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N┃→ 仮想力線電磁気学
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●第98回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その28)
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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。
毎度のことながら、発行が遅れてすみません。
前々回まで量子論の考え方について(簡単に)説明いたしましたが、今回からは
遠隔作用の考え方を説明いたします。
「量子」という考え方が、どう「遠隔作用」という考え方に置き換わっていくの
か、見ていくことにしましょう。
なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。
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116.粒子が意味するもの
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前々回まで説明したように、量子論では、「エネルギーの粒子」という考え方を
します。
では、なぜ、こんな考え方をする必要があるのでしょうか?
それは、「エネルギーの粒子」というものを考えないと、近接作用という考え方
では説明できない現象があるからです。
「エネルギーの粒子」という考え方なしでは、たとえば第77回(または第94
回)以来、取り上げ続けてきた問題で、エネルギーが特定の物体に極端に偏って
配分される現象が説明できなくなってしまいます。
だからこそ、「エネルギーの粒子」という考え方が、近接作用ではどうしても必
要になってくる…というわけでした。
では、なぜ、「エネルギーの粒子」という考え方を採用すると、うまく説明でき
るようになるのでしょうか?
それを知るために、まず、「エネルギーの粒子」という考え方について、簡単に
復習してみることにしましょう。
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117.まとめるもの
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「エネルギーの粒子」とは、要するに、エネルギーを一カ所にまとめておくため
に考案された概念です。
近接作用では、『(物質の実体が存在しない真空の)空間』がエネルギーの授受
(伝達)にかかわってくることになっています。
ところが、空間には、エネルギーを拡散させてしまう働き(性質)があります。
このために、エネルギーが特定の物体に極端に偏って配分される現象が説明でき
なくなってしまうわけです。
そこで、放出されたエネルギーが拡散してしまわないよう、一カ所にまとめてお
こうとするために考案されたのが、「エネルギーの粒子」という概念でした。
粒子ということにしておけば、エネルギーは拡散せず、一カ所にまとまって存在
し続けることができるでしょう。
これが、「エネルギーの粒子」というものを考えることの意義です。
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118.限定するもの
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さて、「エネルギーを一カ所にまとめておく」ということは、エネルギーを、空
間の、ある特定の領域にしか与えないようにする、ということです。
言い換えれば、ある特定の領域にしかエネルギーが存在しないことにする、とい
うことです。
ですから、「エネルギーの粒子」は、エネルギーが存在する領域を『限定』して
しまうためのものなのです。
ということは、「エネルギーの粒子」が占有する領域以外の領域には、エネルギ
ーは存在しないことになりますね。
言い換えれば、「エネルギーの粒子」という考え方は、ある特定の領域以外の領
域にエネルギーが存在することを禁止するものである、と言うことができるので
す。
そして、実は、このことが、電磁気現象を考える上で、極めて重要な事柄となっ
てくるのです。
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119.空間の関与を否定するもの
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近接作用では、空間が電磁気現象にかかわってきます。
作用も、エネルギーも、空間を伝わっていきます。
ですから、電磁気現象にかかわってくる空間領域は、エネルギーが存在し得るこ
とになっていなければなりません。
逆に言うと、エネルギーが存在することが禁じられている空間領域は、電磁気現
象に関与することはできないことになるのです。
一方、上で述べたように、「エネルギーの粒子」が占有する領域以外の領域は、
エネルギーが存在することが禁じられていることになっています。
ということは、この領域は、電磁気現象にはかかわってくることができない領域
ということになりますね。
このことから、「エネルギーの粒子」という考え方は、ある特定の領域以外の領
域が電磁気現象にかかわることをできなくしてしまうもの、と言うことができる
でしょう。
これは極めて興味深いことです。
なぜなら、「エネルギーの粒子」という考え方は、ある特定の領域だけを例外と
して、空間が電磁気現象にかかわってくることを否定するものになるからです。
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「エネルギーの粒子」が占める領域など、ほんのごくわずかです。
ですから、「空間の大部分が電磁気現象にはかかわってこない」と説いているこ
とになるのです。
「空間が電磁気現象にはかかわってこない」というのは、近接作用の考え方では
なく、遠隔作用の考え方でしょう。
こうしたところから、遠隔作用の考え方とのつながりが見えてくるのではないで
しょうか?
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120.空間に対する選民(排斥)思想
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もちろん、「エネルギーの粒子」という考え方は、全ての空間の電磁気現象への
関与を否定するものではありません。
ごく一部の選ばれし空間領域は、電磁気現象に関与することになっています。
そうしないと、近接作用の理論ではなくなってしまうからです。
しかしながら、これはあまりにも恣意的かつ御都合主義的な論理ではないでしょ
うか?
「エネルギーの粒子」という考え方は、ある特定の領域だけを特別視し、特別扱
いし、贔屓する、一種の選民思想のようなものですよね。
人間の都合で、空間領域を勝手に差別する行為です!
こうした「エネルギーの粒子」という考え方に見られる奇妙な論理のさまを、第
94回などで用いたイメージ図(下図)を用いて説明しましょう。
[図98・α]
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■■■■■■B■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■○■■
■■■■A■■■■■■■■■■■■■■■■■C■■
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もし「エネルギーの粒子」という考え方を採用しなければ、物体Aから放出され
たばかりのエネルギーの分布は、下図のようになります。
[図98・α・1]
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■■■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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■■■□○□■■■■■■■■■■■■■■■■○■■
■■■□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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これに対し、「エネルギーの粒子」という考え方を採用すると、下図のようにな
ります。
[図98・α・1’]
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■■■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■○■■
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図98・α・1では8個あった□が、図98・α・1’では1個になってしまっ
ていますね。
つまり、下図に示された×の領域が、エネルギーが存在することを禁じられてい
る、すなわち、電磁気現象への関与を否定されているのです。
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[図98・α・1”]
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■■■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■××□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■×○×■■■■■■■■■■■■■■■■○■■
■■■×××■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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こうした選民・排斥行為は、あまりにも御都合主義的な差別化と言わざるを得な
いでしょう。
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121.選民思想と訣別するには?
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そもそも、空間自体には、エネルギーを一カ所にまとめておける能力はないはず
です。
だからこそ、それを可能にするために、「エネルギーの粒子」なんてものの存在
をでっち上げているわけですが、そんな粒子が空間にどうやってできるのでしょ
うか?
例によって例のごとく、説明は一切ありません。
ですから、こんなものは、近接作用の矛盾をごまかすための、単なるトリックに
すぎない、と言えるのです。
ならば、このような選民思想的なトリックと訣別するには、どうしたらよいので
しょうか?
要するに、「空間が電磁気作用にかかわってくる」という考え方に、どこまでも
固執するから、こんな奇妙な選民思想的トリックに頼らなければならなくなるの
です。
ですから、一層のこと、空間は例外なく電磁気現象にはかかわってこない、とい
うことにすれば良いのです。
となれば、行き着く先は、当然、『遠隔作用』という考え方になるでしょう。
そこで、次回は、「エネルギーの粒子」という考え方を、別解釈(再解釈)とい
う立場から、さらに考察していきたいと思います。
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