049-01
もし低気圧が発生・発達するかなり前から海水温が高くなっていた
のなら、「なぜ、そんなに長い間、低気圧が発生・発達せずに済ん
だのか?」という疑問が生じてくる。

049-02
それは、上昇気流(→低気圧)の発生原因を『海面(や地表)の高温』
だけとする教義を反証する証拠となる。つまり、地球温暖化説を支
えている海洋原理主義を反証する証拠となってしまうのだ。

049-03
一方、低気圧が発生・発達する直前になって海水温が高くなったの
なら、「なぜ急に海水温が上昇したのか?」という疑問が生じてく
るはずだ。

049-04
そんな急な海水温上昇は、温暖化によるものではない。一時的に海
水温分布が偏るだけの局所的な海水温上昇でしかない。どちらのケ
ースであれ、海水温の詳細なデータは明かせないわけである。

049-05
低気圧が発生・発達している最中の海水温の様もまた、見過ごせな
い問題を提起する。まず、「海水温は下がるのか?、それとも下が
らないのか?」という問題が生じてくる。

049-06
空気が海水に温められて上昇するのなら、海水は熱を失うため、海
水温は低下するはずである。だが、暖流により高温の海水が運ばれ
てくる海域の場合は、話はそう単純にはいかないだろう。

049-07
この問題が重要なのは、「一体、海水温が何度だと、上昇気流が生
じる(低気圧が発生・発達する)のか?」という当然の疑問があるか
らである。

049-08
もし海水温がまだ十分に下がりきってもいないのに上昇気流(低気
圧の発生や発達)が起きなくなったとしたら、海面の高温だけをそ
の原因とする教義は誤りであったことになるだろう。

049-09
逆に、海水温が相当下がっているのに上昇気流(低気圧の発生や発
達)が起き続けていたとしたら、これまた、海面の高温だけをその
原因とする教義は誤りであったことになるはずだろう。

049-10
だから、上昇気流が起きる海水温が何度なのかが重要な問題になっ
てくるのである。さらには、『海水温』と『上昇気流の勢い』との
定量的関係についてもだ。

049-11
つまり、『海水温』と『上昇気流という現象』との間の相関関係を
(定性的なことだけでなく、定量的なことも)明らかにする必要があ
るはずなのである。

049-12
ところが、現象を『海水温の高さ』のせいにする連中は、この相関
関係を明らかにしないのである。代わりに口にするのが「平年(例
年、○年前)に比べて、海水温が(○度)高い」という騙しだ。

049-13
たとえ海水温が平年よりも高くても、上昇気流(低気圧の発生や発
達)が起きる海水温に達していないのなら、上昇気流(低気圧の発生
や発達)が起きることは当然無いことになるはずだ。

049-14
逆に、海水温が平年以下でも、上昇気流(低気圧の発生や発達)が起
きる海水温に達しているのなら、上昇気流(低気圧の発生や発達)が
起き続けなければならない(止まってはならない)はずである。

049-15
こうした「不都合」があると困るので、『海水温』と『上昇気流と
いう現象』との間の相関関係を示すことができないのである。そう
いえば、彼らは、真夏との比較は、したがらない。

049-16
つまり、平年の同じ時期との比較はするくせに、同じ年の気温の高
い時期とは比較しないのである。その理由は明らかである。後者の
方が海水温が高いからだ。

049-17
しかも、真夏は、好天の日が多く、「爆弾低気圧」などが発生しに
くい。比較したがらないのは当然である。ついでに指摘すると、彼
らは、海水温が低い年(の同じ時期)との比較も、したがらない。

049-18
実は、海水温が低い年の方が、悪天候の日が多く、「爆弾低気圧」
などが発生しやすいのである。海水温高が「爆弾低気圧」などの原
因なのだというのは、統計的にも真っ赤な嘘なのである。

049-19
では、なぜ、「平年に比べて、海水温が高い」ことを話題にするこ
とができてしまうのかというと、それは、全く一時的かつ局所的な
海水温上昇現象のことを話題にしているからである。

049-20
もう何度も言っているように、低気圧などの真の原因である寒気に
は、貿易風(→暖流)を勢いづけ、「日本の南の海域」などの海水温
を上げる働きもある。

049-21
つまり、この『寒気による一時的かつ局所的な海水温上昇現象』の
ことをネタにして、「平年に比べて、海水温が高い」とほざいてい
るわけである。全く、見事な騙しである。

049-22
それが証拠に、彼らは、低気圧の発生・発達の『前』や『最中』と
同様に、『後』についても、海水温がどうだったのかを示そうとは
しない。下手に示せば、矛盾が露呈してしまうからだ。

049-23
もし(低気圧の発生・発達の『後』の)海水温が平年並み以下になっ
て、その状態が続いたとしたら、海水温上昇は一時的なものにすぎ
なかった可能性が大だろう。

049-24
逆に、もし(低気圧の発生・発達の『後』の)海水温が平年よりもな
お高い状態が続いたのだとしたら、「なぜ低気圧の発生・発達が止
まってしまったのか?」という疑問が生じてくる。

049-25
そういえば、彼らは、低気圧などの発生・発達が起きなくなると、
海水温(特に「日本の南の海域」の海水温)のことを話題にはしなく
なる傾向がある。その理由は、もう明らかであろう。

049-26
珊瑚の白化現象が起きるほど高海水温の時は、強い嵐の襲来はまず
無く、好天に恵まれるものである。強い嵐(上昇気流)と海水温高と
の間に、相関性は無いのだ。

049-27
このように、「平年に比べて…高い」という表現は、『高い季節』
や『低い年』のことを忘れさせる(考えないようにさせる)ための催
眠話術なのである。

049-28
さて、ここまでは『海水温高と上昇気流の相関関係』の実態を暴く
話をしたが、実は、同様のことが『海水温高と空気の湿りとの相関
関係』にも言えるのである。

049-29
つまり、『海水温が高いと、空気が「湿った空気」になる』という
相関関係は、実は、疑似科学の教義なのである。事実、海水温が高
くても空に雨雲が存在しない日は、いくらでもある。

049-30
乾燥注意報が出ることさえある。これは、『水の気化』や『空気中
の水蒸気(気体)の凝結』に関する知識がある人にとっては、少しも
驚くべきことではない。

049-31
そういえば、海水温と『空気の湿り』の相関関係といえば、いつも
定性的な関係しか語られず、定量的な関係が示されることはない。
(海水温と)上昇気流の場合と同じだ。

049-32
そもそも、『空気の湿り(湿った空気)』の定義からして、誰も述べ
ることができないという、全くいい加減なものなのだから、海水温
との定量的な相関関係など示せるわけがないのだ。

049-33
ちなみに、一般的(感覚的)な意味での『空気の湿り』は、空気中に
含まれるH2Oの量(空気単位体積あたりに含まれるH2Oの質量または
モル数)だけで決まるものではない。

049-34
空気中に含まれるH2Oの量が同じでも、(空気の)温度が低い場合は
(相対的に)湿っているように感じ、温度が高い場合は(相対的に)乾
いているように感じることになる。

049-35
なぜそうなるのかというと、空気の温度が高(低)くなるほど、飽和
水蒸気量、すなわち、空気が含むことができるH2Oの量が多(少な)
くなるからである。

049-36
空気が含むことができるH2Oの量が多(少な)いと、空気にH2Oを奪わ
れやすく(にくく)なるので、空気が乾いて(湿って)いるように感じ
るわけである。

049-37
つまり、空気の湿り・乾きは、空気中に含まれるH2Oの量よりも、
『空気があとどれだけH2Oを含むことができるか』で決まるものな
のである。

049-38
また、空気の温度が高いと(空気が含むことができるH2Oの量が多く
なるのだから)、空気中に含まれるH2Oの量が多くても、「湿ってい
る」とは限らないのである。

049-39
たとえば、空気中に含まれるH2Oの量の増加分が、空気の温度が高
くなることによって増える『空気が含むことができるH2Oの量』の
増加分を下回る場合は、空気は乾いているように感じるのだ。

049-40
こうしてみると、高温と多湿(低温と乾燥)をイメージ的に結び付け
てしまうことが如何に愚かなことであるかがわかるだろう。特に、
日本の太平洋側に住んでいる人たちには、重い指摘のはずだ。

049-41
なぜなら、夏は蒸し暑く、冬は乾燥する、そんな気候に慣れ親しん
でいるからである。そこが人口の多い地域であることを考えると、
なぜ日本がニセ気象学に騙されやすいか、わかるだろう。

049-42
ドライヤーは、なぜ、冷風よりも温風にした方が乾くのか? それ
は、温風にした場合の空気の方が乾いているからだ。ここで重要な
のは、同じ質量の空気中に含まれるH2Oの量は同じであることだ。

049-43
含まれているH2Oの量は同じなのに、どうして高温の空気の方が乾
いているのか? その理由は二つある。一つは、空気が膨張し、単
位体積あたりに含まれるH2Oの量が少なくなっていることだ。

049-44
そして、もう一つは、既に説明したように、空気は高温になると含
むことができるH2Oの量が増えることだ。つまり、『空気がH2Oを取
り込むことができる能力』が増すわけである。

049-45
もちろん、この能力は、限界の裏返しでもある。なぜなら、空気が
取り込むことができるH2Oの量には、「飽和」という限界点がある
からである。この限界点を超えての取り込みはできない。

049-46
ただし、H2Oの温度が沸点に達している場合は、気体となって空気
中に拡散していくことはできる。だが、海水が「温暖化」により沸
点に達するほど高温になることはないはずだ。

049-47
従って、やはり、(温度の上昇に伴って増す)『空気がH2Oを取り込
むことができる能力』が重要なのである。それと共に重要なのは、
海水が高温だと空気が温められることだ。

049-48
空気が(海水により)温められれば、H2Oを含むことができる量が増
えるので、海水から更にH2Oを取り込んで自身に含まれるH2Oの量を
増やすことができるようになる。

049-49
従って、その際起きるのは、空気中に含まれるH2Oの量が増す現象
であって、空気が湿る現象ではないのである。「湿った空気」論を
振り回す今時の気象屋どもは、この両者を混同している。

049-50
温まることで『含まれるH2O』の量が増えた空気が、湿った空気に
なるためには、温度が低くなる必要がある。つまり、温まったまま
の状態では、空気は湿った状態にはならないのだ。

049-51
空気が湿るためには、上昇するか、寒気などによって冷やされなけ
ればならない。そして、日本列島に「南から」「流れ込んで」くる
「湿った空気」は、上昇はしていない空気だ。

049-52
ならば、それは、寒気などによって冷やされた空気でしかあり得な
いはずだ。そして、さらに気付かなければならないのは、(南から
の)空気全体が冷やされなくても良いということだ。

049-53
たとえば、空気の上部だけでも冷やされれば、雨雲が発生・発達し
て、雨が降る。そうなれば、空気は嫌でも湿ってくるだろう。しか
も、上部以外の空気は(冷やされないので)温かいままのはずだ。

049-54
もうお気付きのように、これが、今流行りの「(あたたかく)しめっ
たくうき」の正体である。何てことはない、寒気が本当の原因であ
ることを隠すための官製騙し表現なのだ。

049-55
事実、彼らは、日本列島に「南から」「流れ込んで」くる空気が湿
っていたり、いなかったりする理由を説明したがらない。それは、
寒気の影響の有・無が、その真の原因だからだ。

049-56
言い忘れたが、南からの空気の上部が寒気により冷やされると雨雲
が発生・発達するが、その際、気化熱に相当する熱(潜熱)が放出さ
れる。これが、寒気の存在を、さらに見えにくくする。

049-57
また、発生・発達した(雨)雲も、断熱材のような働きをして、上空
の寒気がもたらす低温から地表付近を守ってくれるのであるから、
寒気の存在を見えにくくすることになる。

049-58
つまり、このような寒気は、地表での観測では、その存在が見えな
いのである。また、国が自慢する『宇宙からの観測』や『レーダー
による観測』でも、直接は見えないのだ。

049-59
そもそも、『レーダーによる観測』は、降雨が観測の対象なのであ
って、寒気は観測できない。また、『宇宙からの観測』も、直接観
測ができるのは雲であって、寒気は直接観測はできない。

049-60
寒気が観測できることになっているのは、雲の分布や動きなどから
寒気のデータを間接的に求めようとする解法理論が存在するからな
のである。それが無ければ不可能なのだ。

049-61
そして、『日本列島に「南から」「流れ込んで」くる空気の上部を
冷やす寒気』のデータを間接的に求めようとする解法理論は、存在
しない。ならば、観測できないことになるのは当然のことだろう。

049-62
この解法理論を開発するのは気象屋の仕事なのだが、彼らは日本列
島に「南から」「流れ込んで」くる空気が湿る原因が寒気であるこ
とを認めるわけにはいかない立場なので、その仕事をしないのだ。

049-63
つまり、これは、汚い政治権力が科学に介入していることを示して
いる。とにかく、国が自慢する気象観測方法では、『空気を湿らせ
る寒気』は原理的に観測できないのだ。

049-64
とはいえ、たとえ観測できなくても、物質の法則が、空気を湿らせ
る原因が寒気以外にはあり得ないということを教えてくれるのだ。
物質の法則よりも『見えない目』を重んじるのは、狂っている。

049-65
空気の湿りのせいにする論は、気圧原理主義の二重の崩壊を露呈さ
せるものだ。まず、以前も指摘したように、低気圧・前線・気圧の
谷などが『ただの切り絵』にすぎないことを示している。

049-66
念のため復習しておくと、大気循環の一部を切り出して作ったにす
ぎない『ただの切り絵』では、雨雲の発生・発達といった現象が説
明できない。だから、「湿った空気」が必要となるのである。

049-67
次に、もう一つの不都合は、低気圧・前線・気圧の谷などが無いエ
リアで雨雲が発生・発達することがあることだ。この場合、気圧の
低さを雨雲発生・発達の原因にすることはできないはずである。
	
049-68
つまり、気圧の低さが特徴の『切り絵』では説明がつかない雨雲の
発生・発達があるわけである。それで、『湿った空気の流れ込み』
で雨雲発生・発達の理由を説明したふりをするわけである。

049-69
もちろん、そんな誤魔化しは、気圧の低さが雨雲発生・発達の原因
ではないことを自ら認めることになる愚策でしかない。やはり、気
圧(の高低)は、気象現象の根元的因子ではないのだ。

049-70
ちなみに、この誤魔化しは、気圧原理主義者たちが、観測において
も、知識においても、寒気の分布については無知もしくは半可通で
あるということを教えてくれるものだ。

049-71
そもそも、寒気に関する知識が無いから、観測されるはずの寒気が
観測できていないことに気付かない(∴観測システムに重大な盲点
があるとは思わない)のである。

049-72
実際、寒気は、彼らが説明するよりも遥かに広い範囲に分布してい
るものなのだ。たとえば、低気圧からのびる温暖前線の高緯度側に
は必ず寒気が存在するのだが、彼らはそれについて言及しない。

049-73
ちなみに、この温暖前線は、北半球の場合、低気圧の中心から南〜
東の方向へのびているのが普通であり、それ故、これにほぼ沿う形
で(雨)雲が発達しているのが普通である。

049-74
つまり、低気圧の中心から南〜東の方向に雲が分布しているわけで
あるが、その分布エリアと、「南から」の「湿った空気」が「低気
圧に向かって流れ込む」経路とが、かなり似通っているのだ。

049-75
もっとも、彼らが示す経路は、いつもフリーハンド表現のみで、具
体性に全く乏しく、漠然とした曖昧なものでしかないから、このよ
うな類似性の指摘は無意味かもしれない。

049-76
それでも奇妙なのは、雨が降る時にしか「南からの湿った空気の流
れ込み」が起きていないことにされていることだ。地球温暖化によ
る海水温の上昇がその原因なら、常時起きるはずであろう。

049-77
さらに、「湿った空気が、どこで、どのようにして発生しているの
か?」を説明しないのも不誠実である。その理由は、それを言って
しまうと、高温を発生原因にすることができなくなるからだ。

049-78
「湿った空気」が(雨)雲を発生させることになっているが、雲は太
陽光を反射して遮るわけだから、その下の地表(海面)は高温であり
続けることはできない。

049-79
よって、そこは「湿った空気」が発生している場所ではない。そこ
とは別の場所で発生しているのである。ならば、なぜ、「湿った空
気」は(自身が)発生した場所で雲を発生させないのか?

049-80
結局、『寒気による冷却』無しでは、「湿った空気」が雲を発生さ
せる現象は説明できないのである。ならば、わざわざ「湿った」な
どと呼ぶ必要は全く無いはずだ。

049-81
なぜなら、冷やされないと雲を発生させられないのだから、(冷や
されないうちは)湿っていることにはならないからだ。湿っている
のではなく、水蒸気を含んでいるというだけのことだ。

049-82
さらに、空気に含まれる水蒸気の量についても、『雨を降らせるな
どして、水蒸気を失ってしまっている空気』と比べると多いという
だけのことなのだ。

049-83
つまり、「以前と比べると、水蒸気が多い(空気が湿っている)」と
いうことではないのである。当たり前のことを、異常や異変である
かのように錯覚させる、悪質な惑わし表現だ。

049-84
低気圧や前線に「空気が流れ込む」という説明も、白々しい。「空
気が流れ込」まない低気圧や前線なんて、あるのか? 当たり前の
ことを大げさに取り上げて異常なことのように思わせる話術だ。

049-85
降雨を低気圧や前線への『あたたかく湿った空気の流れ込み』のせ
いにするのも、おかしい。『あたたかく湿った空気の流れ込み』が
無ければ、低気圧や前線は雨を降らさないものなのか?

049-86
さらに、「あたたかい」とはいえ、「湿った」と表現されるほど多
量のH2Oを含んで重くなっているはずの空気が、低気圧や前線で難
無く上昇することができるというのも、全く奇妙である。

049-87
難無く上昇できるのは、「湿った」と表現されるほど大量のH2Oを
含んではいないからである。『湿り』の根拠にされる雲は、気流の
一部分が寒気により冷やされて生じたものにすぎない。

049-88
そもそも、南から流れ込んでくる空気が、低気圧や前線が現れると
「湿った」状態になるのは、なぜか? それは、原因となるものが
同じだからだ。

049-89
つまり、低気圧や前線などを発生させている寒気を(寒気の)本隊と
するならば、その前哨部隊や工作部隊に相当する寒気が、南から流
れ込んでくる空気を「湿った」状態にしているのである。

049-90
ところが、破廉恥な気象屋どもは、前にも指摘したように、寒気の
分布範囲をとことん矮小化したがるため、『前哨部隊や工作部隊に
相当する寒気』(の存在)が全く見えないのである。

049-91
何しろ、『低気圧や前線などを発生させている寒気』でさえ(可能
な限り)隠蔽したがるような連中である。そんな連中が『前哨部隊
や工作部隊に相当する寒気』のことを認めるわけがあるまい。

049-92
事実、彼らは、このところ、毎日のように、「梅雨前線に向かって
南からあたたかく湿った空気が流れ込むため」というデタラメ説明
を執拗に繰り返している。『嘘も百ぺん吐けば真実になる』策だ。

049-93
ならば、彼らに質問させていただこう。なぜ、南のあたたかい空気
は、梅雨前線の方に向かって流れるのか? また、その流れが存在
することを証明する証拠とは、一体、何か?

049-94
ちなみに、衛星からの画像により確認できるのは、前線に沿うよう
に雲が西南西の方から(東)北東の方へ移動する様だけだ。一方、前
線に流れ着いた『南からの空気』は、その後、どこへ行くのか?

049-95
南から空気が流れ込んでくるのに、なぜ前線は北の方へ押しやられ
ずにすむのか? あたたかい空気が流れ込んでくるのに、なぜ気温
が平年より低くなることが少なくないのか?

049-96
これらのことは、前線の北側(高緯度側)に存在する寒気の働きによ
り全て説明できる。しかも、この寒気の存在や関与は、実は、教科
書にも載っていることなのだ。

049-97
そもそも、前線とは、寒気と暖気の境界である前線面が地表(海面)
と交わった部分のことである。従って、寒気のことを言わないとい
うのは、極めて悪質な事実隠蔽工作ということになるのだ。

049-98
それに、前線は、前線面と地表(海面)が交わった部分のことなので
あるから、「空気が流れ込む」ことなど到底不可能な話である。前
線面でさえ、そうだ。

049-99
南からの空気は、『前線に流れ込む』のではなく、『前線が存在す
る方に向かうように流れる』のである。また、それが流れ込んでく
るのは、『前線』ではなく、『日本列島』である。

049-100
つまり、表現があまりにも不正確なのである。これは、リベラル系
サヨクによく見られる傾向である。気象屋たちの世界がどんな連中
に牛耳られているか、もはや明白であろう。

049-101
ちなみに、リベラル系サヨクは、強欲で、金に汚く、お調子者で、
正体を隠すのが上手く、ウケ狙いが大好きなポピュリストである。
だから、自称「わかりやすい」説明を騙しによく用いる。

049-102
わかりやすい説明は、素人にはウケがいいが、厳密さが犠牲になっ
てしまうことがある。彼らは、それをいいことに、『わかりやすい
が不正確(もしくは不適切)な説明』をするわけである。

049-103
つまり、「わかりやすいのなら、多少不正確になるのも、やむを得
ない」と許してくれる世間の寛容の精神につけ込んで、『わかりや
すいが、実は全くのデタラメ説明』をして世間を欺くのである。

049-104
話が逸れたついでに言っておくと、こうした自称「わかりやすい」
説明が目につくようになったのは小泉政権の頃からであり、また、
それが蔓延し完全定着したのは民主党政権の時代である。

049-105
もうお気付きのように、いずれも環境ファッショを煽り、原発粗製
濫造ブームを仕掛けておきながら、原発事故の責任は一切とらず、
今は再生可能エネでウケと利権を狙う、恥知らずどもだ。

049-106
話を『不正確な表現』に戻そう。その主な手口は三つある。一つは
『似て非なるもの』へのすり替え、二つめは因果逆転、そして、三
つめは『見かけ』主義だ。

049-107
ちなみに、『見かけ』主義は、見かけ(見た目)にすぎないことを、
実態や真相とすり替える(偽る)ことだ。また、因果逆転は、『因』
と『果』をすり替える(入れ替える)ことだ。

049-108
さらに、実態や真相とすり替えられる『見かけ(見た目)』は、実態
や真相と『似て非なるもの』である場合が多い。その方が、違いが
わかりにくく、すり替えトリックであることがバレにくいからだ。

049-109
一方、因果逆転に騙される人たちは、「因・果が逆でも、似たよう
なもんだ」と考えてしまう人たちだ。おそらく、(数学などで学ぶ)
必要条件と十分条件の違いもわからない人たちなのであろう。

049-110
騙す側は、そうした『学校で習うことを軽んじたがる心理』につけ
込むのである。「学校で習うことなんて、社会に出てからは役に立
たないことばかりだ」というのは、大嘘である。

049-111
確かに、『A→B』も『B→A』も、ともに同じ『A』と『B』が
話の中に登場する。だが、論理は全くの別物である。『見た目』の
『類似性』だけで両者を同一視するのは、愚かなことである。

049-112
それに、『果』(たとえば、異常気象)を防ぐためには、『因』を取
り違えていたのでは、お話にならない。因果逆転は、『因』を取り
違える行為である。

049-113
さて、以上のことを念頭に置いて、気象屋どもがほざく「前線に向
かって南からあたたかく湿った空気が流れ込むため」論を解剖して
みよう。

049-114
まず、「前線に向かって南から…空気が流れ込む」は、「南から前
線の方へ…空気が流れる」のすり替えであり、『似て非なるもの』
であり、ある観点からの『見かけ』を述べたものだ。

049-115
つまり、空気が前線に向かって流れ込んでいるように見えるだけな
のである。本当は、空気が前線(の方)に吸い寄せられているのだ。
だから、米国では、(前線などが)「空気を取り込む」と表現する。

049-116
空気が流れ込んでくるのは、前線(や低気圧)ではなく、日本列島で
ある。ここに、すり替えがある。さらに、日本列島に流れ込んでく
るというのも、実は『見かけ』にすぎないことなのだ。

049-117
空気が日本列島に流れ込んでくるのではなく、日本列島が空気の流
れにさらされることになるというのが実態である。そもそも、『空
気が(どこかへ)流れ込む』とすることが間違いなのだ。

049-118
なぜなら、気流というものは、循環の一部にすぎないからだ。循環
の一部分だけを話題にして「どこどこ(なになに)に向かって…流れ
込む」などという説明をする者は、まずいないはずだ。

049-119
それに、何度も言うように、「…に向かって…流れ込む」という表
現は、流れを生じさせる原因が上流側にある(下流側には無い)場合
に用いられる表現である。事実歪曲の意図(悪意)は明白である。

049-120
正しくは「循環の一部である気流(空気の流れ)にさらされる」であ
る。この表現なら、流れを生じさせる原因が『南にあるもの』すな
わち『高温』ではないという事実が見えてくるはずである。

049-121
気象屋どもが話題にしたがる空気の流れを生じさせているのは、上
昇気流や下降気流である。従って、空気の上昇や下降が生じる理由
について触れない説明は、全て疑似科学である。

049-122
もちろん、「流れ込んできた空気が、他の(湿った)空気とぶつかる
から、上昇する」などという説明は、『見かけ』を実態とすり替え
た疑似科学である。

049-123
空気が、他の空気とぶつかるように流れ込むから、上昇するのでは
ない。空気が、他の空気によって上昇させられるために、まるで他
の空気にぶつかっていくかのように流れるのである。

049-124
つまり、空気の流れは、(空気の“ぶつかり”や上昇の)「因」では
なく、(他の空気の影響による)「果」なのである。ここでも、因・
果のすり替えをやっているのだ。

049-125
さて、次に指摘されなければならないのは、「湿った空気が流れ込
む」が「流れる空気が湿った状態になる」のすり替えであり、『似
て非なるもの』であり、『見かけ』であるということだ。

049-126
『湿った空気が流れてくる』と『流れる空気が湿った状態になる』
とでは、『見かけ』は同じだが、実態は異なる。なぜなら、空気が
湿る位置や原因が異なるからだ。

049-127
『湿った空気が流れてくる』の場合、空気が湿る位置は、(観測地
点から)ずっと上流の方…ということになる。流れの始点である場
合もあり得る。

049-128
実際、気象屋どもが用いる「南から(あたたかく)湿った空気が流れ
込んでくる」という表現には、「空気が湿る位置は、日本の南(の
海域)」と決め付けようとする意図が明らかに込められている。

049-129
従って、この場合、空気が湿る原因は(海水の)高温ということにな
る。対して、『流れる空気が湿った状態になる』の場合は、流れが
存在する(観測される)位置で空気が湿ることになる。

049-130
そして、空気が湿る原因は、山などにぶつかって上昇する場合を除
いて、寒気(による冷却)以外はあり得ない。だからこそ、体制側の
連中は、この正しい表現を意図的に避けるのである。

049-131
さらに、寒気が(観測地点から)ずっと上流の方に(も)存在する場合
は、すっと上流で空気は湿るのであるから、(観測地点に)湿った空
気が流れてくることになる。

049-132
つまり、『海水の高温』に頼らなくても、湿った空気が流れてくる
(ように見える)現象が説明できてしまうのである。対して、『海水
の高温』を(空気が湿る)原因とする論は、矛盾に満ちている。

049-133
それが証拠に、「空気(気体の水蒸気)が、いつ、どこで、どのよう
なメカニズムで、湿る(凝結し雲となる)のか?」ということが全く
明らかにされていない。

049-134
『海水の高温』を原因とする論は、『高温での蒸発量の多さ』を論
拠としている。だが、何度も言うように、飽和水蒸気量を超える水
の蒸発は、起こり得ないのだ。

049-135
つまり、(空気中の)水蒸気が凝結してしまう状況では、水の蒸発は
起こらないのである。(より正確には、『蒸発する量』と『水に戻
る量』とが釣り合って平衡状態になってしまうということ。)

049-136
これは、水の蒸発が起きている位置では「空気が湿る」現象は起き
ないことを意味する。つまり、水の蒸発が起きる位置と「空気が湿
る」位置とは異なるのである。これが意外と重要なことなのだ。

049-137
なぜなら、位置が異なることは、原因が異なることを意味するから
だ。つまり、「空気が湿る」原因は、水が蒸発する原因とは異なる
ということを意味しているのである。

049-138
従って、『海水の高温』は、水の蒸発の原因にはなり得ても、「空
気が湿る」原因にはなり得ないことになるのである。よって、「空
気が湿る」ためには、別の因子(メカニズム)が必要なのだ。

049-139
そして、それは『空気の冷却(温度低下)』以外あり得ず、それを可
能にするのは『空気の上昇』や『寒気』しかあり得ない。『高温』
は、「空気が湿る」ための役には立たないのだ。

049-140
それどころか、逆に、「空気が湿る」のを妨げてしまう。『海水の
高温』は、その上に存在する空気の温度を上げるので、飽和水蒸気
量(空気が含むことが出来る水蒸気量)が多くなってしまうのだ。

049-141
このため、かえって水蒸気が凝結しにくくなってしまうのである。
これでは逆効果だ。高温ゆえに水蒸気を沢山含むことができた空気
が冷えるから「湿」った状態になるのである。

049-142
多くの人が「水温の高さが空気が湿る原因だ」と思い込んでしまう
のは、お湯(高温の水)から湯気が立つのを見たことがあるからだろ
う。だが、実態は見かけ(から受けるイメージ)とは異なるのだ。

049-143
湯気は、実は、水面に極近いところでは発生していないのだ。それ
より少し離れたところ(高さ)で発生しているのである。そうなる理
由については、もはや明らかであろう。

049-144
つまり、水面に極近いところでは高温なので水蒸気が凝結せず、そ
れより少し離れたところ(高さ)では温度が下がるので水蒸気が凝結
する(湯気が出現する)のである。

049-145
以上のことがわかれば、「空気が湿る」原因が(水の)高温ではなく
(空気の)低温であることがわかるはずである。なお、湯気がある高
さになると再び姿を消すのは、H2Oが周囲に拡散するからだ。

049-146
つまり、空気が冷めるから「乾く」(湯気が姿を消す)わけではない
のだ。一方、水温が低くても、空気がさらに低温であれば、蒸気が
(湯気のように)出現することがある。

049-147
このことからも、「空気が湿る」本当の原因が(水の)高温ではなく
(空気の)低温であることがわかると思う。また、この現象は、水の
蒸発に関する更なる盲点を指摘してくれるものでもある。

049-148
その盲点とは、『見かけ上、水の蒸発が起きていないように思えて
も、水の蒸発は起きている』ということである。水温が低くても蒸
気が出現するのは、水の蒸発が起きている証拠だ。

049-149
これは、『見かけ』信仰の危うさを示すと同時に、「湿った空気」
とはされていない空気にも「湿った空気」と同じくらいH2Oが含ま
れている場合があり得るということをも示しているのだ。

049-150
なぜなら、水の蒸発が(起きていないように見えも)起きているのな
ら、空気には(少なくとも蒸発した分の)H2Oが含まれているはずだ
からである。

049-151
要するに、水の蒸発によるH2Oの供給だけでは、空気は「湿った」
状態にはなれないのである。「湿った」状態になるためには、冷え
る(冷やされる)必要があるのだ。

049-152
つまり、「湿った空気」とは、水の蒸発によるH2Oの供給を受けた
後に冷える(冷やされる)ことで発生したものなのである。従って、
空気がどこかで冷えた(冷やされた)証拠なのだ。

049-153
ところが、呆れたことに、気象屋どもやNHKは、『「南から」の空
気は、その「あたたか」さゆえに、必ず「湿った空気」になってい
るものなのだ』と誤解させるような説明をするのである。

049-154
事実、『南からのあたたかく湿った空気』と『寒気』とを、全く縁
の無いものとして扱う説明のしかたをする。南からの空気が「湿っ
た空気」になっている原因が寒気であることを隠蔽しているのだ。

049-155
ラニーニャの夏には「南から空気が流れ込む」が、その空気は「湿
った空気」にはなっていない。しかも、風上のエリアの海水温が非
常に高くなっているのに、「湿った空気」になっていないのだ。

049-156
一方、エルニーニョの夏には、日本の南の海域の水温は例年より低
いはずであるから、彼らの理論通りなら、南からの空気が「(例年
よりも)湿った空気」になることはあり得ないはずなのだ。

049-157
以上のことから、『南からの空気は、必ず「湿った空気」になる』
論も、『高海水温が空気を湿らせる原因だ』論も、真っ赤な嘘であ
ることがわかるだろう。だから、百ぺん繰り返すのだ。

049-158
そういえば、彼らは、水が蒸発する現象ばかり話題にして、その逆
の現象(たとえば、『水蒸気→海などの水』、『水蒸気→露』など)
は全く話題にしようとしない。これは、全く非科学的な態度だ。

049-159
なぜなら、(前にも言ったように)水の蒸発が起きていないように見
える場合でも、水の蒸発とその逆の現象は起きているし、また、水
の蒸発が起きている場合でも、その逆の現象は起きているからだ。

049-160
『水が蒸発していないように見える状態』とは、実は、『水が蒸発
する現象』と『その逆の現象(水蒸気→水)』とが釣り合っている場
合の状態なのである。

049-161
また、『水が蒸発しているように見える状態』とは、実は、『水が
蒸発する現象』の方が『その逆の現象(水蒸気→水)』よりも優って
いる場合の状態なのである。

049-162
一方、『水が蒸発するのとは逆のように見える状態』とは、『水が
蒸発する現象』よりも『その逆の現象(水蒸気→水)』の方が優って
いる場合の状態なのだが、こちらは滅多にお目にかかれない。

049-163
つまり、『水が蒸発する現象』とともに常に起きている『その逆の
現象(水蒸気→水)』がハッキリとわかる機会が無いのだ。だから、
多くの人が、これを認識(理解)できないでいるのである。

049-164
それはともかく、『水が蒸発するのとは逆のように見える状態』に
お目にかかることが滅多にないのは、空気中に含まれるH2Oの量が
過飽和になっていることが滅多にないだからだ。

049-165
ただし、夜間の冷え込みが厳しかった場合の早朝に、露という形で
『水蒸気→水』現象の結果を見ることは、よくある。その場合、空
気は特に湿ってはいなかったということに気付くべきである。

049-166
このことからも、空気が「湿った空気」になる本当の原因が『空気
の温度低下』であることがわかるのだが、だからこそ、『水が蒸発
する現象とは逆の現象』のことに触れたがらないのだ。

049-167
つまり、まず、空気中に含まれるH2Oの量が飽和水蒸気量に達して
いない場合は、『水が蒸発する現象』が『その逆の現象』を上回る
ので、『水が蒸発しているように見える状態』になるのである。

049-168
それから、空気中に含まれるH2Oの量が飽和水蒸気量に等しくなる
と、『水が蒸発する現象』と『その逆の現象』とが釣り合うので、
『水が蒸発していないように見える状態』になるのである。

049-169
そして、空気中のH2Oの量が飽和水蒸気量を超えてしまうと、『水
が蒸発する現象』よりも『その逆の現象』の方が優るようになるの
で、『水蒸気が凝結するのを見ることが出来る状態』になるのだ。

049-170
ところが、空気中のH2Oの量が増えなくても、空気の温度が下がる
と、飽和水蒸気量が少なくなるので、ある温度以下になれば、空気
中のH2Oの量が飽和水蒸気量を超えることになる。

049-171
そうなれば、『水が蒸発する現象』よりも『その逆の現象』の方が
優るようになるのだから、この場合もまた、『水蒸気が凝結するの
を見ることが出来る状態』になるわけである。

049-172
しかも、空気の温度低下の度合いが大きければ大きいほど、水蒸気
が凝結する量が多くなるのである。空気が「湿った空気」になる本
当の原因は、もはや明らかであろう。

049-173
以上の話からわかるように、空気中のH2Oの量が飽和水蒸気量に達
している場合には、『水が蒸発しているように見える状態』にはな
り得ないのである。

049-174
逆に言うと、『水が蒸発しているように見える状態』になっている
のは、空気が(まだ)「湿った空気」にはなっていない証拠なのであ
る。

049-175
ならば、空気が「湿った空気」になるのは、水の蒸発が終わった後
ということになるだろう。従って、その原因は『空気の温度低下』
以外にはあり得ないのである。

049-176
そもそも、集中豪雨を「湿った空気」のせいにしようとすることか
らして無理がある。なぜなら、H2Oが特定の空域に偏在しなければ
ならなくなるからだ。それは、エントロピーの法則に反する!

049-177
エントロピーの法則によれば、空気(大気)中のH2Oは拡散していか
なければならないはずだ。ところが、「湿った空気」論では、全く
逆に、特定の空域に集中していくことになっているのである。

049-178
エントロピーの法則を無視するとは呆れた非科学だが、何より問題
なのは、空気がどこで「湿った空気」になっているのかを明らかに
していないことである。

049-179
これは、「湿った空気」の定義を明らかにしないことと関係してい
る。何しろ、雲が発生していない(水蒸気が凝結していない)のに、
「ここに『湿った空気』の流れがある」と言い張るのだから。

049-180
そして、その流れがあるところまでくると、そこで突然、雲が出現
する(水蒸気が凝結する)という奇妙な話になるのである。「湿った
空気」の定義が全く曖昧だから可能なトリックだ。

049-181
はたして、「湿った空気」とは、水蒸気が凝結している空気のこと
を言うのか? それとも、水蒸気が凝結し得る空気のことを言うの
か? それとも、水蒸気が凝結しやすい空気のことを言うのか?

049-182
以上三つのうち、まともな定義と呼べるのは、一番目のものだけで
ある。たとえば、二番目。(空気中に含まれる)水蒸気の量がゼロで
ないかぎり、温度が低下すれば凝結(→雲の発生)が起こり得る。

049-183
一方、三番目は『凝結しやすさ』の基準が示されていない。いや、
それ以前に、二番目も三番目も水蒸気がまだ凝結していない空気の
ことになり、水蒸気が凝結する外因が必要なことを意味している。

049-184
つまり、冷却がないと雲が発生しないことを意味しているのだ。そ
のような空気のことを「湿った空気」と呼ぶのは、地球温暖化を前
提とする降雨(豪雨)の説明においては、無意味なはずである。

049-185
なぜなら、地球温暖化が進行している状況では、空気が冷却される
機会や度合いが減ってしまうからである。ちなみに、冷却される機
会や度合いが増すのは、むしろ寒冷期(気候不安定期)である。

049-186
余談だが、雲は空気があたたまると蒸発(気化)して消えることがあ
る。このことは『雲消し男』のトリックとして有名なはず。「湿っ
た空気」は、本当は「温暖化」に弱いのである。

049-187
「雨雲(積乱雲)が流れ込む」という表現よりも「湿った空気が流れ
込む」という表現の方が科学的に感じるのかもしれないが、実態は
全く逆で、(後者は)定義がいい加減な似非科学的表現なのである。

049-188
そもそも、「湿った」という言葉の本来の意味は、『気体である水
蒸気を(多く)含む』ではなく、『液体である水分を(多く)含む』で
はないか?

049-189
また、『湿度』とは、空気そのものの湿り具合のことではなく、そ
の空気に接している『もの』を湿気(しけ)らせる能力のことではな
いのか?

049-190
あるいは、水を蒸発させる能力の低さ(蒸発の際に気化熱が奪われ
ることにより起きる温度低下の弱さ)のことではないのか? 湿度
計の原理を考えれば、そうした意味になるはずである。

049-191
このように、「湿った空気」という言い方は、やはりおかしいので
ある。おそらく、「湿った」は、英語のwetの直訳であろう。つ
まりは、欧米猿真似大好き人間がよくやる迷訳である。

049-192
wetには、確かに「湿った」という意味があるが、それだけでな
く、「湿っぽい」「水気のある」「ぬれた」「雨の」「雨降りの」
「雨の多い」…といった意味もあるのだ。

049-193
つまり、英語のwetは、『(降)雨』や『(気体である水蒸気では
なく、液体である)水』と関係の深い言葉なのである。だから、雨
降りの大気の状態の表現に用いることが可能なのだ。

049-194
対して、日本語の「湿った」は、「ぬれた」とは意味が異なる言葉
であり、また、「雨(降り)の」という意味も無い。それ故、「湿っ
た」という直訳は、限りなく誤訳に近い迷訳、悪訳なのである。

049-195
もっとも、「湿った空気」を「ウェット(wet)な空気」にかえたと
ころで、問題が解決するわけでもない。なぜなら、まず第一に、物
理学的な定義が相変わらず不明だからである。

049-196
そして第二に、空気が「ウェットな空気」になるためには冷却が必
要であることが全く見えてこない表現であることである。つまり、
この表現もまた、寒気の働きを無視している表現なのである。

049-197
こうしてみると、「湿った空気」論というニセ科学の原型は、米国
から輸入され(日本でさらに酷い形に進化させられ)たものであるこ
とがわかるだろう。

049-198
米国というと『世界一の科学技術先進国』というイメージがあるよ
うだが、二つの世界大戦以前は、欧州よりも遅れた国だったのだ。
特にゴールドラッシュ以前は、開拓地のレベルだった。

049-199
つまり、まずゴールドラッシュが(科学技術の発展に必要な)経済力
を、そして、二つの世界大戦(やナチスの台頭)が欧州からの優秀な
人材(才能)の移入を、米国にもたらしたのだ。

049-200
こうした歴史を知れば、米国もまたニセ科学が力を得やすい国であ
っても少しも不思議ではないだろう。「水蒸気」がらみのニセ科学
の源流は英米であり、日本はその盛り上げ役をやっているのだ。

049-201
もし本当に「水蒸気」が異常気象の原因なら、「水蒸気」の排出規
制をしなければならないはずである。だが、英国も、米国も、その
ことを訴えたことは、一度もない。

049-202
それどころか、欧米は、水素エネルギーや天然ガスや地熱発電のよ
うな「水蒸気」排出量が多くなるエネルギーを大々的に推進してい
るのである。ペテンであることは明白であろう。

049-203
もっとも、こういう指摘をすると、「地球温暖化による水の蒸発量
の増加に比べたら、新エネルギーによる水蒸気排出量は無視できる
ほど少ない」といった(往生際の悪い)反論が出てくるものだ。

049-204
そうした反論には、こう詰問すればよい。「ならば、なぜ、『ヒー
トアイランド現象が都市部での豪雨を激化させている』などという
論を信じ唱えることができるのか?」と。

049-205
なんと、彼らは、「ヒートアイランドにより上昇気流が生じ、積乱
雲に水蒸気が供給されるので、(都市部での)豪雨が激化するのだ」
などと、大真面目に信じ唱えているのである。

049-206
後(次項 050)で説明するように「ヒートアイランドにより上昇気流
が生じ」という部分からして大問題なのだが、ここで先に問題視し
ておきたいのは「水蒸気が供給されるので…」以降の部分である。

049-207
ヒートアイランドが起きやすい都市部は、普通、陸にある。陸には
水源がわずかしか無い。従って、そこで発生した上昇気流が、そん
なに「湿っ」ているわけがないのである。

049-208
こうしてみると、新エネルギーとのダブル・スタンダードが明白で
あろう。一方、あたたかい空気が上昇してくると、積乱雲があたた
められて蒸発(気化)してしまうおそれが出てくる。

049-209
これでは、豪雨が激化するどころか、逆に弱まってしまうことにな
る。このように、上昇気流の問題を抜きにしても、すなわち、「水
蒸気」に関する部分だけでも、インチキだらけなのである。

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