028-01
まずは、以前予告したように、屈折率差反射説から。この説では、
吸収説では無視もしくは矮小化されていた『ガスが電磁波を放出す
る能力』のことが、公正に考慮されている。

028-02
したがって、その点に関しては、吸収説よりもまともな説であると
言える。だが、それは、裏を返せば、より巧妙なトリックが用いら
れているということなのだ。

028-03
そのトリックがどこにあるのかということは後で明かすとして、そ
の前に、屈折率差反射説を理解するために必要な知識の説明をして
おきたい。まずは、反射に関する知識から。

028-04
反射に関して最低限知っておかなければならないのは、『(波の)反
射という現象は、物質(の分布)が不連続になっているところで起き
る』という知識である。

028-05
高校で物理を選択した方なら、自由端反射や固定端反射について学
んだことがあるはずだ。自由端も、固定端も、ともに『物質が不連
続になっているところ』である。

028-06
もっとも、そんな知識が無くても、ガラスや水面などで光が反射す
ることぐらい、小学生でも知っているはずだ。このように、反射と
いう現象は、物質が不連続になっているところで起きるのである。

028-07
さて、電磁波の反射に関して重要になってくる物性が、屈折率(よ
り適切に電磁気学の概念で言うならば、誘電率と透磁率)というわ
けなのである。

028-08
物質の種類や状態が異なると、屈折率(誘電率や透磁率)が異なって
くる。それ故、物質の不連続があると、屈折率の不連続があること
になるのである。

028-09
つまり、屈折率が不連続になっているところで電磁波の反射は起き
るわけである。そこで重要になってくるのが、『電磁波を吸収し放
出するもの』の屈折率への影響である。

028-10
『電磁波を吸収し放出するもの』には、電磁場(もしくは電磁作用)
の強さを変えてしまう働きがある。それ故、誘電率や透磁率を変え
てしまう働きがあることになるのである。

028-11
誘電率や透磁率が違ってくれば、屈折率も違ってくる。というわけ
で、『電磁波を吸収し放出するもの』の有無や多少は、屈折率の相
違(差)を生み出すことになるのである。

028-12
それ故、大気が『電磁波を吸収し放出するもの』を含むようになる
と、その屈折率は、(『電磁波を吸収し放出するもの』を含まない)
宇宙空間の屈折率とは違ってくるようになるのである。

028-13
さて、CO2等の温室効果ガス(と呼ばれているガス)は、『電磁波を
吸収し放出するもの』である。したがって、大気(の層)の屈折率と
宇宙空間の屈折率との間に、差を生じさせることになるのである。

028-14
それ故、もし大気(の層)と宇宙空間との間に明確な境界があるなら
ば、そこに屈折率の不連続があることになるので、(地表からの)赤
外線の(地表方向への)反射が起きることになるわけである。

028-15
こうして温室効果が生じるというのだが、ここで問題になってくる
のは、『大気(の層)と宇宙空間との間に“明確な境界”などという
ものが本当にあるのか?』ということである。

028-16
確かに、屈折率差反射説の説明の図には、大気(の層)と宇宙空間と
の間に“明確な境界”があることを表す線がしっかりと描かれてい
る。だが、この線こそ、人を騙すためのトリックなのだ。

028-17
なぜなら、大気というものは、高度が上がるにつれて徐々に薄くな
っていくのであって、ある高さから突然無くなってしまうのではな
いからだ。したがって、“明確な境界”など存在しないのである。

028-18
よって、屈折率の不連続も存在せず、赤外線の反射は起こらず、温
室効果は生じないことになるのである。かくして、屈折率差反射説
は崩壊してしまうのである。

028-19
つまり、あの線は、反射が起きるために必要な不連続の存在をでっ
ち上げる(錯覚させる)ためのトリック表現だったのだ。縮小図であ
ることがまた、それを容易にしたと言える。

028-20
人間は、視覚に訴えられると弱い生き物である。誘電率・透磁率・
屈折率といった物理学の専門知識に通じている人でも、油断してい
ると、こうしたトリックに騙されてしまうのだ。

028-21
もっとも、これは、裏を返せば、『鈍でない科学者(物理学者)は騙
せなかった』ということでもある。そこで、これまでの説とは全く
趣の異なる第三の説=ガス不透明説が登場してくるのである。

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