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●第28回 第2章・定説の問題点(その6)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

今回も『マックスウェル方程式』に関する問題点を取り上げます。

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18.復習
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まずは、マックスウェル方程式を見てみましょう。

 div {D} = ρ

 div {B} = 0

 rot {E} = - ∂{B} / ∂t

 rot {H} =  {j} + ∂{D} / ∂t

ちなみに、{}で囲まれた項( {D}、{B}、{E}、{H}、{j} )は、ベクトルを意味
します。
以前にも申し上げましたように、テキスト形式でベクトルを表現するために、当
メルマガでは、この表記を用いることにします。

さて、こうしてみると、マックスウェル方程式には、エーテル(の運動)を記述
する項が無いことに、あらためて気付くと思います。
つまり、マックスウェル方程式とエーテル理論とは、うまく合わないということ
です。
言い換えると、マックスウェル方程式に対する近接作用的な解釈には問題がある
ということを示しているわけです。

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19.解析は非常に面倒
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それはそうと、もっと重要なことがあります。
それは、マックスウェル方程式を用いて問題を解くには、対象となる空間を無数
の微小領域に分け、その個々の微小領域に関してマックスウェル方程式を解かね
ばならない、ということです。
もう少しわかりやすく言うと、微小領域の数だけ方程式を解かねばならない、と
いうことです。
解かねばならない方程式の数が、膨大なものになってしまうことは、言うまでも
無いでしょう。

加えて厄介なのは、個々の微小領域が電磁気的に独立しているわけではないこと
です。
つまり、ある微小領域の影響が、他の微小領域に及ぶのです。
こうした微小領域同士の相互の影響を考えなければならないため、同じ微小領域
の方程式を何度も解かなければなりません。

以上のことから、マックスウェル方程式を用いて問題を解くには、『数値解析』
を行わなければならないことになるわけです。

もっとも、『一様な空間を直進する電磁波』のような問題であれば、数値解析に
よらなくても解けます。
ですが、そのような問題は限られているのです。
『マイケルソン・モーレーの実験装置』も、一様な空間とは言えず、それ故、や
はり数値解析によらなければ解けないのです。
そして、このような面倒な計算は、手計算ではまず無理で、現実的にはコンピュ
ーターを用いなければ不可能と言えるのです。

ところが定説では、アインシュタインは『マイケルソン・モーレーの実験』をマ
ックスウェル方程式を用いて解析した、としています。
こんなところからも、定説の胡散臭さがおわかりいただけるのではないかと思い
ます。

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20.本当は二種類ある
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とはいえ、アインシュタインがマックスウェル方程式から光速度不変という考え
を導いたのは事実です。
したがって、問題になってくるのは、その考察についてです。

そこで、まず知っていただきたいのは、
『マックスウェル方程式は、見た目は一種類でも、実際には二種類ある』
ということです。
具体的に言うと、『光源のある場所』と、それ以外の『空間(の場所)』とでは
方程式が違ってくる、ということです。
実際に、両者を比較してみましょう。

まず、『光源のある場所』の方程式は、

 div {D} = ρ

 div {B} = 0

 rot {E} = - ∂{B} / ∂t

 rot {H} =  {j} + ∂{D} / ∂t

で、ρまたは j のどちらか(あるいは両方)が変数となります。

一方、『空間(の場所)』の方程式は、

 div {D} = 0

 div {B} = 0

 rot {E} = - ∂{B} / ∂t

 rot {H} = ∂{D} / ∂t

です。
つまり、ρ = j = 0 というわけです。

御覧いただくとおわかりいただけるように、一番目の式と四番目の式が異なって
います。
見た目(形式的)には同じ式と言えるのでしょうが、実際には別の式です。
少なくとも、値(あたい)的には全然、別の式です。
しかも、ρや j が、定数と変数とでは、えらい違いでしょう。

要するに、『光源のある場所』と『空間(の場所)』とでは、用いる式が違うの
です。
したがって、『光源のある場所』に『空間(の場所)』の式を用いることはでき
ません。
そんなことをすれば、そこには光源が存在しないことになります。
実際には、光源が存在するのですから、これは全くの誤りです。
それに、光源が存在しなければ、光(電磁波)も存在しないことになります。
これでは、お話になりません。

したがって、『空間(の場所)』の式だけを用いて行われた考察は、全く根拠の
無いものと言わざるを得ないのです。
実は、光速度不変という考えは、そうした考察によって得られたものなのです。
これについては、次回、より詳しく説明いたします。

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