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N┃→ 仮想力線電磁気学
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●第60回 第3章・力線の理論(その28)
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今回から、力線の理論によって説明できる、ローレンツ力以外の電磁気作用につ
いて説明します。
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80.一筋縄ではいかない力
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前回まで、ローレンツ力が天体の運動に与える影響について説明しました。
ローレンツ力は、重力(やクーロン力)に比べて、はるかに複雑な力です。
距離や位置のみならず、相対運動(速度)までが関与してきます。
しかも、力の働く向きが、非常にひねくれています。
このため、ローレンツ力を受けると、重力(やクーロン力)では考えられないよ
うな振る舞い方をするのです。
特に注目すべきことは、相対運動が関与することから、ローレンツ力を受けた物
体が運動することによって、また別の方向のローレンツ力を受けるという、二次
的な現象が生じることです。
第52回に述べた『誘導型モーターの原理』は、その良い例であり、第53〜5
9回に述べた惑星の自転、地磁気、近日点移動…等々は、その応用です。
とにかく、こうした一筋縄ではいかない特徴をもつおかげで、従来、一般相対性
理論から導かれる時空の曲がり等によってしか説明できなかった天体の運動の問
題が、電磁気現象として説明できるのです。
さて、話は変わりますが、ここで、もう一度、『誘導型モーターの原理』のこと
を思い出して下さい。
磁石を動かすと、それを追いかけるように銅板が動くのでしたね。
これは、あたかも、一方の物体(磁石)が、もう一方の物体(銅板)を、引きず
っているかのように見えます。
宇宙では、こうした引きずり現象が数多く見られます。
それはともかく、この引きずり現象は、見方を変えると、ブレーキ現象とも言え
るのです。
なぜなら、引きずっている物体(磁石)の系から見ると、引きずられている物体
(銅板)が静止しようとするかのように見えるからです。
実際、これを応用した『ブレーキ』や『スリップ機構』などが既に実用化されて
います。
それはさておき、このように、ローレンツ力の影響で、物体の相対運動がゼロに
なろうとする現象が存在することは、極めて注目すべきことです。
そこで、『運動』と『電磁気現象』との関連について、さらに深く考察していく
ことにします。
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81.運動と電磁気作用
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ここで、改めて、ローレンツ力について考えてみましょう。
ローレンツ力は、マックスウェル方程式では説明できない電磁気現象です。
一方、『力線の理論』では、ローレンツ力を説明できます。
この違いは、マックスウェル方程式が運動の問題を扱えないのに対し、力線の理
論は運動の問題を扱える、というところからくるものです。
つまり、ローレンツ力は、運動が関与してくる電磁気現象なのです。
さて、それでは、ローレンツ力以外にも、運動が関与してくる電磁気現象が存在
するのではないでしょうか?
もし存在するとすれば、、それはマックスウェル方程式では説明できない電磁気
現象でしょう。
つまり、それは『力線の理論』でしか説明できない電磁気現象です。
そして、それはおそらく、これまで相対論的効果と説明されてきた現象であるに
違いありません。
ちょうど『水星の近日点移動』と同じように…
実は、そうした現象があるのです。
それが『巨大加速器』の問題です。
これは、電気力(クーロン力)で電荷を加速していくと、速度が上がるにつれて
加速が鈍り、光速度では加速がゼロになる(=光速度を超えられない)、という
現象です。
従来、この現象は、相対論が予言する『速度の増加に伴う質量の増大(光速度で
質量は無限大になる)』によって説明されてきました。
しかしながら、『力線の理論』の理論を用いると、これまた電磁気現象として説
明できてしまうのです。
そこで、今回から『巨大加速器』の問題を取り上げようと思います。
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82.速度と電気力
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速度の増加ととも加速が鈍る(加速度が小さくなる)現象を説明するための仮説
には、どのようなものが考えられるでしょうか?
今、電気力をfe、質量をm、加速度をaとすれば、
fe = m・a
という関係から、
a = ( fe / m )
となります。
それ故、たとえば、質量mが大きくなれば、加速度aは小さくなるでしょう。
これは一つの選択肢です。
しかし、別の選択肢も考えられます。
それは、電気力feが小さくなる、というものです。
これは具体的に言うと、『速度の増加とともに電気力が小さくなる』ということ
です。
さらに、第三の選択肢も考えられます。
それは、feとは別の電気力fvが働く、というものです。
式で表すと、
fe - fv = m・a
∴ a = ( ( fe - fv ) / m )
となります。
このfvという電気力には、
1.加速のための電気力feと向きが逆
2.速度とともに大きくなる
3.速度がゼロ(静止)では、fv = 0 (∴ a = ( fe / m ) )
4.速度が光速度cでは、fe = fv (∴ a = 0 )
といった特徴があるとします。
すると、巨大加速器の超光速不可能現象も、電磁気現象として説明できることに
なるでしょう。
このfvという電気力は、加速を鈍らせるブレーキのようなものです。
そして、電磁気現象によるブレーキといえば、『80.一筋縄ではいかない力』で
も出てきましたね。
もちろん、そこで述べたブレーキ現象とは性質が異なりますが、運動が関与する
電磁気現象という点では同じです。
実は、『力線の理論』を用いると、ここで述べたfvのような、速度の増加ととも
に増大する『ブレーキ電気力』が生じることが説明できるのです。
そこで次回からは、この『ブレーキ電気力』について説明します。
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