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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第46回 第3章・力線の理論(その14)

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今回から、運動の問題を取り上げます。
絵文字の図があるので、等幅フォントで御覧下さい。

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38.相対運動が無い場合
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前回までの話は、運動を考えない問題についてでした。
今回から、運動が関わってくる問題を取り上げようと思います。

初回の今回は、まず、光源と受光体(電磁波を受信するもの)とが相対運動しな
い問題を取り上げます。

具体的な例を示すと、下図のような問題です。

   ☆ 〜〜〜〜〜> □       ☆ 光源  □ 受光体
    → v      → v

ある系から見ると光源も受光体も速度vで運動していることになりますが、相対
運動はしていません。
こうした問題を取り上げます。

そこでまず、この世に、これら二つの物体(光源と受光体)しか物質が存在しな
い場合の問題を考えましょう。
この場合、光源と受光体以外には物質が存在しません。
それ故、疑似エーテルとなる物質(を構成する荷電粒子)も存在しません。
このため、(疑似)近接作用的な現象は起こらず、電磁波は発生しないことにな
ります。
よって、光源から受光体への電磁気作用は、遠隔作用的なものになります。

もっとも、この問題は、非現実的です。
なぜなら現実には、光源と受光体以外にも無数の物質が存在するからです。
次に、そうした現実的な問題について考えてみましょう。

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39.疑似エーテルの相対運動
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光源と受光体以外の物質は、疑似エーテルとしての働きをすることになります。
本来、遠隔作用であるはずの電磁気作用が、電磁波のような近接作用的な現象に
なってしまうのも、このためです。
これまでにも何度も説明してきたように、遠隔作用の場合、全空間の全物質が疑
似エーテルとしての働きをすることになります。

さて、運動の問題においては、こうした疑似エーテルとなる物質の、光源や受光
体との相対運動が問題になってきます。

ところが、もうお気付きのように、これは決して単純な問題ではありません。
なぜなら、疑似エーテルとなるのは、厳密には全空間の全物質だからです。
したがって、厳密な解を求めるには、全空間の全物質の運動を考えなくてはなら
なくなるわけです。
これは、たまったものではありません。

しかしながら、近似的な結果で良いのなら、問題によっては比較的容易に求める
ことが可能です。
たとえば、光源や受光体の近くに存在する物質、および、光源と受光体とを結ぶ
線分の近くに存在する物質が、光源や受光体と相対運動していない場合です。
この場合は、運動のない問題とみなすことができ、受光体から見た光速度は、運
動の無い場合と同じ速度になります。

この理由は、次の通りです。
第1章でも説明したように、光源や受光体の近くに存在する物質ほど、また、光
源と受光体とを結ぶ線分の近くに存在する物質ほど、疑似エーテルとしての関わ
り方が強まります。
逆に、そうした場所から遠ざかるほど、疑似エーテルとしての働きが弱まること
になります。
したがって、近似的には、光源や受光体の近くに存在する物質や、光源と受光体
とを結ぶ線分の近くに存在する物質についてのみ、考えれば良いことになるので
す。
運動についても、こうした場所の物質の運動のみを考えれば良いわけです。
上の問題では、こうした場所の物質が、光源や受光体と相対運動していないわけ
ですから、まさに、静止の問題と同じと考えることができるわけです。

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40.マイケルソン・モーレーの実験
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さて、こうしてみると、マイケルソン・モーレーの実験で、なぜ、干渉縞の変化
が検出されなかったのかも、理解できるでしょう。
マイケルソン・モーレーの実験では、光源と受光体、実験装置は、全く相対運動
をしていません。
一方、疑似エーテルとなる物質の運動はどうでしょうか?
実験は地上で行われました。
つまり、実験装置の近くに存在する物質は、全て実験装置に対して静止している
(相対運動していない)のです。
したがって、疑似エーテルとしての働きの強い物質は、相対運動していないこと
になります。
おまけに、実験装置の周囲には(実験装置に対して相対運動しない)壁があり、
これは単に疑似エーテルとしての働きだけでなく、かなりの遮蔽効果をももたら
します。
よって、以上のことから、これは近似的に静止の問題と同じとみなされ、光速度
は変化しないことになります。
以上が、仮想力線電磁気学から理論的に導かれる結論です。
御存知のように、この結論は、実験結果と一致しています。

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41.もっと複雑な問題について
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さて、これまで取り上げてきたのは、光源や受光体の近くに存在する物質、およ
び、光源と受光体とを結ぶ線分の近くに存在する物質が、光源や受光体と相対運
動していない場合の問題でした。
では、そうでない問題はどうなのでしょうか?
あるいは、光源や受光体の近くや、光源と受光体とを結ぶ線分の近くが、真空の
場合はどうなるのでしょうか?

そうした問題は、すでに述べたように、簡単には解けません。
しつこいようですが、遠隔作用では、全空間の全物質を疑似エーテルとして考え
なければならないからです。
このため、近接作用にくらべて、解法がはるかに複雑になります。
これは一見、短所に見えますが、逆にそれ故に、近接作用では相対論や量子論を
用いなければ説明できない現象が、説明できるのです。
たとえば、『引きずり効果』や、『(従来の)理論予想値よりもはるかに小さい
(運動による)光速度の変化』といった現象などを、です。
詳しくは、第4章で説明します。

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