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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第32回 第2章・定説の問題点(その10)

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今回は、『一般相対性理論』による『重力場理論』に関する問題点を取り上げま
す。
仮想力線電磁気学は、電磁気学の理論なので、重力は関知しません。
このため、ここで取り上げるのはふさわしくないと思われるかもしれません。
しかし、『近接作用』や『場の理論』の問題点を知るのには良い例だと思われま
すので、あえて(ただし簡単に)取り上げることにしました。

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32.シートを凹ませているのは誰?
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一般相対性理論による重力場理論によれば、重力場は、質量によって生じた時空
の曲がりによるものと説明されます。
そして、このことをわかりやすく表現したたとえが、『凹んだシートのたとえ』
です。

たとえば、物体Aが物体Bから重力を受けることを考えてみましょう。
まず、物体Bがシートを凹ませます。
このシートの凹みが、時空の曲がりに相当するわけです。
そして、物体Aは、この凹んだシートに沿って進むのです。
こうして、重力場が説明できるというわけです。

このように、凹んだシートのたとえは、この難解な重力場理論を非常にわかりや
すくしてくれるのですが、一方で、この重力場理論が抱える問題点をも明確にし
てくれるのです。
以下に、そのことを見ていくことにしましょう。

まず、物体Aが物体Bから重力を受けるということは、物体Bの方もまた物体A
から重力を受けることになります。
そこで、こちらについて考えると、物体Aがシートを凹ませ、物体Bがそれに沿
って進むということになります。

ここで、問題が生じます。
シートを凹ませているのは、物体Aと物体Bのどちらでしょう?
物体Aからすれば、シートを凹ませているのは、物体Bです。
ところが、物体Bからすれば、シートを凹ませているのは、物体Aなのです。
一体、どちらのシートの状態が正しいのでしょうか?

第三者(物体C)から見ると、さらに奇妙なことになります。
この場合、物体Aと物体Bの両方がシートを凹ませます。

こうして、選択肢はさらに増えてしまいます。

さらに三番目の場合、物体Aと物体Bは、それぞれ、自分が生じさせた凹みの中
に埋もれてしまって、身動きがとれず、引かれ合わないことになるのです。
これでは、重力の存在を否定することになってしまいます。

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33.見かけ上の存在では困る!
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シートが、一度に複数の状態をとるのは不可能です。
同様に、時空や場というものが、一度に複数の状態をとるのも不可能です。

こうした矛盾を解決する唯一の方法は、場を『見かけ上のもの』すなわち『実在
性のないもの』とすることです。
しかし、そうしてしまうと、時空の曲がりという概念も、空虚なものになってし
まいします。
そして、何より、重力は近接作用であるとする一般相対性理論の教義を、根底か
ら否定してしまうことになるのです。

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34.なぜ凹む?
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ところで、凹んだシートのたとえは、より根本的な疑問を示してくれます。
それは、「シートはなぜ凹むのか?」という疑問です。
これはすなわち、「時空はなぜ質量によって曲がるのか?」ということです。
シートを凹ませるのは、物体に働く重力のせいです。
では、時空を曲げるのは?

一見、立派そうな理論も、実は、根本的なことは何も説明できないのです。
一般相対性理論による重力場理論は、「質量によってなぜ重力が生じるのか?」
という根本的な疑問の在処を、時空に移し替えて、見えなくしているだけのこと
なのです。

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35.シートの固さ
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もう一つの疑問は、重力を受ける方の物体が、どうして、凹んだシート、すなわ
ち、曲がった時空に沿って進もうとするのか?、ということです。
物体がシートに沿って進むのは、物体がシートに押しつけられるように重力を受
けているからです。
では、物体が曲がった時空に沿って進もうとする理由は?

これに関連して、より困難な問題が存在します。
物体がシートに沿って進むためには、物体によって凹まないぐらい、シートが固
くなければなりません。
同様に、物体が曲がった時空に沿って進むためには、時空は固いものでなければ
ならないはずです。
ですが、時空の固さなど、実際には経験することはありません。

こうしてみると、曲がった時空という概念は、エーテルと同じ問題点を抱えてい
ることに気付くでしょう。
光の速度は非常に速いので、光がエーテルを伝わる波であるためには、エーテル
は固いものでなければならないのです。

結局のところ、近接作用というものは、こうした問題に悩まされることになるの
です。

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36.周転円との類似性
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ところで、何かに沿って進むという考えは、よくよく考えると、天動説における
『導円』や『周転円』と同じであることに気付きます。
つまり、一般相対性理論は、天動説における真円の組み合わせを、曲がった時空
に置き換えただけなのです。
真円の組み合わせよりは、曲がった時空の方が、数学的扱いは比べものにならな
いほど高度で複雑・難解になります。
そのために、理論の根幹にある、こうした共通点が見えてこないのです。

要するに、近接作用の行き着くところは、やはり、ここなのです。

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37.相対性に関する問題
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相対論は、相対性を前提とした理論のはずです。
確かに、特殊相対性理論では、相対性が満たされています。
ところが、一般相対性理論では、相対性が崩されているのです。
つまり、相対性を崩すことによって、重力を説明しているのです。
そして、相対性を崩すもとになるのが、『静止質量』なのです。
静止質量は絶対的なものですから、これによって相対性を崩すことができるとい
うわけです。
随分と都合のいい論理ではないでしょうか?

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38.『霊』の科学?
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すでに述べたように、一般相対性理論による重力場理論は、時空が大きな役割を
果たします。
つまり、あらゆる謎を、空間(時空)のせいにしようというわけです。
こうした何でも空間のせいにする空間崇拝は、『何でも霊の仕業にする』という
西洋の神秘主義とよく似ていると言えます。

そもそも、時空の曲がりとか、場という概念は、直接目に見えるものではありま
せん。
これらは、人間が作り出した(決めた)概念です。
ですから、そういうものに固執しなければならない義務は無いはずです。

ちなみに、仮想力線電磁気学は遠隔作用の理論であり、空間は何の役割も果たさ
ないので、こうした神秘主義とは無縁です。

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さて、第2章『定説の問題点』は、今回で終わりにします。
次回からは、いよいよ、第3章『力線の理論』に入りたいと思います。

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