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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第56回 第3章・力線の理論(その24)

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引き続き、ローレンツ力に関連する話として、惑星の地磁気と自転に関する話を
します。

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66.回転するガス
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前回も述べたように、比較的大型の惑星は、主としてガスが集まってできた惑星
です。
そして、惑星を形成することになるガスには、プラズマが含まれます。
このため、太陽の周りを公転しているガスがある程度集まってくると、ローレン
ツ力が働き、ガスの集まりは回転(自転)し始めます。
公転の向きが反時計方向なら、ガスの回転(自転)の向きも、反時計方向となり
ます。
電子の流れも反時計方向ですので、北がS極、南がN極の電磁石となります。

こうした現象は、比較的小型の惑星に起こる現象と同じですね。
でも注意していただきたいのは、ここで述べているのはガスの集まりであって、
まだ惑星ではないことです。
このガスの集まりのうち、まず重い成分が(主に)重力によって中心に集まり、
『惑星の素』とでも言うべきものが出来上がります。

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67.惑星の素
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さて、このように回転運動しているものが中心に集まってくると、回転数が速く
なります。
つまり、回転する半径(回転の中心からの距離)が小さくなると、角運動量保存
則により、回転の角速度が増すのです。
この現象は、ちょうど、フィギュア・スケートの選手が、左右に広げていた腕を
すぼめて回転を上げていくのと、原理は同じです。

ちなみに、角運動量とは、

 [角運動量]=[質量]・[線速度]
       =[質量]・[半径]・[角速度]

となります。

こうして、ガスの集まりの中にできた『惑星の素』は、高速で回転します。
もっとも、この段階では、まだ、自転の線速度は、公転の線速度を上回るまでに
は至りません。
そうなるのは、次の段階です。

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68.惑星が成長すると…
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ガスの集まりの中にできた『惑星の素』は、高速で回転しながら、さらに、重力
等によって、なお周囲に存在する残りのガス(や塵)を集めて、大きな惑星へと
成長していきます。
惑星(の素)に吸い込まれた物質は、惑星とともに(高速で)回転します。
こうして、惑星の半径が大きくなっていくと、惑星の表面近くでは、自転の線速
度が大きくなっていきます。
なぜなら、線速度は、半径と角速度の積で求まるからです。

また、惑星がより多くの物質を吸い込めば吸い込むほど、惑星自身の重力によっ
て内部は圧縮され、半径が小さくなるので、角速度が増すことになります。

これらによって、自転の線速度がどんどん増していき、ついには公転の線速度を
上回ってしまうのです。
そして、惑星上(昼側)から見た磁力線の運動方向は逆転します。

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69.逆転
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一方、ガスが集まってくるにつれて、惑星の表面近くのガスの中に含まれるプラ
ズマの濃度が高くなります。
すると、これに働くローレンツ力が無視できなくなります。
このプラズマに働くローレンツ力の向きは、初期の頃にガスの集まりに働いてい
たのとは逆向きになります。
その結果、電子が時計方向に流れ、北がN極、南がS極の地磁気が発生すること
になるのです。

それならば、自転の方向も逆転するかというと、こちらはそうはなりません。
自転方向は、反時計方向のままなのです。
というのも、惑星(の質量)が大きいため、慣性モーメントが大きくなり、ロー
レンツ力ぐらいでは、回転(自転)を逆転できないからです。
それに、上で述べたように、ガス(や塵)が集まってくることによる加速もあり
ます。
こうした理由で、自転は逆転しないのです。

その結果、出来上がった惑星は、自転は反時計方向、地磁気は北がN極、南がS
極となるわけです。
こうした特徴は、木星や土星のそれとよく一致しています。

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