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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第49回 第3章・力線の理論(その17)

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引き続き、運動の問題を取り上げます。
絵文字の図があるので、等幅フォントで御覧下さい。

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48.光源の相対運動
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今回は、光源と受光体の近くに存在する物質、および、光源と受光体とを結ぶ線
分の近くに存在する物質とが、受光体に対して静止している(相対運動していな
い)場合の問題を取り上げたいと思います。
この問題を図に示すと、下図のようになります。


      ・・・・・・       ☆ 光源
   v ←☆ 〜〜〜〜〜> □      □ 受光体
      ・・・・・・       ・ 疑似エーテルとなる物質


もし、v=0ならば、第46回にやった問題と同じです。
この場合に受光体から見た光速度をcとしましょう。

さて、問題はv≠0の場合なのですが、この問題を厳密に解くのは、かなり厄介
です。
が、受光体が光源から十分離れているという条件であれば、受光体から見た光速
度はcとなります。
遠隔作用である電磁気作用を、近接作用的なものにしているのは疑似エーテルで
あり、それが受光体に対して静止しているのですから、光速度がcになるわけで
す。

もう少し詳しく説明すると、疑似エーテルとなる物質が知ることができるのは、
光源による電界や磁界だけで、光源の速度までは知ることはできません。
ですから、光速度が光源の運動によって変化することはない、ということになる
わけです。
もっとも、光源の運動によって、電界や磁界は変化しますから、振動数や振幅は
変化します。

これは、ちょうど、水面を伝わる波の実験で、観測者が水に対して静止していれ
ば、波源が運動しても、(観測者から見た)波の速度は変わらないのと同じこと
と言えます。

ただし、こうしたことが言えるのは、すでに述べたように、受光体が光源から十
分離れている場合だけです。
光源の近くでは、光源となる電荷による電界や、その電荷が運動すること(電流)
による磁界が無視できません。
具体的に式で示すと、

 div{D} = ρ

 rot{H} = {j}

と記述される電磁気作用です。
光源の近くでは、これらの直接的な影響を受けることになります。
このため、これらの影響が無視できるほど小さいとするために、光源が十分離れ
ているとする必要があるわけです。

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49.光速度の観測
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さて、上で述べたように、光源と受光体の近くに存在する物質、および、光源と
受光体とを結ぶ線分の近くに存在する物質とが、受光体に対して静止している場
合は、光源が運動しても、受光体から見た光速度は変化しません。(ただし、光
源が受光体から十分離れているという条件つきですが…)

実は、このことが、光速度の観測(測定)に重大な問題をもたらすのです。

なぜなら、光速度を観測(測定)する装置自体が、疑似エーテルとなってしまう
からです。
それも、光の経路に最も近い位置に存在する疑似エーテルとなるのです。
言うまでもなく、観測装置は観測装置自身に対して静止しているわけですから、
上で述べたことから、(光速度に関して)得られる観測結果は常にcとなってし
まうのです。

加えて、観測装置内の光の経路に、鏡やらレンズやらプリズムやらといったもの
があると、それらが新たな光源となってしまいます。
それらは、観測装置に対して静止しているわけですから、これは第46回に述べ
た問題と同じであり、光速度はやはりcとなってしまうわけです。

以上のことから結論されるのは、(光速度を観測するための)どのような観測装
置でも、観測できるのは観測装置内での光速度であって、観測装置に入ってくる
光(電磁波)の速度ではない、ということです。

このため、前々回と前回に取り上げた問題でも、実際に光速度を観測すると、理
論から得られた結果( c - v )とは等しくならず、cとなるのです。
下の概念図(受光体の系から見た図)を御覧になれば、そのことが直感的に理解
できると思います。


    ←・←・←・┌────┐     ・ 周囲の物質
          │ ,,,,,, │
  ←☆ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜> │     ,
          │ '''''' │       観測装置を構成する物質
    ←・←・←・└────┘     ' 
           観測装置


このように、観測によって得られる光速度は、常にc(一定)となるのです。
光速度不変という迷信が、皮肉にも実験・観測によって裏付けられてしまう理由
が、これでおわかりになったと思います。

               * * *

次回は、これまで取り上げてきた運動の問題についてのまとめと注意点について
述べる予定です。

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