050-01
ならば、上昇気流についてはどうかというと、これまたデタラメな
のだ。結論から先に言うと、ヒートアイランドにより上昇気流が発
生することは物理的にあり得ない。

050-02
もしヒートアイランドにより上昇気流が発生するのなら、それを利
用した風力発電が可能なはずだ。だが、そんな実現例は存在しない
し、計画や案も存在しない。

050-03
高温となる原因がヒートアイランド現象である場合に限らず、空気
(大気)は高温になっただけでは上昇しない。膨張しようとするだけ
である。

050-04
確かに、上方向へ膨張すれば空気の上昇が起きるだろうが、温度上
昇がよほど急激でないかぎり、その速度は極めて遅いものにしかな
らないはずだ。

050-05
一方、ヒートアイランド現象が起きる都市部は、寒暖の差が大きく
はないのが普通である。ならば、急激な温度上昇は期待できず、故
に、空気の大きな上昇速度も期待できはしないだろう。

050-06
となると、空気の上昇の主要因となり得るのは、空気が膨張により
軽くなることしかないだろう。だが、軽くなった空気しか存在しな
い状況では、空気の上昇は起こらない。重さに差が無いからだ。

050-07
軽くなった空気が上昇するためには、軽くなっていない空気が必要
なのだ。つまり、低温の空気(高温になっていない空気)が、そこに
存在する必要があるのである。

050-08
一方、ヒートアイランド現象が起きるようなところでは、低温の空
気は存在し得ないはずだ。故に、上昇気流が生じるわけがないので
ある。

050-09
もし都市部の上空で上昇気流を受けたような体験をすることがある
とすれば、それは、ヒートアイランド現象による上昇気流のせいで
はなく、ビル風や海風などによるものであろう。

050-10
ビル風というと、普通は(空気が)ビルの側面に迂回しようとするよ
うな吹き方をする風のことを指すが、これとは別に、ビルを乗り越
えようとするような吹き方をする風もあるのだ。

050-11
流れようとする空気にしてみれば、ビルの側面も上面(屋上)も同じ
なはずである。そして、空気がビルの上面の方に迂回しようとすれ
ば、上向きの気流が生じることになるはずである。

050-12
一方、都市部には、ビルなどの建造物が数多く存在する。ならば、
その上空を飛行した時に上昇気流を受けることがあったとしても、
別に不思議なことではないだろう。

050-13
一方、これとは別に考えられるのが、海風などが向かい風となって
起きる誤認である。これは、飛行物体が向かい風を受けると、揚力
が増して、「上昇気流を受けた」と錯覚する…という可能性だ。

050-14
向かい風を受ける状況になれば、空気と飛行物体との相対速度が増
し、飛行物体が推進速度を増したのと同じような状況となるのであ
るから、揚力は増すことになるはずだ。

050-15
一方、昼間、内陸部の田舎の方から、海に近い都市部の方に飛行す
れば、海風を向かい風として受けることになるだろう。また、高地
から低地へ飛行する場合も、同様の状況となるだろう。

050-16
このように、『ヒートアイランドによる上昇気流』体験は、他の現
象を誤認したものなのである。そもそも、物理的にあり得ない現象
を体験できるわけがない。

050-17
とても重要な(ことなのに未だに無視され続けている!)ことなので
繰り返すが、高温の空気(軽い空気)だけでは、空気の上昇は起こら
ない。低温の空気(重い空気)が必要なのだ。

050-18
だが、空気が高温になるエリアには、低温の空気は存在し得ない。
そこで必要となってくるのが、そのエリアへの『低温の空気の流れ
込み』なのである。

050-19
低温の空気(重い空気)が流れ込んでくれば、高温の空気(軽い空気)
が上昇することができる。さらに、(流れ込んできた)低温の空気が
高温になるならば、(新たな)軽い空気となる。

050-20
従って、そこに新たに低温の空気(重い空気)が流れ込んでくれば、
高温になった空気は上昇することができる。こうして、上昇気流が
発生し続けることができるわけである。

050-21
実は、これこそが、『空気が地表(海面)に温められることにより生
じる上昇気流』の発生メカニズムなのだ。たとえば、赤道無風帯に
生じる上昇気流が、その一例である。

050-22
赤道無風帯で生じる上昇気流は、高緯度からの低温の空気の流れ込
みがあるから生じるのだ。だからこそ、極地との「大気の大循環」
(の一部)となり得るのである。

050-23
陸風(海風)に関与する海(陸)での上昇気流もまた、陸(海)からの低
温の空気の流れ込みがあるから生じるのだ。こちらは、海と陸との
熱交換をする大気循環(の一部)となっている。

050-24
冬型の気圧配置である「西高東低」の「東低」の低気圧で生じてい
る上昇気流も、大陸からの低温の空気の流れ込みがあるから生じる
ものなのだ。

050-25
では、ヒートアイランド現象が起きている都市部には、低温の空気
が流れ込んでいるであろうか? 答えは「ノー」である。従って、
それが原因の高温による上昇気流は発生し得ないのだ。

050-26
それに、もし低温の空気が流れ込んでくることになれば、都市部の
高温の度合いは弱まってしまうだろう。なぜなら、風通しの悪さゆ
えに熱がこもりやすいことが、高温になる原因の一つだからだ。

050-27
ここで、再び、西高東低の冬型の気圧配置に関する話。ついでだか
ら、今度は、「西高」の高気圧で生じている下降気流が生じる原因
について考えてみて欲しい。

050-28
地表に冷やされた空気は、海から(高空経由で)高温の空気が流れ込
んでくるから、下降することができるのである。上昇も下降も、温
度(→重さ)の異なる空気(の流れ込み)が必要なのだ。

050-29
ちなみに、海水温が低いと、海からの空気の高温の度合いが弱まる
ので、(陸の)低温の空気の下降の勢いも弱まることになり、高気圧
が発達しにくくなる。

050-30
そうなれば、陸から海への低温の空気の流れ込みが活発ではなくな
るので、(海での)上昇気流も活発なものにはならず、低気圧が発達
しにくくなる。

050-31
すると、(高空経由での)海から陸への高温の空気の流れ込みが活発
ではなくなり、陸での下降気流も活発なものにはならず、高気圧が
発達しにくくなり…という負のスパイラルになる。

050-32
かくして、西高東低の冬型の気圧配置は崩れやすくなり、暖冬とな
る。エルニーニョの冬は、まさに、このケースである。海水温の低
さが、暖冬の原因なのだ。

050-33
一方、海水温が低いと、その上に存在する空気もそれほど高温には
ならないので、陸から(海へ)の空気の流れ込みがあったとしても、
活発な上昇気流の発生は起こらない(∴低気圧が発達しにくい)。

050-34
だから、東方の海上に停滞性の低気圧が発達しにくくなる。その代
わり、南方の海上に移動性の低気圧が発達することは多くなる。陸
との大気循環が起きやすい海域が、東方から南方に代わるのだ。

050-35
陸から海へ同じ低温(温度)の空気が流れ込んだ場合、海水温が低い
(東方の)海域よりも、海水温が高い(南方の)海域の方が、(高温の)
空気が上昇する勢いが強くなるので、低気圧が発達しやすくなる。

050-36
こうして、陸からの低温の空気は、南方の海域に流れ込みやすくな
り、東方の海域には流れ込みにくくなる。それ故、東方の海域では
低気圧が発達しにくくなる。

050-37
それ故、冬の季節風が吹くことが少なくなり、海水が冷やされるこ
とも少なくなる。さらに、黒潮などの暖流の影響があるので、東方
の海域の海水温は上昇し高くなってくる。

050-38
すると、上昇気流が発生しやすい状況となり、陸からの低温の空気
の流れ込みが活発になって、低気圧が発達しやすい状況となる。そ
のため、低気圧が南方(の海域)から東方へと移動してくる。

050-39
これが、いわゆる俗に言う「南岸低気圧」のメカニズムである。南
岸低気圧は、実は、海水温が低いと発達しやすい低気圧なのだ。だ
から、黒潮などの暖流に沿うように移動するのである。

050-40
なぜなら、そこは、海水温が高い状態が(比較的)維持されやすいエ
リアだからだ。陸から低温の空気が流れ込んで空気の上昇が起き続
けられるのは、そういうエリアしかあり得ない。

050-41
つまり、南岸低気圧が東へ移動する現象というのは、見かけ上の表
現にすぎず、実際には、陸から低温の空気が流れ込んで上昇気流が
発生するエリアの中心が東へ移っていく現象なのだ。

050-42
だから、前線を伴った姿をしているのである。その前線の西側には
寒気団が存在するが、南北に細長くのびた島のような形状をなして
移動してくるのが特徴である。

050-43
それ故、例年だと連続的なものになりやすい『大陸から日本列島へ
の寒気の流れ込み』が、途切れやすくなる。さらに北日本では、寒
気団が南の方にのびている分、寒気が弱まる。

050-44
一方、北日本よりも南の地域では、南の方までのびた寒気団のせい
で、暖冬でありながら一時的に気温がかなり低い温度まで急激に下
がったり、強い嵐に見舞われたりする。

050-45
なお、言うまでも無く、この寒気団が日本列島の真上以外に位置し
ている時は、これが南から暖かい空気を招き寄せる影響で、日本列
島は気温が例年に比べて大幅に高くなる。(暖冬の度合いが増す。)

050-46
ここで再び話を南岸低気圧に戻すと、それは暖流が流れるエリアで
発達し移動していく低気圧であった。そして、そうした低気圧であ
るが故に、騙しのネタとして利用されてしまうのである。

050-47
つまり、騙す側は、(暖流が流れているが故に)海水温が高いエリア
に発達することをいいことに、「南岸低気圧は、海水温が高いと発
達する低気圧である」と話をすり替えてしまうのである。

050-48
そうすることで、『南岸低気圧の発達』を『海水温の高さ』のせい
にし、『地球温暖化が進んでいる証拠』に仕立て上げてしまうので
ある。実に破廉恥なトリックである。

050-49
海水温の低さが原因である現象が、御用学者どもの手にかかると、
海水温の高さが原因である現象にされてしまうのだ。こうした腐敗
ぶりでは、安部政権も民主党政権や小泉政権等と少しも違わない!

050-50
もっとも、空気の上昇や下降が起きるためには、温度差が必要なこ
と、また、それ故に、異なる温度の空気の流れ込みが必要であるこ
とを知っていれば、御用学者どもに騙されることはないはずだ。

050-51
また、エルニーニョが、日本(列島)にとっては、海水温が低くなる
現象であることも忘れてはならない。そして、それは、太平洋の赤
道付近を西へ流れる暖流が弱まることで起きることなのだ。

050-52
この暖流が弱まることで、その下流となる黒潮なども弱まるので、
高温の海水の供給が弱く、故に、海水温が上がらず、大陸からの寒
気の流れ込みがあると海水温がすぐに下がってしまう。

050-53
だから、温度差が小さくなりやすく、故に、上昇気流が弱まりやす
く、故に、低気圧が弱まりやすく、故に、西高東低の冬型の気圧配
置が崩れやすくなるので、暖冬になるのである。

050-54
では、なぜ、太平洋の赤道付近を西へ流れる暖流が弱まるのかとい
うと、それは、赤道無風帯の上昇気流が弱まって、貿易風が弱まる
からだ。ならば、なぜ、赤道無風帯の上昇気流が弱まるのか?

050-55
それは、赤道付近の海水温が低くなっているからだ。大陸からの活
発な寒気(団)の流れ込み、それによる強い嵐の発生等により、海水
は実は内部エネルギーを大量に失っているのだ。

050-56
嵐がやって来ると海水がかき混ぜられて海面付近の水温が下がるこ
とを知っている人は結構いるが、嵐が発生すると海水がエネルギー
を失って水温が低下することを認識している人は極めて少ない。

050-57
嵐(の状態になっている大気)にエネルギー(や水分)を与えたのが海
水なら、海水はそれによりエネルギーを失ったはずだ。エネルギー
保存則を無視しなければ、このことが認識できるはずである。

050-58
にもかかわらず、多くの人が認識できずにいるのは、「嵐とは、海
水温(海水の内部エネルギー)が、ある値以上になると、発生・発達
するものなのだ」という思い込みがあるからであろう。

050-59
実は、こうした思い込みをしているのは、気象(学)の勉強をしたこ
とがない素人や門外漢だけでなく、いわゆる「専門家」たちの中に
さえいるのだ。そして、その原因は、教科書にあるのである。

050-60
詳細は次項(051-)で説明するが、教科書の熱帯低気圧の発生・発達
のメカニズムの説明が、まるっきり、海洋原理主義に基づく説明に
なっているのだ。

050-61
つまり、熱帯低気圧発生・発達の原因について、『海水温の高さ』
のことには触れても、『寒気(低温の空気の流れ込み)』のことには
一切触れず、『温度差』のことにすら触れないのである。

050-62
そんな思想偏向した教科書で勉強したのでは、「嵐の発生・発達は
海水温だけで決まる」といった、とんでもなく間違った思い込みを
してしまうのも無理はないだろう。

050-63
教科書が何と言おうと、温度差(低温の空気)が無ければ(高温の)空
気の上昇(→嵐の発生・発達)など物理的にあり得ないことだ。赤道
無風帯の上昇気流も、高緯度からの低温の空気が関与している。

050-64
この上昇気流は『赤道⇔極地』間の「大気の大循環」の一部をなす
上昇気流だが、高緯度からの低温の空気が(赤道無風帯に)流れ込ん
でくるから(温度差→重さの差→上昇気流が)生じるのである。

050-65
もし、この高緯度からの低温の空気の流れ込みが無ければ、赤道無
風帯に高温の空気がこもることになるだけである。空気がどんなに
高温になっても、同じ温度の空気ばかりでは、上昇はしない。

050-66
このように、高緯度からの恒常的な低温の空気の流れ込みが「大気
の大循環」の上昇気流を発生させるのだが、その一方で、時折、大
陸から低温の空気が流れ込むことがある。

050-67
この大陸からの低温の空気が、熱帯低気圧の上昇気流を発生・強化
(発達)させるのである。なお、冬のように、その流れ込みが続く場
合は、「偏西風の蛇行」の原因になる。

050-68
このように、大陸から流れ込む『低温の空気』は、海における上昇
気流を左右し、熱帯低気圧や「偏西風の蛇行」といった気象現象を
左右する、極めて重要な因子なのである。

050-69
にもかかわらず、教科書は触れないのである。教科書がこんな調子
では、「ヒートアイランドで上昇気流が生じる」などと思い込む者
が大量発生してしまっても、別に不思議なことではないだろう。

050-70
嘆かわしいことに、最近では「砂漠化が進むと、空気があたためら
れて上昇気流が発生し、低気圧が発達しやすくなる」などといった
(もちろん間違った)理論まで登場してきている。

050-71
これも「ヒートアイランド…」のケースと同じで、上昇気流の発生
には低温の空気(の流れ込み)が必要であるということがわかってい
ない者たちが唱える理論である。

050-72
それに、砂漠は、昼間は確かにかなりの高温になるが、夜間は逆に
かなり冷え込むのである。つまり、その前半部分で理論は破綻して
しまっているのだ。

050-73
非常に困るのは、この『砂漠化→低気圧発達』論が、一部の(太陽
活動低下→宇宙線飛来量増加→)地球寒冷化論者たちの間で、シベ
リア高気圧南下の原因の説明に用いられていることだ。

050-74
彼らは、上昇気流の発生に低温の空気が必要なことがわかっていな
い上に、気圧原理主義に支配されてしまっている。なぜなら、高気
圧南下の原因を『低気圧の発達』のせいにしているからだ。

050-75
『シベリア高気圧の南下』というが、実際には『シベリア高気圧の
中心の南下』であり、これは内陸の“空気が冷やされる域”が以前
よりも低い緯度にまで広がってきていることを示すものだ。

050-76
そして、それは『太陽活動低下→宇宙線飛来量増加→沿岸部の雲増
加→内陸部の雲減少→内陸部での放射冷却強化』で説明のつくこと
である。

050-77
にもかかわらず、(それも宇宙線気候影響論者たちが)気圧原理主義
的な説明に陥ってしまうのは、これまた(気圧原理主義を刷り込も
うとする)教科書のせいであろう。

050-78
その一方で、地球寒冷化論者(宇宙線気候影響論者)たちは「宇宙線
は、地球上のあらゆる場所の上空の雲を増やす」という勘違いをし
てしまっている。

050-79
雲が発生・発達するのに十分な量の水蒸気を含まない大気に、宇宙
線がどんなに降り注いでも、雲は発生・発達しない。つまり、雲が
増えるエリアと、そうでないエリアとが生じるのだ。

050-80
そして、あるエリアで雲が増えると、雲になった分だけ、大気から
水蒸気が失われてしまうことになるので、別のエリアでは雲が減っ
てしまうことになる。

050-81
それ故、雲が多いエリアと少ないエリアとの格差が広がることにな
る。つまり、宇宙線は『雲を増やすもの』というより『雲の分布を
極端化させるもの』なのである。

050-82
宇宙線は、確かに水蒸気の凝結を促すが、(雲の原料となる)水蒸気
の量を増やしはしない。ならば、保存則により、あるエリアで雲が
増えれば、別のエリアでは雲は減ることになるはずだ。

050-83
大陸内陸部は、水蒸気の供給源である海から遠く、そのために雲が
少なくなりがちなエリアなのであるから、宇宙線の影響が強まると
雲が減るエリアとなる。

050-84
それ故、温室効果が低下し、放射冷却が強まり、寒気が発生しやす
くなる。かくして、冬の寒波の強まりも、シベリア高気圧の中心の
南下も、「宇宙線」で説明がついてしまうのである。

050-85
さらに、冬に限らない嵐の強大化も、気温や水温の異常上昇も、説
明がついてしまう。せっかく宇宙線に注目していながら、これらの
ことに気付かないとは、何とも、もったいないことである。

050-86
それもこれも、上昇気流の発生には低温の空気が必要であることを
知らない(∵国が自国民に教えない)からである。だから、寒気やそ
の発生源に関心が行かないのだ。

050-87
それ故、大陸内陸部の上空の雲の減少にも、関心が行かないわけで
ある。一方、戦後の悪平等思想教育は、『宇宙線の雲を増やす効果
は、あらゆるエリアに平等に及ぶ』という勘違いに人を陥らせる。

050-88
その結果、『宇宙線は、あらゆるエリアの雲を増やす』という思い
込みに人を陥らせ、『大陸内陸部の雲は減少する』という指摘を全
く受け付け(られ)ない状態にしてしまう。

050-89
平等(一様、均一)は、人間が抱く理想であって、事実や実態ではな
い。思想には、水蒸気分布が一様ではないことや、雲の発生には水
蒸気が必要であることを忘れさせてしまう毒性があるようだ。

050-90
そんな思想の毒性に加えて、上昇気流の発生に低温の空気が必要な
ことへの無知があるのなら、『大陸内陸部の雲は減少する』という
指摘を受け付けられないのは当然のことであろう。

050-91
気流(風)は、大気(空気)の温度差によって生じる重さの差によって
生じる。ところが、呆れたことに、教科書には「気圧の差によって
生じる」などという説明しか載っていないのだ!

050-92
確かに気圧の差があれば気流(風)は生じるが、気流発生の根元的な
原因ではない。事実、「ならば、なぜ、気圧の差が生じるのか?」
という疑問が当然生じてくる。

050-93
ところが、教科書には、その説明が無い。これは当然のことだ。な
ぜなら、この『気圧の差』による説明は、天気図(気圧配置図)を読
むための知識でしかないからだ。

050-94
つまり、「こういう気圧配置(気圧傾度)になっていると、こういう
風の吹き方になる」と推測するテクニックのための知識なのであっ
て、物理的なメカニズムを説明するものではないのである。

050-95
事実、『気圧の差』を気流(風)発生の原因とする理論では、「偏西
風(上空の風、ジェット気流)」も「高気圧の縁を回るような空気の
流れ」も「前線に向かう空気の流れ」も説明できない。

050-96
説明できるのは、低気圧の中心から遠くないエリアでの風の吹き方
ぐらいなものだ。それもそのはず。これは、もともと、低気圧によ
る嵐の風の吹き方を推測するテクニックのための知識なのだ。

050-97
低気圧による嵐の風に注意するのは、それがもたらす被害や脅威の
ことを考えれば、当然のことである。たとえば、前線による嵐の風
と比較してみるといい。

050-98
強い風を吹かせる前線(寒冷前線)は、強い風が吹くエリアが狭い上
に、動きが速いので、すぐに過ぎ去る。一方、動きの遅い前線は、
強い風を吹かせない。

050-99
これに対して、低気圧の場合は、強い風が吹くエリアが狭くない上
に、動きが速くないので、広い範囲が強い風の脅威にさらされるこ
とになる。

050-100
ならば、低気圧の風の推測には(そこそこ)通用するテクニックが重
んじられても、別に不思議ではないだろう。たとえ、物理学的にお
かしなところがあったとしても。

050-101
気象屋の世界では、結論が容易に得られることが重要で、実用性が
重んじられる。それ故、物理学的におかしい理論でも、実用上役に
立つのなら、認められてしまうことがよくあるのだ。

050-102
また、逆に、物理学的に正しい理論でも、扱いにくいものは、実用
性の魅力を欠くので、相手にされないこともあるわけである。これ
が、気象屋の世界の実態である。

050-103
最近の「専門家」や教育者には、こうした実情が全然わかっていな
い連中が多いように思えてならない。だから、気流(風)に関しても
気圧原理主義的な説明を絶対視していられるのだろう。

050-104
それが証拠に、彼らの説明(教科書も含む)には、上昇(下降)気流の
発生に低温(高温)の空気が必要なことが出てこない。空気の重さの
差が必要なことすら出てこないのだ。

050-105
これでは、気圧が低(高)くなること(気圧が低(高)いところが生じ
ること)が説明できない。説明できないことだからこそ、思想狂い
の連中はそれを『原理』とするのである。

050-106
ついでに指摘しておくと、偏西風原理主義も海洋原理主義も「湿っ
た空気」原理主義も手口は同じで、自分たちが説明できないことを
『原理』とすることで、問いを封じ込めるのである。

050-107
思想の世界において原理は、宗教における神と同様に根元的なもの
であり、それに関して問いを発することはタブーであり無意味なの
だ。だから、疑似科学は思想化というトリックを用いるのである。

050-108
困ったことに、気象学は、この思想トリックがやりやすい分野なの
である。なぜなら、物理学的にナンセンスな理論でも、実用上役に
立つことがあれば、採用されてしまうことがある世界だからだ。

050-109
そもそも、単に実用上役に立つから使われているというだけのテク
ニックを、『物理学的根拠のある理論』と勘違いするのは、真の専
門家や教育者のすることではない。

050-110
気圧の高低も、大気の温度差による重さの差によって生じる。その
ことに踏み込まないのは、半可通以下の者がとる姿勢だ。気圧原理
主義は、『猿の浅知恵』レベルの思想である。

050-111
「異常気象」の本当の原因を突き止めるためには、物理学的な考察
が絶対不可欠のはずである。従って、気流(風)発生の力学的根源は
『大気の重さの差』としなければならないはずである。

050-112
『大気の重さの差』が存在するためには、『大気の温度の差』が必
要であり、そのために『温度の異なる大気』が必要になる。したが
って、上昇気流の発生には『低温の空気』が絶対に必要になる。

050-113
だが、『低温の空気』を上昇気流発生の因子にしてしまうと、『海
水温の高さ』のせいにはできなくなってしまい、「異常気象」を地
球温暖化のせいにはできなくなってしまう。

050-114
だから、『低温の空気』を上昇気流発生の因子とは認めないのであ
る。地球温暖化説や海洋原理主義のためなら、物理さえ平気で無視
するのが、今時の「専門家」や教育者なわけだ。

050-115
気圧原理主義は、便利だから使っているにすぎないテクニックを乱
用したニセ科学だが、これが海洋原理主義(海水温の高さのせいに
するニセ科学)を支えていることは非常に興味深い。

050-116
要するに、なんでもかんでも『海水温の高さ』のせいにしたいわけ
である。だから、エルニーニョが、まるで世界中の海の水温が高く
なる現象であるかのような「解説」をしたがるのである。

050-117
特に冬は都合のいい時期で、例年だと冷たい風がよく吹きつける海
域を話題にすれば良いわけである。そして、その際、ネタにされる
のが、海産物をはじめとする海の生き物や流氷なわけである。

050-118
逆に話題にしたがらないのが、北極海氷や沖縄の珊瑚である。ラニ
ーニャの時は、あれだけ騒ぎ立てるのに…だ。それはともかく、北
極海氷をめぐって何が起きるのか、よく考えてみて欲しい。

050-119
エルニーニョになると、あたたかい海水が北極海に流れ込みにくく
なるから、北極海氷は増える。そして、これは、寒気が発生するエ
リアが増えるということでもあるのだ。

050-120
寒気が発生するエリアが増えれば、間違いなく、寒冷化が進む。つ
まり、エルニーニョがあまり長く続くと、地球寒冷化が進行するお
それがあるのだ。

050-121
それに、エルニーニョが異常に長く続いているのは、海水が内部エ
ネルギーを失い、赤道無風帯での上昇気流が弱まっているからだ。
ならば、寒冷化にこそ警戒すべきであろう。

050-122
それにしても、エルニーニョなのに「海水温が高い」とほざくのに
は、つくづく呆れさせられる。それなら、なぜ、冬型の気圧配置で
ある西高東低の気圧配置の低気圧が発達しにくいのか?

050-123
「西高東低」の低気圧は、洋上に発生・発達する低気圧である。従
って、海水温が本当に高いのなら、発達しやすいことになるはずな
のだ。

050-124
特に海洋原理主義では『海面温度の高温』だけを『上昇気流発生の
原因』とするのだから、なおさらである。なのに、実態は正反対な
のである。これは、あまりにお粗末な矛盾である。

050-125
以上のことから、「海水温が高い」という話が、全く局所的(かつ
一時的)な現象を地球規模的(かつ持続的)な現象であるかのように
錯覚させるための惑わしトリックであることがわかると思う。

050-126
ちなみに、エルニーニョの冬に「海水温が高い」という話のネタに
されるのは、例年だと冷たい風が吹きつける海域なのであるが、こ
れは、海水温が風に左右されていることを示すものだ。

050-127
つまり、海水温が主導的なものではないこと、すなわち、原理とす
ることができるようなものではないことを示しているのである。こ
れは、海洋原理主義を根幹から否定するものだ。

050-128
このように、「地球温暖化」を演出しようとしてエルニーニョの冬
に「海水温が高い」と騒ぐと、それを支えるはずの海洋原理主義の
矛盾が(少なくとも)二つも露呈してしまうことになるのである。

050-129
そういう自殺行為的なことをやっている「専門家」たちは、なぜか
「海水温が低くなると気象や気候はどうなるのか?」という話はし
たがらない。

050-130
これは全く奇妙な態度である。海水温が低くなることもまた、環境
変化となることのはずであり、異常気象や気候変動を招くことにな
ることのはずだ。

050-131
海水温が高くなると気象や気候が極端化するということは、海水温
が低くなると気象や気候が穏やかになるということか? もしそう
なら、高緯度や寒冷期ほど気象や気候は穏やかになるはずだ。

050-132
ところが、実際は、そのようにはなっておらず、むしろその逆なの
だ。なるほど、これでは、海水温が低くなった場合の話など出来る
わけがない。

050-133
ちなみに、海水温が低くなると、空気の湿り具合が弱まるはずであ
るから、雲が減り、陸での放射冷却が強まって、(嵐の原因となる)
寒気団が発生しやすくなる…ということになるはずである。

050-134
これは海洋原理主義(「湿った空気」論)としては珍しく事実(実態)
とよく一致する結論なのだが、「専門家」たちは、なぜか、この結
論を完全無視するのだ。

050-135
要するに、「専門家」と呼ばれている連中は、地球温暖化詐欺幇助
の確信犯なのであり、また、そのために、己の信仰さえをも卑しめ
犠牲にする狂人の群なのである。

050-136
そんな彼らが完全無視する結論を、あと二つだけ挙げておこう。ま
ずは、『海水温が低くなると、空気の湿り具合が弱まるので、降雪
量→積雪量が減り、根雪が無くなる日が早まる』という結論だ。

050-137
そして、もう一つは、『海水温が低くなると、海での上昇気流が弱
まり、大陸への大気の供給量が減るので、大陸での下降気流が弱ま
り、シベリア高気圧が発達しにくくなる』という結論である。

050-138
この二つ目のものは、西高東低の気圧配置の「西高」の高気圧が、
「東低」の低気圧と同様に、発達しにくくなるというもので、これ
また冬型の気圧配置が崩れやすくなる原因を説明するものだ。

050-139
このように、海洋原理主義も、適切に用いれば、そこそこ正しい結
論に到達し得るのである。だが、まともな理論さえ適切に用いるこ
とができない連中に、そんなことができるわけがない。

050-140
ガラクタ理論でも、正しい部分が少しでもあれば、その正しい部分
を活かすことにより、それなりの結論に到達することはできる。問
題は、その正しい部分というのがどこなのか?だ。

050-141
たとえば、海洋原理主義の場合、『空気よりも高温の海水は、空気
をあたためる』とする部分は正しいが、『水温が高い海水は、空気
を上昇させる』とする部分は(二重の意味で)正しくない。

050-142
既に説明したように、(空気よりも)高温の海水により空気があたた
められたところに、(まだあたためられていない)低温の空気が流れ
込んでくることで、(あたためられた)空気が上昇するのである。

050-143
そして、この話は、「海水」を「陸地」に置き換えても通用する話
なのである。事実、海風の原因の一つである上昇気流は、陸で生じ
る。海だろうが、陸だろうが、関係ないのだ。

050-144
そういえば、海洋原理主義には「水温が低い海水は、空気(大気)を
下降させる」という話は出てこない。海(水)も、温度が低いと、重
要な存在ではなくなるらしい。

050-145
このように、海洋原理主義は、実は「海」のことなど全く尊重して
いない、単に地球温暖化説のために利用しているだけの、「政治主
導」型ニセ科学思想にすぎないのである。

050-146
にもかかわらず、「海」に関係のある「専門家」たちの中に、そん
なものに尻尾を振っている者たちがいる。彼らもまた、自分の立身
出世のために「海」にかかわってきただけの連中なのだろう。

050-147
もし本当に地球温暖化が進んでいるのなら、エルニーニョが起きた
時に太平洋の東側の海域の水温が「過去最高」を記録することが多
くなるはずだ。

050-148
ところが、エルニーニョの冬に「海水温が例年よりも高い」と説い
て恐怖を煽る「専門家」たちは、この海域(太平洋東側海域)の水温
のことを全く話題にしないのである。

050-149
つまり、この海域(太平洋東側海域)の水温について、過去に起きた
エルニーニョの時(の同海域の水温)との比較をしたがらないのであ
る。これは、一体、どうしたことか?

050-150
ご存知のように、エルニーニョとは、もともと、この海域の水温が
異常に高くなる現象のことを言う。つまり、この海域は、エルニー
ニョの定義には不可欠な最も重要な海域なのだ。

050-151
そういう海域のエルニーニョ時の水温の長期的「変動」傾向につい
て、「気候変動」屋たちが触れたがらないのは、あまりにも奇妙な
ことだと言わざるを得ないのである。

050-152
触れたがらないのは、上昇傾向が見られないからだろう。そういえ
ば、彼らは、ラニーニャの時も、この海域の水温に関する話をした
がらない。

050-153
要するに、たとえ学問上どんなに重要な海域でも、水温が高温(化)
傾向にない海域は、徹底的に無視するわけである。彼らが『海水温
の高さ』をネタにしたら、騙しだと気付かなくてはならない。

050-154
彼らは、厳冬・大雪のシーズンには、それを地球温暖化のせいにし
ていたはずだ。海水温の高さをネタにして。ならば、暖冬・少雪は
地球寒冷化による海水温の低さのせいということになるはずだ。

050-155
だが、そういうのは絶対に認めないのが、彼ら「専門家」の流儀な
のだ。要するに、地球温暖化説を持ち上げるために、「海水温の高
さ」を原因とする説しか認めないわけである。

050-156
つまり、『分析』も『検証』も、地球温暖化説に都合のいいように
なされた『解釈』にすぎない、はじめから結論ありきの世界なので
ある。そんなものを「科学」という人は、まずいないはずだ。

050-157
ついでだから指摘しておくと、海洋原理主義は、海水温と「偏西風
(ジェット気流、上空の風)」とが、どのような関係にあるのかを明
らかにしていない。

050-158
この「偏西風」は、高緯度⇔低緯度間の大気の大循環の一部なので
あるから、海水温が関係してくるはずである。特に海洋原理主義で
は、海水温だけで、その状態が決まってしまうことになるはずだ。

050-159
なぜなら、海洋原理主義は、陸の気象や気候への関与を完全否定し
ているからだ。ならば、「偏西風」の状態は、海水温だけで決まっ
て(求まって)しまうもののはずであろう。

050-160
ところが、「専門家」たちは、海水温と「偏西風」との間にあるは
ずの強い相関関係を明かさないのである。それはそうだ。実際、そ
んな相関関係があることを示す観測データは存在しないのだから。

050-161
そもそも、「偏西風」には、海だけではなく、陸もかかわってくる
のであるから、「偏西風」と海水温との間に単純な相関関係などあ
るわけがないのである。

050-162
だが、そのことを正直に認めてしまうと、空気(大気)の上昇という
現象が海水温だけでは決まらない現象であることを認めることにな
ってしまう。

050-163
そうなれば、「異常気象」を海水温の高さ(→地球温暖化)のせいと
は決め付けられなくなってしまう。だから、海水温と「偏西風」と
の関係について触れたがらないのである。

050-164
ちなみに、彼らは、ラニーニャの冬の時には、「海水温が高いため
に、偏西風が寒気を流れ込ませるように蛇行して吹いているので、
厳寒・豪雪になるのだ」と説明していたはずだ。

050-165
ならば、海水温が高い(と彼らが言い張っている)エルニーニョの時
も、偏西風が寒気を流れ込ませるように蛇行して吹いて厳寒・豪雪
になるはずであろう。

050-166
だが、実際は逆に暖冬・少雪になっている。このことからも、「海
水温が高い」というのが、全く局所的(かつ一時的)なことで、太平
洋全体のことではないことがよくわかるだろう。

050-167
偏西風原理主義もまた、気圧原理主義と同じく、海洋原理主義と関
係が深い疑似科学だ。そういえば、偏西風原理主義の世界では、高
気圧が「偏西風」蛇行の原因とされることが圧倒的に多い。

050-168
つまり、低気圧が「偏西風」蛇行の原因とされることが、まずない
のである。これは全く奇妙な態度だ。なぜ「偏西風」への影響に関
して高気圧と低気圧を差別したりするのか?

050-169
それは、一見、逆説的に思えるかもしれないが、「低気圧は、雨と
関係があるので、海と関係のあるものだが、高気圧は海とは関係の
ないものだ」という偏見が世間にはあるからだ。

050-170
つまり、海との関係が認識されているもの(=低気圧)を無視し、海
とは関係がないと誤解されているもの(=高気圧)を持ち上げること
で、海と「偏西風」との関係をわかりにくいものにするのである。

050-171
わかりにくくなれば、素人は「専門家」に頼らざるを得なくなる。
そして、「専門家」の言うことを信じざるを得なくなる。たとえ真
っ赤な嘘でも。それが、「専門家」どもの狙いである。

050-172
事実、「専門家」どもは、この手を使って、海水温と「偏西風」と
の間の全く恣意的かつ御都合主義的な関係を説く疑似科学を世間に
信じ込ませることに成功している。

050-173
聞き手は、「海水温」と「偏西風」という、わけのわからないもの
を二つも用いた(実はデタラメな)説明に圧倒され、ただただ盲信し
ているというのが実情であろう。

050-174
事実、「専門家」たちが聞き手から「偏西風には陸(や雲)も関係し
てくるのではないか?」という趣旨の質問を浴びせられたという話
は、聞こえてこない。

050-175
陸の関与を考えずにいられるのには、複数の理由がある。まず第一
に、聞き手は「偏西風」が『大気の大循環』の一部であることを知
らないということがある。

050-176
だから、大気循環の原動力である上昇気流や下降気流について考え
ることの意義が理解できないのである。(注:地球の自転は、気流
の向きを曲げるだけ。)

050-177
そして、もう一つの理由が、上昇気流や下降気流の発生に温度の差
が必要であることを知らないことである。だから、海と陸との温度
の差に注目することの意義が理解できないのである。

050-178
また、そのために、「偏西風」の蛇行の原因が『海と陸との温度の
差』であることも理解できない。だから、「高気圧が偏西風をブロ
ックして蛇行させる」などという嘘に簡単に騙されるのである。

050-179
もうお気づきのように、これは気圧原理主義、それも高気圧原理主
義による嘘である。一方、大気の大循環に関して「中緯度では偏西
風が蛇行することにより熱交換がなされる」という類の嘘もある。

050-180
高気圧原理主義に騙される者たちは、この種の嘘にも騙される。正
しくは「偏西風が蛇行することからもわかるにように、中緯度では
大気循環の様が経度や時間・時期により変化・変動する」だ。

050-181
そもそも「偏西風」は基本的には西の方から東の方に吹く風なので
あるから、そんな風が蛇行したくらいでは、高緯度⇔低緯度間の熱
交換が(十分に)行われるわけがない。

050-182
「偏西風」が蛇行するのは、海と陸との温度が異なることが、その
本当の原因である。温度が異なれば、上昇・下降といった大気の運
動のしかたが違ってくる。

050-183
それ故、大気循環の様(大気が、どの辺の緯度で上昇し、どの辺の
緯度で下降するのか?)が違ってくる。従って、「偏西風」が吹く
緯度も違ってくる。

050-184
一方、海と陸の分布の様は、経度により違っている。従って、陸と
海との温度が異なれば、経度により「偏西風」が吹く緯度も違って
くることになるので、その風帯は蛇行した形になるのである。

050-185
同じ緯度で陸と海との温度が異なるのは、両者の比熱が異なること
と、海水はその一部が蒸発して気化熱を奪うために温度が上がりに
くいということとが、その理由として挙げられる。

050-186
要するに、海と陸は、温まり方や冷め方が異なるために、温度が異
なることになるわけであるが、特に重要なのが、陸の方が温まりや
すく冷めやすいという点だ。

050-187
つまり、陸は海よりも温度の変動が激しいのである。そのために、
時間や季節により、大気に与える影響が大きく異なってくるのだ。
わずか半日のうちに『加熱⇔冷却』と正反対になることもある。

050-188
こうした変動の大きさや頻繁さに加えて、その温度が雲(日照や放
射冷却を左右する)の影響を受けやすいのも、陸の特徴である。そ
れ故、陸が大気に与える影響は極めて複雑なものとなる。

050-189
そして、これは、裏を返せば、海が大気に与える影響は単純である
ということを意味している。こうしてみると、海洋原理主義者には
楽をしたがる怠け者が多いということが推察できるだろう。

050-190
そもそも、大気に単純な影響しか与えないものが「気象の極端化」
の原因になるわけがない。水は、むしろ、気象を抑制しようとする
働きの強いものだ。

050-191
比熱の大きさや、気化熱の吸収・凝結熱の放出、雲になった場合の
遮光や放射冷却阻害など、水には温度の変化を抑える特徴がある。
それ故、水があると、大きな温度差が生じにくくなるのだ。

050-192
大きな温度差が無ければ、気象の極端化は説明がつかない。一方、
陸は水(海)と違って温度の変化が著しい。それ故、海との間に、か
なりの温度差が生じることがある。

050-193
ということは、気象の極端化の原因は『陸と海との温度差』という
ことになるはずであろう。このように、海洋原理主義は、温度差が
不可欠であるということを無視した疑似科学なのだ。

050-194
『地表・海面の温度差』が『大気の温度差』を生み、それが『大気
の重さの差』を生むことで『大気の運動』が生じる。『気圧の差』
は、実は、こうして生じた『大気の運動』の産物なのである。

050-195
つまり、温度差(→重さの差)がもとで生じた大気の上昇・下降運動
により『気圧の差』が生じるのである。一方、『気圧の差』が生じ
ると、大気の新たな運動が生じる。

050-196
大気が上昇して気圧が低くなった領域の付近では、その領域に大気
が流れ込む運動が、また、大気が下降して気圧が高くなった領域の
付近では、その領域から大気が吹き出す運動が、それぞれ生じる。

050-197
大気の流れ込み(吹き出し)が起きると、大気が流出した(流入した)
領域の気圧が下(上)がるので、新たな『気圧の差』が生じる。する
と、その付近の領域で『大気の運動』が生じる。

050-198
こうして、『大気の運動』→『気圧の差』→『大気の運動』→『気
圧の差』→『大気の運動』→…という連鎖反応が連続して起き続け
ることにより、風・気流が生じるのである。

050-199
従って、『気圧の差』は、『大気の運動』の原因にもなるが、結果
でもあるのである。それ故、せいぜい『卵が先か?鶏が先か?』の
『卵』か『鶏』ぐらいの位置づけにしかならない。

050-200
しかも、最初の『気圧の差』は、温度差(→大気の重さの差)によっ
て生じる『大気の運動』によって生じるのであるから、根源的な原
因では全くない。

050-201
従って、風が吹く原因を『気圧の差』とする説明は、やはり不適切
な説明であると言わざるを得ないのである。何より、温度差(→大
気の重さの差)が必要であることに触れない点が許せない。

050-202
温度差(→大気の重さの差)によって生じる『大気の運動』が無けれ
ば、『気圧の差』は生じないのであるから、それを無視するのは、
非科学・反科学以外の何ものでもない。

050-203
事実、気圧原理主義は、前線が起こす風を説明できない。だから、
「前線に向かって、南から(あたたかく湿った)空気が流れ込む」な
どという、すり替え屁理屈説明に終始するのだ。

050-204
「Aに向かって、BからCが流れ込む」という表現は、Cの流れが
生じる原因がAではなくBにある場合に用いられる表現だ。「専門
家」どもの説明は、やはり反科学的なデタラメ説明なのである。

050-205
温度差は、大気の運動(風、気流)だけでなく、雲の発生・発達にも
欠かせない因子だ。大気中の水蒸気が凝結するためには、大気の温
度が低くならなければならない。

050-206
温度が低くなるということは、元の『温度』とは『差』がある温度
になるということだ。そして、(大気の)温度が低くなるためには、
寒気と出合うか、上昇する必要がある。

050-207
寒気は、冷やされることになる大気とは『温度差』のある大気であ
る。一方、大気が上昇するためには、既に何度も説明してきたよう
に、大気の『温度差』(→重さの差)が必要である。

050-208
たとえ、大気が山にぶつかることで上昇する場合でも、その気流の
発生には大気の『温度差』(→上昇気流・下降気流→大気循環)が必
要なのであるから、やはり事情は同じである。

050-209
このように、『温度差』という因子が無ければ、気流や風はもちろ
ん、雲(降雨、降雪、雹、雷…等)もあり得ないことになってしまう
のである。『温度差』は、気象現象の最も重要な因子である。

050-210
そして、『温度差』を気象現象の因子としていないのが、気圧原理
主義であり、「偏西風」原理主義であり、海洋原理主義(「湿った
空気」論は、その一部)なのである。

050-211
したがって、これら三大疑似科学に支えられている地球温暖化説も
また、『温度差』を気象現象の因子とはしていない疑似科学という
ことになるのである。

050-212
『温度差』が気象現象の最も重要な因子である以上、気象の実態解
明や正確な予測のためには、『温度差』の十分な把握が不可欠なは
ずである。

050-213
だが、そのためには、大気の温度分布を十分に把握することが最低
限必要となるので、宇宙からの間接的な観測では不十分であり、直
接観測がどうしても必要となるのである。

050-214
ところが、小泉政権は、宇宙からの観測への依存度を高めさせて、
直接観測の体制を縮小してしまう「改革」を行った。そんなことを
すれば、予測の精度が低下してしまうのは当然のことである。

050-215
そこで、小泉政権は、事の真相を国民に悟られないようにするため
に、「専門家」たちに、こんな趣旨の論を展開してもらった。「地
球温暖化が進むと、天気が予測不能になる」と。

050-216
これは、物理的根拠が何一つ示されていない、結論だけの空理空論
なのだが、素人を煙に巻くのには十分効果があった。しかも、予測
不能は、新たな恐怖となって、地球温暖化説信仰強化に貢献した。

050-217
政治家が自分たちの利権のために「専門家」を利用して国民を騙す
という行為は、小泉政権の頃から始まった。これは、米国の裁判に
おける専門家証人が手本になっている。

050-218
米国の裁判では、依頼人が専門家(証人)に金銭を払うのは合法的な
ことであり、大金を積んで自分に都合のいい証言をしてもらうこと
もできる。小泉政権は、これを手本にしたのだ。

050-219
ご存知のように、小泉政権は、米国を猿真似して、国民裁判員制を
導入したり、法科大学院を設置するなどして弁護士増やしなどを行
った、司法ポピュリズム政権である。

050-220
要するに、小泉政権は、科学の場(世界)を法廷(司法)化することに
より、天動説などが絶対視された『中世の暗黒時代』のような社会
環境を科学にもたらしたのである。

050-221
裁判官・検察・弁護人を政治家に、陪審員・裁判員を(選ばれた)素
人国民に、証人を御用学者に置き換えてみるがよい。環境やエネル
ギーなどの分野で採られているやり方そのまんまである。

050-222
ちなみに、裁判で重要なのは、真実ではない。裁判官・陪審員・裁
判員が納得のいく筋書きである。そういう流儀を小泉政権は科学に
強制したのだ。そして、それは、今も継承され続けている。

050-223
裁判では、誤審(冤罪)がいくらでも起こり得る。しかも、一度、判
決(刑)が確定してしまうと、よほどのことでもない限り、それが覆
されることはない。

050-224
これこそ、環境やエネルギー問題をめぐる場で起きている社会現象
そのものではないか。事実、地球温暖化説や再生可能エネルギー無
害有益論といったニセ科学が未だにまかり通っている。

050-225
さらに、当たり前のことであるが、自然や二酸化炭素等の物質は、
死人(に口無し!)の場合と同じく、裁判に訴えたり、法廷で争った
りすることはできない。

050-226
また、裁判では、発言することのできる者は限定されてしまう。そ
れ故、科学(議論)の場を法廷化してしまうと、そこは権力側の人間
ばかりの政治集会となりはててしまうのだ。

050-227
言っておくが、『法』と『物質の法則』とは、似て非なるものであ
る。まず第一に、法は、人が─それも人間社会のために─つくった
ものである。従って、物質の法則とは全然違う。

050-228
第二に、法は、解釈により結論が変わってしまうものである。従っ
て、物質の法則とは似ても似つかぬ代物なのである。結論が変わっ
てしまっては、『再現性』が無いのと同じことになってしまう。

050-229
以上のことだけからでも、自然科学に司法の流儀を持ち込むなど、
とんでもないことであることがわかるだろう。だが、それは、小泉
政権以降の常識となってしまっているのだ。

050-230
政治家どもが科学を司法(裁判)化したがるのは、自分たちに都合の
いいことを証言する「専門家」ばかりを採用する(ことを正当化す
る)ためである。

050-231
ちなみに、恥知らずな専門家は、世間を騙し裏切ることに後ろめた
さを覚えないから、権力に貢献する。一方、無能な専門家は、お上
の嘘が見抜けないから、これまた権力に貢献する。

050-232
ちなみに、TV等に登場する気象予報士は、無能な専門家として権力
に大いに貢献している存在である。先日も、気象庁が降水量の予想
を大きく誤った際に、次のような戯けた言い訳説明をしていた。

050-233
なんと、「前線に向かって、あたたかく湿った空気が流れ込む場合
は、予想が難しいのです」とほざいたのである。予想が難しいのな
ら、なぜ(降水量の)予想値にもっと幅をもたせなかったのか?

050-234
予想が難しい(→実際の値が予想とかなり違ってくる可能性がある)
ことを知りながら予想値に十分な幅をもたせなかったのなら、気象
庁は重大な職務怠慢を犯したことになる。

050-235
それに、降水量の確かな予想はできないのに、『前線に向かって流
れ込んでくる空気』が『あたたかく湿った空気』であることはわか
るというのも、奇妙な話だ。

050-236
なぜなら、それは「前線に向かって流れ込んでくる空気に含まれる
H2O量等がわかっても、降水量は(少なくとも確定値の形では)求ま
らない」ということを意味することになる話だからだ。

050-237
別の言い方をすると、「前線に向かって流れ込んでくる空気に含ま
れるH2O量等が同じでも、降水量が別の値をとることがある」とい
うことになる。これでは、相関性が無いことになってしまう。

050-238
もっとも、「前線に向かって流れ込んでくる空気に含まれるH2O量
等が、ほんのわずかでも異なると、降水量が大きく異なってくる」
というのであれば、話は多少違ってはくる。

050-239
なぜなら、前線に向かって流れ込んでくる空気に含まれるH2O量等
は、観測によって得られる値ゆえ、誤差を含むので、降水量の予想
値が大きくはずれることがあり得ることになるからだ。

050-240
だが、前線に向かって流れ込んでくる空気に含まれるH2O量等のわ
ずかな違いで降水量が激変するというのは、物理的にあり得ない話
だ。飽和水蒸気量と保存則のことを思い出していただきたい。

050-241
空気(大気)中の水蒸気のうち、雨雲になるのは、飽和水蒸気量をこ
えた分である。だが、飽和水蒸気量は、温度により変化はするもの
の、その変化のしかたは、決して急激なものではない。

050-242
従って、空気(大気)中の水蒸気量や温度が少々違ったぐらいで、降
水量が全く違ってくるなんてことは、あり得ないのだ。また、H2O
は、空間から湧き出してきたり、消滅したりはしない。

050-243
つまり、保存則が成り立つ。ならば、前線に向かって流れる気流の
空気に含まれるH2Oの総量は、(観測地点があるはずの)流れの上流
と前線の位置とでは違わないはずである。

050-244
従って、降水量の予想を大きく外すということは、考えられないこ
となのである。予想が大きく外れたのは、凝結する(雨雲になる)水
蒸気の量の見積もりを大きく誤ったからだ。

050-245
見積もりを誤るのは、見積もり方が間違っているからであり、その
理論が間違っているからである。事実、気象屋どもは、水蒸気の凝
結という現象に関して、間違った理論を盲信・狂信している。

050-246
もう何度も説明しているように、空気(大気)中の水蒸気が凝結する
ためには、空気が冷やされなければならない。従って、空気がどれ
だけ冷やされるのかを知る必要があるのだ。

050-247
そのためには、空気(大気)を冷やそうとしてくるもののことを最低
限把握する必要がある。それは、具体的には、寒気に関するデータ
である。

050-248
寒気の(相対的な)強さや分布のしかた等の違いにより、空気(大気)
中の水蒸気がどれだけ凝結するかも違ってくるから、降水量も違っ
てくることになる。

050-249
従って、寒気に関する(正確かつ十分な)データ無しに、降水量を正
確に予測することは、絶対にできないのだ。ならば、気象庁が降水
量の予測を誤った本当の理由は、もはや明らかであろう。

050-250
要するに、気象庁は、寒気に関する(正確かつ十分な)データを得て
いないのである。というか、得ようとすらしていない。気象庁は、
寒気のことを、せいぜい補足的なものとしか考えていないのだ。

050-251
それが証拠に気象庁は、たとえば大雨に関しては、『あたたかく湿
った空気の流れ込み』のせいにしたり、『気温の上昇』を第一の要
因にしたりしている。寒気は完全無視か二の次でしかないのだ。

050-252
人がその存在に気付かない寒気が存在すると、予想だにしなかった
空気の冷却→水蒸気の凝結→雨雲の発達→降水量の増加が起きる。
気象庁が降水量の予想を誤ったのは、まさしく、これが原因だ。

050-253
実は、気象庁の今の気象観測システムは、寒気を把握する能力が極
めて低いのである。その理由は、宇宙からの間接的な観測に強く依
存するようになったためだ。これでは予想を誤るのも無理はない。

050-254
ちなみに、宇宙からの間接的な観測への依存度を高めさせたのは、
宇宙事業利権屋やIT利権屋の政治家どもと、その御用学者どもであ
る。こやつらのやっていることは、人殺しも同然だ。

050-255
大気も、それに含まれる(気体の状態の)水蒸気も、無色透明なので
あるから、宇宙という離れた所からの遠隔的な観測で、その状態が
わかるわけがない。わかるのは、雲のデータぐらいだ。

050-256
確かに、雲のデータを用いて大気の状態などを間接的に推測する方
法は、あることはある。だが、その精度は決して高くはなく、状況
によっては(実態との)かなりのズレが生じるものなのだ。

050-257
特に今のような気候不安定期には、精度はすこぶる悪くなる。つま
り、雲のデータが完璧(誤差ゼロ、観測もれ無し)でも、実態と全く
一致しないことがあるわけである。

050-258
従って、NHKなどがよく宣伝する新型気象観測衛星の観測精度の
向上は、雲に関しての話であって、大気の状態に関しての話ではな
いのだ。ならば、予想精度が向上するわけがないだろう。

050-259
精度の向上が期待できそうなのは、気象の『記録』である。国が固
執し絶対視している『宇宙からの観測』や『レーダーによる観測』
は、『予想』よりも『記録取り』に役立つ観測方法なのだ。

050-260
そういえば、近年、「記録的な…」とか「○十年に一度の…」とい
った表現が多く使われるようになってきた。これらは、いずれも、
気象の『記録』を主要題材とした表現である。

050-261
こうしてみると、国は『記録取り』や『避難等のためには全然間に
合わない直前の予想』にしか役に立たない気象観測システムの充実
に力を注いでいることがわかるだろう。

050-262
『記録取り』は、気楽なものだ。予想の場合と違って、事実と一致
していなくても(つまり、不正確でも)、被害が生じることはまれだ
し、故に、責任を問われることもない。

050-263
それに、『記録』というものは、それがどれくらい正確なものなの
かということが調査・検証されることが極めて少ない。それ故、少
々不正確なものでも問題追求されることはほとんど無いのだ。

050-264
だから、(状況によっては)精度に大いに問題のある、間接的な観測
にしかなり得ない『宇宙からの観測』でも通用するわけである。そ
んなものを国(政治家、御用学者、気象庁)は絶対視しているのだ!

050-265
これでは、国民を自然災害から守ることなどできるわけがなく、ま
してや、気象現象の真のメカニズムの解明など全くの論外である。
国は、やはり、『記録取り』のことしか頭にないのだ。

050-266
そういえば、地形の影響を考えても、気象庁が発表する気圧配置や
等圧線のデータからはあり得ないような風の吹き方をすることが、
時々ある。やはり、観測精度は、かなり疑わしいのだ。

050-267
そういえば、(我が国の)気象庁は、監視海域の海水温が変動してエ
ルニーニョと断定できない場合でも、エルニーニョとしている。こ
れは、高温のデータだけを採用しているという証拠ではないか?

050-268
つまり、気象データを公表する前に行われるデータの統計処理の段
階で、たとえば低温のデータを切り捨てるなどのインチキを行って
いるという疑惑が浮上してくるのである。

050-269
もしそのようなインチキが行われているのだとしたら、精度がまる
で当てにならない『宇宙からの観測』でも十分用が足りることにな
るだろう。

050-270
それはともかく、高温のデータだけを採用するにしろ、平均値を採
用するにしろ、変動があったことが消されてしまっているデータか
らは、温度差も、その原因である寒気も、見えてはこない。

050-271
なぜなら、温度差(寒気)は大気を動かすので、温度分布の変化が起
き、その結果、温度の変動が起きることになるからだ。それ故、変
動を消すと、温度差(寒気)も消してしまうことになるのである。

050-272
地球温暖化論者たちは、短時間の変動をノイズ扱いしてカットし、
データを平滑化したがるが、これは実は真の原因(温度差、寒気)を
データ上から実質消し去ってしまうことになる行為なのである。

050-273
観測手段に加えて、統計処理にまで問題がある観測データでは、真
の原因(温度差、寒気)など見えてくるわけがない。そんなものは、
せいぜい、検証されない『記録』にしかなり得ない。

050-274
一方、『記録』というものには、解釈の問題があることを忘れても
らっては困る。つまり、たとえ『記録』が正確なものでも、解釈を
誤れば、間違った結論にしか得られないものなのだ。

050-275
中世暗黒時代の象徴である天動説も、当時としては正確な天体観測
データの『記録』を基に考案され絶対視されていたことを忘れても
らっては困る。

050-276
最近流行の「気温が上昇した影響で、大気の状態が不安定になる」
論も、実は、この類なのである。気象観測データの『記録』のみを
考慮すると、この論は極めて正しいように思えてしまう。

050-277
なぜなら、大気の状態を不安定にする本当の原因である寒気がやっ
て来る直前には、気温が大きく上昇するからである。一方、先に起
きたことが後に起きたことの原因だと思うのは、自然な思考だ。

050-278
このように、気象観測データの『記録』のことしか考慮しないとい
うやり方では、解釈を誤ってしまうことがあるのだ。では、どうす
れば解釈の誤りを(極力)防ぐことができるのか?

050-279
そのために最低限やらなければならないのは、得られた結論が『物
質の法則』によって矛盾もごまかしも無く説明できるものになって
いるかどうかチェックすることだ。

050-280
もしこのチェックに合格できないのであれば、それは物理的にあり
得ないことを言っている解釈(=非科学的な解釈)ということになる
ので、誤った解釈であることがわかる。

050-281
「気温が上昇した影響で、大気の状態が不安定になる」論は、この
チェックに合格できない。まず、気温が上昇しても、大気は膨張し
ようとするだけで、上昇気流は発生しない。

050-282
また、飽和水蒸気量が増すので、水蒸気が凝結しにくくなり、雨雲
が発生・発達しにくくなる。以上のことから、「大気の状態が不安
定になる」というのは、物理的にあり得ないことなのだ。

050-283
このことを暴かれたからなのかどうかはわからないが、最近では、
「気温が上昇した影響」だけでなく「湿った空気の影響」も「大気
の状態が不安定になる」原因とするようになってきた。

050-284
予想を難しくするだの、大気の状態を不安定にするだの、物理的考
察能力の無い者たちにとって「湿った空気」は、何でも叶えてくれ
る魔法の杖のようなものなのだろう。

050-285
だが、「湿った空気」には大気を動かす能力(運動エネルギーを生
み出す能力)は無いし、また、冷やされない限り、それに含まれて
いるH2Oが雨粒になって落ちてくることもない。

050-286
もう何度も説明したように、「湿った空気」論は、寒気(の関与)を
隠すための言葉のすり替えトリックである。と同時に、気象庁の寒
気の観測能力の低さを隠すためのトリックでもある。

050-287
要するに、気象庁の言う「大気の状態が不安定」とは、本当は「大
気の状態(特に寒気の分布状態)の詳細は不明。故に、今後の予測は
不可能」ぐらいの意味なのである。

050-288
何とも破廉恥なすり替え表現を用いるものだが、気象庁もまた『お
役所』であるという事実を考えれば、これは少しも驚くべきことで
はないはずだ。

050-289
気象庁の観測システムもデータも、その正確さが十分に検証されて
いるとは、お世辞にも言いがたい。こうした『無検証』主義が、今
の常識となっているわけである。

050-290
福島第一原発事故の最大の要因である津波の「想定外」も、「プレ
ート境界は滑りやすい」という当時の日本の地震学の無検証な定説
(を東電が信用してしまったこと)が招いた悲劇であった。

050-291
事実、東電と同じく、この無検証な定説を信用してしまった自治体
は、津波で多数の死者を出してしまった。この事実を無視して東電
を有罪呼ばわりする検察審査会は、科学と正義の敵である!

050-292
無検証の仮説を定説としていた学者たちの姿勢を一切問題視せず、
学者たちを信用した東電に原発事故の全責任を押し付けるのは、学
者たちを検証怠慢に誘惑し堕落させる反社会的措置である。

050-293
検察審査会はまた、東電による15m越え津波襲来予想を東電有罪の
論拠としたが、あれは、前述の「プレート境界は滑りやすい」とい
う定説を前提とする限り、物理的に説明のつかない予想である。

050-294
つまり、それが『物質の法則』によって矛盾もごまかしも無く説明
できるものになっているかどうかチェックしていないのである。検
察審査会が『無検証』主義者の集まりであることは明白である。

050-295
原発事故に関する限り、検察審査会は政治家の犬の集まりとしか思
えない。なぜなら、東電に責任を押し付けたがっているのは政治家
であり、また、『無検証』主義は政治家の世界の常識だからだ。

050-296
戦略、改革、革命、期待…政治家どもが好んでしたがることは、ど
れもこれも無検証(∴無責任)なことばかりだ。そんな自分たちの世
界の常識を科学に強制しているわけである。

050-297
政治家は、再生可能エネルギーなどの地球温暖化対策だけでなく、
地球温暖化説を正当化するインチキ研究関連でも利権がある。寒気
・温度差を把握できない気象観測システムが、そのよい例である。

050-298
ならば、なおさら、気象観測システムが検証されることなど、ある
わけがなかろう。政治家にとっては、国や国民を守ることよりも、
自分たちの利権の方が大事なのだから。

050-299
真の原因となるもの(寒気、温度差)が観測できない観測システムに
頼り切っていたのでは、真の原因が見えてこないのは当然のことで
ある。だから、「湿った空気」論でごまかそうとするのだ。

050-300
ちなみに、湿った空気の流れ込みが予想を難しくするとNHKの報道
番組で説明した気象予報士は、女だった。「女性が輝く社会」主義
で輝けるのは、権力に奉仕するメス犬だけ…ということだ。

050-301
もっとも、この分野では男の気象予報士も「活躍」しているから、
「一億総活躍社会」主義もまた同様の選民思想であることは、まず
間違いない。「抵抗勢力」に「活躍」の場を与えるわけがない。

050-302
「犬は飼い主に似る」というように、御用学者(「専門家」)も政治
家に似る。そんな彼らが絶対視する気圧原理主義が、前線を低圧エ
リアとしていないというのは、何ともお粗末な話である。

050-303
要するに、彼らは、「低」や「台」などの文字がある所と、等圧線
の曲線模様のことしか関心が無いのである。これでは、前線が低圧
エリアであることなど見えてこなくて当然である。

050-304
等圧線は地図などに描かれる等高線に似ているので、気圧の低いと
ころがあると等圧線は幾重もの入れ子状(たとえば、◎のような形
態)になるはずだと思っている者が多いのかもしれない。

050-305
だから、等圧線がそのようになっていない前線が低圧エリアだとは
思わないのだろう。だが、そうした認識は、等圧線の表現能力の限
界を知らないがゆえの過ちである。

050-306
ここで質問。竜巻は物を高く吸い上げてしまうのだから低圧エリア
のはずだが、等圧線はそのことを表現できているだろうか? 答え
は、もちろん、「ノー」である。

050-307
このように、気圧の勾配(傾斜)が非常に急になっている場合や、低
圧エリアの面積が小さい場合は、等圧線は実態を表現しきれないの
である。

050-308
前線は、長さは長いが、幅が狭いので、等圧線では低圧エリアであ
ることが表現できない。だから、前線を表すための線が、低圧エリ
アであることをも表しているのだ…とでも思えばいいのである。

050-309
ちなみに、等圧線が手書きで描かれていた頃には、前線(特に寒冷
前線)と交わる所で等圧線が折れ曲がるように描かれていた。だか
ら、前線が低圧エリアであることが、まだ認識・理解できた。

050-310
ところが、今流行りのCGによる描写では、そうなってはいないこと
が多い。これでは、前線が低圧エリアであることが認識・理解でき
ない者が(「専門家」の中にまで)いても、全然不思議ではない。

050-311
前線が低圧エリアであることを知っていれば、「前線に向かって…
空気が流れ込む」なんて変な表現はできないはず。また、なぜ前線
上に低気圧が発生するのかが容易に理解できるはずである。

050-312
つまり、前線上に低気圧が発達するのは、前線が元々(上昇気流が
生じている)低圧エリアだからなのだ。大気が回転するように流れ
るようになるから気圧が低くなるというわけのではないのである。

050-313
低気圧(や高気圧)をネジと混同してはいけない。流体力学や電磁気
学(特にマックスウェル方程式)などを学んで『rot[ベクトル]』と
いう数学的表現を覚えた人は、特に要注意である。

050-314
人は『まるいもの』や『回転するもの』に惹かれやすく、また、惑
わされやすい。人にとって、それらは、オカルト的催眠効果のある
ものなのだ。SF等に出てくるUFOのことを思い出してみるといい。

050-315
重力制御で飛行するというUFOには、円盤型で(どこかが)回転して
いるものが多い。(どこかの)回転が反重力や超常的な飛行能力を生
み出す…としているのだ。

050-316
こういうものがウケていることからもわかるように、人は『まるい
もの』や『回転するもの』に目が眩みやすいのだ。そして、この性
癖が、前線や低気圧などへの正しい理解を阻害するのである。

050-317
事実、「専門家」たちは、『まるくもなく、大気が回転するように
流れてもいない、前線というもの』が低圧エリアであることを認め
ることに、猛烈な拒絶反応を示し続けている。

050-318
つまり、まるくて大気が回転するように流れている低気圧こそが真
の低圧エリアなのであって、それとは程遠い前線が低圧エリアであ
るはずなど絶対にあり得ない…というのが彼らの思想なのである。

050-319
ちなみに、気圧の谷は、これまた『まるくて大気が回転するように
流れているもの』である高気圧が複数存在するせいで生じる、見か
け上の低圧エリアにすぎない…とするのが彼らの思想である。

050-320
このように、『まるいもの』であり『回転するもの』である低気圧
や高気圧を気象の世界における主なる神として崇めさせようするの
が、気圧原理主義という疑似科学思想の実態なのである。

050-321
「高気圧のふちを回るように…」という説明も、まさしく、この思
想に由来するものである。そういえば、風力発電の風車も、『回転
するもの』であり、また、『まるく見えるもの』でもある。

050-322
この『まるくて回転するもの』を崇拝するオカルト擬似科学思想へ
の信仰心を捨て去れば、前線も低気圧も気圧の谷も実はみな同じ仲
間であるという科学的事実が理解できるようになるはずである。

050-323
つまり、前線も低気圧も気圧の谷も、大気の温度の差によって上昇
気流が発生し、そのせいで気圧が低くなっている(∴空気を吸い込
む)ところなのである。

050-324
そもそも、低気圧とは、前線付近や気圧の谷の一部分にすぎない。
つまり、前線付近や気圧の谷のうち、等圧線が『まる』い閉曲線に
なっているところを指すのである。

050-325
だからこそ、低気圧は前線上や気圧の谷になっているところに発生
しやすいのである。ちなみに、前線の場合は、前線が折れ曲がった
ようになっているところで発生しやすい。

050-326
要するに、低気圧とは、前線付近や気圧の谷の特異な部分というこ
とができる。では、他の部分と比較して何が特異なのかというと、
そこを中心に大気が回転するように流れていることだ。

050-327
もっとも、回転するように流れているといっても、それは中心から
離れたところでのことであって、中心に近づくほど、流れの方向は
中心に向かうような方向になっているものだ。

050-328
ちなみに、本来、中心に向かうような方向になるはずの流れの方向
が、中心から離れたところでは回転するような方向になるのは、地
球の自転の影響によるものである。

050-329
そして、このことがわかれば、大気の『回転』が上昇気流の原因で
はないことがわかるはずである。さて、そうなると問題になってく
るのが、「なぜ大気が中心に向かって集中してくるのか?」だ。

050-330
等圧線が『まる』い閉曲線になっているのも、その中心に向かって
大気が集中するように流れることと関係があるので、これは極めて
重要な問題である。

050-331
折れ曲がっていない前線の場合、前線に向かう方向(前線にほぼ垂
直な方向)の流れしか生じない。だが、前線が折れ曲がると、それ
とは異なる方向の流れも生じる。

050-332
たとえば、前線が『/』のような形状だと、『\』方向の流れだけ
だが、前線が『/\』のように折れ曲がった形状だと、『\』部分
の影響で『/』方向の流れも生じる。

050-333
そして、この二種類(『\』方向と『/』方向)の流れの速度の重ね
合わにより、『/\』形の前線の中央部に向かおうとする『│』方
向の流れが生じることになるのである。

050-334
このように、前線が折れ曲がると、大気が集中するような流れが生
じて、低気圧が発生するようになるのである。では、前線が折れ曲
がるのは、大気の分布がどのような状態になった場合か?

050-335
それは、よく、「暖気の一部が寒気に食い込むように突き出した状
態」と説明されるのだが、これはあまりに暖気贔屓な説明である。
なぜなら、前線は寒気がやって来ないと発生しないものだからだ。

050-336
正しくは、「寒気の張り出し方が一様でない」だ。『/\』形の前
線の例で言うと、「寒気の張り出し方が、端の方では強いが、中央
では弱い」ということなのである。

050-337
このように、寒気の張り出し方が一様でなくなると低気圧が発生す
るのである。従って、発生の基本的な原理は前線と同じなのであっ
て、寒気のせいで生じる温度差により発生するのだ。

050-338
気圧の谷も同じである。「風と風がぶつかり合う」などと表現され
ることがあるが、本当は、温度の異なる気団が出合うことにより上
昇気流が生じているのだ。

050-339
従って、気圧の谷は、前線や低気圧そして何より高気圧と同等の地
位に位置づけられなくてはならない。ところが、多くの者は、『ま
るくて回転するもの』すなわち高気圧に心を奪われてしまう。

050-340
それ故、気圧の谷のことを、女の胸の谷間ぐらいのものとしか思っ
ていない。まるくもなく、回転もしていないからだ。彼らは科学に
オカルトだけでなく助平根性まで持ち込んでいる。

050-341
気圧の谷は、高気圧と対等に扱われなくてはならない。事実、気圧
の谷は、悪天候をもたらす。低気圧や前線と同様に、上昇気流が発
生しているのだから、これは当然のことである。

050-342
だが、『まるくて回転するもの』に魅せられる者たちは、高気圧を
尊び、気圧の谷を卑しめたがる。これには『気圧の谷よりも高気圧
の方がサイズが大きい』というイメージも影響しているのだろう。

050-343
だが、そのイメージが、そもそも間違いなのである。なぜなら、高
気圧や気圧の谷の輪郭(縁)の決め方は存在せず、故に、大きさも定
まらないからだ。

050-344
ちなみに、気象予報解説屋たちは、雲の分布から「だいたい、こん
な感じ」的に(高気圧や気圧の谷などの輪郭を)決めているというの
が実状である。

050-345
何ともいい加減な決め方だが、雲の分布を参考に決めるということ
は、結局、温度差を重要な決め手にしているということになる。な
ぜなら、雲は温度差のあるところで発生するものだからだ。

050-346
ついでに指摘しておくと、『まるくて回転するもの』であるがゆえ
に彼らがエコ贔屓している高気圧というものの重要な特徴である下
降気流もまた、温度差により生じる現象なのである。

050-347
つまり、彼らは、温度差の重要性を認めることを拒否しておきなが
ら、温度差によって生じるものを重要視するという、ハチャメチャ
なことをやっているのだ。これが、「専門家」の実態である。

050-348
ついでにもう一つ指摘しておくと、気象の世界においては、『大き
さ』は必ずしも重要ではない。たとえば、大きい(とされる)低気圧
でも、等圧線の間隔が広ければ、こわい存在にはならない。

050-349
従って、大きさを論拠に「一方を主、他方を従」とするのは、全く
のナンセンスなのである。むしろ、大きいものの間に、それとは異
質の小さいものが存在することを、不思議に思うべきなのだ。

050-350
もし大きいもの(高気圧)が主なら、それに挟まれた従である小さい
もの(気圧の谷)は淘汰され、高圧エリアになってしまうはずだ。そ
うならないのは、小さいものが従ではないからである。

050-351
気性の世界で主となるのは、『大きいもの』でもなければ、『まる
くて回転するもの』でもない。温度差である。そして、温度差をも
たらすのが、寒気なのだ。

050-352
低気圧も、既に説明したように、張り出し方が不均一な寒気が発生
原因である。ところが、気象学の世界には、そうした正しい理解を
妨害してくれる概念が存在する。それが熱帯低気圧なのだ。

050-353
何しろ、定説(教科書)では、熱帯低気圧の発生・発達に寒気は実質
的に不要とされているからだ。というわけで、次回からは熱帯低気
圧(台風、ハリケーン、サイクロン…)に関する話をしたいと思う。

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