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陸での降雨・降雪(さらには雹や雷といった雲がらみの)現象で非常に重要になってくるのは、「水という物質が、どのようにして(どのような形で)海から運ばれてくるのか?」という問題である。

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これは、別の問い方をするならば、「雨雲・雪雲は、どこで発生(発達)するのか?」という問題であるとも言える。こ(れら)の問題について考察すると、二つのケースが存在することがわかる。

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一つは、雨雲・雪雲が海で発生(発達)するケースである。この場合、水という物質は、雲という形で運ばれてくることになる。もちろん、雲には自走能力は無いので、風に支配されることになる。

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二つ目のケースは、雨雲・雪雲が陸で発生(発達)するケースである。この場合、水という物質は、「湿った空気」(に含まれる水蒸気)という形で運ばれてくることになる。

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「湿った空気」を(海から陸へ)動かすことが出来るのは風であり、また、「湿った空気」自身、動けば風になる。つまり、二つ目のケースでも、やはり、風に支配されるわけである。

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ところで、単に(陸に)「湿った空気」が入ってくるだけでは、雲は発生(発達)しない。「湿った空気」中に含まれる水蒸気を凝結させる気象メカニズムには、次のようなものがある。

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一つは、「湿った空気」が上昇させられる…というものである。たとえば、「湿った空気」の風の行く手に山などがあると、「湿った空気」は上昇させられるので、雨雲・雪雲が発生(発達)する。

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もう一つは、冷たい空気と出合う…というものである。「湿った空気」は比較的暖かい。それ故、冷たい空気との境界付近では、冷やされ、水蒸気が凝結しやすくなる。

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さらに、冷たい(∴重い)空気が存在すると、比較的暖かい(∴軽い)「湿った空気」は上昇させられる(この点では一つ目と同じ)ので、雨雲・雪雲が盛んに発生(発達)することになる。

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「湿った空気」と冷たい空気とを出合わせる(両者を運ぶ)のは、風である。また、両者が出合えば風(空気の運動)が生じ、それが雲の発生(発達)を持続させる(両者の残りを呼び寄せる)ことになる。

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このように、陸で雲が発生(発達)するケースでも、風が極めて大きな役割を果たすのである。しかも、この風は、比較的低い高度で吹く。それ故、風車による影響を、より強く受けやすいのだ。

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ついでに言うと、丘の上などのような高い所に風車を建設すると、(悪)影響の度合いはさらに強まる。よく「…ウィンド・ヒルズ」と名付けられている風車群地域があるが、あれがそうだ。

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その他、海上風車(大抵、陸に近い)や、海辺近くの風車は、海陸間の空気の運動を阻害する。それ故、「湿った空気」が海から陸へ移動するのを阻害する。また、当然、海陸間の熱交換をも阻害する。

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海が見えないほど海から遠い場所でも、生きていけるほど水分があるのは、風が、海から水という物質を運び、落としてくれるからだ。風力発電は、この働きを(も)おかしくする人間活動なのである。

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大陸のような面積の広い(∴海から遠い所が多い)地域ではもちろん、狭い島国でも、山(脈)が多い地域では、空気の流れが複雑・微妙なため、風車による風の異変の影響が出やすい。

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以上で、陸での降雨・降雪(さらには雹や雷といった雲がらみの)現象と風との関係の話は、とりあえず終わりにする。次回からは、海陸間に吹く風の重要性について、お話ししたいと思う。

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