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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第58回 第3章・力線の理論(その26)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

今回は、前回述べた近日点移動について、補足説明をいたします。
図があるので、等幅フォントで御覧下さい。
なお、図は、テキスト表示の限界ゆえ、かなり歪んだものになっていることを、
予めお断りしておきます。

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74.前回の補足説明
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今回は、まず、前回の電磁気作用(ローレンツ力)が引き起こす近日点移動につ
いて、補足説明いたします。

前回、(比較的小型の)惑星が公転する際に生じるローレンツ力の作用により、
公転軌道が内側に曲げられる、という話をしました。
そして、これにより、楕円軌道を回る惑星の公転軌道は、公転の方向と同じ方向
(反時計方向)に回転する(=近日点移動を起こす)と説明しました。

これに対し、
「公転軌道が内側に曲げられるだけなら、楕円軌道が小さくなるだけで、楕円
 軌道が回転することなど、あり得ないのでは?」
と疑問に思われた方はいませんか?

惑星が反時計方向に楕円軌道を公転している場合を考えてみて下さい。
太陽との距離が遠ざかろうとするところ(≒距離が近いところ)で、軌道が内側
に曲げられれば、楕円軌道全体は反時計方向にずれることになります。(なかな
か離れられない)


 (a') (a)     (a)  本来の楕円軌道
  ┌ ↑      (a') 内側に曲げられた楕円軌道
   \│
  ☆ ○     ☆太陽 ○惑星


しかしながら、太陽に近づこうとするところ(≒距離が遠いところ)で、軌道が
内側に曲げられれば、楕円軌道全体は時計方向にずれることになります。(すぐ
引き寄せられる)


    ○       ☆
    │\_、(a')
     \、
      (a)


したがって、両者の効果を考えれば、差し引きゼロになり、楕円軌道は回転しな
いことになる…というわけです。

そこで、この問題について、もう少し補足説明したいと思います。

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75.変動する作用
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前回も述べましたが、楕円運動する際、生じるローレンツ力は一定ではありませ
ん。
楕円軌道では、太陽と惑星との距離が変化しますが、距離が近づくほどローレン
ツ力は強くなり、離れるほど弱くなります。
これは重力にも言えることですが、その変化の仕方が重力よりも大きいのです。
なぜなら、重力の強さは距離だけに依存しますが、ローレンツ力の方は距離だけ
でなく線速度にも依存するからです。
楕円運動では、距離が近づくほど線速度が大きくなり、離れるほど小さくなりま
す。
一方、ローレンツ力は、磁場の強さ(距離に依存)と、磁力線の速度(線速度と
関係)に依存します。
こうしたことから、楕円運動の際、ローレンツ力は重力以上に変動するのです。

したがって、公転軌道を内側に曲げようとする作用も、重力以上に変動するわけ
です。
そして、距離が近い時に強く、遠い時に弱くなるのです。

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76.変動で回転
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さて、以上の話を総合すれば、楕円軌道が公転方向と同じ方向に回転する理由も
わかると思います。

惑星が太陽から遠ざかろうとする時、すなわち、太陽との距離が近い時には、ロ
ーレンツ力が強まり、公転軌道が内側に曲げられる度合いが大きくなります。
これは、なかなか遠ざかれないことを意味します。
その間に惑星は反時計方向に移動するわけですから、その結果、楕円軌道全体は
反時計方向にずれることになります。

一方、惑星が太陽に近づこうとする時、すなわち、太陽との距離が遠い時には、
ローレンツ力が弱まり、公転軌道が内側に曲げられる度合いが小さくなります。
このため、楕円軌道全体が時計方向にずれる度合いは小さくなります。
それに、惑星の公転運動において、重力と遠心力だけでなく電磁気作用との釣り
合いをも考慮に入れるとするならば、電磁気作用が弱くなった分、楕円軌道全体
は、むしろ外側に膨らむ、とさえ言えます。
外側に膨らめば、すなわち、近づこうとする度合いが弱まれば、楕円軌道全体は
反時計方向にずれることになります。

というわけで、楕円軌道は、やはり反時計方向に回ることになるのです。

以上のようにして、先に示された問題は無事解決されます。

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