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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第86回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その16)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

さて、今回も遠隔作用と関連のある話です。
前回の続きで、エネルギー配分が偏る話についてです。
今回からは、その中でも最も重要な、『作用を受けるもの』の影響について、説
明いたします。

なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。

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67.受け手は受け身
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まず、第77回以来取り上げ続けてきた問題の図を、再度御覧下さい。

[図1]
        B
        ○
   ○
   A                 ○
                     C

前回も述べたように、近接作用では、物体Aからのエネルギーは、空間によって
伝えられます。
一方、物体Bや物体Cは、自分と接している微小空間領域からしか、エネルギー
を受け取ることができません。
このため、空間を伝わって広がってきたエネルギーのうち、たまたま、自分の方
に伝わってきたエネルギーを、ただ受け取るだけなのです。
ですから、『エネルギーの配分』に関しては、全くの『受け身』なのです。

ということは、近接作用では、『エネルギーの配分』について、『エネルギーを
受け取るもの』は関与してこない、ということになりますね。
そして、これは、すなわち、『作用を受けるもの』は作用に影響を及ぼさない、
ということを意味しているわけです。

こういうわけで、近接作用では、『作用を受けるもの』が作用に影響を及ぼさな
いことになるのです。

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68.空間がお相手
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同じことを、今度は物体Aの側から考えてみましょう。

物体Aは、エネルギーを放出するわけですが、その際、エネルギーを与えること
ができる相手となるのは、自分と接している微小空間領域だけです。
ですから、その先のことは関係ないのです。
つまり、自分が放出したエネルギーが、どこへ、どのように配分されるのか、物
体Aにとっては「知ったこっちゃない」のです。
物体Bや物体Cへのエネルギーの配分についても、他人事でしかないのです。
物体Aにとって関係があるのは、自分と接している微小空間領域だけなのです。

ということは、物体Bや物体Cとは無関係、ということになりますね。
極端な話、物体Bや物体Cの存在(の有無)すら関係のないことなのです。

以上のことから、物体Aは、エネルギーの放出に関して、物体Bや物体Cの影響
を受けないことになるわけです。
となれば、物体Aの運動エネルギーの減り方にも影響がない。
このため、誘導によって生じる電磁気作用(の強さ)にも影響がない。
故に、物体Bや物体Cが受ける作用にも、影響がないことになるわけです。

こうしてみると、近接作用では、空間は、物体間の影響を遮断する隔壁のような
働きをすることが、おわかりいただけると思います。

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69.空間と重ね合わせ
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このように、近接作用では、『作用を受けるもの』は作用に影響を及ぼさないこ
とになるのです。
となると、重力やクーロン力の場合と同様に、『重ね合わせ』が可能になってき
ますね。
もうおわかりのように、近接作用理論であるマックスウェル電磁気学において、
重ね合わせを可能にしているのは、『空間』なのです。
つまり、『空間がエネルギーを有する(ことができる)』という前提が、『重ね
合わせ』を可能にしているのです。

もう一度、図1を御覧下さい。
近接作用の考え方によれば、図1は、下の図2と図3とを重ね合わせたものにな
るのです。

[図2]
        B
        ○
   ○
   A


[図3]

   ○
   A                 ○
                     C

すでに述べたように、エネルギーの配分には、物体Bや物体Cは関与してきませ
ん。
よって、物体Bや物体Cが存在しようがしまいが関係ないのです。
それ故、物体Aからのエネルギーの配分を決める『空間』にしてみれば、図1も
図2も図3も「同じ問題」ということになるのです。
だからこそ、図2と図3とを重ねて図1とすることが可能になるのです。

図3であれ、図1であれ、物体Cが受け取るエネルギーは同じ。
なぜなら、もう一つの『作用を受けるもの』である物体Bの影響がないから。
物体Bにエネルギーの大部分をもっていかれるようなことは、起こり得ない。
これが近接作用から導かれる結論です。

もちろん、この結論は事実と矛盾しています。
実際には、この問題では、『重ね合わせの理』は成り立ちません。
これは、『近接作用』すなわち『場の理論』の死を意味するものです。

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70.受け手で決まるエネルギーの授受
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近接作用の問題点は、これだけではありません。
実は、『エネルギーの授受』という極めて重要な事柄に関して、まことに重大で
深刻な問題点を抱えているのです。

ある物体がエネルギーを放出するためには、エネルギーを受け取ってくれる相手
が必要です。
逆に言うと、エネルギーを受け取ってくれる相手がいないと、物体はエネルギー
を放出できないのです。
また、「物体がどれだけのエネルギーを放出するのか?」ということも、実は、
エネルギーを受け取る相手によって決まることなのです。

たとえば、ボールを地面(地球)にぶつけてみましょう。
すると、ボールは跳ね返ってきますね。
ボールは、跳ね返る前、エネルギーを有していたはずです。
そして、地球にそのエネルギーを与え、放出しようとしたはずです。
ところが、それに失敗したために、跳ね返されてしまったわけです。

なぜ、ボールはエネルギーを放出することに失敗してしまったのでしょうか?
それは、ボールにくらべて、地球の質量がはるかに大きかったからです。
ボールは、衝突時、地球に対して作用を及ぼした。
ところが、質量があまりにも大きくて、ぜんぜん動かない。
これでは、地球に対して、仕事ができない。
地球がエネルギーを受け取ってくれない。
故に、エネルギーの放出に失敗した、というわけです。

このように、『エネルギーの授受』には、『エネルギーを受け取るもの』が深く
関与してくるものなのです。
となると、『エネルギーの授受』について考える場合、『エネルギーを受け取る
もの』がどういうものかが重要になってきますね。

ここが極めて重要なポイントなのです!

物体が放出するエネルギーの大きさは、相手に及ぼす作用の大きさだけで決まる
ものではありません。
相手がどれだけエネルギーを受け取ってくれるかによって決まることなのです。
ですから、エネルギーを受け取る相手によって、物体のエネルギーの放出の仕方
が違ってくるのです。
このことから、エネルギーの受け手となる相手が、どういう相手かが、極めて重
要になってくるわけです。

もうお気づきのように、図1〜3の問題において、近接作用と遠隔作用とでは、
物体Aがエネルギーを与える相手は、異なってきます。
この違いこそが、結論に大きな違いをもたらす要因なのです。
そして、また、このことこそが、近接作用、場の理論、量子論の欺瞞を暴く最大
の鍵となることなのです。
詳しくは、次回、説明いたします。

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