018-01
エルニーニョは、ラニーニャとは逆に、貿易風が弱まる現象である。これは、太平洋全体の海洋循環を弱めることになる。すると、ラニーニャの場合とはまた違った『疑似』温暖化現象が起きるのだ。

018-02
まず、南米付近での深層水の湧き上がり(注:南半球における海洋循環の一部)が弱まる。深層水は水温が低い。それ故、深層水の湧き上がりが弱まった分、海水温が上昇することになる。

018-03
一方、北米西海岸側では、北半球の右回りの海洋循環の一部であるカリフォルニア海流が弱まる。この海流は寒流なので、これが弱まれば、海水温は上昇することになる。

018-04
このように、エルニーニョが起こると、地球規模での海水温の上昇が起きるのである。海水温が上がれば、気温も上昇する。こうして、地球『疑似』温暖化が実現するわけである。

018-05
一方、日本等のアジア側については、話が複雑になる。ラニーニャとは逆に(貿易風→)温海水が吹き寄せられる勢いが弱まるのだが、意外なことに、「冬」にはこれが「暖」の原因になるのだ。

018-06
赤道付近を西進してきた暖流〜黒潮の勢いが弱まることは、海水温を下げる原因となることである。だが、その一方で、冬の寒さの原因である季節風を弱めてしまう原因にもなることなのだ。

018-07
冬の季節風を吹かせるのは、西高東低の気圧配置である。一方、黒潮の勢いの低下による海水温の低下は、「東」海上での上昇気流を弱めてしまう。このため、「低」気圧が発達しにくくなるのだ。

018-08
また、東南アジア付近の海水温の低下は、空気の冷却器となる大陸北部(日本から見て「西」)への暖気の供給を弱めてしまう。このため、下降気流が弱まり、「高」気圧が発達しにくくなるのだ。

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ちなみに、「西」の下降気流(「高」気圧)が弱まるのも、「東」の上昇気流(「低」気圧)が弱まるのも、空気(大気)と地表(海を含む)との温度差が小さくなってしまうからである。

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つまり、エルニーニョは、寒気の加工製造送出機となる「西高」と、寒気の吸引機となる「東低」の、両方を弱めることで、冬の寒さの原因である季節風を弱め、暖冬をもたらしてしまうのである。

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余談だが、冬の季節風が弱まれば、海水も冷やされなくなる。このため、結果的に、海水温も高くなるのである。こうして、エルニーニョは、冬にはアジア側にも『疑似』温暖化をもたらすのだ。

018-12
実を言うと、2006年度(2006年末〜2007年始)の暖冬は、エルニーニョによるものだったのである。にもかかわらず、環境ペテン師たちは、この事実を隠し、地球温暖化(温室効果)のせいにしたのだ。

018-13
2007年は、環境ペテン師たちにとって最高に幸運な年であった。エルニーニョによる暖冬に始まり、夏にはラニーニャによる猛暑。このセットにより、多くの人たちが騙されたのである。

018-14
御親切に、彼らは、アースライブやノーベル平和賞授与までやってくれた。2007年は、「冬のエルニーニョ、夏のラニーニャ」を利用した“やらせ+だまし”づくしの一年だったのである。

018-15
もし2007年の暑夏(ラニーニャ)が地球温暖化(温室効果)のせいなら、その逆の現象である暖冬(エルニーニョ)は起こらなかったはず。だが、実際には、同じ年に起きていた。矛盾は明白であろう。

018-16
ところで、ラニーニャの原因となる『低緯度への寒気(の塊)の乱入』が続くと、低緯度海域の海水温は下がっていく。このため、寒気の乱入が収まると、貿易風が弱まり、エルニーニョになる。

018-17
それ故、『低緯度への寒気の乱入』は、エルニーニョという現象をも左右することになるわけである。つまり、低緯度海域の海水温→上昇気流→貿易風に少なからぬ影響を及ぼすことになるのだ。

018-18
風力発電は、ラニーニャの原因となる『低緯度への寒気の乱入』を起こりやすくする。そして、これは、低緯度海域の海水温の低下を促進することになるのである。

018-19
(低緯度における)海水温の低下は、空気(大気)との温度差を小さくし、上昇気流を弱める原因となる。それ故、ひとたび寒気の乱入が収まると、たちまち、貿易風は大幅に弱まってしまう。

018-20
すると、派手(極端)なエルニーニョが起こるわけだ。2006年度の冬のように。このように、風力発電は、ラニーニャを起こりやすくすることで、派手なエルニーニョを起こりやすくするのである。

018-21
しかも、風力発電の影響を受けて起きるエルニーニョは、自然現象的に起きるエルニーニョとは異なり、経験則に合わない不規則な現象となり、故に、予測不可能な現象となる。

018-22
それ故、「人為的CO2による大異変」のネタにされてしまうわけだ。“だまし”のネタとしては、もってこいである。現に、2006-7年には、日本だけでなく、世界中が騙された。

018-23
ちなみに、エルニーニョが続くと、下がっていた海水温は上昇してくる。それ故、寒気の乱入が活発になれば再びラニーニャが起きる状態になるのである。

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一方、低緯度への寒気の乱入は、自然現象でも起きることである。したがって、ラニーニャとエルニーニョとが交互に繰り返し起きること自体は、少しも異常なことではない。

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問題は、振幅が大きくなって両極端化したり、周期や期間が不規則に(経験則が通用しなく)なったりすることだ。風力発電は、原理的に、そうした有り難くない事態を招き得る物なのである。

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以上で、エルニーニョに関する話は、とりあえず終わりにしたいと思う。次回からは、風力発電によるもう一つの『疑似』温暖化効果についてお話しする。それは、地表に熱をこもらせる効果だ。

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