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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第45回 第3章・力線の理論(その13)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

さて、今回は、前回得た結果をもとに、改めて電磁波について考察してみたいと
思います。

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35.力線の速度
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前回は、x方向に進む平面波の式を求めました。

 ( ∂ Ey / ∂x ) = - μ・( ∂ Hz / ∂t )     (3・8・1)

 ( ∂ Ez / ∂x ) = μ・( ∂ Hy / ∂t )      (3・8・2)

 ( ∂ Hy / ∂x ) = ε・( ∂ Ez / ∂t )      (3・8・3)

 ( ∂ Hz / ∂x ) = - ε・( ∂ Ey / ∂t )     (3・8・4)

そこで、(3・8・1)式をxで偏微分したものと、(3・8・4)式をtで偏
微分したものとから、Hzを消去すると、

 ( ∂^2 Ey / ∂t^2 ) = ( 1 / ( μ・ε ) )・( ∂^2 Ey / ∂x^2 )

という波動方程式が得られます。

さて、この波動方程式の解は、

 Ey = f( x - c・t )

という形で表すことができます。
ちなみに、f は任意の関数、c は 1 / ( ( μ・ε )^(1/2) ) です。

このEyをtとxでそれぞれ偏微分し、得られる二式をくらべると、

 ( ∂ Ey / ∂ t ) = - c・( ∂ Ey / ∂ x )

すなわち、

 ( ∂ Ey / ∂ t ) = - ( 1 / ( ( μ・ε )^(1/2) ) )・( ∂ Ey / ∂ x )

という式が得られます。
この式と、(3・8・4)式とから、( ∂ Ey / ∂ t ) を消去すれば、

 ( ∂ Ey / ∂ x ) = ( ( μ / ε )^(1/2) )・( ∂ Hz / ∂ x )

これをxで積分すると、

 Ey = ( ( μ / ε )^(1/2) )・Hz      (3・9・1)

という結果が得られます。
同様にして、

 Ez = - ( ( μ / ε )^(1/2) )・Hy     (3・9・2)

という結果が得られます。

これらを(3・7・1)〜(3・7・4)式に代入すると、

 vbyx = vbzx = vdyx = vdzx = ( 1 / ( ( μ・ε )^(1/2) ) ) = c

となります。

この結果が意味していることは、y方向の電気力線と磁力線、および、z方向の
電気力線と磁力線は、いずれもx方向に光速度cで移動している、ということで
す。
つまり、これらの力線は、まさに電磁波(光)が進むのと同じ方向に同じ速さで
移動するということです。

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36.力線の理論による電磁波の説明
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そこで、もう一度、第42回で示した電磁波の図を思い出して下さい。
→ 42bz.htm

この図では、電気力線と磁力線とが垂直に交わっていましたね。
実は、上で述べたことからおわかりのように、これらの力線は、光速度cでx方
向に進んでいることになるのです。

つまり、電気力線と磁力線とが垂直に交わった格好で、x方向に光速度cで移動
している、ということです。

以上のことから、力線の理論では、電磁波の発生は、次のように説明されます。

y(またはz)方向の電気力線がx方向に光速度cで進むと、電気力線が横切っ
ていくことになるので、磁電誘導によりz(y)方向の磁場が生じます。
一方、この磁場を表すz(y)方向の磁力線がx方向に光速度cで進むと、磁力
線が横切っていくことになるので、電磁誘導によりy(z)方向の電場が生じま
す。
この電場を表すy(z)方向の電気力線がx方向に光速度cで進むと、電気力線
が横切って…
…ということが次々と繰り返されて、電磁波が生じることになるわけです。

以上が、力線の理論による電磁波発生の説明です。

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37.疑似近接作用と仮想エーテル
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さて、上の説明で、一つ注意していただきたいことがあります。
それは、上の説明は、あくまで疑似近接作用の考え方をした場合の話であるとい
うことです。

仮想力線電磁気学は、元来、遠隔作用の理論です。
遠隔作用では、何もない空間で力線が次々と誘導されるという現象は、有り得な
いことです。
したがって、それが説明可能になるのは、疑似近接作用という考え方をした場合
なのです。

遠隔作用でも、近接作用的な現象が説明できることは、すでに第1章で説明しま
した。
『疑似エーテル』という考え方が、それです。
これにより、遠隔作用でも、あたかも近接作用のように作用が伝わっていく(か
のように見える)現象を説明できるのです。

疑似エーテルの正体は、(物質を構成している)電荷です。
この電荷を磁力線が横切ることにより、電気力が誘導によって生じ、電荷は運動
します。
電荷が運動すれば、それとともに電気力線も運動し、それによって磁気が生じま
す。
この様が、あたかも『磁力線→電気力線→磁力線』という連鎖反応にそっくりな
ので、見た目はそのように(近接作用のように)見えてしまうというわけです。

さて、疑似エーテルの働きをするのは、全空間に存在する全物質(を構成してい
る電荷)です。
このため、途中の空間が真空でも、近接作用的な現象が起こることが説明できる
のです。

そこで、実際の疑似エーテルと等価な働きをする、仮想的な媒体(疑似エーテル
)を、途中の空間に考えます。
これが、『仮想エーテル』というものです。
この『仮想エーテル』という概念によって、何もない空間で力線(や電磁場)が
次々と連鎖反応的に誘導される(かのような)現象が説明できる、というわけで
す。

このように、『仮想エーテル』による『疑似近接作用』という考え方によって、
上で述べた電磁波の発生が説明できるのです。
第37回で、仮想エーテルのことについて触れた理由が、これでおわかりになっ
たと思います。

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