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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第93回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その23)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。
またまた発行が大幅に遅れてすみません。

さて、今回も遠隔作用と関連のある話です。
前回の続きで、エネルギー配分が偏る話についてです。

今回の話は、前回までの、マックスウェル電磁気学のボロを隠すリックと深い関
係のある話です。
どんなトリックだったか思い出しながら読んでみて下さい。

なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。

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92.認識という問題
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まずは、下図(93a図とします)を見て下さい。

 ・・・・・
 ・・・・・
 ・・・・・
 ・・・・・
 ・・・・・

何か見えてきますか?
ただ『・』が並んでいるだけで、特に何かがあるとは認識しませんね。

では、次の図(93b図とします)はどうでしょうか?

 ・・・・・
 ・・・・・
 ・・■・・
 ・・・・・
 ・・・・・

これだと、真ん中に『■』がある、と認識するでしょう。

ならば、次の図(93c図とします)ではどうでしょうか?

 ■■■■■
 ■■■■■
 ■■■■■
 ■■■■■
 ■■■■■

これだと、ただ『■』が並んでいるだけですね。
並んでいるものはちがいますが、最初の93a図の場合と同じです。
真ん中には93b図と同じく『■』があるはずなのに、特にそのことを認識しな
くなってしまいます。

では、真ん中以外の『■』を『・』に置き換えてみましょう。

 ・・・・・
 ・・・・・
 ・・■・・
 ・・・・・
 ・・・・・

すると、真ん中に『■』があることを認識するようになります。
当たり前のことですが、この図は93b図と全く同じです。

ここで、当たり前ながら意外と気付かない重要なことがわかります。
それは、『同じものがただ並んでいるだけでは、特に何も認識されなくなってし
まう』ということです。
これは言い換えれば、『何かを認識させるためには、それを目立たせなくてはな
らない』ということです。
『目立たせる』という言葉は、『差別化する』と言い換えても良いでしょう。
そして、このことから、『目立たないものは、認識されない』ということになる
のです。

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93.『目立たない』と『無い』は違うのに…
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実は、このことが極めて重要なことなのです。
というのは、認識されないものは、『無い(存在しない)』とみなされてしまう
からです。
つまり、目立たないものは、存在していても、無い(存在しない)ことにされて
しまうのです。

これは事実の誤認ですね。
『目立たない』と『無い』は意味が全然違います。
ところが、認識という立場からは、「どちらも同じ」とされてしまうのです。

そして、同じことが、物理学のような自然科学における『観測』にも言えるので
す。
つまり、目立たないものは、観測できない、故に、無い(存在しない)ことにさ
れてしまうのです。

たとえば、信号のレベルがあまりにも低いと、ノイズにまぎれて観測できなくな
ってしまいます。
このため、信号は無いことにされてしまうのです。
ですから、その信号が「ある」ことにするためには、信号がノイズよりも目立っ
て大きくなるようにしなければなりません。

電磁気作用についても、全く同じです。
ある作用が目立って大きくないと、その作用は無い(働いていない)ことにされ
てしまうのです。
ですから、その作用がある(働いている)ことにするためには、それを目立って
大きくしなければならないわけです。
逆に、その作用を無い(働いていない)ことにさせたければ、それを目立たない
くらいに弱くなるようにしてやればいいわけです。

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94.目立たせる(目立たなくする)方法
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では、目立たせたり、目立たなくするのには、どうしたらよいのでしょうか?

たとえば93a図で、真ん中の『・』を目立たせるためには、どうすればよいの
でしょうか?
それには、たとえば93b図のように、真ん中の『・』だけ別のもの(■)に置
き換えるという方法があります。
しかし、別の方法もあります。
それは、真ん中の『・』だけを近くにもってくることです。
すると大きく見えますよね。
この場合も、93b図のようになるでしょう。

では、次に、93b図で、真ん中の『■』を目立たなくするには、どうすればよ
いでしょうか?
たとえば、真ん中の『■』を他と同じ『・』に置き換えるというのがあります。
その結果は93a図のようになりますね。
しかし、これとは別に、真ん中の『■』を遠ざけるという方法もあります。
これだと小さく見えますね。
この場合も93a図のようになるでしょう。

以上のことから、目立たせるには距離を近づけ、目立たせないためには距離を遠
ざける、という方法があることがわかると思います。

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95.トリックとの関連
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そこで思い出してほしいのが、前回までお話したマックスウェル電磁気学のボロ
を隠すためのトリックです。

  ○       ○
  A       B

マックスウェル電磁気学のボロが出ないようにするには、物体Bの影響がほとん
ど無視できるほどに小さくなるようにすれば良かったわけですね。
そして、そのためのトリックの一つに、『物体B(反作用を及ぼしてくるもの)
を、物体A(エネルギーを放出するもの)から遠ざける』というものがありまし
た。
「遠ざける」という言葉からもわかるように、これは上で述べた『目立たなくす
る方法』に他なりません。
ですから、このトリックは、単に「物体Bの影響をほとんど無視できるほどに小
さくする」というだけのことではなく、実は「物体Bの影響を目立たなくする」
ということでもあったわけです。

                 ○その他1
                 ○その他2
  ○ ○                     Bの影響が目立つ
  A B            ○その他3    ∴Bの影響がある
                 ○その他4


                 ○その他1
                 ○その他2
  ○              ○B       Bの影響は目立たない
  A              ○その他3    ∴Bの影響は無い!?
                 ○その他4


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96.無視されがちな『その他大勢』
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ここで、極めて重要なことに気付かれたと思います。
それは、『物体Aに影響を及ぼすのは、物体Bだけではない』ということです。

図の上では二つの物体しかなくても、現実には無数の物体(物質)が存在するの
です。
そして、それら全てが物体Aに影響を及ぼすのです。
これらは、擬人的に表現するならば、まさに「その他大勢」です。

ですから、物体Bを遠ざけるということは、物体Bからの影響を、その他大勢か
らの影響の中に埋もれさせて目立たなくする、ということなのです。
つまり、物体Bからの影響が無くなってしまうのではなく、目立たなくなるだけ
なのです。

では、なぜ、その他大勢からの影響に、人間は気付かないのでしょうか?
それは上の話でおわかりになると思います。
もう一度、93a図や93c図を見て下さい。
そこには『・』や『■』というものがあるにもかかわらず、特に何かを認識する
ことはありませんでした。
何か(の存在)を認識するためには、それを目立たせる(差別化する)必要があ
るのです。
人間は『目立たない』と『無い(存在しない)』の区別がつかないのです!
ですから、その他大勢からの影響も、目立たないために、無い(存在しない)と
誤認してしまうのです。

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97.作用の非局所性と遠隔作用への理解
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さて、その他大勢からの影響があることに気付くと、次のようなことに気付くは
ずです。

まず、(問題を解こうとしている)人間が注目しているもののことしか考えない
ようなやり方は駄目だ、ということです。
また、人間の視界や視野の及ぶ範囲のことしか考えないのも駄目ですね。

さらに、電磁気作用の到達距離が無限大であることを考え合わせると、全空間の
全物質のことを考えなければならないことがわかるでしょう。

そして、以上のことから、もはや作用の局所性を絶対の前提とする近接作用の考
え方は通用せず、作用の非局所性を前提とする遠隔作用の考え方こそが正しいこ
とに気付くはずです。

量子論的効果と言われるものや、相対論的効果の中で『力線の理論』によっても
説明しきれないものは、実は、「その他大勢」からの影響が関係してくる現象な
のです。

ちなみに、巨視的なスケールの問題とは、目立って大きい影響を与えるものが無
い問題であり、それは、すなわち、『飛び抜けて近くにあるもの』がない問題な
のです。
逆に、微視的なスケールの問題とは、目立って大きい影響を与えるものがある問
題であり、それは、すなわち、『飛び抜けて近くにあるもの』がある問題なので
す。
マックスウェル電磁気学が破綻してしまうのも、量子論が威力を発揮するのも、
ともにこの微視的なスケールの問題です。
となれば、やはり遠隔作用を選ぶべきでしょう。

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98.あまりに芸術的!
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ところで、その他大勢からの影響に気付かないということは、ある重大な問題が
あることを示しています。
それは、観測というものの限界です。
その他大勢からの影響は、観測できないことが多い。
そのために、近接作用が科学の真理と信じられてしまうのです。
このことから、観測というものは常に解釈が問題になる、ということが、おわか
りいただけると思います。

一つの解釈しか認めないというのは、思想の世界の流儀であって、科学の世界の
流儀ではありません。
そういう意味では、量子論も相対論も、総じて近接作用も、ただの思想にすぎな
いのです。

ついでに言うならば、認識できるもの、すなわち、感じるものしか認めない…と
いうのは、オカルトや芸術の見方です。
自分が注目しているものや、自分の視野や視界に入るものしか見ようとしない…
というのも、芸術の見方です。
アインシュタインは芸術系の人間でしたから、近接作用という見方に強く魅せら
れたのでしょう。

そういえば、モダン・アートの世界では、自分が注目しているものを、さらに差
別化したり、誇張したり、デフォルメしたり、抽象化したりしてますね。
まさに超近接作用的(?)な世界です。
こんなところからも、相対論や量子論に代表される近現代物理学が、文化マルキ
シズムの強い影響を受けている現実がわかると思います。

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