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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第24回 第2章・定説の問題点(その2)

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今回は『幾何光学の乱用』に関する問題です。

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4.光の直進性
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一般相対性理論によれば、物体が存在すると、その質量により周囲の時空が曲が
り、そのために光の進路が曲げられる、ということになっています。
しかし、このことを検証するためには、まず、相対論的効果を考えない場合に、
物体のそばを通る光の進路が曲げられない(直進する)ことを、理論的に証明し
なければなりません。
では、それはどのように証明されているのでしょうか?

まず、十分な長さの真っ直ぐな定規を用意します。
それを用いて、物体すれすれに線を描きます。
こうして描かれた直線を、光の進路とします。
証明終わり。

多くの人は、この証明に満足してしまうのですが、よくよく考えてみると、これ
は全く空虚な論理であることに気付きます。
なぜなら、真っ直ぐな定規で直線を引くこと自体、最初から「光は直進する(曲
がらない)」ということを絶対の前提にしている行為だからです。

今知りたいのは、「光はどう進むのか?」ということのはずです。
つまり、光の進路上にない物体が、光の進路に影響を与えるのか否かということ
が問題なのであり、それを解明しなければ意味がありません。

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5.幾何光学の問題点
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上で述べた『真っ直ぐな定規で直線を引く』というやり方は、ズバリ言うと、『
幾何光学の乱用』にすぎません。

『幾何光学』とは、光を幾何学的な直線とみなし、定規やコンパスなどを用いて
作図により光の経路や速度を求める学問のことです。

幾何光学は、非常に平易なので、小学生でも学べるほどです。
このため、義務教育を受けた方なら、誰でも知っていると思います。
しかし、ここに大きな落とし穴があるのです!

実は、幾何光学は、理論的な根拠が非常に薄弱なのです。
つまり、結果はそれなりに予測するけれども、「なぜ、そうなるのか?」が説明
できないのです。
ですから、幾何光学が予測できるのは、その結果が経験的によく知られている現
象だけなのです。
しかも、その予測は、厳密に言えば、近似的なものにすぎません。

確かに、幾何光学には『ホイヘンスの原理』というのがあります。
ですが、これは、力学的、あるいは、電磁気学的な考察によって得られたもので
はありません。
経験的にすでに知られていた光(や波)の性質を、幾何光学上で記述するための
解法テクニックのようなものなのです。
ですから、それは理論的に確かな根拠のあるものではないのです。

事実、そのために、ホイヘンスの原理は、「波動(電磁波)は、なぜ起こるのか
?」ということを全く説明できません。
また、ホイヘンスの原理では説明できない現象が沢山あります。
(例えば、光の回折が波長に依存することなど。)

というわけで、ホイヘンスの原理は、特に、幾何光学に理論的根拠を与えるもの
とは言えないのです。
したがって、幾何光学の理論的根拠は、非常に薄弱であると言わざるを得ないの
です。

幾何光学で解ける問題は、非常に限定されています。
その限界を超えて用いたとなると、それは単なる乱用にすぎません。
ですから、そこから得られた結論は「全くの無根拠」となるのです。

上で述べた『物体のそばにおける光の直進性』についても、幾何光学の限界を超
えてしまっている例なのです。
なぜなら、光の進路上にない物体が、光の進路に与える影響など、幾何光学では
何もわからないからです。

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6.有名な実験
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幾何光学の乱用の別の例として是非とも知っておいて欲しいのが、『マイケルソ
ン・モーレーの実験の解析』です。
定説となっている解析結果は、幾何光学によって導かれたものなのです。

この実験を、幾何光学を用いて解析するのはナンセンスです。
なぜなら、幾何光学は、エーテル流が光の進路や速さに与える影響を、教えては
くれないからです。

事実、マイケルソンたちは、当初、今日の定説とは異なる解析結果を得ていまし
た。
こんな間違い(?)を犯したのも、彼らが幾何光学によって解析を行ったからで
す。

今日の定説は、エーテル流の検出失敗をうけて、それを認めたくなかったローレ
ンツが、検出困難なより小さい値をでっち上げようとして、無理矢理捻り出した
ものです。
こんな御都合主義的な変更が可能だったのも、幾何光学を用いたためです。
(ちなみに、ローレンツは、流れのある川を横断するには、船の舳先を上流側に
 傾けなければならないと主張していますが、光が自主的に進路をそういう方向
 に向けることになる理由や根拠については、何も示していません。)

つまり、ここで気付かねばならないのは、幾何光学を用いると、どんな解析結果
をもでっち上げることができるということです。
だからこそ、様々な異説が未だに登場してくるのです。
そして忘れてはならないのは、定説もまた、こうした異説と同様、幾何光学の乱
用によって導かれたものの一つにすぎないということです。
ですから、定説もまた無根拠と言わざるを得ないのです。

解析結果がいい加減である以上、実験の精度のことをどんなに強調しても、意味
はないでしょう。

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7.幾何光学とマックスウェル電磁気学
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話を再び最初に話した『物体のそばでの光の曲がり』に戻しましょう。

幾何光学の乱用によって得られた結論によれば、
「物体のそばでは、光は曲がらない」
とのことでした。
もちろん、これは根拠がありません。
根拠ある解析を行うためには、やはり電磁気学的な考察が必要です。

近接作用理論であるマックスウェル電磁気学では、光の進路上にない物体は、電
磁場に影響を与えないとしています。
このため、物体のそばでは光は曲がらないことが結論されます。
これは、幾何光学の乱用によって得られた結論と同じです。
マックスウェル電磁気学を絶対視する人たちの間で、幾何光学の乱用の問題が意
識されないのは、このためでしょう。

これに対し、仮想力線電磁気学のような遠隔作用理論では、光の進路上にない物
体も電磁気作用に影響を与えることになることは、すでに第1章『概要』でお話
しました。
このため、物体のそばでは、光の進路が物体から影響をうけることになり、幾何
光学の乱用によって得た結論とは一致しなくなるのです。

実は、このことこそ、仮想力線電磁気学が相対論的効果(の一つ)を、電磁気現
象として説明できる秘密なのです。
詳しくは第3章で説明します。

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