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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第57回 第3章・力線の理論(その25)

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今回は、ローレンツ力が比較的小型の惑星の公転軌道に与える影響について説明
します。
図があるので、等幅フォントで御覧下さい。

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70.中心から外れた作用
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さて、ここでもう一度、第53〜54回に述べた『比較的小型の惑星』の話を思
い出して下さい。
惑星が自転するのは、太陽磁場を横切る際に生じるローレンツ力の作用によるも
のでした。
でも、それだけでは、惑星は回転(自転)しません。
生じるローレンツ力が、昼側で強いために惑星が回転(自転)するのです。

そこで、次のような問題を考えてみましょう。
もし、下図のように、棒の中心部分に力が作用しても、棒は回転しません。

   │
   │
   │→   (図1)
   │
   │

これに対し、下図のように、棒の中心から外れた場所に力が作用すると、棒は回
転します。

   │
   │
   │    (図2)
   │
   │→

さて、ここで問題になるのは、回転の中心はどこか?、ということです。
もし、下図のように、棒の両端に同じ大きさ(ただし向きは逆)の力が作用すれ
ば、回転の中心は、棒の中心となるでしょう。

  ←│
   │
   │    (図3)
   │
   │→

しかし、図2の例では、回転の中心は、棒の上端になります。

   │\
   │ \
   │  \    (図4)
   │   \
   │→

そこで、今度は、下図のような問題を考えてみましょう。

       │
       │
      <=│   (図5)
       │
    ●  │

これは、左向きに慣性運動(等速直線運動)している棒が、障害物(●)にぶつ
かると、どうなるか?、という問題です。
棒の上部は、棒自体の慣性で、左に進もうとします。
ところが、棒の下部は、障害物にぶつかって右向きの力を受けます。
この結果、棒は、下図のように、向きを変えるのです。


  \
   \    ⇒          (図6)
    \      _____
    ●\         ●

このように、慣性運動している物体に、中心から外れた場所に力が作用すると、
物体は回転するだけでなく、進む向きまで変えてしまうのです。

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71.公転軌道の変化
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そこで気付いてほしいのですが、比較的小型の惑星が公転する際に働くローレン
ツ力の作用も、惑星の中心から(昼側に)外れたものでした。
このため、上の棒の問題と同じようなことが起こります。


  \ │ /
   \│/ ↑     ☆ 太陽
  ──☆──o     o 惑星
   /│\
  / │ \


      / ̄\
 昼 │││惑星│↓ 夜
   ││ \_/
   \/


上図で、公転する惑星は上向きに進もうとしますが、中心から外れたローレンツ
力の作用のせいで、公転軌道は内側に曲げられるのです。
このことを大げさに記すと、下図のようになります。

 (b) (a)
   ┌  ↑       (a)本来の公転軌道
    \ │       (b)曲げられた公転軌道
     \│
      / ̄\
  昼  │惑星│  夜
     \_/


このように、中心から外れたローレンツ力の作用は、惑星を自転させるだけでな
く、公転軌道まで(内側に)変えてしまうのです。

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72.近日点移動
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従来、惑星の公転軌道は、重力と遠心力の釣り合いで決まるとされてきました。
しかし、上で述べたように、仮想力線電磁気学では、重力と遠心力に加え、電磁
気作用とも、釣り合いを考えなければならないことになります。

さて、惑星が円軌道を回る場合は、重力、遠心力、そして電磁気作用が釣り合っ
たところで平衡状態となり、軌道は適当な円軌道に落ち着くことになります。

ところが、惑星が楕円軌道を回る場合は、これらの力(作用)が釣り合うことが
なく、平衡状態に落ち着くことはありません。

その理由は、次の通りです。
まず第一に、楕円軌道を回ると、太陽からの距離が変化するので、太陽磁場の強
さが変化します。
そして第二に、実はこれが大きな要因となるのですが、楕円軌道では線速度が変
化するので、(惑星側から見た)磁力線の運動速度が変化します。
こうしたことから、惑星に作用するローレンツ力も変化するため、平衡状態に落
ち着かないのです。

このため、惑星が楕円軌道を回る度に、惑星の公転軌道は(上で述べたように)
内側に曲げられることになるわけです。
それ故、惑星の楕円軌道は一定ではいられず、惑星の公転方向と同じ方向(反時
計方向)に回転します。
これがいわゆる『近日点移動』というわけです。

このように、楕円軌道を回る比較的小型の惑星は、電磁気作用(ローレンツ力の
作用)によって、近日点移動を起こすことになるのです。

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73.起こりやすい条件
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さて、ここで、近日点移動の起こりやすい条件を考えてみましょう。
その条件とは、

 1.電磁気作用が大きい

 2.電磁気作用の変化の度合いが大きい

 3.惑星の質量が小さい

ということになります。

1.の条件を満たすものとしては、

 (i) 太陽磁場が強い

 (ii) 磁力線を横切る速度が大きい

となります。
(i)を満たすものとして、

 (i)' 太陽からの距離が近い

というのがあります。
また、(ii)の条件を満たすものとして、

 (ii)' 公転周期が短い

というのがあり、実は(i)'は、この条件をも満たすものなのです。

一方、2.については、

 2'.離心率が大きい

となります。

以上をまとめると、

 1)太陽からの距離が近い
 2)離心率が大きい
 3)惑星の質量が小さい

となります。
そして、これらの条件を最もよく満たす惑星が水星だった…というわけです。

従来、水星の近日点移動は、一般相対性理論から導かれる時空の曲がりのせいだ
とされてきました。
これに対し、仮想力線電磁気学では、上で述べたように、電磁気作用として説明
できるのです。

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