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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第89回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その19)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

さて、今回も遠隔作用と関連のある話です。
前回の続きで、エネルギー配分が偏る話についてです。
より具体的には、近接作用におけるエネルギーの授受に関する解法のトリックに
ついてです。

なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。

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77.仮説に基づく理論
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空間が物体からエネルギーを受け取る現象の説明と、その値を求めることのため
に、マックスウェル電磁気学では、『場のエネルギー』という概念を考えるのだ
ということを前回お話しました。
ところが、この『場のエネルギー』というのがクセモノなのです。
と申しますのも、『場のエネルギー』という概念は、仮説にすぎないものだから
です。

『場のエネルギー』という概念は、『場の実在性』に基づくものです。
ところが、この『場の実在性』が問題なのです。

『作用を受けるもの』が存在する場合は、作用を検出できるわけですから、場を
実在性あるものとすることは可能です。

でも、『作用を受けるもの』が存在しない場合は、どうでしょう?
『作用を受けるもの』が無ければ、作用は検出できません。
となると、作用をもたらす場が存在するのか?、しないのか?、判断できないこ
とになります。
つまり、検証不可能なのです。
ですから、どう判断するのかは、結局、信仰の問題になってしまいます。
もちろん、「存在する」とするのが近接作用(場の理論)の立場ですが、直接的
な証拠が得られない限り、それは所詮、仮説にすぎないのです。

このように、『場の実在性』は仮説にすぎないのです。
となれば、『場のエネルギー』という概念も、仮説にすぎないことになるでしょ
う。
ですから、『場のエネルギー』という概念に基づくマックスウェル電磁気学の解
法も、仮説に基づく理論にすぎないのです。

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78.場のエネルギーの在処
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さて、ここで話は少し逸れますが、場のエネルギーについて、是非とも知ってお
かなければならない極めて重要な事柄があります。
それは、『場のエネルギーは、どこに存在するのか?』という問題です。

いま、点Aにおける場のエネルギーがWだったとしましょう。
では、この「点Aにおける場のエネルギーW」は、一体、どこに存在するのでし
ょうか?

「点Aに」ですか?
そう思った方は、残念ながら間違いです。

考えてもみて下さい。
点Aは、あくまで「大きさを持たない点」です。
一方、空間のエネルギーは、マックスウェル電磁気学によれば、一カ所に集中し
て存在するのではなく、広い範囲に連続的に分布していることになっています。
ですから、点Aにエネルギーが存在するとなれば、その周囲の(無数の)点にも
エネルギーが存在することになります。
したがって、点Aを含む空間領域のエネルギーは、積分計算の結果、無限大にな
ってしまいます。
つまり、ある限定された空間領域だけでも、そこに無限大のエネルギーが存在す
ることになってしまうのです。
これは、いただけません。

もし点(を含む微小領域)に存在するエネルギーを考えようとするのであれば、
「エネルギー」ではなく「エネルギー密度」とするはずです。

ですから、「点Aにおける場のエネルギーW」は、点Aに存在するのではないの
です。

では、一体、どこに存在するのでしょうか?
答えは、厳密に言えば「全空間」なのです。
つまり、点Aにおける場のエネルギーは、全空間に分散した形で存在していると
するのが、マックスウェル電磁気学の考え方なのです。

どうです?、驚きましたか?
おそらく、少なからぬ方々が、場のエネルギーについて誤解されていたのではな
いかと思います。
実際、プロの物理学者でも、誤解している人たちがいるくらいですから、別に気
にすることはありません。
ただ、マックスウェル電磁気学のことを正しく理解をしていただきたかっただけ
です。

もう一度言いますが、『点Aにおける場のエネルギー』とは、『点Aに存在する
エネルギー』なのではなく、『点Aにおいて検出されることになるエネルギー』
なのです。
このことをしっかりと理解しておいて下さい。

念のためお断りしておきますが、ここで述べた『場のエネルギー』に関する考え
方は、決して『遠隔作用』流(『仮想力線電磁気学』流)の考え方などではあり
ません。
従来の物理学や電磁気学の教科書・専門書にちゃんと載っていることです。
ただ、(高度な)数式によって示されているため、多くの人たちがそのことを把
握・理解できていないだけのことです。
プロの物理学者でも、公式や解法を暗記するだけの勉強に終始している人は、決
して少数ではないのです。

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79.位置の違いが意味するもの
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さて、上で述べたように、ある点における場のエネルギーは、全空間に分散する
形で存在していると考えます。
ということは、『場のエネルギーが検出される位置』と、『場のエネルギーが存
在する(蓄えられている)位置』とは異なる、ということですよね。
つまり、場のエネルギーは、それが検出された位置に存在するわけではない、と
いうことです。
これは別の言い方をすれば、ある位置でエネルギーが検出されたからといって、
そこにエネルギーが存在するわけではない、ということです。

すると、マックスウェル電磁気学とは別の考え方が可能になってきます。
「エネルギーが検出される位置と、それが存在する位置とが異なる」ということ
は、より積極的に解釈するならば、「エネルギーが検出された位置と、それが存
在していた位置とが違っていてもよい」ということになるでしょう。
ならば、「エネルギーが検出された位置と、それが存在していた位置とが隔たっ
ていてもよい」ということになりますよね。
そして、それをさらに押し進めると、「エネルギーが検出された位置と、それを
放出したもの(有していたもの)の位置とが隔たっていてもよい」ということに
なります。
もうおわかりのように、これは遠隔作用の考え方です。

このことから、『場の理論』で説明できることは、遠隔作用でも説明できそうな
ものであることに気付くでしょう。
疑似エーテルによる疑似近接作用という考え方が、それを可能にしてくれます。
場のエネルギーが検出される位置と、それが存在する位置とが異なることがわか
ると、疑似近接作用の考え方が非常に理解しやすくなります。
つまり、電磁気作用は遠隔作用なのに、どうして光源と受光体とを結ぶ線分上に
物質が無い状態で電磁波のような近接作用的な現象(何もない真空の空間をエネ
ルギーが伝わってくるかのように見える現象)が起きるのかも、容易に理解でき
るようになるのです。
疑似エーテルとなる物質は、光源と受光体とを結ぶ線分上に位置する必要は全く
ないのです。
これについては、いずれ詳しく説明いたします。

それはそうと、「エネルギーは全空間に分散した形で存在する」とするマックス
ウェル電磁気学における『場のエネルギー』の考え方では、第77回以降取り上
げ続けてきた『エネルギーが極端に偏って配分される問題』を説明することはで
きません。
こうしてみると、遠隔作用の方が優れていることがわかるでしょう。
これについても、近いうちに説明いたします。

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