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 N┃→          仮想力線電磁気学
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★本編に入る前に…

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

体調不良のため、5月は一回しか発行できず、すみませんでした。
また、今回も発行が遅れてしまって、申し訳ありません。
残念ながら、今だに万全とは言えない状態です。
そこで、当分の間、一回のメルマガの内容の分量を減らさせていただくことにい
たしました。
進度が遅くなったり、話が途切れ途切れになってわかりにくくなったりするとは
思いますが、どうか御了承願います。

では、本編をどうぞ。

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●第62回 第3章・力線の理論(その30)

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今回から、『巨大加速器の問題』として、『ブレーキ電気力』の話を始めます。
図があるので、等幅フォントで御覧下さい。

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86.ブレーキ電気力の考え方
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既に述べたように、ブレーキ電気力は、磁電誘導と電磁誘導の組み合わせで起こ
る電磁気作用です。
これには、運動が深く関わっています。
そこで、今回は、ブレーキ電気力がどのようにして生じるのか?、その原理を説
明しようと思います。

まず、下図を見て下さい。

        電極

        ┃┃
        ┃┃
        ┃┃
        ┃┃
   ● →
        ┃┃
        ┃┃
        ┃┃
        ┃┃

ちなみに、●は、加速される電荷(荷電粒子)を表します。
電荷●は、電極との間に働く電気力(クーロン力)によって加速されます。

これを電荷●の系から見ると、電極が運動しているように見えます。

        ┃┃
       ← ┃┃
        ┃┃
        ┃┃
   ●
        ┃┃
        ┃┃
       ← ┃┃
        ┃┃

そこで、電極中の個々の電荷について考えてみましょう。

         ○
       ← ○
         ○
         ○
   ●
         ○
         ○
       ← ○
         ○

なぜ、このように考えるのかというと、仮想力線電磁気学では、第1章で述べた
ように、重ね合わせの理が成り立たないからです。(特に誘導の問題では…)
個々の電荷○の作用を考え、最後にそれらを足し合わせる(積分する)という考
え方をします。

さて、そこで、これらの電荷○のうちの一つを取り上げて考えてみましょう。

       ← ○

   ●

すると、電荷●から見ると、電荷○は運動しているように見えます。
一方、電荷○からは、電気力線がのびています。

        \│/ 
       ─ ○ ─
        /│\ 
   ●

したがって、電荷○が運動すれば、それと一緒に、電気力線も運動することにな
ります。
すると、電荷●の系から見ると、電気力線が横切っていくことになります。
そうなると、磁電誘導により、磁界が発生することになります。

さて、この磁界の強さは一定ではありません。
電荷の運動、すなわち、位置の変化により、変化します。
磁界の強さが変化するということは、磁力線の本数が変化するということです。
一方、磁力線は、勝手に発生したり、消滅したりすることは、許されません。
ある(微小)領域における磁力線の本数が増減するためには、その領域に磁力線
が出入りしなければなりません。
つまり、磁力線が運動しなければならないのです。
磁力線が運動すれば、電荷●を磁力線が横切っていくことになります。
すると、電磁誘導により、電気力が発生することになります。
こうして生じた電気力が、『ブレーキ電気力』となるわけです。

このように、ブレーキ電気力は、運動によって起こる二種類の誘導(磁電誘導と
電磁誘導)の組み合わせによって生じる電磁気作用なのです。
これが、もとの電気力を打ち消し、超光速への加速を不可能にするのです。

次回からは、以上のことを、数式を用いて、より具体的に解析していこうと思い
ます。

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