051-01
熱帯低気圧の発生・発達に関する教科書の説明を見ると、地球温暖
化説を支えるニセ科学(気圧原理主義や海洋原理主義など)のトリッ
クの原点を見つけ出すことができる。

051-02
それによると、熱帯低気圧の発生・発達の原因となるのは、高海水
温と潜熱と転向力となっている。つまり、寒気は原因とは記されて
いないのだ。

051-03
ちなみに、潜熱とは、大気中の(気体の)水蒸気が液体や固体(氷)に
なる際に放出される熱(たとえば凝結熱など)の総称である。また、
転向力は、地球の自転の影響で生じる見かけ上の力のことである。

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一方、同じ教科書でも、温帯低気圧については、前線の話を介する
形で、寒気を発生・発達の原因の一つに認めている。つまり、熱帯
低気圧は温帯低気圧とは違うので寒気は一切不要というわけだ。

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だが、高海水温と潜熱と転向力(だけ)では、低気圧の発生・発達は
説明できない(物理的にあり得ない)。実は、誠意ある気象学者は、
そのことを認めているのである。その理由を説明しよう。

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熱帯低気圧の発生・発達が説明できるためには、まず、上昇気流の
発生・強化が説明できなければならない。転向力は、これには全く
無関係である。従って、残る候補は、高海水温と潜熱だけである。

051-07
高海水温は、空気(大気)を高温にする。だが、前にも説明したよう
に、空気は、高温になるだけでは、膨張しようとするだけで、上昇
はしないのだ。

051-08
膨張して密度が小さくなったところに、密度が小さくなっていない
空気、すなわち、高温になっていない空気が流れ込んでくることに
より、重さの差が生じ、上昇するのである。

051-09
大気の大循環(極地⇔赤道間の大気循環)の一部をなす赤道無風帯で
の上昇気流も、高緯度から低温の空気(大気)が流れ込んでくるから
生じることができるのである。

051-10
もちろん、低温の空気(大気)だけでは上昇気流は発生しない。上昇
するのは高温の空気なのだから、高温の空気も必要である。そこで
重要な役割を果たすことになるのが、高海水温なのだ。

051-11
つまり、低温の空気が流れ込んできても、海水が空気をあたためる
ので、高温の空気になっていくのである。それ故、重い低温の空気
と軽い高温の空気の両方が存在し続ける状況となるのだ。

051-12
ちなみに、ここでの「低温」「高温」は全く相対的なものである。
従って、海水温が高くなくても、流れ込んでくる空気の温度が海水
温よりも低ければ、上昇気流は発生するのである。

051-13
だからこそ、真冬の中高緯度海域でも台風のような嵐をもたらす低
気圧が発生・発達するのである。上昇気流が発生する海水温は、絶
対的なものではなく、空気の温度との相対性で決まるものなのだ。

051-14
熱帯(赤道付近)にとって、中高緯度(から)の空気は、(その温度の
一日の平均を考えれば)「寒気」となるはずである。この事実に気
付けば、上昇気流の発生に寒気が必要なことがわかるはずだ。

051-15
と同時に、少なくとも上昇気流発生のメカニズムに関しては、熱帯
低気圧も温帯低気圧と同じであるということことに気付くはずであ
る。両者を全くの別物とみなすのは、誤りなのだ。

051-16
赤道無風帯では海水温(地表温度)が高いために、中高緯度(から)の
空気は寒気ということになるのである。このことに気が付かないか
ら、高海水温のことしか考えられなくなってしまうのだ。

051-17
事実、「専門家」たちは、高海水温エリアである赤道無風帯で上昇
気流が恒常的に発生することを理由に、高海水温を『上昇気流発生
の唯一の原因』と決め付けている。

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彼らのものの見方・考え方は、あまりにも『社会科』的だ。そうい
えば、気候学や海洋(に関係がある)学には、『社会科』的なところ
があるものである。

051-19
高海水温は、それだけでは上昇気流発生の原因にはならない。故に
台風発生の原因にもならない。そのことは、昨年や今年の台風の発
生のしかたを見ればわかることである。

051-20
昨年、気象庁は、エルニーニョを根拠に、冷夏予想をした。太平洋
西部の海水温が低くなるのだから、太平洋高気圧が強まらず、梅雨
明けが遅れたり、天気の悪い日が多くなると考えられたからだ。

051-21
だが、この冷夏予想は(初めのうちは当たったように見えたが)当た
らなかった。予想外の台風が発生して梅雨前線(とそのすぐ北の寒
気)を北に押し上げ、梅雨明けしてしまったのだ。

051-22
つまり、エルニーニョゆえに(平年よりも)低海水温であったはずに
もかかわらず、台風…それも梅雨前線を押し上げてしまうような台
風が発生してしまったのである。

051-23
これは、台風の発生に高海水温(であること)は必要ないということ
を示している。つまり、高海水温以外の何か(答えは寒気)が台風発
生の真の原因であることを示しているのである。

051-24
お次は、今年、北海道を襲った台風。NHKは、それが海水温の高
い海域で発生したことを示す映像を流した。ところが、海水温の高
い海域が他にもあり、そこでは台風は発生しなかったのだ。

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つまり、よく見ると、NHKが流した映像は、実は、同じ高海水温
なのに台風が発生した海域と発生しなかった海域とがあったことが
わかる映像だったのである。

051-26
これは、海水温と台風発生との間に相関性が無い(∴再現性も無い)
ことを示す決定的証拠である。海水温の高さを台風発生の原因とし
たNHKの解説は、全くのインチキだったわけである。

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繰り返すが、地球上で最も(平均)温度が高いエリアである赤道無風
帯で上昇気流が発生するのは、そこよりも温度が低い中高緯度の空
気(大気)のおかげなのだ。

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もちろん、中高緯度が相対的に低温なのは、赤道無風帯が高温であ
ることが原因だが、それは地球温暖化(温室効果ガス)とは全く無関
係なことである。

051-29
ちなみに、地球温暖化説では、高緯度ほど温暖化が進むことになっ
ている。ならば、中高緯度と赤道無風帯との温度差は小さくなり、
赤道無風帯での上昇気流は弱まることになるはずだ。

051-30
従って、強い台風(熱帯低気圧)が発生しやすくなるわけがないので
ある。地球温暖化説は、反物理学の巣窟である。だが、教科書の熱
帯低気圧に関する説明が、このニセ科学を正当化してくれるのだ。

051-31
つまり、「教科書では上昇気流(台風)発生に関係があるのは高海水
温と潜熱(と転向力)ということになっているのであるから、中高緯
度(の大気)との温度差は関係がない」と論じれるわけである。

051-32
こうして、温度差が小さくなってしまうことが問題ではないことに
されてしまうのである。教科書に嘘が書かれているのは、「歴史」
に限ったことではない。『気象』も実はそうなのである。

051-33
要するに、『大気の(温度差によって生じる)重さの差』こそが上昇
(下降)気流発生の本当の原因であるということを教科書が教えない
から、反社会的なニセ科学が力を得てしまうのである。

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