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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第70回 第3章・力線の理論(その38)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

今回は、『第3章・力線の理論』の締めくくりとして、少し変わった話をしよう
と思います。

なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。

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108.思想の影響力
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前回も述べたように、マックスウェル方程式が絶対視される(『力線の理論』が
無視される)のは、
「電磁気法則に速度は無用!」
という思想が、科学の世界を支配しているからです。

趣味というものは個人的なものですから、他に影響を及ぼすことが(比較的)少
ないと言えます。
これに対し、思想というものは社会的なものですから、他に影響を及ぼすことが
大いにあり得ます。
科学に関する思想も、分野を越えて影響を及ぼすことがあり得ます。
また、それ故に、思想的な科学というものは、科学以外のものと結びつきやすい
のです。
現に、相対論(的宇宙論)は、政治、芸術(文学)、メディア…などと強く結び
つき、強大な勢力をなしています。
こうした広範囲な結びつきについて語ろうとすると、それだけでメルマガが発行
できる(本が一冊書ける)ぐらいになってしまうので、それは別の機会に譲ろう
と思います。

それはともかく、「電磁気法則に速度は無用!」という思想は、さらに、
「速度(運動)が関わってくる電磁気作用なんてものは、考えてはならない!」
という教義を生み出すことになります。
実際、相対論など関係しない分野にまで、そうした教義の影響力が及んでいるの
です。
そうした一例として、『雷の発生』という現象を取り上げようと思います。

一見、仮想力線電磁気学とは無関係に思われるかもしれませんが、思想の影響力
ということを考えると、極めて重要な問題なので、今回、取り上げることに致し
ました。

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109.雷発生のメカニズム
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雷は、どのようにして発生するのでしょうか?

定説によれば、雲の中で、水蒸気が凝結して氷ができ、それらが擦れ合うことに
より静電気が生じ、それが蓄えられて、一気に放電する、これが雷である、とい
うことになっています。
この定説を『氷摩擦説』と呼ぶことにしましょう。

さて、この『氷摩擦説』は、多くの人たちに信じられているのですが、厳密に考
証していくと、そんなことでは雷は発生し得ないことがわかってしまうのです。
このため、世間の常識に反して、誠意ある科学者たちは、これをあくまで仮説と
してしか認めていません。
そこで、まず、この定説の問題点について見ていくことにしましょう。

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110.氷摩擦説の問題点
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まず第一に指摘されなければならないのは、
『氷どうしが擦れ合うことで、本当に静電気が発生するのか?』
という問題です。
異なる物質どうしが擦れ合う場合は、静電気は発生しやすいのですが、同じ物質
どうしが擦れ合う場合は、静電気は発生しにくいのです。
もちろん、混合物の場合は、同じ物質でも成分の分布等にばらつきがあったりす
るので、ちょうど異なる物質どうしが擦れ合うのと同じように、静電気が発生し
やすくなることがあります。
しかしながら、雲の中の氷は、多少は空気中の塵などを含んでいるとはいえ、静
電気が発生するほどの成分の偏在はないと考えられます。

そもそも、氷どうしが擦れ合って静電気が生じる理論的根拠というものが、全く
示されていません。
ですから、これは重大な問題点なのです。

第二に、
『仮に静電気が発生するとしても、それが雷という放電現象を発生させるのに
 十分な量なのか?』
という問題があります。
氷が擦れ合うくらいで、そんなに大きな電気量が発生するのなら、そうした現象
が観測されてもいいはずです。
しかし、現実には、そのような現象は観測されていません。

それでも定説に固執するというのであれば、

(1)氷が擦れ合うと、どのぐらいの電気量が発生するのか?
(2)雲の中には、どれくらいの氷が(どれくらいの密度で)存在するのか?
(3)氷どうしは、どれくらいの頻度で擦れ合うのか?

ということを具体的に示し、雷発生に十分な電気量が得られることを、定量的に
証明すべきです。
ちなみに、そうした証明を行った科学者は一人もいません。

一つ、勘違い(混同)されては困るのは、静電気による爆発事故です。
爆発は酸化現象であって、放電現象ではありません。
静電気による放電は、点火の役割を果たしているだけです。

さて、第三にあげられるのは、
『雲の中は湿度が高い』
という問題です。
これでは、仮に静電気が発生しても、すぐに放電してしまい、大きな電気量を蓄
えることはできません。

そして、第四には、実はこれが致命的な問題点なのですが、
『摩擦によって発生した静電気は、極性がバラバラである』
ということです。
これでは、巨視的に見れば電気的に中性となり、雲と地上との間で放電(落雷)
は起こりません。
そうした放電が起こるためには、(たとえば)雲の下部は負(-)、上部は正(+)に
帯電していなければならないはずです。

もうお気付きかと思いますが、仮に氷どうしの摩擦により、正・負の電気が生じ
たとしても、それらを分離・隔離しなければ、すぐ近くの(異符号の)電気と中
和してしまいます。
これでは、蓄電はされず、雷は発生し得ません。

このように、氷摩擦説は、欠陥だらけの仮説なのです。
「宇宙の始まりや、究極の素粒子について論じられる時代に、まさか…」と思わ
れるかもしれませんが、これが正統(?)科学の実態なのです。

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111.対案−地磁気・ローレンツ力説
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雷が発生するためには、正・負の電気が生じるだけではダメで、それらを分離・
隔離する必要があります。
氷摩擦説では、このことが全く説明できません。

そこで対案として私が提唱しているのが、『地磁気・ローレンツ力説』です。
これは、上昇気流が地球の地磁気の磁力線を横切る際に生じるローレンツ力によ
って、空気が(陽)イオンと電子に分けられ、蓄電される、というものです。

空気が上昇しようとすると、南北にのびる地球の地磁気の磁力線を横切ることに
なります。
すると、空気(の分子)にローレンツ力が働きます。
正電荷と負電荷とではローレンツ力の向きは逆になりますから、空気(の分子)
には、正のイオンと、負の電子に分けられるような作用が働くことになります。
空気(の分子)は、実際には常時電離してはもとに戻るということを繰り返して
いるわけですから、そこでローレンツ力が働けば、完全に電離することが可能に
なるわけです。
特に、雲の中では、水蒸気(気体)→水(液体)・氷(固体)という変化が起こ
って不安定な状態にあるので、電離しやすいと考えられます。

さて、電離した電子は、その後もローレンツ力を受け、磁力線に巻き付くように
進行方向を大きくターンさせられます。
このため、もはや上昇しようとはせず、雲の下部に留まることになります。

一方、陽イオンもローレンツ力を受け続けますが、質量(慣性)が大きいため、
ほとんど方向転換させられません。
また、イオンの粒子はサイズが大きいため、上昇気流にあおられやすく、そのま
ま上昇を続けます。(電子はサイズが小さいため、上昇気流にあまりあおられる
ことがなく、比較的自由に振る舞うことができます。)

こうして、雲の下部には電子が、上部には陽イオンが多く存在することになりま
す。
そうなると、雲の下部はマイナスに、上部はプラスに帯電することになります。
これなら、落雷が起こり得ます。
(概念図→ 70z.htm )

いかがでしょう。
定説(氷摩擦説)よりも、こちらの方が利点が多いと思いませんか?

ちなみに、『地磁気・ローレンツ力説』は、『氷摩擦説』を拒絶するものではあ
りません。
氷の摩擦によって生じた電気を蓄える(正・負の電気を分離・隔離する)ことが
可能になります。
つまり、氷摩擦説の欠陥を補う理論としても有効なのです。

さらに、『地磁気・ローレンツ力説』は、上昇気流がプラズマ化することを予言
します。
プラズマ流はよじれやすく、これにより空気の渦、すなわち、竜巻が発生するこ
とも考えられます。
現に、トルネードにはプラズマが関与している、と考えている研究者もいます。
『地磁気・ローレンツ力説』は、それを裏付けるものと言えましょう。

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112.侮辱?
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このように、数多くの利点を有する『地磁気・ローレンツ力説』なのですが、相
対論(的宇宙論)に味方する科学者たちは、この学説を(一考に値する仮説とし
てすら)決して認めようとはしません。
その主な理由は二つあります。

一つは、この学説が、相対論の論拠となっている思想(常識?)を侮辱するもの
だからです。

『地磁気・ローレンツ力説』の大きな特徴は、ローレンツ力という『運動が関わ
ってくる電磁気作用』によっていることです。
したがって、これを認めることは、
「運動(速度)が関わってくる電磁気作用なんてものは、考えてはならない!」
という教義を無視することになります。
それはまた、
「電磁気法則に速度は無用!」
という思想を無視することでもあります。
これは言うまでもなく、マックスウェル方程式を絶対視する相対論の論拠を侮辱
(?)する行為です。
だから許せないわけです!

こういうわけで、彼らは未だに氷摩擦説を布教し続けているのです。
しかしながら、すでに述べたように、現実には氷摩擦説(だけ)では雷の発生は
説明できません。
このように、相対論の論拠となっている思想は、相対論など関係しない科学分野
の研究まで阻害しているのです。

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113.突破口
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もう一つの理由は、この学説が、相対論(的宇宙論)崩壊の突破口になり得るこ
とです。

氷摩擦説を救おうとすれば、この学説の助けが必要になりますし、見捨てるとす
れば、これまた、その代案として、この学説が必要になってくるのです。
いずれにせよ、そうなると、『運動が関わってくる電磁気作用』が注目されるよ
うになってきます。

こうした電磁気作用は、これまで(俗に言う)地学の分野では、ほとんど全くと
いっていいほど注目されませんでした。
そこで、このような学説を少しでも認めてしまうと、他の現象についても、『運
動が関わってくる電磁気作用』によって説明してみようとする研究が行われるよ
うになります。
惑星の地磁気、自転、さらには、近日点移動、渦巻き銀河、ジェット、宇宙の大
規模構造、…等々。

このような研究が、相対論(的宇宙論)の信者たちにとって有り難くいないもの
であることは明らかでしょう。
なぜなら、こうした研究が進めば、これまで「相対論的効果!」とされてきた現
象が、実は電磁気現象として説明できてしまうことがバレてしまうからです。

それ故、彼らは、この学説を一切認めようとしないのです。
また、そのせいか、『落雷』については触れても、『雷の発生』については触れ
たがりません。
彼らは、『雷』という身近な問題よりも、『宇宙』という遠くの問題を取り上げ
たがります。
なぜなら、身近な問題よりも、遠くの問題の方が、直接的な検証が困難なため、
自分たちの科学思想の欠陥がバレにくくなるからです。

このように、『地磁気・ローレンツ力説』は、相対論(的宇宙論)崩壊の突破口
となるものなのです。

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以上で、『第3章・力線の理論』を終わりにしようと思います。
次回からは、『第4章・遠隔作用と疑似近接作用』に入ります。

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