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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第5回 概要(その5)

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今回は、電磁波に関するお話です。

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18.動的な現象
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前回、マックスウェル方程式が示す電磁気現象のうち、静的なものについては、
遠隔作用的な解釈が可能であることを述べました。
そこで、今回は残る動的な現象について、見ていこうと思います。

 rot {E} = - ∂{B} / ∂t

 rot {H} = ∂{D} / ∂t

前回も申し上げましたが、{}で囲まれた項( {E}、{H}、{D}、{B} )は、ベクト
ルを意味します。

さて、上の二式を言葉でおおざっぱに表現するならば、ある(微小)領域の磁場
(電場)が変動すると、その周りに電場(磁場)が生じる(誘導される)、とい
うことになります。

それはともかく、上の二式には、時間の項tがあります。
したがって、時間という概念が無視できない現象です。
実際、誘導によって生じる電磁場の位相は、元の電磁場の位相よりも遅れます。
しかしながら、その『遅れ』は距離には依存しません。
なぜなら、(微小)領域の大きさは、任意だからです。
このため、位相は距離に関係なく、同時なのです。

したがって、これまた、遠隔作用的な解釈が可能になるのです。

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19.連鎖反応
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電磁気作用が近接作用だとされる理由は、電磁波という現象があるからです。
従来、波動という現象は近接作用でしか説明できないと考えられてきましたが、
仮想力線電磁気学では、『疑似近接作用』という概念によって、遠隔作用でも近
接作用的な現象が起こることを説明することができます。

それはさておき、上で述べたように、マックスウェル方程式では、静的な現象も
動的な現象も遠隔作用的だということが判明しました。
では、どうして電磁波という近接作用的な現象が生じるのでしょうか?

それは、電磁場の誘導の連鎖反応が起こるからです。
マックスウェル方程式を用いて具体的に説明すると、上で示した二式の現象が交
互に起こるのです。
つまり、ある(微小)領域の電場が変化すると、その周りに磁場が生じ、その磁
場が変動して、その周りに電場が生じ、その電場が変動して、その周りに磁場が
生じ…という具合に、電磁場の誘導が次々と連鎖反応的に起こるのです。

すでに述べたように、誘導によって生じた電磁場の位相は、そのもとになった電
磁場の位相よりも遅れますから、より後に生じた電磁場、すなわち、光源から遠
い場所の電磁場ほど、位相が遅れることになります。
このため、電磁『波』という近接作用的な現象が生じることになるのです。

これは、ソフトウェアのコピー(違法ですから、やってはいけません)に例える
と、わかりやすくなります。
オリジナルのソフト(親)からコピー(子)が作られ、そのコピー(子)から更
にコピー(孫)が作られ、そのコピー(孫)から更にコピー(曾孫)が作られ…
という具合です。
電磁波という現象も、こうした複製行為が自然現象として起こるものなのです。

よく、電波や光が「届く」という言い方をしますが、これはアンテナや光源の電
磁気作用が届く現象ではなく、何世代も複製を重ねた電磁場のコピーを感知する
現象なのです。

このように、個々の現象が遠隔作用でも、連鎖反応によって近接作用的な現象に
なってしまうことがあるのです。

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20.遠隔作用の場合
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さて、仮想力線電磁気学は遠隔作用の理論ですので、上で述べたような電磁場の
複製(?)の連鎖反応は起こりません。
これは、場(や力線)の実在性の問題と関係があります。

仮想力線電磁気学では、場(や力線)は実在性あるものではなく、あくまで仮想
的なものとされます。
しかも、以下の電磁場以外の電磁場は、仮想的にすら存在価値を認めません。

 1.電荷(磁荷)の存在によって生じる電場(磁場)

 2.電流によって生じる磁場

2.の磁場から生じる電場については、その電場から作用を受ける電荷だけが、
その存在を感知できる、とします。
つまり、何もない『空間』にとっては、そのような電場は存在しないことになる
のです。

遠隔作用では、『空間』は電磁気作用には関与しないので、何もない空間から電
磁場が生じることは無く、そのことが上で述べたことと関係しています。
こうした、仮想力線電磁気学の、場に対する独特の考え方については、いずれ詳
しくお話します。

とにかく、2.の磁場から生じる電場は(空間では)存在しないことになってい
るので、それから更に磁場が生じるということもありません。
このため、マックスウェル電磁気学のように、電磁場が連鎖反応的に次々と生じ
るという現象は、起こらないことになるのです。
ということは、電磁波という近接作用的現象は起こらないことになります。
ならば、仮想力線電磁気学では、どうやって電磁波を説明できるのでしょうか?

実は、それでも連鎖反応は起こるのです。
ヒントは、以前にも申し上げました『第三者』の存在です。
ということで、次回からは、いよいよ(ようやく?)、『疑似近接作用』の超入
門の話をします。

どうぞ、お楽しみに…。

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