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●第65回 第3章・力線の理論(その33)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

前回に引き続き『ブレーキ電気力』についての解析です。
なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。

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91.代入計算
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前回求めた(3・30・2)式に、前々回求めた磁界を代入し解いてみましょう。

 ( ∂ Hoz' / ∂t ) = - ( ∂( Hoz'・vbz'y' ) / ∂y' )

これに、

 Hoz' = ( v・y・q ) / ( 4・π・( r ^ 3 ) )

を代入します。
ここで、

 r = ( ( x ^ 2 ) + ( y ^ 2 ) ) ^ ( 1 / 2 )

です。

まず、左辺について計算すると、

 ( ∂ Hoz' / ∂ t )
  = ( ∂ v / ∂ t )・( y・q ) / ( 4・π・( r ^ 3 ) )
   - ( v・y・q )・( ∂ x / ∂ t )・x・3 / ( 4・π・( r ^ 5 ) )

ここで、

 ( ∂ x / ∂ t ) = v

なので、左辺は、

 ( ∂ v / ∂ t )・( y・q ) / ( 4・π・( r ^ 3 ) )
   - ( v・y・q )・v・x・3 / ( 4・π・( r ^ 5 ) )

となります。

さて、一方、前々回の図からも明らかなように、

 y' = y

ですから、

  - ( ∂( Hoz'・vbz'y' ) / ∂y ) = - ( ∂( Hoz'・vbz'y' ) / ∂y' )

とすることができます。
そして、

 ( ∂ Hoz' / ∂ y )
  = ( v・q ) / ( 4・π・( r ^ 3 ) )
   - ( v・y・q )・y・3 / ( 4・π・( r ^ 5 ) )

となりますから、右辺は、

  - ( ∂( Hoz'・vbz'y' ) / ∂y )
  = - Hoz'・( ∂ vbz'y' / ∂y ) - ∂( Hoz' / ∂y )・vbz'y'
  = - ( ( v・y・q ) / ( 4・π・( r ^ 3 ) ) )・( ∂ vbz'y' / ∂y )
   - ( ( v・q ) / ( 4・π・( r ^ 3 ) ) )・vbz'y'
   + ( ( v・y・q )・y・3 / ( 4・π・( r ^ 5 ) ) )・vbz'y'

となります。

以上のことから、(3・30・2)式は、

 ( ∂ v / ∂ t )・y - ( v・y )・v・x・3 / ( r ^ 2 )
  = - ( v・y )・( ∂ vbz'y' / ∂y )
   - v・vbz'y'
   + ( ( v・y )・y・3 / ( r ^ 2 ) )・vbz'y'

となります。

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92.ブレーキ電気力の誘導
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さて、上で求めた方程式を解けば、磁力線の速度vbz'y'が求まるわけですが、こ
こでは問題を簡単にするために、荷電粒子を等速直線運動させた場合にどれだけ
の電気力が発生するのか?、ということを考えてみましょう。
すると、この場合、

 ( ∂ v / ∂ t ) = 0

となるため、上で求めた方程式は、 

 - ( v・y )・v・x・3 / ( r ^ 2 )
  = - ( v・y )・( ∂ vbz'y' / ∂y )
   - v・vbz'y'
   + ( ( v・y )・y・3 / ( r ^ 2 ) )・vbz'y'

となります。
この方程式を解くと、

 vbz'y' = - ( v・x ) / y

という解が求まります。

磁力線の速度が求まったので、次に、電磁誘導によって生じる電界を求めてみま
しょう。
磁界の方向はz'軸方向で、磁力線の運動方向はy'軸方向ですから、生じる電界は
x'軸方向となります。
この電界をEvとすると、電磁誘導の式から、

 Ev = - vbz'y'・μ・Hoz'
   = ( ( v・x ) / y )・μ・( v・y・q ) / ( 4・π・( r ^ 3 ) )
   = ( v ^ 2 )・ε・μ・( ( x・q ) / ( 4・π・ε・( r ^ 3 ) ) )

となり、

 Ev = - ( v ^ 2 )・ε・μ・Eox'

となります。(第63回参照)

一方、

 c = 1 / ( ( ε・μ ) ^ ( 1 / 2 ) )

より、

 ε・μ = 1 / ( c ^ 2 )

となりますから、

 Ev = - ( v ^ 2 )・( 1 / ( c ^ 2 ) )・Eox'
   = - ( ( v / c ) ^ 2 )・Eox'

と求まります。

さて、この電界Evの特徴を見てみましょう。

式を見ればおわかりのように、マイナスの符号がついてますね。
ということは、加速しようとする電界Eox'と向きが逆です。
つまり、加速を妨げる電気力です。

また、v = 0 、すなわち、静止状態においては、Ev = 0 となります。
つまり、強さはゼロです。

速度とともに、Evは大きくなります。

そして、v = c 、すなわち、光速度においては、Ev = - Eox'となります。
つまり、| Ev | = | Eox' | となり、強さが等しくなります。

これが何を意味するかは、もうおわかりでしょう。
そう、これが第60回に述べたブレーキ電気力(を発生させる電界)です。

式で示すと、これまでの話がよりハッキリします。
加速される荷電粒子●に働く(電気)力Fは、●の電荷をQとすれば、

 F = Q・Eox' + Q・Ev
   = Q・( 1 - ( ( v / c ) ^ 2 ) )・Eox'

となります。
この式からもおわかりのように、荷電粒子●を加速させる力は、速度とともに減
少し、光速度でゼロになります。
だから、巨大加速器では、超光速への加速が不可能、となるわけです。

以上で、超光速不可能が、電磁気現象として説明できました。

このように、『力線の理論』では、超光速不可能は、電磁気現象として説明でき
るのです。
この現象は、運動が関わってくる電磁気現象です。
マックスウェル方程式では、運動の問題は扱えません。
このため、時空をいじくり、質量の増加のせいにしなければならなくなってくる
のです。
一方、『力線の理論』では、運動の問題を扱えるため、そんな不自然な考え方な
どする必要もなく、電磁気現象として合理的に説明できるのです。

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