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●第41回 第3章・力線の理論(その9)

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前回に引き続き、力線の理論からマックスウェル方程式を導く話をします。
今回も『力線の連続の式』について説明します。
図(絵文字)があるので、等幅フォントで御覧下さい。

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28.式の一般化
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前回は、z軸方向の磁力線に関する連続の式について説明しました。
今回は、x軸方向とy軸方向の磁力線についても考えてみましょう。

今回は下図のような直方体の微小領域を考えます。

      y
      ↑
      │ E ___F
      │A /  B/|
      │ | ̄ ̄| |
      │ |  |/G
      │D  ̄ ̄C
      ┼─────→x
      /
     /
   └
  z

絵文字の限界ゆえ、やや不正確な図になっていること、および、裏側(三本の線
と点H)が描かれていないことをお許し下さい。
なお、各点の座標は以下の通りとします。

 A ( x , y + dy , z + dz )
 B ( x + dx , y + dy , z + dz )
 C ( x + dx , y , z + dz )
 D ( x , y , z + dz )
 E ( x , y + dy , z )
 F ( x + dx , y + dy , z )
 G ( x + dx , y , z )
 H ( x , y , z )

この微小領域に出入りする磁力線の本数について考えるわけです。

試しに、前回の復習を兼ねて、z軸方向の磁力線について考えてみましょう。
この場合、面AEHDと面BFGC、及び、面ABFEと面DCGHとから単位時間あたりに入っ
てくる磁力線の本数と、微小領域ABCDEFGH内の磁力線の本数の単位時間あたりに
おける増加量とが等しいことを考えればよいのです。
とはいえ、磁力線が出入りするのが『線』から『面』になったことと、領域が『
平面(長方形)』から『立体(直方体)』になったことを除けば、前回の場合と
同じです。
したがって、dzが微小であることを考え合わせると、前回と同じ考え方が成り立
ちます。
よって、(3・5)式が、そのまま成り立ちます。

 ( ∂ Hz / ∂t ) = - ( ∂( Hz・vbzx ) / ∂x )
            - ( ∂( Hz・vbzy ) / ∂y )

話の都合上、この式を、改めて(3・6・3)式とします。

さて、x軸方向やy軸方向の磁力線についても、同様な考え方が成り立ちます。
結果だけを記すと、

 ( ∂ Hx / ∂t ) = - ( ∂( Hx・vbxy ) / ∂y )
            - ( ∂( Hx・vbxz ) / ∂z )

 ( ∂ Hy / ∂t ) = - ( ∂( Hy・vbyz ) / ∂z )
            - ( ∂( Hy・vbyx ) / ∂x )

となります。
これらを、それぞれ順に(3・6・1)式、(3・6・2)式とします。
ちなみに、Hxは磁界のx軸成分、vbxyはx軸方向の磁力線のy軸方向への運動速
度、vbxzはx軸方向の磁力線のz軸方向への運動速度、Hyは磁界のy軸成分、vb
yzはy軸方向の磁力線のz軸方向への運動速度、vbyxはy軸方向の磁力線のx軸
方向への運動速度、となります。

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29.電気力線の連続の式
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電気力線についても、磁力線と全くおなじ考え方が成り立ちます。
こちらも結果だけを記すと、

 ( ∂ Ex / ∂t ) = - ( ∂( Ex・vdxy ) / ∂y )
            - ( ∂( Ex・vdxz ) / ∂z )

 ( ∂ Ey / ∂t ) = - ( ∂( Ey・vdyz ) / ∂z )
            - ( ∂( Ey・vdyx ) / ∂x )

 ( ∂ Ez / ∂t ) = - ( ∂( Ez・vdzx ) / ∂x )
            - ( ∂( Ez・vdzy ) / ∂y )

となります。
磁界Hが電界Eに、磁力線の速度vbが電気力線の速度vdに置き換わるだけです。
これらの式を、順に、(3・6・4)式、(3・6・5)式、(3・6・6)式
とします。

以上で、『力線の連続の式』は全て出揃いました。
これら(3・6・1)〜(3・6・6)式と、以前述べた電磁誘導や磁電誘導の
式、

 {E} = -{vb}×{B}            (1・1)

 {H} = {vd}×{D}            (1・2)

とから、下記のマックスウェル方程式、

 rot {E} = - ∂{B} / ∂t        (2・1)

 rot {H} = ∂{D} / ∂t         (2・2a)

を導くことができます。
なお、この導出は、あまりにも煩雑になるので省略します。
その代わりに、もっと簡単な問題の形で取り上げようと思います。

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