇』を原因と説明したのに、二度目に登場した時は
『上空の寒気』のことに触れたのだ。

052-253
クレームが殺到したからなのか? それとも、寒気のことには触れ
たというアリバイ作りのためだったのか? いずれにせよ、視聴者
を欺く行為である。

052-254
もっとも、彼らの場合、不誠実なのか、それとも、ただのバカなの
か、よくわからないところがある。事実、彼らは、このところの太
平洋高気圧の(天気図上からの)消滅のことを全く気にしていない。

052-255
普通、この季節には、太平洋高気圧が大きく張り出しているはずで
ある。特に(中でもエルニーニョ明け直後の)ラニーニャの時は、な
おさらである。

052-256
それはともかく、この太平洋高気圧の張り出しは、台風の日本列島
への直撃を阻止してくれる。ところが、この太平洋高気圧が張り出
しが消え、逆に、低気圧(⊃台風)が存在しているのである。

052-257
その一方で、梅雨期に現れるオホーツク海高気圧が、今頃になって
出現しているのである。つまり、(局所的ではあるが)まるで梅雨が
ぶり返したような状況になっているのである。

052-258
あるいは、別の見方では、「スーパー」と修飾されるような長い長
いエルニーニョが終わり、ラニーニャになったと思った途端に、再
びエルニーニョになってしまったようでもある。

052-259
もしこの見方通りだとすると、海水はますます冷めやすくなってき
ていることになる。秋雨前線の出現の早さを考え合わせると、寒冷
化への激変が迫っている可能性が十分に考えられる。

052-260
呆れたことに、NHKの報道番組に出てくる気象予報士は、例年よ
りも勢力が弱いために東方に退く形になっている太平洋高気圧が前
線や低気圧の東進を妨げているという趣旨の説明をしているのだ。

052-261
これは、「ブロッキング高気圧」論というニセ科学を応用して、太
平洋高気圧の突然の弱体化という問題から世間の関心をそらさせよ
うとする破廉恥トリックである。

052-262
もっとも、ブロッキング高気圧は冬の寒気の流出(→寒さの和らぎ)
を妨げる(ことになっている)ものなのであるから、これは前線や低
気圧の発生原因が寒気であることを認めることになる説明なのだ。

052-263
太陽活動低下のせいで異常発生している大陸産の寒気(団)は、前線
や低気圧などを発生させて嵐や気温上昇などをもたらし、海水から
エネルギーを奪って冷めやすくしているのだ。

052-264
つまり、海水が寒冷化の進行を抑えてくれているのである。潜熱の
放出も、その一例となる現象なのだ。そういえば、この夏は、気温
上昇の原因がフェーン現象であるケースが多くなっている。

052-265
困るのは、こうした海水による寒冷化を抑えようとする働きが、局
所的には高温をもたらすために、無知で頑迷な者たちからは「温暖
化の進行を示す確たる証拠」と狂信されてしまうことだ。

052-266
ところで、気象庁の気温観測地点には、フェーン現象による温度上
昇が起こりやすい場所が少なくない。また、同じ市町村内でも、場
所により、その起こりやすさが異なる場合が少なくない。

052-267
たとえば、北海道の札幌市。南側が山なので、ちょっと南寄りの風
が吹くと、フェーン現象が起き、気温が上昇する。また、地形の関
係で、西の方ほど、その度合いが大きい。

052-268
ちなみに、「手稲山口」は、札幌市の西部に位置し、フェーン現象
による気温上昇が札幌市内で最も大きくなる観測地点である。それ
故に、世間を騙すマスゴミに、よく報道の対象にされる。

052-269
一方、札幌市の中心街である中央区も、手稲山口ほどではないが、
それでも東部などと比べると、やはりフェーン現象による気温上昇
が大きくなりやすい地域である。

052-270
つまり、同じ札幌市内でも地域(地点)間格差があるわけである。加
えて、中央区の場合は都市化の影響が大きい。そんな地域(地点)の
気温が、札幌さらには道央を代表する気温とされているのである。

052-271
以上、札幌におけるフェーン現象や気温データの実態について触れ
たが、こうした実状は札幌に限ったことなのか? もしそうでない
のなら、気温データは温暖化を示していないことになる。

052-272
なぜなら、気温データには(都市化の影響に加えて)フェーン現象の
影響が含まれており、一方、地球温暖化説ではフェーン現象の影響
が強まることになってはいなかったからだ。

052-273
どうやら、地球温暖化論者たちは、フェーン現象が潜熱がらみの現
象であることを知らない程度の学力の持ち主たちであったようであ
る。これが「専門家」の実態なのだ。

052-274
温暖化して大気中の水蒸気量が増えるのなら、潜熱も増えることに
なるのだから、それをネタに「フェーン現象が起きやすくなる」と
騙すことが可能だったはずだ。知識さえあれば。

052-275
もっとも、温暖化が進むと、高い高度も高温になることになってい
るので、水蒸気が雲になる量→潜熱の放出量→フェーン現象による
温度上昇は(ほとんど)増大しないことになるのだが…。

052-276
ちなみに、フェーン現象が増えている本当の原因は、太陽活動低下
により大陸で異常発生している寒気が、低緯度海域からの気流を発
生・強化させているからである。

052-277
つまり、海水が寒冷化の進行を抑えようとする働きが、その本当の
原因なのである。それはともかく、忘れてもらっては困るのは、こ
うした働きがある度に海水が熱エネルギーを失っていくことだ。

052-278
海水が熱エネルギーを失うと、海水温は下がる。一方、寒気の発生
は一定ではない。従って、海水温は変動することになる。実際、近
年の海水温は激しく変動するようになってきている。

052-279
これは、寒気の働きが強まっていることを示しているが、それに加
えて、さらに、海水が寒気の影響を抑える働きが弱まってきている
ことをも示しているのだ。

052-280
同じ量の熱エネルギーが失われても、(海水が有する)熱量が多けれ
ば、温度の下がり方は小さい。逆に、熱量が少なければ、温度の下
がり方は大きくなる。

052-281
もちろん、海水の比熱が変わることはまずないから、熱量の違いを
生み出す原因となるのは、『大気よりも高温である海水の層の厚さ
の違い』ということになる。

052-282
つまり、海面温度が同じでも、海水が大気よりも高温になっている
領域が、海面からどれだけの深さにまで及んでいるのかによって、
海水の三次元的な総熱量が違ってくるわけである。

052-283
もし海面から深い深度まで高温になっている場合は、総熱量が多く
なるため、同じ量の熱エネルギーが失われても、温度の下がり方は
相対的に小さくなる。

052-284
対して、浅い深度までしか高温になっていない場合は、総熱量が少
なくなるため、同じ量の熱エネルギーが失われても、温度の下がり
方は相対的に大きくなる。つまり、冷めやすくなるわけである。

052-285
このように、海面温度が同じでも、高温である領域がどれだけの深
さにまで達しているかによって、海水の総熱量(→大気に与える影
響)が違ってくるのである。

052-286
ところが、温暖化→海水温上昇のことを騒ぎ立てる「専門家」ども
は、海面温度のことしか話題にせず、温度分布の『深さ』の問題に
ついては一切触れないのである。

052-287
これは、彼らが『熱量』のことを全く考えていない決定的な証拠で
ある。温度が高くても、熱量が少なければ、大気に与えられる影響
は小さくなるということを、彼らは知らないわけである。

052-288
そういえば、彼らは海水の『熱量』に関する話をしたがらない。熱
エネルギーの問題を考えるのに、熱量のことを考えないとは、何と
も非科学的な態度である。

052-289
海水の(総)熱量がわからなければ、海水が大気に与えることができ
る熱エネルギーの最大量すなわち限界量も求まらないはずだ。それ
故、「無尽蔵」という原理主義がまかり通ってしまうことになる。

052-290
もうお気付きのように、これは「風力」などの自然エネルギーに対
する再生可能エネルギー推進者どもの考え方と全く根が同じ思想で
ある。そう、保存則無視主義だ。

052-291
つまり、風力が発電等に利用されても風は弱まらないということに
してしまうように、海水が低気圧等を発生・発達させても海水温は
下がらないということにしてしまうわけである。

052-292
低気圧等の発生・発達により海水温が下がってしまうことを認めて
しまうと、もうその時点で低気圧等の発達は止まってしまうことに
なってしまうからだ。

052-293
これでは、海水温の高さによる台風等の強大化が説明できなくなっ
てしまう。だから、海水温(それも、低気圧等が発生・発達する直
前の海面温度)には触れても、海水の(総)熱量には触れないのだ。

052-294
海水の(総)熱量の問題は『深さ』の問題だが、この『深さ』の問題
を無視するのが、地球温暖化論者どもの常套手段である。温暖化と
海水からの二酸化炭素放出の問題でも、このトリックを用いる。

052-295
温暖化により海水温が上がると、二酸化炭素の溶解度が低下するた
め、海水中に溶けていた二酸化炭素(の一部)が放出され、大気中の
二酸化炭素濃度が上昇する。

052-296
ところが、温暖化による海水温の上昇は、海面から進行するので、
それが深い深度にまで進行して海水全体が高温になるまでには、相
当な年月を要することになる。

052-297
つまり、温暖化に直ちに反応して高温になるのは、海面付近の浅い
深度までなのである。それ故、二酸化炭素の放出も、海面付近の浅
い深度からしか起こらないことになる。

052-298
従って、海水全体(全深度)が高温になって二酸化炭素が放出された
場合に比べると、当然のことながら、大気中の二酸化炭素濃度の上
昇の度合いは遥かに小さいものになる。

052-299
このことを、地球温暖化論者どもは、話の一部を捻じ曲げた上で悪
用するのである。つまり、「温暖化による(海水からの放出による)
大気中の二酸化炭素濃度の増加は、無視できるほど小さい」と。

052-300
そして、それを論拠に、産業革命以前の時代の温暖化と大気中の二
酸化炭素濃度増加との関係を示すデータを、「大気中の二酸化炭素
濃度の増加により温暖化が起きる証拠」と決め付けるのである。

052-301
これは、因果関係が逆の、完全に誤った結論である。その証拠に、
彼らは「大気中の二酸化炭素の濃度が、なぜ増加したのか?」の説
明をしたことがない。

052-302
因果関係が逆の解釈が可能なことには、産業革命以前の時代のデー
タの時期が大雑把にしかわからないことも関係している。だが、海
水の深さの問題も関係していることを見落としてはならない。

052-303
海水の『深さ』の問題を考えないというのは、要するに、物事を二
次元的にしか捉えていないということだ。そして、この『二次元』
志向性認知障害は、大気に対しても存分に発揮されるのである。

052-304
その最もわかりやすい例が、「風がぶつかることにより、上昇気流
が発生する」論である。確かに、大気の運動状態の様を『二次元』
で表現したものを見ると、そのように見えないこともない。

052-305
だが、それは正しくない見解だ。本当は、上昇気流が発生している
エリアでは、気圧が低くなっているために、大気が吸い寄せられる
ので、まるで風がぶつかっているかのような様になるのである。

052-306
たとえ物理学に全く疎い人でも、上昇気流を横から眺める角度から
(大気全体を)見れば、大気が吸い上げられていくように見えること
はあっても、風がぶつかっているようには、まず見えないはずだ。

052-307
だが、『二次元』志向の世界では、『高さ』方向の広がりというも
のを考えることができないため、大気全体(の様)を真上(宇宙)から
平面的に捉えることしかできなくなってしまう。

052-308
それ故、まるで風がぶつかっているような『見かけ』を、『根源的
なもの』として位置づけ、雨雲発生の原因である上昇気流の原因に
してしまうという愚かな過ちを犯すのである。

052-309
このように、大気に対しても『二次元』志向なのである。ならば、
海水に対しても『深さ』(高温層の厚さ)の問題を考えたがらない志
向になるのは当然のことであろう。

052-310
『深さ』(高温層の厚さ)の問題を考えないから、海水温については
海面温度のデータだけで十分だと考える。また、海水が実際に有す
る『熱量』の問題も考えようとしない。

052-311
だが、海水が有する『熱量』がわからなければ、海水が大気に与え
る熱エネルギーや水蒸気の量は求まらない。従って、潜熱も、空気
の湿りの度合いも、絶対に求まるわけがないのだ。

052-312
「水蒸気のエネルギー」論も、「湿った空気(の流れ込み)」論も、
こうした『二次元』志向性認知障害による海洋原理主義思想なので
ある。

052-313
だから、それらのために海水が失うはずの熱量の数値が具体的に示
されることがなく、また、水蒸気のエネルギーや空気の湿りの度合
いを表す数値が具体的に示されることもないのだ。

052-314
「海水温の上昇」は実は海面から浅い深度までの出来事で、高温層
の厚さは薄くなり、海水の総熱量は少なくなってきている。このこ
とは、海水温が不安定になってきていることからも明らかである。

052-315
さらに、エルニーニョの長期化や、この夏の太平洋高気圧の突然の
萎縮(スーパー猛暑から、一転、冷夏)も、そうである。海面温度し
か見ていない「専門家」どもは、これらを予測できなかった。

052-316
そういえば、テレビ朝日のある報道番組では、中緯度高圧帯を「太
平洋高気圧」とすり替え表示して、太平洋高気圧の萎縮を隠蔽する
報道を行っていた。やはり、都合の悪い出来事だったのだ。

052-317
ちなみに、同報道番組は、大気の温度が上昇しただけで大気が上昇
する(という現実にはあり得ない)ことを自称「実証」するイカサマ
実験を放送したこともある破廉恥の常習犯番組である。

052-318
ちなみに、そのイカサマ実験とは、ビーカーに入った液体を大気と
見立て、ビーカーの底の中央部だけをバーナーで加熱すると(中央
部で)液体が上昇する現象が起きる…というものだ。

052-319
なるほど、これなら、周囲の液体は相対的に低温ゆえに重いことに
なので、(相対的に高温ゆえに軽い中央部の液体の)下に潜り込むこ
とになり、中央部の液体は上昇することになる。

052-320
つまり、相対的に(低温ゆえに)重い周囲の液体が中央の液体の下に
潜り込むことには一切触れずに、加熱による温度上昇のことだけに
しか(原因としては)触れない説明をしたのである。

052-321
これは、明らかに、「物質を上昇運動させる原因となるのは、温度
上昇だけだ」と信じ込ませるためのイカサマ実験である。「朝日」
の「フェイク」は、決して歴史問題に限ったことではないのだ。

052-322
数日前までの「記録的」高温についても、太平洋高気圧の強まりの
せいにしていた。本当は、大陸産の寒気が原因である。寒気には、
上昇気流を発生させ、低圧エリアを生じさせる能力がある。

052-323
具体的には、低気圧や前線などである。これらが、まず、低緯度か
ら暖気を引き寄せ、日本列島に高温をもたらす。さらに、それらか
ら少し離れたところに、相対的に気圧の高いエリアを生じさせる。

052-324
つまり、こうして生じた高圧エリアこそが、実は「朝日」の報道番
組が「太平洋高気圧」とほざいた高気圧の正体だったのである。寒
気関与隠蔽トリックの一つである『高気圧原理主義』だ。

052-325
確かに、この高気圧は、好天(→日照増)をもたらすので、昼間の温
度上昇の原因の一つにはなり得るが、「記録的な暑さ」まではもた
らさない。

052-326
だが、「朝日」は、この「太平洋高気圧」を「記録的な暑さ」の原
因として、どこまでも祭り上げようとする。なんと、熱(高温)を閉
じ込める働きがあるという趣旨の説明までしてくれたのだ。

052-327
もちろん、高気圧に熱(高温)を閉じ込める能力は無い。大気が冷や
され下降しているエリアなのだから。「熱を閉じ込める」という表
現には、寒気が隣接しているという事実が隠されているのだ。

052-328
「太平洋高気圧」が寒気(団)と隣接している場合、見た目はまるで
「太平洋高気圧」が熱(高温)を閉じ込めているかのように見えるわ
けである。

052-329
ちなみに、「朝日」の言う「太平洋高気圧」は中旬には消滅し、気
温は急降下した。なぜ消滅したのかの説明は一切無く、代わりに、
気温低下の原因を(寒気ではなく)雨だと説明したのだ。

052-330
要するに、「朝日」は寒気を原因とは認めたくないのである。その
点ではNHKも全く同じで、暖気は低気圧(や前線)に向かって流れ込
むものだが、寒気は低気圧に引き込まれるものだと説くのだ。

052-331
だから、「低気圧(や前線)が暖気を引き込む」という説明は絶対に
しないし、「低気圧(や前線)に向かって、冷たい空気が流れ込む」
という説明も絶対にしないのである。

052-332
つまり、『暖気は低気圧や前線等を左右するものであって、それら
に左右されるものではない。対して、寒気はそれらに左右されるも
のであって、それらを左右するものではない』というわけである。

052-333
つまり、これもまた、寒気を原因とは認めない思想なのである。お
そらく、彼らは、『寒気は、せいぜい、暖気を冷やして上昇気流を
弱めてしまう働きぐらいしかしない』とでも思っているのだろう。

052-334
空気(大気)は熱を伝えにくいので、暖気は寒気と接している表面部
分ぐらいしか冷やされない。一方、寒気は暖気に温められることに
なるのであるから、上昇しようとすることになるはずである。

052-335
寒気が上昇気流を弱めるという教義は、完全な誤りである。暖気は
寒気に冷やされきる前に、寒気の上に上ってしまうのだ。寒気は、
むしろ、上昇気流を発生させたり強めたりするものなのである。

052-336
暖気を冷やして上昇気流を弱めてしまうのは、寒気ではなく、低温
の海水である。それ故、低気圧は、暖流付近を進まないと、勢力を
維持できない。だから、暖流に沿うように進むことが多いのだ。

052-337
一方、低気圧は、高温の海水を吹き寄せることがある。この現象は
低緯度海域でよく起きる。熱帯低気圧が、勢力を落とさず、逆に、
台風にまで発達できるのも、これが一因ではある。

052-338
だが、下に潜り込んでくれる重たい大気、すなわち、相対的に低温
の大気が存在しなければ、高温の大気は上昇できないのである。海
水温の高さが上昇気流に貢献するためには、寒気が必要なのだ。

052-339
というよりも、むしろ、たとえ海水温が低くても、海水よりも温度
の低い大気、すなわち、寒気がやってくれば、上昇気流は発生する
ものなのだということを知るべきであろう。

052-340
上昇気流と言われると高温を連想してしまうのは、気象庁が、熱帯
低気圧である台風には暴風域や強風域を表示するのに、温帯低気圧
や前線などにはそれらを表示しないからかもしれない。

052-341
温帯低気圧や前線などでも強風や暴風を吹かせる場合があるにもか
かわらず、気象庁は未だに昔からの「常識」に甘んじている。この
二重基準の馴れ合いは、気象庁の責任感の無さの表れでもある。

052-342
さらに、それは気象庁の米国猿真似根性の表れでもある。また、東
京中心主義の表れでもある。なぜなら、温帯低気圧や前線などが東
京に風による大きな被害をもたらすことはまれだからだ。

052-343
他にも理由はあるが、ここで重要なのは、この気象庁の差別的扱い
のせいで『上昇気流=高温』というイメージが多くの人の脳に刷り
込まれてしまっているということである。

052-344
上昇気流の発生には、軽くなっていない大気、すなわち、寒気が絶
対に必要である。そして、雲の発生にもまた、寒気が必要なのであ
る。なぜなら、寒気とは別の大気が冷やされる必要があるからだ。

052-345
雲は、大気中に含まれる水蒸気(気体)の量が、飽和水蒸気量を超え
た場合に生じる。つまり、その超過分が雲になる。一方、飽和水蒸
気量は、大気の温度が低いほど、少なくなる。

052-346
従って、大気が冷えると、飽和水蒸気量が『大気中の水蒸気量』を
下回る(『大気中の水蒸気量』が飽和水蒸気量を超えてしまう)こと
が起きるようになる。すると、超過分が雲になることになる。

052-347
ただし、大気全体が冷えてしまうと、雲ではなく、霧や露になって
しまう。従って、雲になるためには、大気の上部だけが冷えるので
なければならない。

052-348
上空(大気の上)に寒気が存在すると、大気が上昇しなくても、大気
の上部だけが冷やされることになるので、(霧や露ではなく)雲が生
じることになる。

052-349
もちろん、寒気には(寒気ではない方の)大気を上昇させる能力もあ
るが、上昇しない大気についても、その一部を冷やす能力により、
雲を発生・発達させることができるのである。

052-350
逆に言うと、たとえ大気が上昇しても、大気の温度が下がらなけれ
ば、水蒸気は雲にはならない(∴雨雲が発達することはない)のであ
る。水蒸気が雲になるためには、大気の温度低下が必要なのだ。

052-351
ところが、「専門家」どもは、「ひとたび雨になると、大気中に含
まれた水蒸気が次々と雲になる」などと説いているのだ。全く信じ
られないような話だが、これは事実なのである。

052-352
この「ひとたび…」という奇妙な論理は、『温暖化→飽和水蒸気量
増加→大気中の水蒸気量増加→雨雲増加→降雨増加』という屁理屈
を正しい教義に見せるためのトリックである。

052-353
温度が高くなったことによる飽和水蒸気量の増加は、本来、水蒸気
が雲になりにくくするものである。飽和水蒸気量とは、大気がH2O
を気体の状態で含むことができる量のことなのだから。

052-354
大気がH2Oを気体の状態で含むことが出来なくなる分が生じると、
その分が雲になる(→雲が発生・発達する)のである。そして、そう
した状況は、温度が低くなることにより実現するのだ。

052-355
だが、大気の温度が低くなることは、温暖化とは矛盾する現象であ
る。そこで、「ひとたび雨になると…」という、物理とは全く無縁
の教義を(原因として)用いるのである。

052-356
そもそも、飽和水蒸気量が『大気中の水蒸気量』を下回ることにな
らない限り、「ひとたび雨になる」ことは無い。従って、それに続
く部分(話)も無意味である。

052-357
ちなみに、「ひとたび○○になると、□□になる」というのは、何
かが限界を超えると□□になるということである。温暖化は、水蒸
気量が飽和水蒸気量という限界を超えにくくする現象である。

052-358
一般に「ひとたび○○になると、□□になる」というのは、『何か
がたまることで増していって、限界を超えると、□□になる』とい
う場合であることが多い。

052-359
たとえば、『不安や不満やストレスがたまった人が、ひとたび正気
を失った状態になると、パニックになったり、犯罪者になったりす
る』といった人間の心理の問題で、よくあるケースである。

052-360
つまり、これと同様に「ひとたび」メカニズムにより水蒸気は雲に
なるのだと「専門家」どもは説いているのである。だが、そんなも
のは、物理と心理を混同した「スピリチュアル」論にすぎない。

052-361
そういえば、地球温暖化説の信者たちは、「自然は怒っている」だ
の「地球が泣いている(悲鳴を上げている)」だのとほざくのが大好
きである。

052-362
こうしてみると、地球温暖化説やそれに関連する自称「科学」は、
スピリチュアル系のニセ科学であることがわかるだろう。だから、
サヨクだけでなく、ホシュ・ウヨクにもウケがいいのである。

052-363
ちなみに、『怒る』『泣く』『悲鳴を上げる』という感情爆発は、
ストレスや苦痛等が我慢の限界に達することにより起きる反応であ
る。

052-364
従って、ストレスや苦痛等を『水蒸気(量)』に、我慢の限界を『飽
和水蒸気量』に、それぞれたとえれば、「スピリチュアル」好きの
人でも気象の正しいメカニズムが理解できるはずなのである。

052-365
だが、彼らは、『我慢の限界』にではなく、『我慢できなくなった
結果』すなわち『感情爆発』(→『水蒸気が雲になること』に相当)
に重点を置くのである。これは、赤い『暴力革命』の論理である。

052-366
確かに、感情というものは、『ひとたび』爆発すると、なかなかブ
レーキがきかなくなるものだが、水蒸気は、飽和水蒸気量を超えた
分が雲になるだけである。

052-367
それ故、飽和水蒸気量を超えない場合は、『ひとたび』感情爆発に
相当する現象(=「ひとたび雨になる」現象)すら起こらないのであ
る。

052-368
また、飽和水蒸気量を超える場合でも、超えた分が雲になると、水
蒸気が雲になる現象は止まってしまう。つまり、雲の発生・発達が
止まってしまうのである。これでは、大した降雨にはならない。

052-369
従って、水蒸気が『暴力革命』のように爆発的に雨雲に変化して記
録的な豪雨を降らせるなどということは、物理的に起こり得ないこ
とのである。

052-370
温暖化すると、心理における『我慢の限界』に相当する飽和水蒸気
量が増すのであるから、水蒸気が雨雲になることは、むしろ起こり
にくくなる。そこで、彼らは、『連鎖反応』を期待するのである。

052-371
つまり、温暖化により飽和水蒸気量が増すことで、大気中の水蒸気
量が増え、大気が水蒸気でいっぱいの状態になるので、「ひとたび
雨になると」連鎖反応的に水蒸気が雨雲になる…とするのだ。

052-372
これは、燃料タンクが満タンだと、ひとたび火が点くだけで、連鎖
反応的に燃え広がり、爆発的に燃焼するイメージを連想して納得す
る愚かなアナロジー思想である。アクション映画の見過ぎだ。

052-373
要するに、「ひとたび…」論とは、連鎖反応による爆発的現象を連
想させることで自論をもっともらしく見せようとする、催眠商法的
な話術の一つなのである。

052-374
物理を完全無視した、この「ひとたび…」論を、たとえば北海道新
聞のようなマスゴミが展開するのは、似つかわしいことだ。だが、
大学の先生がお墨付きを与えたとなると、話は大きく違ってくる。

052-375
実際、気候力学とやらが専門の大学の先生が、この「ひとたび…」
論を、「矛盾は無い」と評価したそうだ。気候力学とやらが、物理
無縁の似非科学であることを、この出来事は証明している。

052-376
ちなみに、『力学』という言葉が含まれているからといって、物理
に基づいているとは限らない。なぜなら、『力学』は『ダイナミク
ス』の(直)訳として馴れ合い的に濫用されている言葉だからだ。

052-377
『ダイナミクス』には、確かに『力学』という意味があるが、それ
以外にも、たとえば、「変化・成長・発達の型・歴史」といった意
味もあるのだ。

052-378
つまり、気候『力学』とやらは、本当は気候『変動学』とでも訳さ
れるべき(自称)学問なのである。ならば、物理無縁の「社会科」的
世界であっても、少しも不思議ではないだろう。

052-379
確かに、物理を基本としているわけではないのに「力学」を名乗る
学問の中にも、まともな学問は存在する。たとえば、カオスやフラ
クタルなどの離散力学がそうである。

052-380
だが、気候『力学』とやらの場合は、物理に基づかなければならな
い分野なのに、物理を無視しているのであるから、やはり、科学を
装うための意図的な迷訳と言わざるを得ないのである。

052-381
もし海水が地球温暖化の進行を抑えているのなら、海水は大気より
も低温になっているはずであるから、大気中の水蒸気量は飽和水蒸
気量よりも少なくなりがちになるはずである。

052-382
なぜなら、海水温上昇による『水が水蒸気になる変化の活発化』よ
りも、大気温上昇による『飽和水蒸気量の増大』の方が、上回るこ
とになるからだ。

052-383
これでは、豪雨はおろか、「ひとたび」の雨すら、起こらないこと
になってしまう。そこで、自称「力学」は、飽和水蒸気量のことを
『大気が水蒸気を溜め込む量』とすり替えようとするのである。

052-384
つまり、温暖化すると飽和水蒸気量、すなわち、『大気が水蒸気を
溜め込める量』が増えることから、『大気が水蒸気を溜め込む量』
が増える…と話をすり替えるわけである。

052-385
これは、たとえば、「我慢の限界を引き上げると、不愉快なことが
さらに増える」というのと同じような話だ。確かに、サヨクは、こ
ちらが譲歩すると、ますますつけあがってくる連中だが…。

052-386
そういえば、サヨクは物事を正確に伝えない。ならば、「溜め込め
る量」を「溜め込む量」としてしまっても、別に驚くべきことでは
ない。「ひとたび…」論信者たちの正体は、もはや明白であろう。

052-387
ついでに指摘しておくと、大気が水蒸気を「溜め込む」という言い
方からして、本当はおかしい。なぜなら、大気の主成分である窒素
や酸素なども、非常に温度が低くなると液体になるからだ。

052-388
つまり、H2Oと同じく、『液体⇔気体』と相転移する物質なのであ
る。だが、大気(または真空)が窒素や酸素を「溜め込む」といった
言い方・見方・考え方は、しない。

052-389
ならば、水蒸気(H2O)を特別扱いするのは、おかしいはずである。
それに、窒素や酸素などが「ひとたび」液体になって降ってくるこ
ともない。

052-390
もちろん、これには沸点の違いということが関係している。だが、
沸点より低温でも気体の状態でいられる分があるのだということを
忘れてもらっては困る。

052-391
つまり、沸点とは、『それよりも低温だと、一切、気体ではいられ
なくなる温度』なのではなく、『それ以上の温度になると、液体の
内部から(も)気化するようになる温度』なのである。

052-392
従って、沸点よりも温度が低くても、(液体の内部からの気化はな
いが)液体の表面からの気化はあるわけであり、それ故に、気体で
いられる分があるわけである。

052-393
そして、どれだけの分が気体でいられるかは、温度と圧力(気圧)で
決まる。温度が上がると、気体でいられる分が増えるので、気化は
起きても、液化は起こらない。

052-394
液化が起きるためには、温度が下がらなければならない。地球温暖
化が進行中の状況では、温度が下がることが起きにくくなる。従っ
て、水蒸気の液化(→雨雲の発達)は起きにくくなるはずなのだ。

052-395
くどいようだが、大気中に含まれる水蒸気のうち、雲になることが
できるのは、飽和水蒸気量を超えた分だけなのだ。従って、超えな
い場合は、雲は発生・発達しない。

052-396
むしろ、逆に蒸発が起きてしまうほどだ。このように、大気中に含
まれる水蒸気量が増えても、飽和水蒸気量が増える状況になると、
雲の発達はなく、故に、雨量は増えないことになるのだ。

052-397
逆に、大気中に含まれる水蒸気量が少なくなっても、(それ以上に)
飽和水蒸気量が少なくなる状況になると、雲が発達し、雨量が増え
ることになるのである。

052-398
だからこそ、寒い季節、すなわち、気温だけでなく海水温までもが
低くなる季節になっても、雲が発達するのである。『雲の発達』を
『高温』と結びつけるのは、完全な誤りである。

052-399
『雲の発達』と結びつけられなければならないのは、『大気の温度
低下』である。これがないと、水蒸気(量)の飽和は起きず、故に、
水蒸気が雲になる現象が起きないからだ。

052-400
一方、寒気には、それと接する大気の温度を低下させる能力がある
のであるから、雲を発生・発達させる能力があることになる。「ひ
とたび」の雨も、実は、寒気が原因で起きる現象なのだ。

052-401
こうしてみると、「ひとたび雨になると…」論もまた、寒気が本当
の原因であることを隠すための破廉恥トリックであることがわかる
だろう。

052-402
ただ、寒気が低緯度から暖気を引き寄せる上に、寒気により水蒸気
が雲になる際に潜熱が放出されるために、気温は下がらず、そのた
めに多くの人は寒気のせいだとは全く思わないのである。

052-403
「ひとたび」の雨も、寒気なくしては、あり得ない。大気の温度が
低下して、飽和水蒸気量が減少し、大気中の水蒸気量を下回らない
限り、いかなる雨もあり得ないのである。

052-404
要するに、彼らは、物理法則は一切尊重せず、代わりに、彼らの得
意分野である「社会科」的な空想力を駆使して、気象現象のシナリ
オをでっち上げているだけなのである。

052-405
たとえば、温帯については、「地球温暖化により熱帯気候化するの
で、雨の降り方が(熱帯でよく見られる)スコールのような降り方に
なってくるのだ」という論理を展開するのである。

052-406
だが、スコールも雨である以上、寒気が原因である。従って、地球
温暖化が進行するほど大気の温室効果が高まった状況では、雨の降
り方が弱まってしまうはずなのだ。

052-407
ところが、スコールをはじめ、熱帯での雨の降り方が穏やかなもの
になってきているという報告は、無い。このことからも、地球温暖
化説が真っ赤な嘘であることがわかってしまうのだ。

052-408
「社会科」の知識を乱用・悪用して、豪雨を地球温暖化のせいにす
ることができたつもりが、逆に、地球温暖化説のデタラメぶりをさ
らけ出す結果になってしまった。これは、お笑いである。

052-409
温帯が熱帯気候化するほど温室効果が高まった状況では、豪雨を降
らせるような雨雲の発達を引き起こす温度差を生み出す寒気は、発
生し得ない。何から何までデタラメだらけである。

052-410
だが、「社会科」狂いで(本当は)理科嫌いな者たちは、そんなこと
は全く気にしない。豪雨と乾燥といった気象や気候の極端化も、雨
季と乾季とがあるサバンナ気候化という空想で納得してしまう。

052-411
もっとも、サバンナ気候化という論理では、気温や海水温の乱高下
(特に温度低下)などの説明がつかない。それに、雨季と乾季は、地
軸の傾きと公転によるものだ。

052-412
熱帯のすぐ高緯度側には、乾燥気候のエリアが存在する。そして、
両者の境界の位置は、季節により変化する。このため、雨季になっ
たり乾季になったりするエリアが存在することになるのである。

052-413
つまり、温暖化とは全然関係のないことなのである。ついでに紹介
しておくと、旱魃被害の深刻化については、彼らは砂漠気候化とい
う空想で納得している。

052-414
要するに、「社会科」の概念を振り回しているだけで、物理的根拠
は皆無なのである。だから、シミュレーションでは『物理的には意
味不明なパラメータをいくつも備えたモデル』が必要になるのだ。

052-415
また、それ故に、いくつもの『モデル』が存在するのである。本当
に物理(物質の法則)に基づくシミュレーションの場合、このような
ことはあり得ない。

052-416
これに対し、たとえば経済や人口問題などといった「社会化」分野
のシミュレーションでは、それはよくあることである。単純かつ絶
対確かな法則といったものが存在する世界ではないからだ。

052-417
つまり、法則に取って代わるものとして『モデル』が存在するわけ
であり、天動説の周転円に相当するものとして『(意味不明な)パラ
メータ』が存在するわけである。

052-418
政治家やマスコミ人間などには文系人間が多いから、物理に基づく
解析なんかよりも、「社会科」流のシミュレーションの方が好みに
合うのだろう。

052-419
おまけに、シミュレーションというものは、部外者には(ロジック
等が)ブラックボックス化されている場合が多く、故に、理論面か
らの検証(→反証)が不可能な場合が多い。

052-420
加えて、『モデル』や『パラメータ』の自由度が大きいことは、都
合のいい(恐怖)予想や、観測事実との整合を可能にする。つまり、
インチキがやりやすいのである。

052-421
言い遅れたが、「社会科」分野の問題では、人間の『心理』が大き
く関係していることが多い。『物理』と『心理』の違いがわからな
い者たちは、何でも「社会科」流に処理したがるのだ。

052-422
ちなみに、『心理』というものは、操ることができるものであり、
また、創作・捏造することが容易なものでもある。普遍的なもので
ある『物質の法則』とは、大違いである。

052-423
つまり、彼らの言う「科学」とは、物理(物質の法則)にではなく、
『心理』のように創作された思想原理に基づく世界なのである。物
理は、その用語が装飾として用いられるだけだ。

052-424
『温暖化→飽和水蒸気量増加→大気中の水蒸気量増加→雨雲増加→
降雨増加』という屁理屈などは、その典型的な例である。飽和水蒸
気量という用語を、見事に、装飾に誤用・悪用している。

052-425
事実、そこでは(水蒸気を含む)大気が寒気により冷やされなければ
実現しないということがバッサリと切り捨てられいるにもかかわら
ず、そのことに気付かれずに済んでいる。

052-426
ところで、大気中の水蒸気量が飽和水蒸気量を超えても、水蒸気が
雲にならないことがある。いわゆる過飽和のことであるが、実は、
これが「ひとたび…」論信仰の要因となっているのだ。

052-427
大気中の水蒸気量が飽和水蒸気量を超えても、核になる物質(たと
えば、大気中の塵など)が無いと、水蒸気は雲(水や氷の粒)になり
にくい。

052-428
つまり、核となる物質もしくは粒子が存在する方が、雲が発達しや
すいわけである。そして、小さな雨粒自身もまた、核になり得る。
そこで、「ひとたび…」論が捻り出されるわけである。

052-429
つまり、まず、ひとたび雨になると、その雨粒を核にして、過飽和
の水蒸気が凝結して雨粒と一緒になり、雨粒を成長させて、大粒の
雨にするので、豪雨になる…とするわけである。

052-430
そして、さらに、ひとたび雨になると、雨を降らせた雲が存在する
はずなので、その雲を形成しているH2Oの粒を核として、過飽和の
水蒸気が雨雲をどんどん発達させていく…とするのである。

052-431
もちろん、水蒸気が過飽和の状態になるためには、大気が冷やされ
なければならないのだから、これらのシナリオは、その前提からし
て成り立たっていない。

052-432
それに、そもそも、飽和水蒸気量が増えた状況では、過飽和にはな
りにくいのであるから、水蒸気が雨粒を成長させたり雨雲を発達さ
せたりするわけがない。論理が支離滅裂である。

052-433
要するに、H2Oの『量』のことしか考えず(←「社会科」流!)、そ
の相の違いや変化に関することを考える(←自然科学流)ということ
をしないから、そのような狂った説に満足していられるのだ。

052-434
繰り返すが、大気が冷やされなければ、水蒸気が雲になることはな
い。もし雲が発生・発達したとすれば、それは既に冷やされて過飽
和になっていたからである。

052-435
都合の悪い(冷却)過程を隠蔽するのは、「専門家」どもの常套手段
である。冷却という出来事は、地球温暖化説(温室効果ガス説)にと
って、最も「不都合な」出来事なのだ。

052-436
また、そんな連中であるから、『潜熱が大気の運動エネルギーにな
るためには、大気を冷やそうとするものが必要である』という事実
も隠蔽しようとするのである。

052-437
大気が冷やされなければ、水蒸気の飽和は起こらず、故に、水蒸気
の相転移は起こらず、故に、潜熱の放出は起こらず、故に、潜熱が
大気の運動エネルギーになることは無いことになる。

052-438
それに、放出された潜熱のおかげで、温度低下が抑えられ、軽さを
維持できた大気が、上昇する(→運動エネルギーを得る)ためには、
軽くないもの(=相対的に重い、別の大気)が必要になる。

052-439
一方、寒気というものは、(自分よりも温度が高い)他の大気を冷や
そうとする働きのあるものであり、なおかつ、他の大気よりも重い
ものでもある。

052-440
以上のことがわかれば、潜熱が大気の運動エネルギーになるために
は寒気が必要であるということが理解できるはずである。「水蒸気
のエネルギー」は、実は、『寒気あってのもの』なのだ。

052-441
寒気が無ければ、水蒸気(気体)は水蒸気のままであり、潜熱(内部
エネルギー)は潜熱のままなのだから、それが運動エネルギーに変
換されることにはならない。

052-442
また、潜熱が放出されても、重たい大気である寒気が無ければ、上
昇力は生じないので、運動エネルギーは生じない。今一度、フェー
ン現象のことを思い出してほしい。

052-443
風(大気)が山にぶつかると、大気が山を上って潜熱が放出されるの
に、山を越えると、大気は上昇せずに山を下ってしまう。山の風下
側に寒気が存在しないからだ。

052-444
また、言うまでもないことではあるが、山の風上側で大気が上昇す
る(山を上る)のは、地形の影響による現象なのであって、潜熱の影
響による現象なのではない。

052-445
このように、潜熱(気体のH2Oである水蒸気)という形で大気に蓄え
られた内部エネルギーが、運動エネルギーに変換されるためには、
寒気が絶対に必要なのである。

052-446
そもそも、潜熱(水蒸気)という形態は『高温』により生じたのであ
るから、それが(他の形態に変わることで)消滅するために『低温』
が必要であったとしても不思議ではないはずだ。

052-447
『高温』は潜熱(水蒸気)という形態を生じさせるだけなのであるか
ら、『高温』だけでは潜熱(水蒸気)以外の形態(たとえば、運動エ
ネルギー)は生じないはずだ。

052-448
従って、寒気(冷却)が無いと、大気中の水蒸気(気体)は水蒸気のま
まであり、潜熱は潜熱のままなのである。よって、エネルギー保存
則を無視しない限り、運動エネルギーは生じないことになる。

052-449
ちなみに、潜熱とは、その名の通り、潜む熱なのであるから、その
まま(潜熱のまま)では、大気の温度を上げたり、大気を膨張させた
り、軽くしたりすることはない。

052-450
潜熱は、水や氷が水蒸気(気体)になることにより蓄えられ、逆に、
水蒸気が水や氷になることにより放出される。故に、放出のために
は冷却が必要なのであり、故に、寒気が必要になるのだ。

052-451
ところが、この極めて重要なことが、教科書には載っていないので
ある。同様に、大気が上昇するためには、それよりも重い大気(す
なわち、寒気)が必要であるということも、載っていない。

052-452
当たり前すぎることだから載せていないのか? それとも、執筆者
たちが知らないことだから載っていないのか? それとも、地球温
暖化説に都合の悪いことだから載せ(させ)ないのか?

052-453
いずれにせよ、教科書に載っていないことが、寒気を不要とするニ
セ科学、すなわち、地球温暖化説とそれを支える疑似科学に都合の
いい状況を作り出していることは確かなのである。

052-454
潜熱のエネルギーの放出だけでなく、それにより大気が上昇するた
めにも、相対的に重い大気である寒気が必要であることが教えられ
ていないのは、断末魔的である。

052-455
なぜなら、大気が軽くても、それよりも重い大気が存在しないと、
上昇しないということことぐらい、小学生でも理解できることだか
らである。

052-456
これについて、「小学生でも理解できることなら、わざわざ教えな
くても良いではないか」と言うのは、無責任である。現に、「専門
家」どもは全く理解していないのだから。

052-457
ともにH2Oが関係するために、よく混同される『潜熱』と『蒸気機
関』とでは、運動エネルギーが生み出されるメカニズムが大きく異
なる。まず、H2Oの相転移の向きが逆である。

052-458
『潜熱』の方は『気相→液相(または固相)』だが、『蒸気機関』の
方は『液相→気相』である。また、それ故に、前者は冷却を必要と
し、後者は加熱を必要とするという違いもあるわけである。

052-459
一方、『運動の原動力』となるものも異なる。『潜熱』の場合は、
大気の重さの差である。これに対し、『蒸気機関』の場合は、機関
の内部と外部との圧力(気圧)の差である。

052-460
このように、ともにH2Oが関係しているとはいえ、『潜熱』と『蒸
気機関』とは、全くの別物なのである。従って、両者を混同するこ
とは非常に恥ずかしいことなのである。特に専門家の場合は。

052-461
もっとも、両者には共通点もある。それは、低温の大気(空気)を必
要とすることである。蒸気機関の外部の気圧は、内部よりも低くな
ければならず、そのためには低温である必要がある。

052-462
低温の大気(空気)の存在は、『潜熱』にとっても、『蒸気機関』に
とっても、欠くことのできない『環境』である。そんなことも理解
できない者に『環境』について語る資格は無い。

052-463
寒気(低温)は、風・気流の発生にとっても、雲の発生・発達にとっ
ても、欠くことのできない『環境』である。それを認めていない気
象学・気候学・環境学は、全てニセ科学である。

052-464
ちなみに、地球温暖化とは、温室効果ガスのせいで、この『環境』
が失われていく(寒気が発生しにくくなっていく)ことにより起こる
(ことになっている)現象である。

052-465
したがって、地球温暖化の影響により風や雨や雪が強まるというこ
とは、物理的にあり得ないことなのである。地球温暖化説は、環境
を無視した自称「環境学」なのだ。

052-466
ところで、潜熱(水蒸気)が生じるためには、水が蒸発する必要があ
るが、その際の出来事として、とかく忘れられがちなのが、熱が奪
われることである。これは、当然、海水温に影響を与える。

052-467
具体的には、海水温が下がるのである。海水が熱の形で有していた
エネルギーが、潜熱(水蒸気)という形で大気に受け渡されるのであ
るから、これは当然のことである。

052-468
したがって、台風が発生・発達すると、海水温は下がるのである。
そこで、問題が生じる。それは、「なぜ台風が発生・発達するまで
海水温は下がらなかったのか?」という問題である。

052-469
大気中の水蒸気量が増えるのなら、水の蒸発が起きているはずであ
り、そうなれば、海水は気化熱を奪われ、温度が低下するはずであ
る。台風が発生・発達する前でも。

052-470
ところが、台風の発生・発達が始まるまでは、海水温の低下は起こ
らないのである。つまり、水の蒸発が活発ではないのである。これ
は全く奇妙なことだ。

052-471
なぜなら、これは『潜熱(水蒸気)の発生(大気への供給)が活発にな
るのは、台風の発生・発達が始まってからである』ということを意
味しているからだ。

052-472
これでは、因果関係から来る順序が逆だろう。潜熱(水蒸気)が十分
ではないのに、なぜ台風が発生・発達するのか? これを説明する
ためには、潜熱とは別の『因子となるもの』が必要である。

052-473
実は、それは寒気なのである。寒気は、上昇気流を発生させる。ま
た、水蒸気を多く含んではいない。それ故、海水に温められると、
乾いた空気となり、水の蒸発を促すわけである。

052-474
空気(大気)の温度が上がると、飽和水蒸気量が増えるので、水蒸気
を含むことができる量が増え、水の蒸発(→潜熱の発生)が活発にな
るわけである。

052-475
また、(寒気が発生させた)上昇気流が『水蒸気を多く含んだ空気』
を吸い上げ、『水蒸気を多く含まない空気』を引き寄せるので、さ
らなる水の蒸発が起き続けることになる。

052-476
このように、寒気は、潜熱の放出や(大気の)運動エネルギーへの変
換だけでなく、潜熱の発生にも欠かせない極めて重要な因子なので
ある。まさに、「寒気」あっての「潜熱」なのだ。

052-477
つまり、潜熱にとって、寒気は、台風の発生・発達に関してはもち
ろんのこと、自身の発生の段階からして、無くてはならない存在な
のである。

052-478
ところが、この極めて重要なことが、教科書には載っていないので
ある。これは断じて見過ごせぬ重大な欠陥である。気候ペテン師た
ちは、これをまんまと利用しているわけである。

052-479
潜熱は、寒気とは不可分の関係にある。だからこそ、真夏の熱帯海
域よりも海水温が間違いなく低いはずの真冬の中緯度海域でも、台
風並みの強い嵐が発生し得るのである。

052-480
そういえば、「専門家」どもは、冬の嵐について、海水温の高さの
ことは話題にするが、潜熱のことには一切触れない。そのくせ、雪
の多さの説明のために、「水蒸気」のことを口にする。

052-481
(気体である)水蒸気が雪雲になれば、間違いなく潜熱が放出される
のに…だ。要するに、(水蒸気を含む)大気が冷やされること、そし
て、大気を冷やすものについては、死んでも触れたくないのだ。

052-482
そもそも、熱帯低気圧(⊃台風)についてのみ、潜熱のことに触れる
という教科書の方針からして、おかしいのである。潜熱は、温帯低
気圧や前線など、全ての嵐に関与しているのだ。

052-483
冷却の度合いが大きいほど、潜熱の働きは大きくなる。寒気が強い
嵐を発生させる原因の一つが、これである。一方、熱帯は高温なの
で、それほど低温ではない大気でも、冷却の度合いが大きくなる。

052-484
それ故、水蒸気が雲になる度合いが大きくなり、潜熱が放出される
度合いが大きくなって、大気が運動エネルギーを得る度合いが大き
くなるのである。

052-485
つまり、熱帯で台風が発生・発達しやすいのは、熱帯が他のエリア
よりも高温である(他のエリアが熱帯よりも低温である)からなので
ある。

052-486
従って、他のエリアが高温化し、熱帯との温度差が小さくなってし
まうと、台風が発生・発達しにくくなってしまうのである。温室効
果ガスによる温暖化は、そうした状況をもたらす。

052-487
それ故、熱帯の水蒸気を含む大気の冷却は鈍り、潜熱の放出さらに
は運動エネルギーへの変換も鈍るため、台風が強大化することは物
理的にあり得ないことになるのである。

052-488
このように、『潜熱』に関する考察からも、『地球温暖化の影響に
よる台風の強大化』論が真っ赤な大嘘であることがわかってしまう
のである。

052-489
『地球温暖化の影響による台風の強大化』論のことを本気で信じ唱
えている連中は、実は、潜熱のことを正しく理解してはいない者た
ちなのである。

052-490
(欠番。記事はありません。)

052-491
そういえば、先月下旬ごろから気温がかなり高くなったが、その途
端に、「温暖化の影響」とされてきた「南岸低気圧」が発生・発達
しなくなった。これは爆笑モノの矛盾である。

052-492
やはり、寒気無しでは、いかなる嵐も発生・発達しないのである。
ちなみに、潜熱の放出があっても、(それが原因で)大気の温度が潜
熱放出前の温度よりも高くなることはない。

052-493
潜熱は水蒸気が冷やされ水や氷になることにより放出されるのであ
るから、これは当然のことである。沸点や凝固点(融点)で温度のグ
ラフが平らになることを思い出して欲しい。

052-494
そこでは、加熱や冷却(放熱)、すなわち、熱の出入りがあるにもか
かわらず、温度は変化しない。それ故、温度のことしか見ようとし
ない者の眼には、加熱や冷却のことが見えてはこないことになる。

052-495
そして、同様のことが潜熱についても言える。冷却があっても、潜
熱の放出があると、温度の低下が抑えられるので、温度のことしか
見ていないと、冷却があるようには見えないわけである。

052-496
それ故、寒気の関与・存在についても見えてこないことになり、故
に、潜熱が低気圧や前線の発生・発達に寄与するためには寒気が必
要であることが認識・理解できないことになるわけである。

052-497
つまり、「専門家」とは、温度のことしか見ようとせず、熱のこと
は考えない連中なのである。そもそも、温度だけからはわからない
熱だから『潜』熱というのだが…。

052-498
熱というものは、冷やされなければ放出されないはずである。潜熱
とて、例外ではない。ただ、冷やされた大気の温度低下が抑えられ
るという点で、『潜熱ではない熱』とは異なるのである。

052-499
普通、大気は冷やされると温度が下がる。ところが、潜熱が放出さ
れると、そのせいで温度低下が抑えられる。大気に含まれる水蒸気
(の相転移)が、こうした違いを生むのだ。

【お詫び】
052-490 は欠番となっております。番号をつける際に 490 をとば
してしまいました。遅ればせながら、お詫び申し上げます。

052-500
このように、寒気(冷却)抜きの潜熱(水蒸気)エネルギー論は、全く
のナンセンスなのである。従って、この点に関する限り、教科書の
説明は全くの空理空論であると言わざるを得ないのだ。

052-501
熱(⊃潜熱)も温度(⊃高海水温)も、方向という概念が無いものであ
る。対して、風・気流には、方向という概念がある。『方向の無い
もの』から、どうして『方向の有るもの』が生じるのか?

052-502
『方向』を生み出すのは、寒気である。よそから来た寒気が、温度
(分布)の偏りを生み出し、重さの偏りを生み出すことにより、運動
の『方向』が生み出されるのである。

052-503
熱や温度のように、方向という概念が無いものは、その偏りがある
ことによって、方向が生まれるのである。よそから来る寒気は、こ
の偏りを生み出すものなのだ。

052-504
よそから来た寒気は、温度の偏りを生み出し、温度差を生み出し、
重さの差を生み出して、上昇気流を発生させる。ところが、その一
方で、逆に、上昇気流を弱めることになることもするのである。

052-505
なぜなら、寒気は(上昇させられることになる)大気を冷やそうとす
るからである。それにより温度が下がれば、重くなり、寒気との重
さの差が小さくなるので、上昇力が弱まってしまう。

052-506
そこで、潜熱が効いてくるわけである。潜熱の放出があると、温度
低下(→重さ増大→寒気との重さの差縮小)が抑えられるので、上昇
力の弱まりが抑えられることになるわけである。

052-507
その結果、潜熱の放出が無い場合よりも上昇気流が強まることにな
るわけである。つまり、潜熱は、大気を冷えにくくすることで、風
(気流)を強める働きをするわけである。

052-508
このように、潜熱は、大気の『見かけ上の比熱』を大きくするので
あり、それにより、台風等の嵐の発生・発達に貢献するのである。
問題は、そのためには冷やされる必要があるということだ。

052-509
なぜなら、冷やされないと、水蒸気が飽和して水や氷になることは
無く、故に、潜熱の放出は無く、故に、大気の『見かけ上の比熱』
が大きくなることは無いからだ。

052-510
このように、たとえ大気がどんなに大量の水蒸気を含んでいたとし
ても、冷やされなければ、「水蒸気のエネルギー」が発揮されるこ
とは無いのである。

052-511
ところが、破廉恥な「専門家」どもは、温暖化による蒸発量や飽和
水蒸気量の増加(→大気に含まれる水蒸気量の増加)のことにしか触
れないのである。

052-512
これは、寒気(冷却)が絶対に欠かせないことを知らない(←無学!)
か、そうでなければ、隠蔽しようとしている(←ペテン師!)かの、
どちらかである。

052-513
もうお気付きのように、潜熱が放出されるために必要なことと、水
蒸気が雲になるために必要なこととは、同じである。寒気による冷
却である。だから、「風」と「雲」とで同じ嘘を吐くのだ。

052-514
物理や化学の概念で言えば、潜熱とは、要するに、H2Oの気化熱(水
→水蒸気)や融解熱(氷→水)や昇華熱(氷→水蒸気)の総称というこ
となのである。

052-515
従って、放出されると、それは凝結熱(水蒸気→水)や凝固熱(水→
氷)や昇華熱(水蒸気→氷)ということになる。ならば、そのために
は冷却が欠かせないのは当然のことであろう。

052-516
気象のことを正しく理解するためには、物理や化学といった基礎学
力が必要である。それの無い者に気象のことを学ばせたり、任せた
りするのは、『ナントカに刃物』も同然なのだ。

052-517
そもそも、潜熱(水蒸気)が風(気流)の強化に貢献できるのは、風が
生じる根源的原因が『大気の重さの差』であるからである。ところ
が、今時の教育者どもは『気圧の差』と教えているのだ!

052-518
つまり、潜熱が風(気流)の強化に貢献するメカニズムに対する正し
い理解を、出だしから妨害するような教え方をしているのである。
これは全く犯罪的と言ってもいい愚行だ。

052-519
『気圧の差』を風(気流)が生じる根源的原因にしてしまうと、『潜
熱が、どうして風の強化に貢献するのか?』が説明できなくなって
しまう。

052-520
事実、『気圧の差』を風(気流)が生じる根源的原因にしている連中
は、『潜熱が、どうして風の強化に貢献するのか?』を説明したこ
とがない。できないのだ。

052-521
潜熱が風(気流)の強化に貢献できるのは、相対的に重い大気である
寒気に冷やされた時に、温度低下を抑えて相対的な軽さを維持しよ
うとするような働きをすることになるからである。

052-522
このように、風(気流)が生じる根源的原因が『大気の重さの差』で
あることを知らないから、潜熱の働きが説明できず、また、そのた
めに寒気が必要であることを理解することができないのである。

052-523
こうしてみると、気圧原理主義というニセ科学が、潜熱に対する正
しい理解を妨害し、「水蒸気のエネルギー」論や「湿った空気」論
等のニセ科学を支えていることがわかるだろう。

052-524
ちなみに、気象予報屋は、職業柄、気圧原理主義の誘惑に駆られや
すい立場にある。だから、悪徳政治家どもは、気象予報士という国
家資格を設けてまで、気象予報屋を増やそうとするのだ。

052-525
そもそも、教科書に載っている『風と気圧との関係』についての話
は、風と等圧線との関係を説明するための話なのであって、風の根
源的原因が気圧の差であることを説いているわけではない。

052-526
一方、等圧線というものは、その大部分が推定で描かれている。そ
して、その際、雲の動きなどから得られた『風に関する情報』を参
考にすることがある。

052-527
従って、この場合、等圧線から風の予想をすることは、風の情報を
(ある程度)基にして風を予想することになるのである。ならば、予
想が実状とよく一致するのは当然のことだろう。

052-528
気圧原理主義は、半可通だけが理解できるニセ科学思想であり、潜
熱の正しい理解を妨害する。だから、信者たちは、そもそも「湿っ
た空気」という表現からしておかしいということにも気付かない。

052-529
気象学の世界では、「空気」は『地表付近の大気』を意味する。従
って、雲の高度を考えるならば、「流れ込む」のは「湿った空気」
ではなく「湿った大気」としなければならないはずなのだ。

052-530
ついでに指摘しておくと、前線とは、前線面が地表と交わった部分
を指すわけであるから(∴高さ方向の大きさはゼロ)、これに向かっ
て空気が流れ込むことは物理的に不可能なはずである。

052-531
このように、「前線や低気圧に向かって南から暖かく湿った空気が
流れ込むため」論は、物理学的な問題以前に、言葉(用語)の使い方
して全くいい加減な、『素人系』ニセ科学なのである。

052-532
ことあるごとに「湿った空気」論を執拗に繰り返している気象庁や
NHKは、科学の敵であり、伏魔殿である。その気象庁を仕切る大
学教授らは(黒幕の)走狗であり、黒幕は政治家どもである。

052-533
ちなみに、空気が湿った状態になるためにも、冷却が必要である。
温度が高くなって飽和水蒸気量が増すということは、実は、空気が
乾いた状態になるということなのだ。

052-534
つまり、気象庁流の言い方をするならば、大気というものは、温度
が上がると、「乾いた空気」になるものなのである。だから、さら
なる水蒸気を含む(水の蒸発が起きる)ようになるのである。

052-535
冬の寒い日に暖房を使用すると、屋内(の空気)が屋外以上に乾燥す
るのも、そのせいである。一方、窓が曇るのは、空気が窓に冷やさ
れて飽和水蒸気量が減少し、「湿った空気」になるからだ。

052-536
以上のことがわかれば、気象庁の言う「湿った空気」とは、実は、
大気がどこかで冷やされた結果生じたものであるということがわか
るはずである。

052-537
また、大気だけが「温暖化」していく場合には、大気は「湿った空
気」になるどころか、逆に「乾いた空気」になっていくということ
もわかるはずである。

052-538
そして、そのことから、さらに、海水よりも大気の方が「温暖化」
が進んでいる場合には、大気は「湿った空気」ではなく「乾いた空
気」になる傾向が強まるということもわかるはずである。

052-539
一方、地球温暖化説では、海水が温暖化の進行を抑えていることに
なっているのであるから、海水よりも大気の方が「温暖化」が進ん
でいることになるはずである。

052-540
従って、大気は「湿った空気」にはなりにくいはずであり、なった
としても、湿りの度合いが弱いはずである。よって、「バケツをひ
っくり返したような」豪雨になるはずがないのだ。

052-541
空気(大気)の『湿り』とか『乾き』というものは、それに含まれる
水蒸気の量だけで決まるものではない。飽和水蒸気量との相対関係
により決まるものだ。

052-542
空気(大気)に含まれる水蒸気の量が多くても、それ以上に飽和水蒸
気量が多くなる状況では、空気は(それほど)「湿った空気」にはな
らず、むしろ「乾いた空気」になることさえあり得る。

052-543
逆に、空気(大気)に含まれる水蒸気の量が多くなくても、飽和水蒸
気量が少なくなる状況では、空気は「湿った空気」になり得る。も
ちろん、それは「温暖化」した状況ではない。

052-544
そもそも、温度が高くなると水蒸気の蒸発が活発になるのは、飽和
水蒸気量が増えることで、空気(大気)が「乾いた空気」になるから
である。

052-545
逆に、温度が低くなると水蒸気の蒸発が不活発になり、場合によっ
ては結露さえ起きるようになるのは、飽和水蒸気量が減ることで、
空気(大気)が「湿った空気」になるからである。

052-546
このように、大気の冷却が無ければ、「湿った空気」は発生し得な
いのであり、また、潜熱が台風等の発生・発達に貢献することもあ
り得ないのである。

052-547
さて、その『大気の冷却』の原因となるのが寒気なのであるが、台
風等の発生・発達に関して言えば、寒気には、もう一つ、重要な役
割がある。それは「大気の状態」分布にムラを生じさせることだ。

052-548
これは、別の言い方をするならば、これまでに取り上げた『高海水
温』と『潜熱』だけでは台風(熱帯低気圧)の発生・発達は説明でき
ないということを意味する。

052-549
もちろん、教科書では『高海水温』と『潜熱』のほかに『転向力』
を挙げているのだが、それでもなお説明できないことがあるのだ。
それは、台風(熱帯低気圧)の中心が出来る理由である。

052-550
そもそも、中心となる部分、すなわち、周囲とは大気の(運動)状態
が異なる部分が無ければ、低気圧にはならず、前線や気圧の谷にし
かならない。

052-551
だが、「大気の状態」分布が一様・均一では、中心という特異な部
分は生じない。たとえ、『高海水温』と『潜熱』と『転向力』が、
どんなに強く影響したとしても…だ。

052-552
中心という特異な部分が存在するということは、「大気の状態」分
布が一様・均一ではないということだ。それ故、「大気の状態」分
布を一様・均一でなくする何かが必要なのである。

052-553
だが、『高海水温』は、低気圧の中心部分のような狭いエリアに集
中して起こることではないし、『潜熱』は、一様・均一な冷やされ
方では一様・均一な放出のされ方(→影響のしかた)しかしない。

052-554
では、残る『転向力』はどうかというと、これもまた、「大気の状
態」分布を一様・均一でなくする働きはしない。次項(番号053)で
は、そのことが示されることになる。

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