012-01
雨(水)や雪は、もともとは空気中に含まれていた水蒸気が凝結したものである。だが、空気中に含まれている水蒸気を凝結させるには、空気の温度や圧力を下げなければならない。

012-02
空気は、上昇すると温度や圧力が下がる。つまり、自然界では、上昇気流が、雨雲・雪雲(→降雨・降雪)を生じさせる原因となるのである。そこで問題になるのが、上昇気流を生じさせる原因である。

012-03
たとえば、山(脈)がその一つだ。風の行く手に山(脈)があると、風はそれを乗り越えようとするので、(かなり斜め方向にはなるが)上昇気流が生じる。その際、雲が生じ、雨(雪)を降らせる。

012-04
冬、日本海側で雪が多く降るのは、その一例である。水蒸気が山(脈)にぶつかり落ちるからではなく、(水蒸気を含んだ)空気が山(脈)を登る(上昇する)と雲が発達するから、雨や雪が降るのである。

012-05
このように、(水蒸気を含んだ)空気が上昇することが降雨・降雪の原因となるのである。そして、上昇気流が生じる場は、他にも(複数)存在する。たとえば、低気圧がそうである。

012-06
既に説明したように、低気圧は温度差の産物である。そういえば、先の山越えの風も、温度差の産物だ。以上の話から、温度差が降雨・降雪の原因であることが見えてくるだろう。

012-07
温度差が雲を生み出すよりわかりやすい例がある。それは前線である。そこでは、寒気と暖気というふうに温度の異なる気団が接している。空気は熱が伝わりにくいので、境界が出来てしまうのだ。

012-08
寒気と暖気とが接すると、寒気は重いので、暖気の下に潜り込もうとする。また、暖気は軽いので、寒気の上に上がろうとする。こうして、暖気は上昇することになる。

012-09
さらに、暖気は、寒気と接する前線面で、寒気に冷やされる。これら二つの要因(上昇・冷却)により、暖気中の水蒸気が凝結し、雲が発達するわけである。

012-10
以上、前線の例でもわかるように、降雨・降雪(雨雲・雪雲の発達)もまた、温度差が原因となっているのである。風の場合と同じだ。事実、前線は、雲だけでなく、風も発生させるのである。

012-11
このことは、暖気が上昇することからもわかるだろう。暖気にとって、前線は、一種の低圧帯のようなものとなる。このため、暖気は、前線の方に向かって運動する(∴風になる)ことになる。

012-12
暖気は(一般に)前線よりも低緯度側に存在する。このため、前線よりも低緯度側では、より低緯度の方から、より暖かい空気が流れ込んできて、温度が上昇することになるのだ。

012-13
この現象は、暖気だけでは起こらない。寒気も必要なのだ。だから、寒気が温度上昇を招くとさえ言えるのだ。気象は単純ではない。確かなのは、温度差が気象の諸現象の原因であるということだ。

012-14
話を雲(→降雨・降雪)に戻そう。既に説明したように、雲は温度差が原因で発生・発達する。それ故、温度差が大きいほど、雨や雪の降り方が強まり、降る量が増えるのである。

012-15
幸い、この地球上(自然界)では、温度差を抑えてくれる自然現象が起こる。それが風である。それ故、風(の働き)を阻害すると、豪雨や豪雪といった天災を招きやすくなるのだ。

012-16
困ったことに、今日の地球上では、風(の働き)を阻害する人間活動が盛んに行われている。それが、自称「環境にやさしいエネルギー」こと、風力発電なのである。

012-17
風力発電は、原理的に、風の熱交換による温度差緩和の働きを阻害してしまうものである。それ故、豪雨・豪雪の原因となる大きな温度差を生じやすくしてしまうのだ。

012-18
このように、風力発電は、風においてだけではなく、雨や雪(さらには雹や雷)においても、異常気象の原因となるのである。前に説明した内陸部での乾燥のことも、ついでに思い出すと良い。

012-19
風、雨、雪、雹、雷…等々、様々な気象現象の原動力となるのは、高温ではなく、温度差(と重力)なのだ。竜巻についても、そうである。そこで、次に、竜巻に関する話を(少しだけ)したいと思う。

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