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N┃→ 仮想力線電磁気学
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●第36回 第3章・力線の理論(その4)
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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。
今回も、力線の基礎についてです。
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12.式の変形
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前回に述べたファラデーの電磁誘導の考え方を復習すると、
『磁力線が横切ると、磁力線と、その運動方向との双方に垂直な方向に電気力
が生じる』
ということでした。
これを式で表すと、
{Fe} = -q・{vb}×{B}
となります。
ここで、Feは誘導によって生じる電気力(電荷が受ける電気力)、qは電荷、vb
は電荷を横切る磁力線の(相対)速度、Bは磁束密度を、それぞれ表します。
前回記したものと項の記述が少し違っていますが、内容的には同じです。
(なお、ここで訂正があります。前回記した式の左辺の F に、ベクトルを表す
中括弧 { } をつけるのを忘れていました。謹んでお詫び申し上げます。)
さて、上の式で、q = 1 とすると、
{Fe} = -{vb}×{B}
となります。
一方、電界Eとは、『単位電荷あたりに働く電気力』と解釈できることは、第1
章で述べました。
このことから、
{E} = -{vb}×{B}
となるわけです。
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13.逆の現象
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さて、ファラデーは、電磁誘導とは逆の現象が起こることを予測していました。
実際、彼の予測は正しかったのです。
この現象を言葉で述べると、
『電気力線が横切ると、電気力線と、その運動方向との双方に垂直な方向に磁
気が生じる』
となります。
以後、このメルマガでは、この現象を『磁電誘導』と呼ぶことにします。
さて、この磁電誘導を、電磁誘導に倣って、式で示すならば、
{Fm} = m・{vd}×{D}
となります。
ここで、Fmは誘導によって生じる磁力(磁荷が受ける磁力)、mは磁荷、vdは磁
荷を横切る電気力線の(相対)速度、Dは電束を、それぞれ表します。
そして、m = 1 とすると、
{Fm} = {vd}×{D}
となり、磁界Hを、『単位磁荷あたりに働く磁力』と解釈すれば、
{H} = {vd}×{D}
となるわけです。
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14.ちょっと注意!
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電磁誘導と磁電誘導は、よく似ていますが、大きく異なるところもあります。
電磁誘導の場合は、電荷qが無ければ、電界Eを考えることはできません。
つまり、『磁力線が横切るもの』すなわち『誘導によって電気力を受けるもの』
が存在しなければ、この現象(電磁誘導)は起こらないことになるのです。
ちなみに、場を実在性あるものとするマックスウェル電磁気学では、このような
考え方はできません。
これに対し、磁電誘導では、磁荷mが無くても、電気力線の相対運動があれば、
磁界Hを考えることができるのです。
つまり、『電気力線が横切るもの』すなわち『誘導によって生じる磁力を受ける
もの』が存在しなくても、磁界Hを考えることができるのです。
これが、磁電誘導が電磁誘導と大きく異なるところです。
上で、『磁力が生じる』と言わずに『磁気が生じる』と述べたのも、そのためで
す。
このあたりのことは、第1章で述べた『力線の実在性』や『場の実在性』の問題
と関連があります。
ファラデーは、電荷からのびた電気力線や、磁石や電流によって生じた磁気を表
す磁力線は描きましたが、電磁誘導によって生じる電気力(起電力)については
電気力線を描きませんでした。
こうしたことを考えれば、電磁誘導と磁電誘導の違いも理解できると思います。
つまり、電磁誘導によって生じる電気力の電気力線を描かないことが、電荷qが
存在しないと電界Eを考えることができないことに対応しているのです。
また、磁石や電流によって生じた磁気を表す磁力線を描くことが、磁荷mが無く
ても磁界Hを考えることができることに対応しているのです。
このように、電磁誘導と磁電誘導には、大きく異なるところがあるのです。
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15.マックスウェル方程式との比較
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さて、これまでに得られた式を、もう一度、記してみましょう。
{E} = -{vb}×{B} (1・1)
{H} = {vd}×{D} (1・2)
これらに相当するマックスウェル方程式を、同じ順で記すと、下記の様になりま
す。
rot {E} = - ∂{B} / ∂t (2・1)
rot {H} = ∂{D} / ∂t + {j} (2・2)
式の形は異なりますが、式に出てくる項が同じであることがわかるでしょう。
一番目の式ではEとB、二番目の式ではHとDが、それぞれ出てきます。
ちなみにjは電荷の流れであり、それによって電気力線(の動き)を考えること
ができることから、Dと同じようにみなすことができます。
こうしてみると、(1・1)式や(1・2)式から、(2・1)式や(2・2)
式を導くことができるのではないか…という期待ができるでしょう。
そして、それが可能ならば、力線の理論こそが基本となるものであり、マックス
ウェル方程式は派生的(二次的)なものにすぎないことが証明できることになり
ます。
事実、この章での次なる目標は、(1・1)式や(1・2)式から、(2・1)
式や(2・2)式を導くことです。
しかし、そのためには、少し予備知識が必要となります。
そこで次回は、そのことについて述べようと思います。
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