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N┃→ 仮想力線電磁気学
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●第30回 第2章・定説の問題点(その8)
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今回も『マックスウェル方程式』に関する問題点を取り上げます。
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24.空間崇拝の起源
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マックスウェル方程式を用いて問題を解析する際、『空間(の場所)』の式しか
解かないというのは、結局、空間のことしか考えないということです。
こうした空間執着志向は、20世紀には入り、『空間崇拝』にまで発展します。
20世紀の物理学は、まさにこの『空間崇拝』の物理学なのです。
そこでは空間こそが主役であり、物質は脇役にすぎません。
そして、このことが、『場の実在性』や『近接作用の絶対視』と深く関わり合っ
ていることは、言うまでもないでしょう。
特に量子化された場の理論では、『場』こそが実在性あるものであり、物質は幻
想にすぎない…とまで言い切っています。
『全ての根元や根本原理は空間にあり』というわけです。
真空のエネルギー、粒子が現れたり消えたり…、そこはまるで魔術の世界のよう
です。
ですが、こうした『空間崇拝』も、もとをたどれば、すでに述べたように、19
世紀以来続けられている、『空間(の場所)』の式しか解かないという数学的な
解析法の乱用に起源があるのです。
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25.どんな波か?
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確かに、数学的には、『空間(の場所)』の式だけからでも、波動の解を得るこ
とはできます。
しかし、振幅や周波数(波長)や位相などは、一切、求まらないのです。(光源
を無視しているのですから、これは当然のことです)。
つまり、そこから求まる波は、振幅も周波数(波長)も位相も、何も定まらない
波なのです。
言い換えれば、いつ、どこから、どのように発せられたのかもわからない波なの
です。
それは、ひょっとすると、無数の光源から発せられた、無数の波の重ね合わせか
もしれません。
あるいはまた、振幅や周波数がゼロの波かもしれません。(これは言うまでもな
く、波が存在しない状態です。)
いずれにせよ、『空間(の場所)』の式だけからは、どういう波なのかまではわ
からないのです。
したがって、そのような波について、いくら考察しても、意味がないでしょう。
そもそも、光源が無ければ、電磁波は存在しないのです。
空間だけでは、何も起こりません。
マックスウェル方程式も、そのことをハッキリと示しているのです。
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26.主客を逆転させる
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『空間(の場所)』の式しか解かない、すなわち、空間のことしか考えないとい
う態度は、ある領域しか注目しないという態度に他なりません。
つまり、光源は、視野・視界の外なのです。
特定の領域にしか注目しないために、それ以外の領域のことが見えてこない。
これは、物事を特定のスケールでしか見よう(考えよう)としない人たちに、よ
くあることです。
そして、こうした態度が、近接作用を絶対視させることは、すでに第1章で述べ
ました。
空間崇拝も、近接作用の絶対視と同様、天動説や地球円盤説と同じ精神の産物だ
と言うことができます。
仮想力線電磁気学は、遠隔作用の理論なので、主客が逆転しています。
つまり、『作用を及ぼすもの』と『作用を受けるもの』、すなわち、作用を及ぼ
し合う物質が主役であり、空間は脇役、というより、何の役割も果たしません。
それ故、定説で見られるような『魔術』のような概念もありません。
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27.波動方程式
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しつこいようですが、もう一度、マックスウェル方程式を見てみましょう。
div {D} = ρ
div {B} = 0
rot {E} = - ∂{B} / ∂t
rot {H} = {j} + ∂{D} / ∂t
光源を表すのは、ρや j です。
したがって、ρ = j = 0 の式しか解かないやり方が、いかに片手落ちなのかが
おわかりいただけると思います。
それはそうと、第4〜5回に、マックスウェル方程式は遠隔作用的な解釈が可能
であることを述べました。
特に、
div {D} = ρ
rot {H} = {j}
の部分はそうで、これらは、光源の作用が瞬時に無限遠まで到達することを意味
しているのです。
したがって、光源が運動する問題で、ρ= j = 0 の式しか解かないということが
いかにまずいことかが、わかります。
マックスウェル方程式のもとの形を見れば、そのことは明白なのです。
ところが、これが波動方程式の形になってしまうと、こうしたことが見えなくな
ってしまうのです。
波動の解を得るためには、波動方程式を得なければなりません。
ところが、マックスウェル方程式から波動方程式を得るためには、ρ = j = 0
としなければならないのです。
なぜなら、方程式にρや j が含まれていると、単純な波動方程式にはならない
(=数学的に解けない)からです。
このため、『空間(の場所)』の式だけが取り上げられる(『光源のある場所』
の式が無視される)ことになるのです。
波動方程式による記述は、もう一つの問題をもたらします。
マックスウェル方程式から得られた波動方程式が、物質を伝わる機械力学的な波
の波動方程式と同じような形をしていることから、両者を混同してしまうことで
す。
そして、エーテル(媒体)の存在を信じたり、近接作用を絶対視して、『空間崇
拝』にハマってしまうのです。
電磁波は、物質を伝わる機械力学的な波とは、波が発生する原理が違います。
マックスウェル方程式によれば、電磁波は『…→電場→磁場→電場→磁場→…』
という具合に、電場と磁場が交互に誘導されることにより生じます。
ところが、波動方程式の形にしてしまうと、このことが見えてこず、『電場→電
場→…』、あるいは、『磁場→磁場→…』という具合に、電場(磁場)から電場
(磁場)が直接生じているかのように見えてしまうのです。
このために、物質を伝わる機械力学的な波と混同してしまうのです。
(機械)力学的な世界では、
div {D} = ρ
rot {H} = {j}
のような(波源からの)遠隔作用的な概念がありません。
だから媒体の式だけでも良いわけです。
波動方程式による記述は、こうした違いをも見えなくしてしまうのです。
解を求めようとするあまり、特定の式にばかり目を奪われ、実状が見えなくなっ
てしまうのは、決して賢明なこととは言えないはずです。
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