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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第72回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その2)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

前回に引き続き『第4章』のイントロ的な話をします。
今回と次回は、第1章では割愛した近接作用の問題点について述べようと思いま
す。

なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。

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5.速度が関係することができるためには?
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物理法則に速度が関係してくる場合、速度がわからなければ、結果が求まりませ
ん。
ですから、物理法則に速度が関係してくる場合は、速度がわかるようになってい
るはずです。
逆に言うと、物理法則に速度が関係することができるためには、速度がわかるよ
うになっていなければならないのです。

電磁気作用のように、二物体間に働く作用の法則についても、それが言えます。
二つの物体は、互いに相手の物体の速度を知ることができるようになっていなけ
ればなりません。

ここで注意しなければならないことがあります。
それは、その物理の問題を解いている『人間』が、速度を知ることができても、
意味が無い!、ということです。
たとえば、先に述べた『二物体間に働く作用』の場合、問題を解いている人間が
作用を受けるわけではありません。
作用を受ける(その物理法則の支配を受ける)のは、その問題に登場する二つの
『物体』です。
したがって、速度を知らなければならないのは、これらの物体なのです。
ですから、問題を解いている人間が知ることができても、作用を受ける物体自身
が知ることができなければ、全く無意味なのです。

これは言われるまでもない、当たり前のことですが、非常に重要なことなので、
しっかりと認識しておいて下さい。

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6.速度を知らせてくれるもの
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相対運動する二つの物体の間に成り立つ物理法則に、速度がかかわることができ
るためには、(互いに)相手方の速度を知ることができるようになっていなけれ
ばなりません。
さて、二つの物体が接している場合は、遠隔作用であれ、近接作用であれ、相手
方の物体の速度を知ることは可能でしょう。

それでは、二物体が離れている場合は、どうでしょうか?

近接作用では、二物体間に何も無ければ、何も伝わらないことになっています。
ですから、相手方の速度を知ることはできないことになります。
したがって、相手方の速度を知らせてくれるものが必要になってきます。

ファラデーの考案した『力線』は、その役割を果たしてくれます。
作用を及ぼしてくる物体からのびた力線は、その物体とともに運動し、作用を受
ける物体を横切ります。
作用を受ける物体は、自分を横切っていく力線の速度から、作用を及ぼしてくる
相手方の物体の速度を知ることができます。
こういうわけで、力線の理論では、物理法則に速度が関係することができること
になるわけです。

このように、近接作用では、相手方の速度を知らせてくれるものがなければなら
ないのです。
しかも、それは、力線という例からもわかるように、『運動を考える実在』でな
ければなりません。
つまり、それは、『物体とともに動くもの』でなければならないのです。

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7.知らせてくれるものが無いのに…
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今日、定説となっている相対論や量子論は、近接作用の理論です。
しかも、これらの理論の法則には、速度が関係してくるものがあります。
それでは、『相手方の速度を知らせてくれるもの』の存在については、どうなっ
ているでしょうか?

相対論では、エーテルの存在が否定されています。
また、力線の存在も認めていません。
ということは、相手方の速度を知らせてくれるものは、何も存在しないことにな
ります。
したがって、速度が関係してくることは許されないはずです。

ところが、相対論では、御存知のように、速度が関係してきます。
ものさしの縮み、時計の遅れ、質量の増大、…等々。
では、一体、何が、相手方の速度を知らせてくれるのでしょうか?
誠に奇妙です。

もっとも、アインシュタインは、後に、エーテルを復活させています。
しかし、それはあくまで『運動を考えない実在』です。
ですから、それは、相手方の速度を知らせてくれるものにはなり得ないのです。
それは(相手方の)物体とともには動かないのですから。

量子論(量子力学)でも、事情は同じです。
量子力学では、電磁気作用は、観測にかからない光子のキャッチボールによって
生じると説明されます。
この光子は、位置を特定できません。
位置を特定できないくらいですから、その運動も特定できません。
つまり、『運動を考えない実在』なのです。
しかも、実在する(出現する)のは物体と相互作用する時(瞬間)だけで、それ
以外の時は確率的な存在でしかないのです。
ですから、これまた、相手方の速度を知らせてくれるものにはなり得ません。

このように、相対論も、量子論も、相手方の速度を知らせてくれるものが無いに
もかかわらず、速度を法則の中に取り入れてしまっているのです。

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8.座標(系)というトリック
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それでは、相対論や量子論では、どうして、相手方の速度を知ることができるこ
とになっているのでしょうか?

それは、『座標(系)』という概念を乱用(悪用!)しているからです。

今、下図のように、二つの物体(AとB)があったとします。

   ■     □
  物体A   物体B

さて、物体Bが物体Aに対して(相対)運動していることを示すには、まず、物
体Aに固定された座標系を全空間に描きます。

   y
   ↑
   │
 ──■─────□─→x
   │
   │

そして、この座標系に対し、物体Bが運動していることを示すことによって、物
体Bが物体Aに対して(相対)運動していることが示されるのです。

このように、相手方の速度を知らせてくれるものが存在しなくても、座標(系)
というものによって、相手方の運動やら速度やらを知ることができる、とするの
が、相対論や量子論の主張なのです。

しかしながら、座標(系)というものは、空間に実在するものではなく、人間が
勝手に定義したものです。
しかも、その座標(系)、及び、それに対する物体Bの運動というものを見るこ
とができるのは、(それを描いた)人間だけです。
つまり、物体Aは、それ(ら)を見ることはできないのです。
ですから、物体Aは、物体Bの速度を知ることなどできないのです。
したがって、物体Bの(相対)速度が、作用に関係してくるはずがないのです。

座標(系)というものは、実在するものではないのですから、相手方の速度など
知らせてはくれません。
それは、人間が思考や記述のために描いた道具にすぎないのです。

このように、相対論や量子論では、座標(系)という概念を乱用するというトリ
ックによって、その致命的な欠陥を巧みにごまかしているのです。

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9.トリックの応用
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ついでに言いますと、一般相対性理論では、このトリックを、さらに上級なかた
ちにして応用しています。
いわゆる『曲がった時空』というのがそれなのですが、これは、まさに、『曲が
った座標(系)』にほかなりません。
何度も言うように、座標(系)なんてものは、人間が勝手に描いたものです。
そこで、重力を説明するのに都合のいい座標(系)を描き、これをもって重力場
の正体とする…
これが一般相対性理論(による重力場理論)の正体なのです。
何とも、おめでたい論理です。

ちなみに、曲がった時空を証明するものとしては、『水星の近日点移動』と『重
力による光線の曲がり』があります。
前者については、すでに第3章において、電磁気現象として説明できることを示
しました。
後者については、この第4章で、やはり電磁気現象として説明できることを示そ
うと思います。
これにより、曲がった時空などという考え方が不要になることがおわかりいただ
けることになるはずです。

                             (つづく)

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□■ 前々回(第70回)の雷発生の話について ■□

▼『110.氷摩擦説の問題点』に関する補足(その2)

雷を発生させるほどの大量の静電気が発生するくらい、氷どうしの接触が頻繁に
あるのなら、正に帯電した氷と負に帯電した氷との接触もあるはずです。
そうでなくても、正に帯電した氷と負に帯電した氷は、電気力により引かれ合う
はずです。
しかし、そういう出会い(?)があると、電気的に中和してしまいます。
これでは、いつまで経っても、雷を発生させるほどの大量の電気は蓄えられませ
ん。

もっとも、それ以前に、氷が帯電する(電気を蓄える)などということが本当に
可能なのか?、という疑問があります。

こうしてみていくと、定説となっている『氷摩擦説』では、雷の発生は到底説明
できないことがおわかりいただけると思います。

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