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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第63回 第3章・力線の理論(その31)

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今回から『ブレーキ電気力』について具体的に解析していきます。
図があるので、等幅フォントで御覧下さい。

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87.磁電誘導
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超光速への加速を阻む『ブレーキ電気力』は、磁電誘導と電磁誘導という二種類
の誘導の組み合わせによって生じます。
そこで、まず今回は、磁電誘導の解析を行います。

最初に復習を兼ねて、下図を見て下さい。

         ○
    v
   ●→

ここで、●は加速される荷電粒子、○は電極内の荷電粒子です。
そこで、次のような座標系を設定します。

         y
         ↑
         │
         ○ y      注:この図の状態では、x < 0、y > 0
    v    │
 ──●⇒────┼─→x
   x      │0
         │

なお、図には描かれていませんが、奥行き方向(奥から手前向きが正)にz軸が
あります。

そして、●の座標は ( x , 0 , 0 ) 、○のZ座標は ( 0 , y , 0 ) とします。
本来なら、電極はz軸方向に大きさを有するため、○のz座標は文字数にすべき
なのでしょうが、計算が面倒になるので、●と同じ 0 としました。
それに、x軸を軸に回転させた座標系を考えれば、奥行き方向を 0 とすること
ができるので、この座標設定で十分だと思います。

さて、これを、加速される荷電粒子の系の側から見ると、下図のように、電極内
の荷電粒子が運動していることになります。

        v
        ←○

   ●

そこで、下図のような座標系を設定します。

   y'              │(注)○の運動は、本当は、
   ↑              │
   │    v         │      -v
   │    ←○        │     ○→
   │              │
 ──●───────→x'     │   と記述した方がわかりやすい
   │0              │
   │

なお、図には描かれていませんが、奥行き方向(奥から手前向きが正)にz'軸が
あります。

この座標系では、●の座標は ( 0 , 0 , 0 ) 、○の座標は ( -x , y , 0 ) と
なります。

さて、○の電荷をqとすると、●の位置での電界Eoは、

 Eo = -q / ( 4・π・ε・( r ^ 2 ) )

となります。
ここで、

 r = ( ( x ^ 2 ) + ( y ^ 2 ) ) ^ ( 1 / 2 )

です。

Eoのx'成分、y'成分、z'成分をそれぞれEox'、Eoy'、Eoz'とすると、

 Eox' = Eo・( ( - x ) / r ) = ( x・q ) / ( 4・π・ε・( r ^ 3 ) )

 Eoy' = Eo・( y / r ) = - ( y・q ) / ( 4・π・ε・( r ^ 3 ) )

 Eoz' = 0

となります。

さて、荷電粒子である○がx'軸方向に運動すると、○からのびた電気力線がx'軸
方向に横切っていくため、磁電誘導により磁界が生じます。
この磁界をHoとし、x'、y'、z'の各成分をそれぞれHox'、Hoy'、Hoz'とすると、

 Hox' = 0・ε・Eoz' - 0・ε・Eoy' = 0

 Hoy' = 0・ε・Eox' - ( - v )・ε・Eoz' = 0

 Hoz' = ( - v )・ε・Eoy' - 0・ε・Eox'
    = ( - v )・ε・Eoy'
    = ( v・y・q ) / ( 4・π・( r ^ 3 ) )

となります。(第43回参照)

以上で、磁電誘導によって生じる磁界が求まりました。

この磁界が、○の移動により変化するために、磁力線の運動が起こり、これによ
り電磁誘導が起って『ブレーキ電気力』が生じることになります。
次回からは、この電磁誘導の解析を行います。

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