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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第53回 第3章・力線の理論(その21)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

引き続き、ローレンツ力に関連する話をしようと思います。
今回から、惑星の地磁気と自転に関する話をします。
絵文字の図があるので、等幅フォントで御覧下さい。

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58.地磁気と自転
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仮想力線電磁気学では、惑星の地磁気や自転は、電磁気作用によるもの、と説明
されます。
もう少し具体的に言うと、太陽磁場を横切る際に生じるローレンツ力によるもの
ということです。
そこで、今回から、地磁気と自転に関する話をしようと思います。
当然のことながら、一回で全てを説明するのは無理なので、複数回に分けて説明
します。

ただし、注意していただきたいことが二つあります。

一つは、内惑星のような比較的小型の惑星と、外惑星に多い比較的大型の惑星と
では、若干、異なるところがあることです。
このため、まず前者について、次に後者について、というように分けて説明しよ
うと思います。

二つ目は、天体衝突のような激変のあった惑星では、理論の予想とは異なる特徴
をもつことになることです。
したがって、当然のことながら、理論の予想にあわない惑星も存在することにな
ります。

以上、二つのことに注意して、以下の説明をお読み下さい。

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59.比較的小型の惑星の場合
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太陽には磁気があり、太陽系内に磁場をもたらしています。
その結果、太陽からは下図の様に磁力線がのびていることになります。


  \ │ /
   \│/
  ──☆──      ☆ 太陽
   /│\
  / │ \


もっとも、実際には、磁力線はもう少し湾曲していて螺旋状になるのですが、そ
のあたりは絵文字の限界ですので、どうか御容赦願います。

それはともかく、このことから、惑星が太陽の周りを公転すれば、磁力線を横切
ることになることがおわかりいただけると思います。


  \ │ /
   \│/ ↑
  ──☆──o     o 惑星
   /│\
  / │ \


ちなみに、上図は、天の北極側から見た図です。
この図において、惑星の公転方向は反時計方向となります。

さて、そこで、まず、惑星が自転していない状態を考えます。

すると、惑星の昼側(太陽側)にいる人から見れば、太陽からのびた磁力線が、
西から東へ横切っていくように見えるでしょう。

そこで、前回の誘導型モーターの原理を思い出していただきたいのですが、磁石
を動かすと、銅板は磁石を追いかけるように動くのでしたね。
磁石を動かせば、磁石からのびた磁力線も動きます。
したがって、磁力線の動きを追いかけるように銅板が動く、と言い換えることが
できます。

とすれば、惑星の場合も、同様に、磁力線が動く方向に、惑星の昼側の部分が動
くことになるはずです。
つまり、西から東へ惑星が自転するということです。

この現象を、前回の復習をかねて説明しましょう。

下図を、太陽の側から見た惑星の姿だと思って下さい(かなり形がゆがんでいま
すが、お許しを…)。

     北

    / ̄\
 西 │  │ 東
    \_/

     南

すると、惑星は東(向かって右)から西(向かって左)へ移動することになりま
す。
また、磁力線の向きは、画面の奥行き方向になります。
すると、惑星内の電子は、磁力線を横切ることから、南北(縦)方向にローレン
ツ力を受けます。
たとえば、磁力線の向きが、むこう向き(×で表すことにします)なら、

     北

    / ̄\
 西←│ ↑ │ 東    ×
    \_/

     南

となり、逆に、こちら向き(◎で表すことにします)なら、

     北

    / ̄\
 西←│ ↓ │ 東    ◎
    \_/

     南

となります。

さて、ローレンツ力を受けた電子は、当然のことながら、南北方向に運動しよう
とします。
すると、この運動のせいで、電子は、太陽からのびた磁力線を、南北方向に横切
ることになります。
このため、電子は、西から東へ向かう方向へローレンツ力を受けることになるの
です。

     北

    / ̄\
 西←│ → │ 東    ◎でも×でも同じ
    \_/

     南

この結果、惑星の昼側の部分は、西から東へ向かう方向に力を受けます。
こうして、惑星は西から東へ自転することになるのです。
天の北極側から見ると、反時計方向に、つまり公転方向と同じ方向に自転するこ
とになります。

また、電子は西から東へ流れようとするので、天の北極側から見ると、反時計方
向に電子が流れることになります。
すると、惑星は、北がS極、南がN極の電磁石となります。

こうして得られた結論が、地球や水星などの特徴とよく一致していることが、お
わかりいただけると思います。

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60.だが、しかし…
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ところが、ここで問題が生じてきます。
それは、惑星の夜側にいる人の立場から考えると、全く逆の結果が得られてしま
うことです。

惑星の夜側(太陽と反対側)の位置にいる人から見れば、太陽からのびた磁力線
は、東から西へ横切っていくように見えます。
ですから、上で述べた話からわかるように、惑星内の電子は、最終的には、東か
ら西へローレンツ力を受けることになるのです。
すると、惑星は、天の北極から見て時計方向、すなわち、公転方向とは逆向きに
自転することになってしまうのです。
また、電子の流れも、天の北極から見て時計方向になりますから、惑星は、北が
N極、南がS極の電磁石となってしまうのです。

このように、夜側の人から見れば、昼側の人と全く逆の結果が得られてしまうの
ですから、両者の作用が相殺されてしまい、地磁気も自転も無くなってしまうの
です。

では、どうすればよいのでしょうか?

それは次回、説明いたします。

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