048-01
そもそも、集中豪雨という現象まで、地球温暖化→海水温上昇→空
気の湿り気増大のせいにしていることからして、完全に狂っている
のである。それは、エントロピーの法則を無視した反科学だ!

048-02
集中豪雨を「水蒸気(空気の湿り気)の多さ」のせいにしようとする
と、ある特定のエリアに水蒸気が多く集中して分布するのでなけれ
ばならなくなる。それは、エントロピーの法則に反する現象だ。

048-03
エントロピーの法則によれば、水蒸気は拡散して一様な分布になろ
うとするはずである。従って、これに逆らうような(物理学的な意
味での)仕事をされない限り、集中・偏在は不可能なのだ。

048-04
もちろん、自然界には、そのような仕事をしてくれるものは存在し
ないし、その仕事をするのに必要となるはずのエネルギーも存在し
ない。故に、水蒸気の集中・偏在は起きないことになるのである。

048-05
このように、地球規模の温暖化(海水温上昇)は、全地点における雨
量の増加の説明にはなり得るのかもしれないが、集中豪雨の説明に
はならないのである。

048-06
それに、「湿った空気」が山にぶつかる所以外の所での『積乱雲の
発生・発達』が説明できない。つまり、「湿った空気」の流れが、
ある所で急に上昇気流になる現象が、説明できないのである。

048-07
この現象は、寒気の関与によって説明できる。だが、寒気には「空
気」を「湿った」状態にする能力もあるので、寒気の関与を認めて
しまうと、「海水温の上昇」論の出番が無くなってしまう。

048-08
そこで、体制側の連中は、寒気の存在や関与を隠すために、「湿っ
た空気の帯」という疑似科学概念を発明した。これは、素人を騙す
には持って来いのトリックである。

048-09
「湿った空気の帯」とは、要するに、寒気の縁のことである。そこ
では、上昇気流が発生し、(雨)雲が発達する。それをいいことに、
「湿った空気の帯」などとほざくわけである。

048-10
(雨)雲が発達するので、雨雲分布の画像等を見せつけて視覚に訴え
れば、素人相手なら(「湿った空気の帯」という疑似科学概念を)信
じ込ませられる…と、体制側は企んでいるのだ。

048-11
それに、上昇気流が発生しているので、素人相手なら、上昇気流発
生の原因を「湿った空気」(→海水温上昇→地球温暖化)であると信
じ込ませられる…というわけである。

048-12
これは、どう見ても、寒気の存在・関与を気付かせないようにする
ための『すり替えトリック』なのだが、さらに悪質なのは、寒気の
存在を肯定も否定もしてないことである。

048-13
つまり、受け手(聞き手)が勝手に「原因は(寒気ではなく)空気の湿
り気の増大なのだ」と勘違いしてくれることを意図した、未必の故
意による騙しなのである。

048-14
もっとも、見方を変えれば。「湿った空気の帯」論は、「湿った空
気」で説明される全ての現象が、実は、寒気による現象であるとい
うことをわざわざ教えてくれているものでもあるわけである。

048-15
実際、「湿った空気」論のことを全面的に支持して宣伝報道してい
るNHKは、(豪雨などの原因となる)寒気のせいで気温が低下した地
域のことは全く報じない。たとえ平年より10度以上低くてもだ。

048-16
逆に、寒気のせいで(南から暖かい空気が流れ込んで)気温が上昇し
た地域のことは、しっかりと報じる。こうした破廉恥報道こそ、真
の原因が寒気であることを教えてくれるものである。

048-17
湿った空気が流れ込んでくるのではない。流れ込んでくる空気が、
寒気のせいで、「湿った」状態になるのである。体制側は、事実を
すり替え、ねじ曲げている!

048-18
そういえば、気象台が10月22日とした札幌の初雪予想がハズレたこ
とがあった。原因は、上空の空気の湿り気不足だそうだ。だが、そ
れは、空気の湿り気が増してなどいない証拠となる話である。

048-19
北海道では、さらに、もう一つ、見過ごせぬ出来事があった。それ
は、鰯の大量打ち上げ死である。嵐で海水がかき混ぜられた途端に
海水温が急激に下がってしまったことが原因だそうだ。

048-20
つまり、浅いところの海水温は高かったが、深いところでは低かっ
たのである。このように、ある海域や深度の海水温が高くなってい
ても、他の海域や深度では低くなっているというのが実態なのだ。

048-21
それに、温度分布は変化するものである。従って、海水温を正確に
把握するためには、全ての海域と深度を、年中、四六時中、つまり
一時も途切れることなく観測し記録し続けなくてはならないのだ。

048-22
現実には、そんなことは不可能であり、実際、行われていない。気
温についても同様である。IPCCやWMOなどのホラやハッタリに騙さ
れてはならない。

048-23
実際に起きているのは、大気や海の温暖化でもなければ、空気の湿
り気増でもない。高温や湿りの集中・偏在、すなわち、格差拡大な
のである。まるで、経済政策の騙しのようだ。

048-24
既に述べたように、集中・偏在は、エントロピーの法則に逆らう現
象で、地球温暖化では説明がつかない。また、集中・偏在する位置
が一定せず、故に、温度や降水量の乱高下が起きるのも致命的だ。

048-25
陸で発生する移動性の寒気団なら、これらの現象(難題)を全て合理
的に説明(解決)できる。体制側は、それを死んでも認めたくないの
で、疑似科学的トリックを次から次へと繰り出してよこすのだ。

048-26
たとえば、日本の気象庁は、今頃になって、夏にエルニーニョが既
に発生していたなどとほざき始めた。ならば、台風の「急速強化」
の原因にした太平洋西部低緯度の海水温高は、どう説明するのか?

048-27
「エルニーニョ」という屁理屈に頼らざるを得なくなったのは、大
陸からの寒気の影響が無視できなくなってきたからだ。エルニーニ
ョになると太平洋高気圧が弱まることを思い出して欲しい。

048-28
太平洋高気圧が弱まると、大陸からの寒気の影響を受けやすくなる
ので、大陸の寒気が強まった場合と同じような効果が得られる。こ
れが、「エルニーニョ」トリックに頼る理由である。

048-29
気候不安定期には、気温同様、海水温も乱高下する。気流が寒気の
せいで乱され、教科書的な(安定した、型にはまった)流れではなく
なるために、海流もまた教科書的な流れではなくなるからだ。

048-30
それ故、エルニーニョか否かといったことが単純には言えなくなる
のである。従って、エルニーニョか否かといったような単純な分類
をすること自体が無意味になるのだ。

048-31
そもそも、エルニーニョとは、元々、日本から遠く離れた海域の全
く局所的な海水温上昇現象のことだったはずだ。そんなものを日本
の気象屋が原理(根源)視することからして、おかしいのである。

048-32
もっとも、それが米国の気象屋の所業というのなら、まだ話はわか
る。こうしてみると、今時の日本の気象屋どもは米国(の気象屋)の
猿真似ばかりしていることが見えてくるだろう。

048-33
実際、彼らは「寒気が南下してくる」という表現をよく用いる。こ
れは、北隣が陸(カナダと地続き)である国だからこそ、まだ許され
る表現というものだ。

048-34
対して、日本の場合は、寒気を発生させる大陸は西の方にあるのだ
から、「南下してくる」という表現は、とても許されるものではな
いはずだ。

048-35
以上のことからわかるように、彼らは、わけもわからず米国の猿真
似ばかりしている連中なのだ。だから、米国の破廉恥学者たちのそ
の他のトリックも真似したがるわけである。

048-36
たとえば、高温のデータだけを取り上げる(低温のデータは無視す
る)というトリックがそうだ。これは「(地球)温暖化」でっちあげ
のための常套手段だが、エルニーニョのでっちあげにも使える。

048-37
つまり、(乱高下する)監視海域の海水温に対し、このトリックを用
いればよいわけである。もっとも、こうなってくると、もう、エル
ニーニョの定義からして全くいい加減…ということになるだろう。

048-38
定義がいい加減と言えば、今時の(特に日本の)気象屋どもが振り回
す「湿った空気」もそうだ。具体的に、どういう空気のことを言う
のか、全く示されていない。

048-39
つまり、たとえば、湿度や空気単位体積あたりのH2O含有量や凝結
済みH2O量などの数値が、いくら以上…といった定義が全くなされ
ていないのである。

048-40
『湿り』の基準もハッキリさせずに「湿った空気」も何もないだろ
う。定義からしていい加減な概念を用いて、科学的な説明など、で
きるわけがない。

048-41
定義がいい加減という特徴は、地球温暖化説を支えるニセ科学に共
通する特徴だ。偏西風原理主義や気圧原理主義も、概念の定義に、
かなりいい加減なところがある。

048-42
まずは、偏西風(ジェット気流、上空の風)。これは大気の大循環の
一部分(を連ねたもの)だが、厳密に大気の大循環のどの部分(どれ
だけの範囲)を指すのか、その定義は全く曖昧である。

048-43
また、低気圧や高気圧に関しては、その大きさや勢力範囲や縁の決
められ方が全く恣意的かつ御都合主義的である。それらについて確
かな定義が無いから、そういうことになるのだ。

048-44
元々、低(高)気圧とは、周囲よりも気圧が低(高)くなっているとこ
ろのことを指すのだが、だとすると、それは、上昇(下降)気流が生
じているところのあたりのことしか指さないことになるはずだ。

048-45
たとえば、「高気圧の縁」のすぐ内側に位置する微小領域は、さら
に内側のエリアよりも気圧が低いので、「周囲よりも気圧が高い」
とは言えず、故に、「高気圧」とは言えないことになるのだ。

048-46
こうしてみると、高(低)気圧そのものの定義からして、全くいい加
減なものになってしまっていることがわかるだろう。もっとも、そ
の起源(創られ方)を考えれば、これは別に不思議なことではない。

048-47
以前説明したように、高(低)気圧とは、大気循環の一部を、人間の
都合に合うように、勝手に切り出して創った道具にすぎないのであ
る。つまりは、ただの『切り抜き』にすぎないのだ。

048-48
従って、物理的な根拠があるわけではなく、故に、「どういうとこ
ろをどれだけ切り出せば良いのか?」ということをきちんと定めた
ルールがあるわけでもないのだ。

048-49
そんな創られ方をされたものなら、定義がいい加減なのは当然のこ
とである。そして、このことは、偏西風(ジェット気流、上空の風)
などにも言えることなのだ。

048-50
そもそも、気圧原理主義や偏西風原理主義の根底にある「大気循環
の『切り抜き』によって、気象現象を説明することができる」とす
る考えが、根本的に間違っているのである。

048-51
まず、前にも指摘したように、大気循環の一部を切り抜いてしまう
と、『切り抜かれた部分』と『残りの他の部分』との関連性や連続
性が失われてしまう。

048-52
また、空気が運動する(気流が発生している)原因が説明できなくな
る。たとえば、低気圧では上昇気流が発生しているが、この上昇気
流が発生する原因が(『切り抜き』では)説明できないのだ。

048-53
それもそのはず。なぜなら、「低気圧」という『切り抜き』(の内
部)には、『上昇気流を発生させる原因となるもの』が存在しない
ことになっているからだ。

048-54
言っておくが、気圧が低いというだけでは、周囲から(上方からも)
空気が集まってこようとするだけで、上昇気流は生じない。また、
それ以前に、気圧が低くなっている理由の説明が無い。

048-55
それに、「低気圧」とはいうものの、気圧が低くなっているのは高
度が低いところであって、高いところでは逆に空気が吹き出してく
るほど気圧が高くなっているのだから、これは大問題である。

048-56
上昇気流が発生する状況だからこそ、高度の低いところでは気圧が
低くなり、高いところでは高くなるのである。従って、上昇気流が
発生する原因が説明できないことは許されないはずなのである。

048-57
要するに、気圧原理主義は、上昇気流が発生する原因が説明できな
いのである。これは当然のことである。なぜなら、低気圧は、ただ
の『切り抜き』にすぎないからだ。

048-58
そもそも、低気圧という『切り抜き』は、気流などの現象を説明す
るための『物理モデル』ではない。嵐(悪天候)の位置や範囲や勢力
や強さなどを表現するための記号のようなものにすぎない。

048-59
こうした極初歩的な基礎知識も無い連中が、気象の専門家面して世
にはばかっているのである。このようなインチキ・エリートどもの
資格や学位は、直ちに剥奪されるべきである。

048-60
それはともかく、低気圧という『切り抜き』の内部には、実は、上
昇気流を発生させる原因となるものが存在するのだ。それは、寒気
(団の一部)である。

048-61
天気図で言うと、「低気圧」とされる領域の半分以上の部分が、寒
気(団の一部)で占められているのである。つまり、暖気が占める割
合よりも多いのだ。

048-62
このように内部に寒気が存在しているからこそ、上昇気流が生じ続
けるのであり、また、下部では(周囲よりも)気圧が低くなり、上部
では気圧が高くなるのである。

048-63
だが、それを言ってしまうと、低気圧が『物理モデル』でもなけれ
ば『根元的なもの』でもないという事実がバレてしまう。だから、
気圧原理主義者たちは寒気(の存在)について触れたがらないのだ。

048-64
彼らは、空気が下から温められていないエリアでも、空気が上昇し
続けている(低気圧が存在し続けている)ことを、全然不思議に思わ
ない人たちなわけである。実におめでたい人たちだ。

048-65
彼らはまた、空気が四方八方から集まってきて「ぶつか」っている
にもかかわらず、気圧が高くならない(低気圧のままである)ことに
も、何の疑問も抱かない人たちである。

048-66
空気が周囲から集まってきて「ぶつかる」ようなことになれば、空
気の密度が高まり、圧力が高くなってしまうはずだ。また、そうな
れば、そこに空気が「流れ込む」ことは起こり得ないはずである。

048-67
重要なことなので繰り返すが、気圧が低いから空気が上昇するので
はなく、空気が上昇させられるから(下部の)気圧が低くなるのであ
る。従って、『空気を上昇させようとするもの』が最重要なのだ。

048-68
何度も言うように、それは寒気である。寒気は暖気を上昇させるの
だが、上昇する暖気に引きずられて、寒気の側も上昇させられるの
で、寒気の側もまた(下部の)気圧が低くなるのである。

048-69
もっとも、そのせいで寒気もまた暖気と同じように(低気圧に)吸込
まれるために、『寒気』ではなく『気圧が低いこと』が「根元的な
原因だ」と誤解されてしまうのかもしれない。

048-70
とはいえ、空気が「ぶつか」っているのに気圧が高くならないこと
を気にしないのは、あまりに非科学的な態度と言わざるを得ない。
そういえば、彼らは、「風がぶつかる」という説明を好む。

048-71
風は空気の流れなのだから、これもまた、空気がぶつかる論と同類
の矛盾した話だ。気圧の高い方へ、自然に、風が吹く(空気が流れ
る)ことは、起こり得ない(∴「ぶつかる」こともない)。

048-72
彼らが「風がぶつかる」と表現するエリアでは、上昇気流が生じて
いるものだ。つまり、本当は、寒気と暖気とが出合って(下部の)気
圧が低くなっているのである。だから、雨雲が発達するのだ。

048-73
ところが、天気図の等圧線を見ると、こうした気圧が低くなってい
るエリアが存在することが全然見えてこない。ここに、『等圧線の
表現能力の限界』という落とし穴があるのだ。

048-74
実は、等圧線は、局所的な気圧の凹凸や急勾配は表現しきれない場
合が少なくないのだ。たとえば、寒冷前線のあるあたりの等圧線が
どうなっているかを思い出して欲しい。

048-75
寒冷前線では、強い上昇気流と、そこに向かおうとする強い風とが
生じているが、等圧線の間隔は、これらの現象を説明できるような
狭さには全然なっていない。

048-76
だから、等圧線とは別の、三角形のようなマークがいくつもついた
曲線で、前線の位置や存在を示す必要があるのである。突風や竜巻
が起きるほど気流が強力な寒冷前線でさえ、この有り様なのだ。

048-77
ならば、寒冷前線の上昇気流よりも弱い上昇気流の中に、等圧線か
らはその存在がわからない、もしくは、わかりにくいものがあった
としても、少しも不思議ではないだろう。

048-78
実際、寒冷前線以外の前線(たとえば、温暖前線)の場合も、前線を
示す線が描かれていなければ、上昇気流の強さはおろか、その存在
さえ読みとるのはかなり困難なはずである。

048-79
もっとも、「低気圧に伴う」と表現される前線は、その存在くらい
は読みとれるということはある。等圧線がわずかに(気圧の高い方
に)出っ張っていることがあるからだ。

048-80
だが、それ以外の場合は、読みとりは極めて困難であろう。一方、
気圧の谷は、読みとりが容易だ。問題なのは、気圧の谷で上昇気流
が発生していることを知らない人があまりに多いことである。

048-81
そういう人たちは、(気圧の谷の存在は読みとれても)結局、上昇気
流の存在は読みとれないことになる。そもそも、『気圧の低さ』は
上昇気流の原因ではないのだから、これは無理もないことである。

048-82
(気圧の谷の)上昇気流を発生させているのは、実は、気圧の谷の発
生原因である寒気なのである。寒気により上昇気流が発生すること
で、気圧が下がり、気圧の谷が生じるのだ。

048-83
このように、『上昇気流』と『気圧の低さ』とでは、前者が『因』
で、後者が『果』となる関係にあるのである。この真の因果関係を
知らなければ、気象の正しい理解・把握は絶望的である。

048-84
確かに、この因果関係なら、気圧の低いところを探せば、上昇気流
を見つけ出せることになる。だが、気圧の低いところを見つけ出せ
ないことがあるのなら、この探し方では不十分なはずだ。

048-85
事実、等圧線は、気圧が低くなっているところ全てを表現しきれる
わけではないのだ。これは、天気図からは見えてこない上昇気流が
存在するということを意味する。

048-86
そういう例を、さらに二つほど示そう。まずは、夏の太平洋高気圧
の「縁」に生じているはずの上昇気流。大雨を降らせる雨雲が発達
しているにもかかわらず、等圧線からは見えてこない。

048-87
そして、もう一つの例は、台風から前線に向かって伸びる雨雲のあ
たりに生じているはずの上昇気流。これまた、大雨をもたらす雨雲
が発達しているのに、等圧線からは見えてこない。

048-88
このように、全国ニュースで大騒ぎされるような被害をもたらす気
象現象とかかわりがある上昇気流でさえ、見えてこない場合が少な
くないのだ。等圧線の表現能力とは、この程度のものなのである。

048-89
そういえば、今時の気象屋どもが振り回す「湿った空気」を発生さ
せるために必要なはずの上昇気流も、全く見えてこない。寒気の関
与を否定するのなら、空気が上昇することが必要なはずだ。

048-90
そういえば、前線では上昇気流が発生しているはずなのに、気象屋
どもは前線のことを「低圧エリアだ」とは言わない。等圧線が気圧
の低さを表していないからだ。

048-91
それでも、前線には暖気(と寒気)が吸い寄せられてくるのであるか
ら、その気圧の低さが表現されていないことに何の疑問も抱かない
というのは、専門家として大いに恥じるべき醜態である。

048-92
もっとも、そんな調子だからこそ、「前線に向かって『南から』暖
かく湿った『空気が流れ込む』」などという、(少なくとも)力学的
には全くのデタラメである説明ができてしまうのだ。

048-93
南から空気が『流れ込む』のではない。上昇気流が生じて気圧が低
くなっている前線(の方)に空気が吸い寄せられ(込まれ)ていくとい
うのが、正しい説明である。

048-94
しかも、前線(の方)に吸い寄せられるのは、暖気だけでなく、寒気
もなのだが、『流れ込む』論者たちが「前線に向かって寒気が(も)
流れ込む」と述べることは、まずない。

048-95
確かに、寒気はその一部が(上昇する)暖気に引きずられる形で上昇
するので、吸い寄せられる勢いは暖気に比べると弱い。だが、だか
らといって無視して良いことにはならないはずだ。

048-96
こうしてみると、今時の気象屋どもは、「寒気(の関与)が見えなく
なるのなら、上昇気流や気圧の低さも見えなくて結構」と考えてい
ることがわかるだろう。そこまで腐っているのだ。

048-97
上昇気流の発生原因を『地表・海面の高温』だけとするのは、明ら
かに誤りである。第一、夜間には、地表・海面は太陽光による加熱
はされないのだから、上昇気流は発生しないことになってしまう。

048-98
すると、夜間には低気圧などは存在し得ないことになる。これは観
測事実に反する。さらに、夜間に吹く陸風(陸から海の方へ吹く風)
も、あり得ないことになる。

048-99
なぜなら、陸風は、海側で上昇気流(陸側で下降気流)が生じ続ける
ことで吹く風だからである。海面は(太陽光により)加熱されず、む
しろ冷えていくというのに、なぜ上昇気流が発生し続けるのか?

048-100
それが可能であるためには、空気が海面よりもさらに低温であれば
良いのである。つまり、空気が(海面の温度と比較した場合に)「寒
気」となれば良いわけである。

048-101
陸は海(水)よりも速く冷え、空気を冷やす。こうして生まれた冷た
い空気は、重いため、まだそれほど冷たくない海上の空気の下に潜
り込み、海面上に流れ込んでいく。

048-102
こうして海面上に陸から「寒気」が供給され続けることになるため
に、海面温度が低下していくにもかかわらず、上昇気流が発生し続
けることが可能になるのである。

048-103
こうしてみると、上昇気流の発生には、『海面の高温』よりも『寒
気』の方が重要であることがわかるだろう。そして、このことは、
昼間に吹く海風のことを考えると、一層明白になってくる。

048-104
海風は、陸風の場合とは逆に、陸で上昇気流が、海で下降気流が、
それぞれ生じることにより吹く。だが、昼間なら、海面は、太陽光
により加熱され、高温になっていくはずである。

048-105
にもかかわらず、海では上昇気流は生じず、全く逆の下降気流が生
じてしまうのである。このように、上昇気流の発生原因を『地表・
海面の高温』だけとするのは、完全な誤りなのだ。

048-106
地表・海面が高温になっても、(高温になった)地表・海面よりも温
度が低い空気が他の所から移動してくるようになっていないと、上
昇気流は発生しないのである。

048-107
下から加熱されるだけでは、空気は上昇しないのだ。温度が高くな
って膨張しようとするだけである。温度が高くなっていない空気が
存在する場合にのみ、上昇することができるのである。

048-108
確かに、加熱され膨張すると、加熱(膨張)前よりは軽くなるが、全
体が加熱され膨張してしまうと、重さの差が生じない。これでは、
空気の上昇という現象は起こらない。

048-109
膨張した空気が上昇するためには、膨張していない空気が存在すれ
ば良い。そうなれば、重さの差から、膨張した空気は上昇すること
ができる。

048-110
膨張していない(∴軽くない)空気とは、高温になっていない空気の
ことであり、それは、すなわち、上昇する空気からすれば、間違い
なく、寒気である。

048-111
このように、寒気無しでは上昇気流は発生し得ないのである。もし
上昇気流が発生していたら、それは寒気が存在・関与している証拠
なのだ。

048-112
そして、このことが理解できれば、『低気圧や前線や気圧の谷など
よりも、寒気の方が、より根元的なものなのである』ということも
理解できるようになるはずである。

048-113
もっとも、地表・海面の高温が上昇気流を勢いづけるのは事実であ
る。だが、寒気により冷却されたり、水の蒸発で気化熱が奪われた
りすると、地表・海面の温度は低下してしまうはずだ。

048-114
『地表・海面の高温』が上昇気流に関与するためには、『地表・海
面の高温』を維持してくれる仕組みが必要となる。海(面)の場合、
暖流がその役割を果たせることになる。

048-115
なぜなら、暖流は、高温の海水、すなわち、まだ温度が低下してい
ない海水を、そのエリアに次から次へと運んできてくれるからであ
る。しかも、太陽光に照らされない夜間などにも…だ。

048-116
このように、海面の高温が上昇気流に影響することができるのは、
暖流の影響を受ける海域だけなのだ。それ故、暖流の勢いが弱まる
と、上昇気流は発生しにくくなることになる。

048-117
エルニーニョの冬に西高東低の冬型の気圧配置が崩れがちになるの
も、そのせいである。大陸から寒気が流れ込むと、海面の高温状態
が保たず、上昇気流(→低気圧)が弱まってしまうのだ。

048-118
そのため、海面が再び十分な高温状態になるまで、低気圧は発達せ
ず、故に、寒気の流れ込みも大幅に鈍ることになる。これは、日本
列島に暖冬をもたらす。

048-119
やがて、海面が十分な高温状態に戻ると、再び低気圧が発達しやす
い状況となり、寒気の流れ込みが活発化することになる。すると、
海面の温度が再び低下し、寒気の流れ込みが鈍化することになる。

048-120
以上のことが繰り返されることになるわけである。ここで気付かな
ければならないのは、大陸からの(強い)寒気の流れ込みがしばしば
途切れることである。これは、寒気の縁が生じることを意味する。

048-121
寒気の流れ込みが再開した時に、その最前部に縁が生じるわけであ
る。そして、そこでは、大きな温度差が生じ、強力な前線さらには
低気圧が発達することになる。

048-122
もうお気付きのように、南岸低気圧や爆弾低気圧は、このようなメ
カニズムにより発生・発達するのである。南岸低気圧や爆弾低気圧
は、エルニーニョの冬には、よく見られる低気圧なのだ。

048-123
ところが、今時の気象屋どもは、世間を欺く権力の手先となって、
「かつて無い異常気象」などと説くのだ。しかも、エルニーニョに
なっていることを隠して。

048-124
おまけに、「海水温の上昇」のせいにするのであるから、呆れた連
中である。エルニーニョは、太平洋の西側に位置する日本にとって
は、海水温が低くなる現象になるはずだ。

048-125
ちなみに、彼らの理論に従うならば、(エルニーニョのせいで)海水
温が低いと、空気の湿り気が増すことはなく、故に、湿った重い雪
や暴風雪などは全く説明できないことになる。

048-126
そこで、彼らは、海水温高を演出するために、以下に述べるような
二種類のトリックをよく用いる。一つは、例年だと冬の季節風に晒
される海域の海水温を話題にするというトリックである。

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エルニーニョだと、冬の冷たい季節風が吹かないことが多くなるた
め、海水が(季節風により)冷やされないことが多くなり、その分、
海水温(の平均値)が高くなることになる。これを利用するわけだ。

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冬に「日本近海の海水温が例年に比べて(平年よりも)高い」と語り
始めたら、大抵、この種の騙しである。これに対し、もう一つのト
リックは、日本のずっと南の海域をネタにするものだ。

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具体的に言うと、(南半球をも含む)低緯度海域ある。エルニーニョ
の冬の大陸からの寒気は、よく途切れるので、台風シーズンによく
現れる『移動性の寒気団』のような働きをすることになる。

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こうした寒気は、まず、貿易風(→暖流)を強化するので、太平洋西
端の低緯度海域の海水温を(一時的に)上昇させる。また、大きな温
度差を生み出すので、強力な熱帯低気圧を発生・発達させる。

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この二つの現象(海水温の上昇と強力な熱帯低気圧)をネタに(しか
も、前者を後者の原因ということにして)騒ぎ立てるわけである。
時には、南半球での現象さえをもネタにして。

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というのも、(日本が)寒い季節には、赤道無風帯が赤道よりも南半
球の方へ寄ってしまうからだ。それ故、『強力な熱帯低気圧』が南
半球の(低緯度)エリアを襲うことがあり得ることになるのである。

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そして、そのような場合、『強力な熱帯低気圧』は、「台風」とは
呼ばれず、「サイクロン」と呼ばれることになる。バヌアツを襲っ
たサイクロンも、この種のものであった可能性が高い。

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というのも、エルニーニョの影響で海水温は低めになるはずであっ
たことや、またその影響で気温が高めだった日本に強い寒気の流れ
込みがあった頃にサイクロンの襲来があったことがあるからだ。

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低気圧の強まりを海水温の上昇のせいにする海洋原理主義者たちの
最も破廉恥なところは、低気圧の発生・発達の前〜最中〜後に及ぶ
海水温の時間的変化の様を表すデータを示さないことだ。

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『低気圧の発生・発達の前と最中と後で、海水温がどのように変化
するか?』という問題は、そのメカニズムを解明・検証する上で、
絶対に取り組まなければならない問題のはずである。

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